やり遂げねぇと…

ここに入ってどのくらいたっただろうか。 先に行った第一急襲部隊の安否を確認するため第二急襲部隊のメディックとしてこの中に入ったが、外傷もなく心臓を抜き取っていくヤツらと戦うのにメディックなんて必要だろうかと思ったよ。 最初にやられたのは、先頭でクリアリングしてたコマンダーだった。
「うわっ!」
というでかい声が聞こえたあと、コマンダーがぶっ倒れた。
「くそったれがぁ!」
誰かの罵声と銃声が2発聞こえた後、すぐにメディックの俺が呼ばれた。急いでコマンダーの脈をはかったが、動いてはいなかった。この中に入ってからだったが無線機もカメラも機能が止まったからコマンダーの死亡を本部に伝えるために、なぜか俺の相方のメディックが来たほうへ走っていった。逃げ出したかったんだろうな。 でも、ここからは出られない。あいつも知ってたはずだ。 もちろんそれからあいつは見ていない。
コマンダーが死に、部隊の統率が崩れていった。隊員たちを落ち着かせようとする奴もいれば泣き出し、吐く奴もいた。 それから少し進んで会社の受付みてぇなところに来た。奥のほうで足音が聞こえた。人間のもんじゃない、ヤツの足音が。 発狂してヤツにナイフを突き刺そうと隊員の一人が突っ込んでいいたが返り討ちにあったようだ。 その隙に俺は逃げた。背負ってた医療キットの入ってるバッグを投げ捨て、ただひたすらに逃げた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
走って逃げてるときにそう聞こえた。多分仲間の悲鳴だろう。でも、俺は気にするな気にするなと自分に言い聞かせて、ただただ走った。いや、逃げた。これは恥ずべきことだろうか?

だいぶ走って、なんの部屋かわからないとこの物陰に隠れた。ヤツらを撒くためじゃない、疲れ切ってたからだ。水を飲んで落ち着こうとしたが、水筒は投げ捨てたバッグの中にあった。あの時の自分の選択には後悔してる。持ってたのは、腰に下げてた44.マグナムと銀の弾丸と懐中電灯…それだけだな。
「おーい、誰かいるかー…」
誰もいない。ひとりぼっちってのは悲しいもんだ… 俺は別の部屋を探索してみることにした。 これまでやったことはなかったが、拳銃と懐中電灯をクロスして構えるやつをしてみた。なれないことはしないほうがいいなと感じた。44.マグは反動がでかすぎて片手じゃ無理だ。まぁ、やり方があるんだろうけど。 そして、この病院にきた。何もかもがボロボロだった。 そこに財団のレポート用紙を3枚見つけた。 俺はそれを手に取って、読んでみる。

