オギャり・プロトコル適用事例

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「SCP-████-JPが能力を使用し収容違反を起こしました。担当機動部隊員は直ちにオブジェクトを再収容してください」

けたたましいアナウンスが流れ、職員が右往左往している。それはエージェント・斑座も同じだった。

「なんでこんな時に収容違反起きるのよ、まったく」

そうぼやきながら斑座は足早に通路を曲がった。
その瞬間何かとぶつかる。
斑座はぶつかった衝撃で尻もちをついたが、その頃には既にSCP-████-JPに暴露していた。

「SCP-████-JPを発見!確保せよ!」

機動部隊がSCP-████-JPを確保し、収容施設まで運ぶ途中、斑座は指を咥えてその様子を見ていた。

「あ、エージェント・斑座さん、大丈夫ですか?オブジェクトに接触していませんか?」

「ん?」

「あー……斑座さん、暴露してますね」

「うゆ?」

「ちょっと眠くなりますよ」

機動部隊がスプレー式の記憶処理剤を斑座に吹きかける。
斑座は静かに眠った。


目が覚めると、機動部隊に囲まれていた。

「お、目が覚めたみたいですね」

機動部隊の一人が手を差し伸べる。

「念の為精密検査を……」

や!

「え?」

やだ!

そういって斑座はエージェントの身体能力を駆使して機動部隊の塊をかいくぐって行ってしまった。

「おい!記憶処理が効いてないじゃないか!」

「とにかく急ぐぞ!相手はエージェントだ!」

機動部隊が斑座の後を追う。
斑座は軽々と機動部隊を躱していく。
機動部隊は必死に斑座を捕まえようとするが、その手は簡単に跳ね除けられてしまう。
機動部隊の誰もが手の届かない距離をとった時、斑座はくるっと振り返った。

「べ〜」

機動部隊の1人は憤慨し、1人は苦笑していた。

「むかつく子供だな」

機動部隊はその後も斑座の後を追っていた、が見失ってしまった。

「まずいぞ、見失った!」

「こちら機動部隊█-██、オブジェクトに暴露した職員を見失った!捜索を続行する!」

機動部隊がバタバタと別の場所に行くと、物陰から斑座は顔を出した。

「にしし、ばれなかった」

その背後には嶽柳主任研究員がいた。

「アンタ何しとんの」

明らかな動揺の表情が斑座に浮かぶ。

「やば!」

そういって斑座は走りだす、が嶽柳によって羽交い締めにされてしまう。

「何がやばや、はよ精密検査受けんで」

そういって嶽柳が歩き出そうとした時。

やだ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!

斑座は大声で泣き出した。
嶽柳は驚きの表情を浮かべている。

「やだやだやだやだ」

「アンタ子供ちゃうんやで!?」

「やだ!はなして!」

斑座は手足をバタバタさせる。
子供なら良かっただろうが、斑座は大人である。
その力は簡単に嶽柳の拘束を解いてしまった。

「へへ」

「こんの悪ガキ……!」

斑座はそそくさと逃げ出し、通路を横切った。
嶽柳は後を追い、通路を曲がる。
そして斑座より前にいる人影に叫んだ。

「あ!そこの人!ちょっとこのアホ捕まえてくれん!?」

「えぇ!?ウチ!?てかマダラザやん!何しとんの!?」

呼び止められた人影、咬冴隊員は困惑しつつも斑座に立ちはだかった。

「これで通られへんやろ!マダラザ!何か知らんけど捕まえるで!」

斑座はお構いなしに走る、が咬冴隊員を見た瞬間足を止め、屈託のない笑顔で声を上げた。

「ママ!」

「はぁ!?」

困惑する咬冴を尻目に嶽柳は斑座の肩を掴んだ。

「そこまでや斑座、機動部隊の人も来てくれはったし一旦捕まってもらおか」

「やだ〜〜〜〜〜〜〜〜」

無理やり連れていかれる斑座を見て咬冴はため息をついた。

「ママって何やねん……」


斑座は一時的に収容され、SCP-████-JPの影響を消失させるための手段が模索された。
資料からはSCP-████-JPは自立し動き回る聖母マリア像であること1、暴露した対象に後天的な刷り込みをすること、そして刷り込みの対象は20歳以下の人型実体であることが分かった。
そして資料の中でこれを発見した。

”オギャり・プロトコル”

