午前3時、無人駅前にて

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]

説明: SCP-XXX-JPはラテン系女性の外見を持つ人型実体です。回収当時19██年から現在まで一切の加齢は確認されていません。SCP-XXX-JPの特筆すべき点として、SCP-XXX-JPの声は発声されると同時に高規模な音波に変換され、周囲1km内に存在している人間の脳内を通じ任意の人間、もしくは無差別に伝達することが可能です。SCP-XXX-JPの声はSCP-XXX-JPと人間との間に遮蔽物が存在する場合や対象が聴覚障害を負っているなどの場合においても聴覚可能な音量は全て等しく、またSCP-XXX-JPが用いる言語が聴覚者と異なる場合においても声は聴覚者が用いている言語に自動的に変換されます。また、身体検査の結果、SCP-XXX-JPは左右の肩甲骨付近から尾骶骨上10cmの位置にかけて創傷を持ち、創傷付近からはハトのDNAが検出されました。また、SCP-XXX-JPの頭上には、円形の反重力場が存在し200g以下の物体を約8cm浮遊させることが可能です。

SCP-XXX-JPは、███市に位置する████駅前にて「懺悔室」と称した路上ライブを行なっていたところを収容されました。███市の一部の地域から「深夜に大音量で歌っている女性の声が聞こえる」といった内容の通報が相次いだものの、通報区域付近の監視カメラ等の記録には何も音声が記録されていなかったことから財団の興味を引きました。SCP-XXX-JPは、収容に当たったエージェントを目視したのち一度逃走を試みましたが、エージェントが自身が警察では無い旨を伝えると、SCP-XXX-JPが販売していたCDを全て購入することを条件に収容に同意しました。

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: ████博士

付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]

<録音開始>

████博士: ではSCP-XXX-JP、インタビューを始めます。

SCP-XXX-JP: うむ。よろしく頼む。

████博士: まず、貴方が自身の異常性について認識したのはいつが最初ですか?

SCP-XXX-JP: 異常性?そいつは何のことだ?

████博士:貴方が自分の声を他者に伝えられることです。

SCP-XXX-JP: 天啓のことか?あれは私が存在している意味そのものだ。

████博士: 天啓?あの異常性をそう呼ぶてのですか?

SCP-XXX-JP: ああ。お前達人間への啓示を創造主様に代わり伝えることが天界での私の仕事だ。

████博士: 具体的に教えてください。

SCP-XXX-JP: そうだな…私がしてきたのは信仰深い老人に箱舟を造らせたり、農夫の娘に国の為に軍を率いるよう命じたりなどだ。今ではせいぜい集落一つ分ぐらいの広さにしか天啓を伝えられないが、天界にいた時の私はこの地上の民全員に伝えることができたぞ。

████博士: なるほど。では、その天界とはどのような場所ですか?

SCP-XXX-JP: その名の通り天の遥か上に位置する国だ。全ての生けとし生ける者が天命を終えた後、ここに訪れその魂が采配にかけられる。自分がいずれ行く場所のことも知らなかったのか?

████博士: あー…申し訳ありません。

SCP-XXX-JP: いや、何も謝る必要はない。今、それを知れたことこそが幸運なことだったのさ。貴方に罪はない。

████博士: そうですか。では貴方が異常性を一般人に使用し出したのは何故ですか?

SCP-XXX-JP: 布教だ。

████博士: 布教?

SCP-XXX-JP: うむ。私がいくら最高の演奏をしても、それを聞く客がいなければ意味がないからな。だが、人の多い場所でライブをしてもすぐにお巡りさんが来るからな。私もこれ以上牢屋に泊まりたくないし、それにアルバムが売れなければ私も生活ができないからな。

████博士: あの路上演奏でですか?貴方は何故あの活動を行っているのですか?

SCP-XXX-JP: ライブと言え!ライブと!理由か。そりゃ君想像してみろ。四千年間賛美歌しか聞いたことのなかった奴が地獄行きを宣告された男が最後に絞り出した全力の歌唱を聞いたらどうなると思う?恋に落ちるんだ。

████博士: 続けてください。

SCP-XXX-JP: それからロックにこの身を捧げようと決心したんだが、後からロックは悪魔に魂を売った男が作り出したと聞いてな。創造主様の下で働く私が悪魔と関わりを持つわけにはいかないだろ?だから、翼を切り落として天界の住民としての証を捨て、この地上に来たと言うわけだ!まあ、あの輪の処理方法は分からなかったから粉々にして近所の港から海に撒いたんだが、ちゃんと壊せていなかったのか今もこの辺が[SCP-XXX-JPが自身の頭上を指差す]フワフワするんだ。おかげで私は帽子をかぶれたことが無い。

████博士: そうですか。

SCP-XXX-JP: ついこの前までは、バンドを組んでいたんだがな。今ではメンバー全員墓の中だ。

<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>

終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]

補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]


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