SCP-XXX-JP 普通のコイン

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クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - 普通のコイン　
著者: ©︎HN_410
作成年: 2020

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe(暫定)

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8107の低危険度物品収容ロッカーに保管され、実験時を除いて持ち出しは禁止されています。

説明: SCP-XXX-JPは落下させた際に特定の確率(SCP-XXX-JP-1とする)で表が上を向いた状態になる日本国の10円貨幣です。2020/04/01まで「必ず表の出る10円貨幣」としてAnomalousアイテムとして登録されていましたが、定期点検時に誤って落下させた際に裏が出たことが確認されたため、後述の実験XXX-JP-1の結果を受け、新たにSCP-XXX-JPとしてナンバリングされました。

実験記録XXX-JP: SCP-XXX-JPの正確な特性を調べるために行われた実験です。
実験記録XXX-JP-1 - 日付2020/04/03

実施者: 望月博士

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: D-1902にSCP-XXX-JPをコイントスの要領で弾き上げさせる。その後、落下した際に上を向いた面を全て電子記録媒体に記録させる。以上を4000回繰り返す。不正が行われないことを監視するために監視カメラによりD-1902の行動およびコインの面を確認し、常に電子記録媒体に入力された内容と照らし合わせる。

結果: 以下のような結果が得られた。詳細な実験記録は別紙を参照のこと。

分析: 明らかに試行回数によってSCP-XXX-JP-1が変化していることが分かる。回数を増すごとにSCP-XXX-JP-1が減少し、その後に再び増大する様子が見られた。これが同様に繰り返されるのだろうか。

コインの面 / 実施回数	1 ~ 500回	501 ~ 1000回	…	2001 ~ 2500回	…	3501 ~ 4000回
表	473回	410回	…	16回	…	421回
裏	27回	90回	…	484回	…	79回

実験記録XXX-JP-2 - 日付2020/04/06

実施者: 望月博士

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: D-1872に前回と同様な方法でSCP-XXX-JPの特性を調査させる。

結果: 以下のような結果が得られた。詳細な実験記録は別紙を参照のこと。

分析: SCP-XXX-JP-1が減少と増大を繰り返すのが確かめられた。しかし、増減の周期は累計回数が増すほど短くなるようだ。

コインの面 / 実施回数	1 ~ 400回	401 ~ 800回	801 ~ 1200回	1201 ~ 1600回	…
表	347回	105回	49回	193回	…
裏	53回	295回	351回	207回	…

以降の実験記録については別紙を参照してください。2020/04/29までに望月博士は累計19000回(財団の収容以降の記録のみ考慮した)SCP-XXX-JPを落下させる実験を行いました。その結果を基にSCP-XXX-JP-1の累計落下回数に対する関数を推測し、SCP-XXX-JP-1の特性を明らかにしました。

グラフ1:　SCP-XXX-JPの落下の累計試行回数に対するSCP-XXX-JP-1の推測値を示すグラフ。累計試行回数が大きくなるにつれて急激に周期が短くなるためグラフは正確に描画されていない。また、統計的に信頼できる値は累計回数10000回以前のデータと、一部の15000回以前のデータのみであり、それ以外はそれらをもとに外挿したものである。

範囲(落下の累計回数)	SCP-XXX-JP-1の特性
全体	振動するように変化するが、周期は落下の累計回数に対し急激に短くなる。
10000回以降	変化が非常に急になり、推測のために統計的に十分なサンプル数を確保できない区間が現れる。このような区間では、その時点でのSCP-XXX-JP-1を測定する手段がないことに留意せよ。
15000回以降	いずれの区間でも十分なサンプル数を確保できなくなる。
18000回以降	変化率が過度に大きくなり、推測された関数から算出される確率と実際のSCP-XXX-JP-1との誤差が大きくなりすぎるため、推測された関数が一切の意味を為さなくなる。 このことから、周期的な変化なども観測できなくなり、実質的にランダムに変化すると考えられる。補遺参照のこと。

補遺: 現在、前述の特性からSCP-XXX-JP-1はランダムに変化するものとされています。また、SCP-XXX-JPを落とすたびにその時点でのSCP-XXX-JP-1がランダムに変化し、かつそのSCP-XXX-JP-1を知る術が無いと、実質的にSCP-XXX-JPが落ちたときに表が上になる確率は常に50%になります。SCP-XXX-JP-1が以上のような変化をするとすれば、これは紛れもない異常性ですが、非異常性のコインとの差は一切観測できません。つまり、SCP-XXX-JP-1が変化するという異常性が現在存在しているかどうか科学的な証拠が存在しません。このため、SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスをNeutralizedとするかの議論がなされています。