アイテム番号: わかんねえ
オブジェクトクラス: Keter。かわいそうに。
特別収容プロトコル: アンタは死ぬよ、残念だけど。
これは脅しじゃねえ。オレはエージェントバークレー。オレはこの呪いの中にいて、アンタに話してる、アンタもここに来たのか?アンタ死ぬよ。オレはすでに死んでるだろうけどな。
説明: んで、ここから説明だ、もう知ってるかもな。財団はアメリカのど田舎で問題が起きたと知らされる。牛や野生生物が変死したんだと。行方不明者の数は増えるばかり。見つかっても心臓が無くなった死体で見つかる。切ったり、裂かれた痕もなくな。胸の真ん中がカラなんだと。
ヤツらは真っ黒いカスみたいなのが浮かんでるのを見つける。似たようなヤツを見たことがある財団の秀才野郎が、殺し方を発見した。神に祈りを捧げた銀の弾丸をぶち込めばいいってな。文字通りにな。なんでかは知らんが、それでうまく行く。どの神かは関係ねえ、アンタが心を込めたかが重要だ。
オレにはもうできねえがな。巣を見ちまったからな。
居間は最悪だ。そこはオブライエンが捕まった場所だ。捕まるとアイツは突然ぶっ倒れ、ヤツらの一人が心臓を取ったんだよ・・・爪で、だったかな?
ヤツらはここでは不明瞭だ。もう気づいてるだろうが。ヤツらは影みたいなもんだ。光から離れろ。バカみたいな話だけど、そうしろ。光の中で、影は強くなる。ヤツらは輪郭を持つ。暗闇ではヤツらは不明瞭になる。ヤツらはアンタにほとんど触れられないし、見ることもできない。オレはヤツらは影を見てるんだと思う。わからねえがな。
ここがどこかって?でかい。ただの農家じゃねえ。ここは…ここはまるでいろいろな場所をかき集めて継ぎ合わせたようなとこだ。アパートみてえなとこもあればショッピングモールみてえなとこもある、信じちゃもらえないかもしれんが、オレの高校のロッカーまでありやがった。タイルも何もかも同じやつだった。
ほかにはなんでできてたと思う…ごみだ。それは黒く、影みたいで、ほとんどが光りに照らされていた。明かりが消えれば、アンタも手を入れられる。止めといたほうがいいがな。それでトレスは消えた。なんかがアイツを捕まえると、引っ張られていった。穴は小さかったが、それでもアイツは引っ張られていった。
だから、光は避けろ、暗闇で足元を見続けろ。
もちろん、脱出はできねえ。オレらもそれは理解した。アンタが見つける扉はこのキチガイ病院の別の部屋に着くか、外に出るかだ。ようやくオレらは死ぬんだとわかった。そう、ここじゃ餓死するか、ヤツらに捕まるかしかねえ。感動的な選択だよなあ、ええ?
ここでアンタがやることは一つだ。オレはやりきれなかったが、アンタはできるかもな。それをしてもアンタが生き残れるとは思わねえ…でも大事なことだ。誰かがやってくんなかったら、ヤツらはいつか外に出てくる。間違いなく。
ここは色々な場所を奪い取ってできたものだ。それで、オレはこう考えてる。ここにはまだ他に扉が存在するに違いないと。オレらは見つけた扉をすべて閉じきった。だけど、また扉が開いたら?そのとき財団がヤツらを見つけられなかったら?クソが、あいつらは扉を閉めることすら知らねえんだ。また誰かこの中に入ればヤツらを止められるってことに気づいてくれるのを願ってる。もっとも、入ったヤツがみんな扉を閉めるくらいには頭が回るって仮定の話だがな。
そうか、オレはこれを止める方法を見つけたと思う。それは巣だ。
オレは一度だけ、2, 3分見ることができた。デニングの心臓を抜き取ったクソ野郎をオレらは追った。オレはこの部屋がすべての中央にあるんだと思う。それは真っ黒で、どんな灯りも吸い込むことができるんだと思う。ランプ、懐中電灯、ロウソクなんかもな。他のヤツらも運んでいったのをオレらは見た。とにかく、中央にたくさんの心臓でできた塊がある。心臓はどれもこれも山に投げ込まれて、引き裂かれてた。ヤツらはデニングの心臓を放り込むと、それは鼓動し、脈打ち、のたうちまわった。それから引き裂かれて、心臓を一つ引きぬいた。それは震えて、成長し、動き始めた。塊がバラバラになっても心臓は鼓動し続けた。オレの胸も疼くのを感じた。
オレは逃げた。オレは耐えられなかった、分かるか?オレはこのクソッタレな状況に対処する訓練なんて受けてねえ。オレの後ろでなにか聞こえた。それがオレを呼び止める仲間の声なのか、バケモンがオレらを見つけた音なのかわからないが、オレは皆と別れた。オレは隠れるのにちょうどいいクローゼットを見つけ、それ以来ずっと隠れ続けている。オレはこれをペンライトで書いている。ヤツらが近づく音が聞こえたら、オフにしてる。今の所、このやり方で上手くいっている。
オレはここから動けない。オレの銃には弾が少し残ってるが、意味なんてねえ。もう祈れない。巣を見ちまった。だけど、アンタ、これをアンタが見つけたら、オレに代わって、やり遂げてくれ。多分、アンタはオレよりも強い。決心がついたら、巣に行ってぶち壊してくれ。すべての心臓をぶっ壊すんだ。そしたら、ヤツらを殺せるかもしれねぇ。これがオレが考えられる唯一の方法だ。アンタは死ぬだろう、でも何やってもここじゃ死ぬんだ。だからなんの問題もないだろ?
オレ、オレはこれから居間へ向かう。アンタがこれを見つけてくれることを祈って。もちろん、オレの心臓はヤツらに使わせない。
幸運を。死にゆく者より敬礼を。

第一急襲部隊の人間が残したメモだろう。要するに
「オレの代わりに居間に行ってそこにある心臓を全部ぶち壊してくれ。それでヤツらを止めろ。」
ということだと俺には伝わった。

無理だ。仲間もいない状況で…しかもよりによってこの俺だ。仲間を置いて早々に逃げてきた俺だ。なんでだ…なんでだよ…クソッ……。座り込んでとりあえずまず冷静に考えてみる。他に誰かいるか…次に突入してくる急襲部隊か…いや、ないな。二つの武装部隊が突入して一人たりとも帰ってこない状況で新しい部隊を送り込んでくるわけがない。いくら人使いが荒い財団でもな…。となると俺しかいないのか…俺しか…。俺が…俺が…。
「…俺がやり遂げてやる。絶対に。」
俺には無理なことかもしれない。だけど…俺しかいない…今できるのは俺だけだ。
俺は立ち上がって、腰からマグナムを抜いた。そして銀の弾丸に祈る。
「ん?」
急に足の力が抜けてさっきまで足元にあった景色が目の前にゴンッという音とともに突然移り変わった。頭に強い衝撃が来て俺は
「痛ッ!」
と声を出そうとしたが、口から出たのは赤い血。そして胸のあたりにすごく違和感を感じた。上を向くと周りとは違う暗い影みたいなのが見えたが、なにかはわからなかった。
「俺が…やり遂げねぇと…誰が…やり遂げ…るんだよ…クソ…」
もともと薄暗い病院の部屋がもっと暗くなっていった。


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