補遺1: 現在、SCP-XXX-JPが収容されていないことがレベル4未満のセキュリティクリアランスの者に知られないようにカバーストーリーを流布してください。
補遺2: 20██/██/██にSCP-XXX-JPが盗難される事件が発生しました。以下がその調査記録です。また、これらの記録は██博士のコンピュータにて破損されていたデータを復元したものです。
20██/██/██: SCP-XXX-JPの盗難が発覚。
低脅威度物品保管庫からSCP-XXX-JPが無くなっていることが判明。すぐに捜索隊が組織されました。
捜索隊のメンバーはエージェントα,β,γの3人とその3人を指揮する██博士です。
SCP-XXX-JPを████と認識した際にすぐ発覚できるよう、3人のエージェントには小型マイクを装備させ、常に録音されている状態にしました。
20██/██/██: SCP-XXX-JPの捜索が開始。
最終的な目標はSCP-XXX-JPの再収容です。
以下が同日の会議の録音内容です
〈録音開始〉
██博士: 諸君らに集まって貰ったのは先に説明した通りSCP-XXX-JPの再収容だ。ここで重要なのは犯人の確保ではなく、SCP-XXX-JPの再収容である。また、昨日のSCP-XXX-JPの収容スペース付近の映像、収容スペースの入室記録から犯人は██研究員だとわかった。██研究員は██/██にサイト██を出てから1度も入場が確認されていない。犯人はほとんど██研究員と言っても過言ではないだろう。██研究員の居場所を突き止めるのがSCP-XXX-JPの再収容に繋がる。
エージェントα: ██博士、そのSCP-XXX-JPとはどのようなオブジェクトなのでしょうか?
██博士: 簡単に言うと異常性を持った████だ。ただ、SCP-XXX-JPを████だと認識した瞬間からミーム汚染が始まる。
エージェントβ: 異常性についてだけは説明を受けました。数字への認識に異常が現れるのですよね。
██博士: そうだ。数字や数字を表す表現がすべて異常になる。目で見たものや耳で聞いたもの、果ては触り心地などにも影響する。
エージェントα: なるほど、わかりました。しかし、オブジェクトはどのような見た目なのでしょうか? それがわからなければ我々は再収容などできません。
██博士: そうだな。では、写真を見せよう。
██博士が3人のエージェントに写真を見せる。
エージェントγ: つまり、これを████だと認識しなければ異常性は受けないということですか?
██博士: いかにも。しかし、どう足掻いてもそれは不可能だ。例えば、このカレンダーを見てほしい。
エージェントβが驚く。
エージェントβ: 17月83日なんて、どういうことですか?
エージェントγ: どの数字もでたらめだ。次の次は32月で7日から始まってる。
██博士: それが異常性だ。ありえないような数字を見たり、あるいは本来とは違う数字を見たりする。勿論、聴覚、触覚についても同様だ。
エージェントα: 異常性に法則などはあるんですか? 例えば、見える数字はすべて4倍されているとか。
██博士: そういうものは未だ確認されていない。異常性により見えた数字と元々の数字を照らし合わせ、色々と法則を見出そうとしているが、恐らく、法則はないと言っていいだろう。
エージェントγ: つまり、見えた数字から元の数字は判断できないと言うわけですね。
██博士: そうだ。
エージェントβ: 話が変わりますが、異常性の解除方法などはあるのでしょうか?
██博士: 安心したまえ。それについては存在する。ただ、厄介なのがSCP-XXX-JPを知る直前からの記憶処理をしなければならないということだ。例えば、SCP-XXX-JPを3分前に知ったとするなら3分以上の記憶処理をしなければならない。
エージェントα: 異常性を無くすにはSCP-XXX-JPを知らなくなる必要があるというわけですね?
██博士: そういうことだ。捜索するには異常性を被る必要があり、異常性を無くすには対象を見失う。そう考えれば反ミーム的要素も併せ持っていると言ってもいいだろう。
エージェントβ: どうやって捜索をするのでしょうか。
██博士: それについては一応、1つ案がある。ただ、この方法は精神的な疲労に繋がるかもしれない。君たちエージェントの信頼が頼りになる。
以下がその捜索方法です。
・エージェントの1人を除いて記憶処理を行う。
・記憶処理を行った2人にSCP-XXX-JPというオブジェクトを探すことと██研究員を探すことのみを伝え、オブジェクトの詳細については伝えない。
・単独で行動はせず、3人で行動をし、オブジェクトの姿を知っている者がオブジェクトを持ち帰る。
エージェントβ: つまり、1人はオブジェクトの詳細を知り、何も知らない2人で主な捜索を行うというわけですね。
██博士: 飲み込みが早くて助かる。
エージェントγ: これってつまり、他2人は何も知らないまま捜索を進めるわけだから相当な疲労がかかりそうですね。
██博士: だからこそ君たちの信頼関係が試される。
この後、エージェントαを残して、2人には記憶処理を行い、エージェントβ,γの2人にはオブジェクトの詳細を伏せて、再び作戦内容を伝えました。
出発前のエージェントαと██博士の会話です。
██博士: 長時間の記憶処理は脳に障害を及ぼすかもしれない。私はSCP-XXX-JPを知ってからかなり時間が経っている。したがってそろそろ記憶処理を行わなければならなくなる。しかし、そうなるとこのオブジェクトを知っているのは現時点で君だけになる。とても重要な役割だ。
エージェントα: はい。わかりました。██博士。
同日: エージェント3人が██研究員の自宅に訪れる。
エージェントγ: ここが██研究員の家か。なかなか洒落たものを持ってんだな
エージェントβ: 不要な私語は控えましょう。我々は任務中です。
エージェントγ: 堅いこと言うなよ、ただでさえ得体のしれないオブジェクトを探せと言われてるんだぜ? ちょっとは気楽にならなきゃイライラしそうだよ。なぁ██(エージェントαの名前)。
エージェントα: まあ、そうだね。僕はオブジェクトについては知ってるけどね。
エージェントβ: ですから、私語は。
エージェントγ: うるさいなぁ。わかったよ静かにするよ。俺は隣の部屋を見てくるから、2人でこの部屋をよろしく。
エージェントγが別の部屋へ移動する。
エージェントβ: 机の上に何かありますね……。おや?
