【Xコン:怪】Tale下書き「タイガー・モダンホテル」

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改稿予定。

offtheroad 21/08/13 (日) 23:03:26 #75915307


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ローガン・C・ホフマン、タイガー・モダンホテル初代支配人。

タイガー・モダンホテルにまつわる陰謀論は時と共に下火になりつつあるが、未だに我々のようなオカルト愛好家の心をつかんで離さないままだ。とはいえ、もう何十年も前に倒産した高級ホテルのことなど、古参のウォッチャーでも覚えていなくとも不思議ではないし、最近の読者ならば今日初めてホテルを知ったとしてもおかしくない。

インターネットの海にはホテルに関する情報が散らばっているが、それはあくまでホテルの数ある奇妙な出来事の断片にすぎないし、筆者の憶測や解釈のレンズを通して語られたものだと思う。私はかなり時間をかけて正しい思わしき情報を総合し、この話に初めて触れる人物にもここがいかに奇妙な施設だったか伝わるよう全貌を編纂したつもりだ。

タイガー・モダンホテルは1949年、インディアナ州郊外に創設された。当時でも珍しかったアール・デコ様式の建造物だったがそれもそのはずで、このホテルのメインテーマは"狂騒の20年代"だったのだ。メインターゲットは過去を懐かしむ年頃になった中間層から富裕層。宿泊客はジャズの演奏を間近で聞くことができ、無料で当時の音声付き映画を楽しむことさえできた。あの時代に作られたラジオや広告写真がインテリアとして飾られ、創設当初から小さくない話題を呼んだ。(ホテル名も禁酒法時代の違法酒場"ブラインドタイガー"の言及だろう)。

実際、ホテルは高級志向の割には成功をお収め、多額の利益を生みだした。前述したとおり、ホテルは1920年代のアメリカ都市部をモチーフとしていたが、若くして大成した実業家や良家の坊ちゃん嬢ちゃんも、ホテルは洒落ていて新鮮で優雅な印象を受けたようだった。数年の内にタイガー・モダンホテルはインディアナ近辺の金持ちが羽を伸ばすための候補としてかなりの頻度で名前が挙がる程にまで成長した。

ホテルに奇妙な噂が現れ始めたのは1959年、創業から丁度10年が経過した頃だった。曰く、ホテルで頻繁に物品がなくなるということだ。なくなるのは宿泊客の財布や指輪、宝石などの貴重品が大半で、何者かがホテル内で盗みを働いているのではないかという疑惑が生じた。しかし、ここで奇妙な点が浮上する。貴重品を盗まれた全ての宿泊客がほとんどそれを気にも留めなかったというのだ。それどころか、客たちはホテルが盗みに関与した可能性を熱心に否定したのだ。まったくおかしな話だ。誰が行ったかも分からない盗みになぜホテルが関与していないことが分かる?何のためにホテル側を弁護する?こんな状況がこれから何年にも続いたにも関わらず、ホテルは依然として繁盛していた。(当時の地元新聞やテレビを参照したが、ホテルで頻発する盗みに関する言及はほとんど存在しなかった)。

続いての奇妙な出来事は1964年に起こる。タイガー・モダンホテルにて実業家のティモシー・F・マーティンの43歳の誕生日パーティーが行われた時のことだ。ホテルは貸し切りで100名近いマーティンの家族と友人、仕事仲間たちが集う。マーティンは当時不動産関連で名を挙げており、ホテルとしては絶対にパーティーを成功させたかったのだろう。パーティーには我々が金持ちのパーティーとして想像するような高い酒や料理が並び、ホテル自慢のジャズの演奏者たちも用意されていた。

18時に始まったパーティーは長く続き、深夜になった頃だれかがこう言った。「おい、マーティンはどこに行ったんだ?」。ティモシー・F・マーティンはこつぜんと姿を消した。次の日の昼からホテル内外で捜査が行われたにも関わらず、マーティンの持ち物さえ見つからなかった。最も奇妙なのは、パーティーに参加した全ての客が警察機関に対して何の有効な証言も出来なかったことだ。100名近い人物がパーティーの現場にいたにも関わらずだ。事件は未解決となった。

ホテル経営陣はまたしても無罪の側に立った。マーティンの家族ですら、ホテルの警備の責任を全く問うことはなかった。こんなことが起こってからもホテルの売り上げは事件前とほとんど変わっていない。

転機が訪れたのは1968年、マーサ・ヤングという1人の宿泊客とホテルのドアマンの間で起こったトラブルだ。ヤングはドアマンが自身の財布を盗もうとしたのを見たと証言し、以前から囁かれていた窃盗の疑惑が現実味を帯びたものとなった。ヤングはホテル側の和解の試みにも応じず、警察機関に調査を依頼する。以前から奇妙な事件が度々起こっていたこともあり、警察が捜査を開始したところ驚くべき事実が明るみとなった。

ホテルの従業員は噂通り公然と窃盗を行っていたのだ。潜入した警察による現行証拠のみならず、内部文書によればホテル経営陣は従業員に窃盗を推奨し貴重品を収集するように指示を受けていたというのだ。名高い高級ホテルが組織的に犯罪を行っていたことはスキャンダルとなり、ホテルの信用は他に例を見ない程の失墜を受けた。

警察が盗品を探すためホテル内をくまなく捜査したところ、それまで一般に知られていなかった地下室の存在が明らかとなった。地下に入った警察によるとそこは誇張でもなんでもなく異様な様子だったそうだ。地下室はホテルとはかけ離れた広い石造りで、一切の光が存在しなかった。薄暗い部屋に円形に盗品の数々が一定の間隔で並べられており、中央には肖像のように写真が配置されていた。写真に写っていたのはティモシー・F・マーティンであり、恐ろしいことに失踪の後に撮影されたものであることが判明している。(写真のマーティンは明らかに栄養失調だ)。マーティンは未だに行方不明で、遺体は見つかっていない。

1年を経たず、相次ぐ訴訟によってホテルの経営自体が不可能となり、その悪評から自治体らで解体が行われることとなった。ホテル経営陣の多くは姿をくらましたが、何人かは裁判で法廷に立った。結局は、なぜこのような犯罪行為を行ったのか、ティモシー・F・マーティンがどこにいったのか、最後まで語らないまま全員が他界した。タイガー・モダンホテルの終幕はまるで神に見捨てられたかのようだった。

奇妙な点が山ほどある。まず、なぜ誰も1959年前後の時点でホテルの組織犯罪に気付かなかったのか?なぜ窃盗の被害者ですらホテルを擁護した? どうしてホテルはこんなずさんな犯罪に手を染めたのか?窃盗を行わずとも十分に利益を上げられたのではないか?また、なぜ盗品を売り払いもせず地下室に並べていた?そもそもあの地下室はなんなのか?ティモシー・F・マーティンはどこにいったのか?なぜ彼が誘拐された、あるいは失踪したのか?

政界や法執行者との癒着説、政府の心理学実験説、マフィア関与説、エトセトラエトセトラ……。あらゆる説が述べられてはいるが、最後に興味深い貴重な証言を取り上げたいと思う。ホテルを取り壊す際、歴代のホテル総支配人の肖像画も順に取り外されていくことになったが、初代総支配人のローガン・C・ホフマンの肖像のみが、留め具が強引に取り外されたかのように曲がり、破損していたのだ。取り外された肖像画の裏にはびっしりと聖書からの引用が筆記されていたが、最後の1文のみはオリジナルのものだった。

タイガー・モダンホテルに永遠の祝福があられますように。

この1文は後から雑に打ち消し線が引かれていた。

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