+ スポイラーらしきもの

大まかに言うと、異常性が激しくなっているのにも関わらず認識できなくなって異常性がない物と見分けがつかなくなったら面白いんじゃないかと思ったのでそれを形にしました。その一点オチになってしまっているので、既出でしたらご教授いただけるとありがたいです。
補遺前後のところの説明が冗長になってしまう上、分かりにくく感じるのが気になっています。
とりあえず、ランダムになるという部分だけ図にしてみましたが、一応スポイラーの中に隠しておきます（パワポスライドをイメージしましたが、雰囲気を損なうと感じられるかもしれないので…）。

図１：青は推測したグラフ、赤・緑はそれを左右にδだけ動かしたグラフで、実際のグラフとの最大のずれを示す。これらを同一座標に示し、緑のグラフが赤のグラフと一致するように平行移動した際に通過する範囲（右下で黄色で示した）がSCP-XXX-JP-1の値として有りうる範囲である。右下を見ると分かるように、黄色の範囲は累計回数とともに広がり、最終的に0から１まですべての値をとりうることになる。（研究発表スライドより抜粋）

確率が最終的に50％になるということについては、以下で説明します。SCP-XXX-JPを持って、コイントスした時点で仮にSCP-XXX-JP-1の値が決まるとします。それが100％ならコインは必ず表になりますが、逆もまたしかりです。しかし、私たちにはSCP-XXX-JP-1はランダムに決まるという情報しかありません。そのため、表になる確率を計算するには、SCP-XXX-JP-1があらゆる値をとったと仮定して、その際にどれだけ表が出やすいかを平均して求める必要があります。具体的には、SCP-XXX-JP-1が0になる確率×0＋SCP-XXX-JPが0.01になる確率×0.01＋…という計算をします。これを厳密に考えて、計算すると50％という値が出ます。

+ 画像ライセンス

ソース: 自作
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: graph2
著作権者: [HN_410]
公開年: 2020
補足:
ソース: 自作
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: graphExplaining
著作権者: [HN_410]
公開年: 2020
補足:

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  批評コメント批評コメント

  
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  solvex 29 Apr 2020 11:25

  とても面白かったです。展開もオチも納得できるものであり今のままでも十分にUVします。
  表現の面で1つ提案があります。一回裏が出たからといっていきなりナンバリングするのは少し性急かなと思います。最初の実験の後に異常性が判明したのでナンバリング、というある程度段階をふむ形の方がより自然だと思います。

  HN_410 29 Apr 2020 15:17

  閲覧およびコメントありがとうございます。
  提案について、確かにそちらのほうが自然だと感じられたので反映させていただきます。

  FattyAcid 29 Apr 2020 13:25

  面白いと感じます。なるほどと思わされる納得感があり、読んでいて気持ちがいいです。

  提案ですが、黒塗り部分は可能な限り(適当でもいいので)数字や人名を入れてはどうでしょうか。

  ・黒塗りは「秘密文書/極秘文書」感を出す小道具になりますが、この報告書は「学術的な記載の尤もらしさ」の強い記事ですから、こういう装飾を取り払った方が見栄えがいいかと思います。

  ・個人的な感覚ですが、黒塗りがあると「目が引っかかる(うまく日本語化できない)」感じがします。

  という2点の理由です。

  HN_410 29 Apr 2020 15:21

  閲覧およびコメントありがとうございます。
  提案について、確かに改善に繋がりそうだったので反映させていただきます。
  とりあえず仮の変更として名前および日付を入れたので後に変更するかもしれませんがご了承ください。

  From: 下書き批評エキスパート

  izhaya 29 Apr 2020 16:54

  シンプルながら非常に面白いです。
  異常性の経緯とオチまでの流れに説得力とリアリティがあり、また「異常」とは何を普通としたうえでの異常なのか、というSCP財団の根幹にも関わるテーマにも触れており、深みがあると思います。
  テクニカルな題材を良くここまで読みやすくまとめたなぁと思います。
  このまま投稿されてもUVします。

  細かな指摘：
  ①

  D-1902にSCP-XXX-JPをコイントスの要領で弾き上げ、落下した際に上を向いた面を記録するということを4000回繰り返し、上を向いた面を全て電子記録媒体に記録させる。

  複雑な文章は区切って短くすると良いかもしれません。
  また、D-1902に～弾き上げさせ、のように主体を明確にすると読みやすい文になります。
  ついでに、「記録させる」の文が2個あり、ダブっているように思います。
  この場合だと、

  D-1902にSCP-XXX-JPをコイントスの要領で弾き上げさせます。
  これを4000回繰り返し、落下した際に上を向いた面を電子媒体に記録させます。

  のように、二つの文に分けた上でダブりを無くすと読みやすい文となるかと思います。

  ②

  明らかにSCP-XXX-JP-1が変化していることが分かる。

  明らかに「試行回数によって」SCP-XXX-JP-1が変化している、のようにすると解りやすくなるかもしれません。

  以上、細かな指摘です。ここまで気を使わなくても良いかもしれませんが、ご参考まで。

  Re: From: 下書き批評エキスパート

  HN_410 30 Apr 2020 00:21

  閲覧及びコメントありがとうございます。
  ご指摘頂いた点について、同様に反映させていただきます。

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