エージェントα: 何?
エージェントβ: 手紙ですね。日付は██/██です。送り主は……GOC! エージェントγ! すぐ来てくれ!
エージェントγが部屋に入る。
エージェントγ: なんだよ、今度はお前がうるさくなってるじゃないか。
エージェントβ: ふざけてる場合じゃない。これをみろ。
エージェントγ: GOCからの手紙? ██研究員はGOCと繋がってたってのか?
調査後回収された手紙の全文です。
██研究員
君の意見を聞かせてくれてありがとう。君の発想はとても素晴らしいものだ。そして、我々の理念と合致している。そんな君を我々は喜んで迎え入れよう。
財団ではできない君のその理念を我々と共に叶えて行こうではないか。
その前にまずは君の団体のオブジェクトを何かひとつ持ってきてほしい。
世界オカルト連合
調査記録の続きです。
エージェントα: 裏面に住所らしきものが書いてある。
エージェントβが裏面を確認する。
エージェントβ: 確かにありますね。ここからも数時間で着くところだ。どうします? 1度、博士に連絡をした方がいいのでは?
エージェントγ: ああ賛成だ。
エージェントα: 僕も賛成だ。
エージェントβが██博士と通話する。
██博士: どうした、エージェントβ。
エージェントβ: 博士、単刀直入に言います。今回の調査、どうやらGOCが関わっているようです。
██博士: 何? GOC……。
エージェントβが██博士に手紙の写真を送信する。
エージェントβ: 博士、ここは一旦帰還し、増員させ、奴らの拠点へ向かうべきです。
██博士: いや、ダメだ。君たちは捜査を続けろ。
エージェントβ: ですが、この少人数で奴らからオブジェクト、さらに██研究員を財団に持ち帰ることは不可能です。
██博士: エージェントβ、今回の調査目標はあくまでもオブジェクトの再収容。██研究員がいなければ君たち3人でオブジェクトの奪還はできるだろう。
エージェントβ: しかし、██研究員がGOCと繋がっているのは明白です。ここで██研究員を捕縛出来れば、GOCに関する情報を得られるはずです。
██博士: (数秒沈黙) いや、ないだろう。財団からスカウトしたとしても、彼に大した情報は無いはずだ。ならば、██研究員の捕縛は急務では無い。
エージェントβ: (十数秒沈黙) わかりました。オブジェクトの回収を優先します。
通話が終了する。
エージェントβ: どうやら、私たち3人でこの住所の場所へ向かうこととなるらしい。
エージェントα: そんな、無理だ。向こうは何人いるかわからないのに。
エージェントγ: ところで、なんで██研究員はこのオブジェクトを持ち出したんだろうな。俺たちはアイテム番号くらいしか教えられてないが、██(エージェントαの名前)、お前は全てを知ってる。
エージェントα: いや、そんなこと言われてもそれはオブジェクトの異常性の問題だし。
エージェントβ: 確かに。██研究員がGOCに渡すに相応しいと判断したオブジェクトということは何か相当な事情があるのでは?
