Tale - アニマリー料理対決(仮題)
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 アニマリー、それは身体の一部ないしは全体に動物の特徴を有する人たちの事を指す俗語である。その見た目から異常性のない人物、あるいは異常性こそあれど外見は普通の人間からの差別や偏見、いじめに度々合わされた。2025年に異常性保持者保護法が改正されたことにより、アニマリーを標的とした凄惨な事件は大幅に減った。しかし、そのような事件は氷山の一角に過ぎない。表沙汰にならない些細な事件なら今も数多く存在するし、強力な反ミーム性の保持者を関わらせればそもそも世間から認知されることすらなくなる。

 その手を利用したイベントの一つが、「アニマリー料理対決」だ。

 今回はかつて料理店として利用されていた施設がある、愛知県名古屋市内の雑居ビルが開催地として選ばれた。中には既に40人程度の人が集まり、徐々に騒々しさを増しつつあった。即席の舞台にはコックコートを着た2人の人物が左右に分かれて、互いに睨みを利かせていた。

 スーツを着た男性が舞台に登壇すると、室内は再び静寂を取り戻すが――

「皆様、大変お待たせ致しました! これより、第20回アニマリー料理対決を開催致します!」

 男がそう言うと、室内は喧噪で満たされた。指笛を鳴らす人、拍手をする人、待ってましたと声を上げる人……盛り上げ方は人それぞれだ。数秒の間を置いて男が再び口を開く。

「さあ! 今回の対戦相手をご紹介致しましょう! 未だ負け知らず……我らが誇るアニマリー料理対決の絶対王者、"イェンロン料理研究会"!」

 客から見て舞台の左側に立っていた長身の男――東 雄一が右手を挙げる。その姿を見た客は先程以上の歓声を上げた。

 中国に由来を持つイェンロン料理研究会は"命よりも味"を重視する団体であり、その為なら通常ヒトが食の対象としないものや異常性を保持するもの――もちろんアニマリーも含めて――を使用することだって厭わない。その姿勢が、主催である過激な夏鳥思想を抱く団体の心を射止めたというのも人気の理由だが、実際腕も確かであった。今や日本、中国を初めとした6ヶ国に店舗を進出させている。

 スーツを着た男が東の前にマイクをかざし、意気込みを聞いた。東は「今は亡き、かつてこのイェンロン料理研究会を引っ張ってきた父である東 謙一の威厳を保つべく、今回も勝ちに行きます」とお決まりの台詞だけを吐く。室内は一層盛り上がった。

「さて……そのイェンロン料理研究会に挑むのは、無名の新人"グロサリーズ"!」

 スーツの男による紹介と共に、顔面に5cm程度の傷がついた男が一歩前に出る。見知らぬ男を前に、辺りは静まりかえる。

「えー、今回初挑戦とのことですが、意気込みの方はいかがですか?」
「……今まで培ってきた技術を総動員し、やれることをやるだけです」

 男は愛想無く呟くと、それ以上何も言わずに下がった。観客の数人が野次を飛ばすが男は口を真一文字に閉じて表情を一切変えなかった。

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