O5-13、あるいは不平不満のスケープゴート

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筐体計画始動から、5日。

これまでの流れをおさらいしよう。1日目でプロジェクトが決定。2日目の昼にで筐体の製作場所とプロジェクトメンバーが決まり、2日目の深夜からいよいよプロジェクトが本格的に始動。全世界から集まった精鋭が、イエローストーン国立公園でその頭脳を使って神への反抗を始めた。ここまでで、これまでのおさらいは終わり。今の話を始めよう。

今、俺は  筐体計画プロジェクト・アルカ提言者のO5-13は、研究員3人に囲まれ、土下座を強要されながら、許してくれと連呼している。

「なんでこんな計画を通したんだ」

「世界を滅ぼしたいのか?」

「一日中椅子に座ってるO5サマにはこれが不可能だと分からないんだな?なら言ってやる。こんなん無理だ」

不平不満、嵐のような罵声を浴びながら。


「少しは落ち着いたか?」

数分後。俺は頭を上げて、俺を囲んで罵声を浴びせる彼等に言った。

ぴたり、と罵声が止まる。

「始めてから5分は経つか?もう充分だろう、持ち場に戻れ。お前らの監督者にバレるぞ」

ため息を吐く。唐突に態度を変えた俺に、唖然としている3人。その隙を突いて立ち上がり、土下座のせいでコートに付いた埃を、右手に持ったままの書類で払う。クソ、これ結構高いんだぞ。
俺がコートを気にしているのを、ただ見つめている研究員たち。……トロい。

「早くしろ!お前らが焦ってるのも苛立ってんのもわかってるし、元凶が目の前に無防備な状態でいたら、そりゃクビ覚悟でこんな行動にも出るだろうさ。それは理解してやる、殴らなかったのも評価してやる。だから早く仕事をしろ」

そこまで言ってやっと、彼等は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

「……」

彼等を見送ってから、右ポケットのライターと煙草の箱を取り出す。書類を持った左手を使わず箱を開けて、煙草を指に挟み箱をしまう。火をつけようとしたまさにその時、後ろから声がした。

「このサイトは全敷地禁煙では?O5-13」

「……まさか君にルールを語られるとはね」

ルビーの首飾りを首にかけた若い男。生命工学の権威であり、不死の首飾りに囚われた男。そして今は筐体計画プロジェクト・アルカ監督者の1人。クリアランス4研究員、ジャック・ブライト。
彼はおそらく最初からそこにいたのだろう。死角だった通路から、真っ直ぐな足取りでこちらに歩いてきた。

「サーティーン、本当にいいのか?あいつらの処分するのなんて、アンタの立場ならなんの苦労もないだろうに」

「人手が足りない。現状でも不可能に近いんだ。1人でも減らすわけにはいかない」

煙草とライターをポケットにしまう。俺は彼に笑い返す。

「そんなことより、お前はいいのか?監督者がこんなとこにいて」

「飲み物買いに来たんだ、休憩も大事だろ?それより、1つ言っていいか?」

笑って彼はそう答える。続けてきた質問に、俺はどうぞと促す。
彼は口を俺の耳元に寄せて、低い声で呟いた。


「アンタのこと恨んでない研究員、殆どいないぜ?」


その言葉を残して、彼は俺の傍を通り抜け、近くの売店の方向へ歩いていった。

俺はその言葉の残響を耳に残したまま、ここ  人気のない、アンダーシャトルのホームでシャトルを待つ。

言い訳のように、呟いた。

「知ってるよ、だから動き続けてるんだろうが」

左手の書類をもう一度見る。「協力を要請する要注意団体のリスト」そう表紙に書かれた、その書類の束を。

人手が足りないなら、増やすまでだ。

  ゲームオーバーまで、あと57日。

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  1. portal:5526847 ( 09 Aug 2019 13:25 )
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