SCP-XXXX-JP - 天国への道は悪意で舗装されている

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誤伝達部門より通達

この報告書に不要な情報及び実在しない情報が含まれることを検知しました。
これは意図されたものではなく、現在その原因を解析中です。

— YAMAYAKI.aic 誤伝達部門日本支部


貴方はこの報告書を見る度に説明を受け、処置を受けている。だから貴方は本来の報告書と違う事を知っている。貴方は閲覧終了時に簡易記憶処理を受ける事になる。貴方にはもう何も心配する必要が無い。安心していい。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid(暫定的)

特別収容プロトコル: この異常は今も拡がっているが、錨の作用で最小限に抑えられている。それ自体のある場所の所為で、民間人は気付かないけれども事件が起きた時に隠蔽出来るかが分からない。シャベルはこれに関わる全ての事柄に責任を持って対処している。貴方がこれ以上の事を知りたいならば、直接シャベルに会いに行く他に方法は無いのだろう。

説明: 端的に言えば、この異常はとある地域にある空間の入り口のポータルとその中身であると推察されている。内部では時流が乱れていて、殆どの人間は認識、記憶する事が出来無くなる。その為か今まで誰かしらがこれに気付く事は無かった。貴方もよく知る、地図に載る事の無い場所だった。

そしてこの異常の記録を取ると、三次以内の記録媒体(この異常に対する人間の記憶を含む)は、かなりの部分を改変してしまう。だが内容そのものは全くと言っていい程、改竄されて無い。また説明だとかの見出しは残されていたり、文の構成が本来の報告書のままの傾向にある事が判明している。

ある日矢野という男が業務の為、普段は乗らない路線の電車に乗った。彼は仕事柄位置情報が分かる機械を常備していた。それの内部には本来なら20分かかる距離を僅か1分で移動したかと思えば、6時間近くもかけていた彼の記録が残っていた。只、電車が遅延した訳では無かった。外部からの観測では他の乗客と一緒で彼は予定通りの電車に乗り、予定通りの時間に下車していた。そうだと彼自身も認識していた。だから我々は不思議に思い、この事を調べた。

結果さっき言った通りの異常が、線路上を含む範囲にあった。矢野が乗っていた電車はここを通り抜けていたのだった。我々が調査する以前には無かったものだった。隠蔽の為に路線は廃線にした。入り口の周囲には現実の孔が無数に空いていた。その所為でか入り口の幅はは中心点から10年で1メートル程の速度で拡がっている事も判った。それについては倉林博士が指摘している。私達が理解出来ぬ程にしわくちゃに内側にだまになっているという事らしい。

初めてシャベルが入った時、内部に「凪原市」なる都市と入り口外側にある都市の下町の名を冠する土地が発見された。誰かが何かをしていただろう痕跡はあった。住人は居ない。活動限界区域には街の公園らしき場所があった。その隣に市役所らしき場所も。個人情報も残っていた。見知らぬ誰かのものが。だがヒト以外のまともな動物は片手で数えられる程だが居た。元々の飼い主はわからなかったのは残念な事だった。

ここが本当に外側に存在していたならば、現実がここの奥底に沈んでいっている事になる。ここに引っ張られた周りもどんどん沈む事になる。錨でこの事実を止めようとしたが、拡大するスピードが大体2分の1になっただけだった。それでも入り口が拡がる程、流れ出す世界の量とその速度は自ずと増える様で、流れ出る程更に入り口は拡がっていった。十分に止める方法を見つけなくては。

追記: 「凪原市」は実在していた。そもそも「凪原市」は海沿いにある政令指定都市だった。インフラも整備されていた。家々が建っていた。無論人々が居た。忘れられたが何者かが己に酔って創られた。そして恐らく我々も認知していない現実改変者が居た筈だ。居たかは知らない。何せ人為的な改変痕が山程残されていた。宙に浮くビル、電子が如く回転し続ける鉄パイプの椅子、光る小石。逆流する河、目まぐるしく変わる局所的な天気、日の出と日の入り。施設の配置は入る度にぐちゃぐちゃに。数え切れない程の異常は、より大きなものを誘発したのだとシャベルが結論付ける理由となった。しかしめちゃくちゃになっている割に、現実性密度は正常値よりも3.84Hm程多かった。つまるところ、現実不全が起きている訳では無かった。寧ろこちらの方が現実味があるという事になる。

そして私達が知らないだけで、「凪原市」にはサイトが存在していた。ない。奇跡論など無縁の場所で、そこには間違いなく人型実体もいた筈だった。だけどその中には現実改変者は居なかった。民間人の中に居たのか? 財団の人工衛星が記録する前に、事は終わっていたのかもしれない。実際そうだった様だ。貴方方が気付くまでは。そしてその嘘の街にも気が付くのは何時頃か。

対応部隊の概要: シャベルは土を掘る道具でもあるが埋め立てる為にも使う。何某のしでかした空間の穴埋め、尻拭いの為の俺らのチームの名前になったという訳だ。スコップはその先駆の子部隊だ。先に周りにアタリをつけないとスコップは使うのは難しいからな。俺らが活動する中で、サイトの設備課の次に、いや同じぐらいに敬意を持たないといけない。

潜入記録XXXX-JP-4:

付記: 今回はこの都市自体が現実改変能力を有した空間の可能性も考慮に入れての探査が行われる事になっていた様だ。

作戦時に人の姿形をしたナニカが複数体いるのを目撃した。初めてこの空間で見た、私達以外の人型存在は最後までこちらの事を認識する事は無かった。位相のズレが生じている? 触れる事は出来無かった。服装や形、確かに輪郭はそうだ。だが水彩絵の具で撫でた様にぼんやりとしていた。何処にでも居そうな格好をしていた様に見えた。何かを喋っていた。不鮮明だが笑っていた様にも聞こえた。どこかで見た様な気もした。それも間違い無く彼女が見たものだった。

終了報告書: 多分、この場所はしでかしている事を分からなくなる様に仕向けている。一応は知られぬ様静かに、でも確実に貴方方の世界を飲み込んではいる。他の領域を拡大させるオブジェクトとは異なって、入り口とそのものが拡大している。そして「本体」は別空間そのものだから抑え込められない。

それに侵入者も取り込んでいる可能性がある。この報告書を以前書いた筈のスコップの隊員はどこに行ったの? 認識補強処置を受けて対処の出来るシャベルの隊員の数が明らかに減っている。実際私しか居ない事になっていた。作成されてから少なくとも10日は経過している筈なのに、RAISAが報告書の精査をした形跡も無い。人工知能は機能しているのかどうかも、今の私のクリアランスでは確認して連絡する事もままならない。SCP-XXXX-JPのオブジェクトクラスはEuclidのままである事、再分類される話も立ち消えていた。いや上層部がこれの存在すら知っていない可能性がある。

この報告書がスクリーニングの際に発見されたとしても、削除されるのは目に見えて分かる。記憶補強していなければ文章にすら見えず、文字化けして解析出来無いデータの塊でしかないからだ。実際効果が切れてきた私には何が何なのか、自分がこの報告書を書いていた事さえ分からなくなりかけた。書き変えられる様を見てる事しか出来無かった。

補遺: 真佐原の苦悩は続く。彼女の伝えたい事が誰かに伝わる事はもう無いのかも知れ無いから、希望ある風景は見え無くなる。だからこそ、どうにかして状況を打開しようして足掻く度に、苦しみは増大する。そして世界は確実に溺れてゆくのだ。

以上の報告書の内容は虚偽です。閲覧お疲れ様でした。あなたにおけるSCP-XXXX-JPの影響はクリーンです。

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