そう書かれた資料にはSCP-████-JPの影響を消失するための手段があった。

「こんなん誰が作ったんや……へったくそな字やな」

「でもこの資料に頼るしかなさそうですね、他の資料は特に書かれていなかったので」
職員たちは頭を抱える。

「でももしこの資料に賭けるとしても誰がやるん?」

「20歳以下なら問題ないと思いますが……」

「せやったら…」

嶽柳は面倒そうにその場を離れた。

「ウチが!?斑座の状態を治す!?無理やろ!」

「アンタ見た時の斑座のセリフ覚えとるか?」

「いや覚えとるけど、あれやろ?ママってやつ……」

嶽柳は頷く。

「斑座が刷り込まれるのは20歳以下らしいし、斑座がママって言うたんやからアンタしかおらんねん」

「ええ……だからってそうはならんやろ」

愚痴をこぼしながらも2人は斑座が収容されている部屋へと向かった。


「ママ!」

咬冴が収容室に入るなり、斑座は抱きついた。

「ママ〜〜」

「ウチはママやないんやけど、これ付き合わなあかんの?」

嶽柳は頭を抱えている。

「キツいかもしれんけど頑張って、一応資料も渡しとくわ」

「わかった、頑張ってみるわ」

そういって嶽柳は咬冴に「オギャり・プロトコル」を渡して収容室を出た。

「オギャり・プロトコル……けったいな名前やな」

「ママ~」

斑座は咬冴に抱き着いた。

「マダラザ、アンタほんまウチおかんやと思てんの」

悪態をつきながらも咬冴は斑座の頭をそっと撫でる。

「うへへ~」

一切悪意を感じられない斑座の笑顔を見て、咬冴は何とも言えない感情を抱いた。
そして、咬冴は斑座が無性に愛おしく、守らなければならないと思った。

「なあ、マダラザ」

「ん?」

「何かしてほしいことある?」

「だっこ!」

「だっこはでけへんかもなあ…おんぶは出来るで」

咬冴は必死に斑座を背負う。

「わーい!」

「ほーらウチがもっとしたるからな~」

目を輝かせて喜ぶ斑座に、咬冴も満足している。
もっととせがむ斑座に咬冴は止めることを出来なかった。

「ちょ、ちょっと降りてくれへん?疲れたわ」

「いいよ~」

咬冴は床に座り込み、溜息をつく。
しかし斑座はまだ体力が有り余っているらしく、収容室内を走り始めた。

「ああそんなんしてたら怪我すんで!」

咬冴がそれを言い切るかどうかのところで斑座は盛大に転んだ。

「うぅ……うわぁぁぁぁあーーーん!!!!!」

「あーあー言わんこっちゃない、ほれウチに見せてみ?」

泣きじゃくる斑座に咬冴が近寄る。

「ん……血出てないな」

咬冴は斑座の怪我が重症ではないことに安心する。

「ふへへ、鮫肌……」

「え?」

「なんや、オブジェクトの影響受けてないやんか!?」

「うぇ……?ひっく、うぇぇぇぇえーーーーーーん!!!!」

「……どうすりゃええんや……」

斑座は依然泣き続けている。

「痛かったか?」

「うぅ、ひっく、いだがっだ、ひっく」

「痛かったな、ウチのここ座り?」

咬冴は手招きし自分の膝の上に斑座を座らせる。
泣きじゃくる斑座の頭を咬冴は優しく撫でた。

「痛かったな、痛かったのに頑張って耐えたな」

「うぅ……ひっく」

「マダラザは我慢強いな、偉いな」

「ん……」

収容前の騒動と収容室で騒いだこと、泣き疲れたことで体力の限界が来ていたのか、
斑座は膝の上ですやすやと眠ってしまった。

「へへ……」

自分の膝の上で寝息をたてる斑座を見て、咬冴は微笑んだ。

「ウチがちっちゃい頃にはおかんもこんな気分やったんかな……」

咬冴は斑座の頭に手を乗せる。
咬冴の頭に鮮明ではないものの、母親の微笑んだ顔が浮かぶ。
咬冴の目に涙が溢れる。

「なあ、マダラザ」

「もしこれが治らんかっても、ウチが守ったるからな」

咬冴は斑座を強く抱きしめる。
一粒の涙が、斑座の頬へと伝わった。

「ママ、なんで泣いてるの?」

斑座は不思議そうな顔で咬冴を見つめている。
いつの間にか目が覚めていたらしい。

「大丈夫、大丈夫やから。絶対守ったるから」

そう言って咬冴はより強く抱きしめた。

「ママ……」

斑座の体から力が抜けた。

「ふふ、ふへえへへっへへ」

「マダラザ?」

「ふへへ、咬冴ちゃんに抱きしめられるとは私も徳を積んだものですね」

「マダラザ!?戻ったんか!?」

咬冴は咄嗟に斑座から離れようとする。

「おっと、離しませんよ」

「うげ!」

するりと回り込まれ、斑座が咬冴を抱きしめる形になった。

「咬冴ちゃんの肌、これで堪能できますね……」

ふと、斑座は咬冴の顔を見る。
もう先の騒ぎで乾いているが、咬冴の顔には微かに涙の痕が残っていた。
斑座は、理解した。

「咬冴ちゃん」

「な、なんや」

「私が咬冴ちゃんのこと守るから。」


「なんやねん、急に」



「やめてや、そんなん言われたら、ウチ……」

斑座と咬冴はお互い泣きながら抱き合っていた。


「いやや!もうあんなことはせん!」

「そう言われてもな、あのオブジェクトに暴露した職員はまだぎょうさんおんねん」

「マダラザやったからええけど他の職員さんは難しいで」

「ほな見るか?暴露した職員」

「えぇ……うん、まあ一応」

嶽柳に連れられて咬冴が収容室に入った瞬間。

「ママ!」「ママ!」

あぁ、あぁ……

「な?しゃあないから治したってくれや」

もうオギャり・プロトコルなんてこりごりや!


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