Tale 記録xxx-JP-2・██/08/██/鷹浦博士の記述

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 あまりの恐怖に手が震えてしまい、その時に書き込むことが出来なかった。この記録を、10分が経った後に書きあげていることを許してほしい。

 まず、誘導弾が彼の身体に直撃し、彼の身体が激しく燃えた。その時よりも前から既に咽び泣いていたが、今度はそれが叫び声に変わった。嗚咽と悲鳴が混ざったようなものだった。
 今までにDクラス職員の激痛による悲鳴は何度でも聞いてきた。財団の方針上、冷酷になるつもりはなかったが、それでも「実験対象」として冷たく扱うことは出来たし、慣れていた。慣れていたはずだった。Dクラス職員も子どもも同じ人間として、様々なSCPに影響を受ける観察対象なのだ。私の中ではそのつもりだった。あの少年も、「SCP‐xxx-JP-2」という対象なのだ。しかし私は、もう「彼」だの「少年」だのと呼称してしまっている。
 速記者として申し訳ないと猛省しているが、あの時の、彼の叫び声を文字に起こすことは出来なかった。僅か6歳の少年が燃えていた。激しい叫び声には、怒りも悲しみも込められていたように聞こえた。何に対しての感情か、おおよそ見当はつくだろう。
 だが、恐ろしいのはそこだけではなかった。少なくとも私の中では。認識災害のせいで、誰もがその瞬間を、喜んでいたのだ。C3P5を摂取していた私たち職員以外の全ての人間が。
 それが一番、何よりも恐ろしかった。
 彼の身体が燃えて数秒後に爆発が起きた。爆散したように見えたのは認識災害の影響のようだ。爆炎が上がり、球状の炎の中に少しとどまった後に、彼は消失した。文字の通り、パッと消えた。周りの園児や保護者、大人たちが喝采を挙げる。
 
 消失する直前の、彼の姿を覚えている。炎の中で、影がかっていたが、皮膚と筋肉が焼け、爛れ、崩れ落ち、黒く焦げていた。爆風で宙に舞っており、その時の骨格は、例え人体について精通していないとしても理解できるほど、歪んでいた。関節が増えているようにすら見えた。その時もまだ、叫んでいたのだ。

 恐らく、この認識災害はSCP-xxx-JP-2がSCP-xxx-JP-1に「倒される」まで解除されないだろう。SCP-xxx-JPが発生した範囲にこのC3P5を散布したとしても、なんの解決にも至らない。
 何度も述べるが、この異常性の恐ろしい点は、ヒーローと怪人が現れる事ではない。誰もが、SCP-xxx-JP-2となってしまった児童が破壊される瞬間を、喜んでいることだ。そして誰も、その児童の重症の原因に気づかない。
 
 収容方法が発見されていない現段階で、私たちにできることは、何なのだろうか。
 心を痛める事しかできない私が、今あまりにも不甲斐ない。
 ヒーローとは、一体誰のことを言うのだろう。
 


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