エージェントα: そんなことないって。オブジェクトは低脅威度物品保管庫に収容されているし、手紙にも具体的なオブジェクトのことは書いてない。██研究員が持ち出し易いとおもっただけじゃないかな。
10分程度エージェント3人の口論が続く。
エージェントβ: (数秒沈黙) わかった。すまなかった。もう、君を疑ったりはしない。
エージェントα: ありがとう。
エージェントγ: これ以上、██(エージェントαの名前)を責めても仕方ないしな。すまん。
エージェントα: 大丈夫。僕も君と同じ立場だったら同じことをしてたと思う。多分、僕が何か疑われるのは仕方ないことだ。だけど、でも、みんながオブジェクトについて知ってしまったらみんなが異常性を被ってしまう。みんなが異常性を受けずにオブジェクトについて説明できる自信はない。異常性を受けた途端、これからの任務に大きな支障が出るんだ。だから、信じて貰うしかない。
エージェントγ: わかった。信じる。
エージェントβ: 私も信じる。
エージェントα: 2人とも、ありがとう。
エージェントγ: そうと決まれば、作戦会議だな。3人でどう乗り込むかだな。
以降、エージェント3人で作戦会議が行われました。
エージェントβ: では、これから、GOCの拠点が存在すると思われるこの住所に向かいます。
この録音から約1時間程度後の録音です。
エージェントβ: ここが、住所の場所……。
エージェントγ: 見た目はただの廃墟だが、民間から姿を隠すにはちょうどいい物件だな。
エージェントβ: エージェントα、ここからオブジェクトの捜索になる。きっと、拠点内部は巨大であるから、3人で行動すると目立つし非効率的だ。だから単独で行動するのがベストだ。そのために君の知っているオブジェクトの情報を教えてほしい。
エージェントα: わかった。
エージェントαがオブジェクトの写真を見せ、説明する。
エージェントβ: つまり、これをサイコロだと認識しなければいいんだな。
エージェントγ: それってできるのか?
エージェントα: 分からない。認識しないように意識して認識しないことができるかはやったことがない。ただ、これはサイコロではないと心得て置くことは大切だと思う。
エージェントβ: わかった。各自、オブジェクトを回収後、速やかに他2人に連絡をし、すぐに撤退。時間については特に決めない。
エージェントγ: 数字は正しく認識できないかもしれないからな。
エージェントβ: では、出動。
エージェント3人が拠点内部へ侵入。
以下はエージェントγの録音記録です。他のエージェント2人の録音記録は現在、復元できていません。
██:██「外見はあんな廃墟なのに入ると早々、研究所か。これがGOC自慢の技術ってやつかね」
██:██ 静かに揉め合う音
「おっと、静かにしろよ。妙な真似をしたら殺す」
GOC職員のものと思われる吐息
「服は頂いてくけどな」
██:██ 「な、何をする!」██研究員と思われる声。
エージェントγ:「静かにしろ、余計なことはするな、質問にだけ答えろ。SCP-XXX-JPはどこだ」
██研究員と思われる声「お前、財団っ」
エージェントγ:「余計なことを話すな、オブジェクトはどこだ。答えろ」
██研究員「お前、XXX-JPを知ってるのか?」
エージェントγ:「SCP-7869-JP? なんの話だ? SCP-XXX-JPについてだけ話せ」
██研究員「……オブジェクトはこの部屋の13番ロッカーだ……」
エージェントγ:「32番ロッカーだな」
足音
エージェントγ:「なんだこのロッカー、番号がぐちゃぐちゃ……しまった!」
大勢の足音の後に銃声
録音記録はここで終了しています。
20██/██/██現在、エージェントα,β,γ及び、██研究員の所在は不明です。
20██/██/██現在、GOCの拠点があるとされていた住所には廃墟といったものは確認されていません。おそらく、GOCが拠点を移したためだと思われます。
20██/██/██、██博士が自室で死亡しているのが発見されました。死因は毒死です。遺書の内容から、当事件の秘匿、エージェント3人の損失などの責任から逃れるために自殺したとみられます。
当事件は素晴らしき3人のエージェント、1人の研究員を失った重大な事故だ。██博士の手記にはSCP-XXX-JPを軽視するような内容があった。たとえSafeであろうと、Euclidであろうと、もちろんKeterであろうと、オブジェクトを軽視していいはずがない。オブジェクトに異常があればすぐに報告し、再収容を目指すべきであった。それをせず、秘匿を試みた██博士は到底許されるべきではない。二度と、このような事故がないように財団職員は務めるべきである。
この事件は教訓として財団に残り続けるだろう。
サイト81XX管理者
拝読しました。
<批評>
ルーキーコンテストではクレジット付き評価モジュールの使用が義務付けられています。
これを記事の一番上にコピペして、メタタイトルとアカウント名を入れてください。
オブジェクトクラスの最初の一文字は大文字にしてください。また、Anomalousの綴りが間違っています。(故意的にやってるならすみません。)
センチメートル→cm
グラム→g にした方がよいかと思われます。
オブジェクトの異常性のせいで批評しづらい。
所々、注意していただき、ありがとうございます。
早速訂正させていただきます。
指摘された箇所を訂正しました
拝読しました。
あまり婉曲的に書かず、「SCP-XXX-JPは白色の1辺が3cmの6面サイコロです」と言ってしまって良いと思います。サイコロはかなり一般的な単語ですし、サイコロと書いても報告書っぽさは失われないと思います。
よくある認識をバグらせるオブジェクトだと思います。それだけならまだ良いのですが、オチをメタに持ってきてしまっているのが、よりありきたりさを増してしまっています。それよりは、数字の認識をバグらせることでどんな面白い現象が起こるのかにフォーカスして、発見経緯や実験記録にそれらを盛り込んでいったほうが、面白くなる可能性があると思います。
批評ありがとうございました。
アドバイスの通りに作品傾向を変更しました。