SCP下書き「夕亡」

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SCP-1838-JPの入場口。

アイテム番号: SCP-1838-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1838-JPの入場口は封鎖し常に2名の警備員によって民間人の立ち入りを防止します。財団職員がSCP-1838-JP-1に継続して留まることが可能な最長時間は90分であり、これ以上の時間滞在することは禁止されています。精神病の経歴や精神安定剤を定期的に摂取している職員がSCP-1838-JP-1にアクセスすることは許可されていません。

説明: SCP-XXX-JPは日本の大坂市████に位置する非現実ポータルです。SCP-XXX-JPの入場口は一見して雑多な物品と建造物の構成で作られた通路のように見受けられます。通路の壁面には以下の文章が書かれたポスターが張られています。

お知らせ
昭和六十四年十二月五日より大阪市朱木原町は童楽公社の管轄となります。
引き続き童楽公社をよろしくお願いいたします。
日童に光があられますように。

SCP-XXX-JP内に入場し平均して10m程度侵入した対象は特定の独立的非現実空間(以下、SCP-XXX-JP-1)にアクセスします。

SCP-XXX-JP-1は大規模な団地、商業施設、学校などが無秩序に入り組んだ広大な異常空間です。SCP-XXX-JP-1内の構造と全ての物品は1990年以前の様式で構成されています。1990年以後の構成物は一切確認されておらず、その大部分は1960年代~1980年代前期のものです。頻繁に確認される物品として日本人形や動物を模した置物が挙げられます。当該の物品はSCP-XXX-JP-1内部に規則性なく配置されており、植木鉢の中やトイレの個室、天井裏においても発見されています。

この施設の所在地を示すSCP-XXX-JP-1内の証拠は朱木原という地名を表現していますが、当該の地名は存在しません。

SCP-XXX-JP-1の窓やベランダからは見渡す限り住宅街が広がっており、常時夕日が確認できる他に、時計の表示等の要素も外部が午後6時前後の時刻を維持していることが確認されています。外部からは時おり、歌詞のない電子音楽が流れる様子が確認できます。音源が不明であるにも関わらず、少数の対象はこの楽曲が外部空間の夕日から流れていることを確信します。当該認識の妥当性は不確定です。

開口部から脱出する、飛び降りるなどの手段によってSCP-XXX-JP-1の外部に移動した対象はの身体からは赤や黒の液体で構成された生物群(外見上はカラス科、アマガエル科、アゲハチョウ上科、カツオノエボシ科のように見えます。)が対象の体積を減少/分離させるような形で出現します。対象は数秒間の間に全身が生物群に置き換わり消失し、この状態からの回復は不可能です。全ての生物群は出現と同時に外部空間のマンホールや排気口へ高速で移動するため、当該実例の構成物の詳細等は判明していません。

SCP-XXX-JP-1内の対象は時間経過と共に精神の不調を経験します。初期症状として対象はしばしば軽度の圧迫感や虚無感を訴え、平均して内部に3時間以上留まった対象は重度の抑鬱を経験します。対象がSCP-XXX-JPを通してSCP-XXX-JP-1を退出した場合にのみ不調が大幅に軽減されます。しかしながら、長期間内部に留まった対象は退出後にも突発的かつ原因不明の疲労感や記憶障害(特に幼少期の重要なエピソードに関する)を慢性的に発症することが報告されています。この症状を緩和する治療の試みは現在まで成功していません。

抑鬱状態にある対象はしばしばSCP-XXX-JP-1内部で自殺の試みを行います。事前にSCP-XXX-JP-1を退出することによって影響を軽減できる事実を把握していた場合でも、これは自殺傾向の軽減にほとんど影響を与えません。自殺の試みは多岐にわたりますが、自殺の際に用いる道具や手法が対象の過去の記憶における負の側面に基づいている点が指摘されています。

補遺.1: SCP-XXX-JPはアノマリーを起源とした精神影響の統計的分析調査途中にその存在が指摘されていました。サンプル-30320WJP1の調査文書によればステージⅡ~後期ステージⅢの精神的被影響者の一部が大阪████の███町出身者に集中していました。SCP-XXX-JPは現地に出動した財団エージェントにより発見されました。

補遺.2: 以下はSCP-XXX-JPの精神影響性と異常性の調査のために行われた実験からの抜粋です。

対象: D-56789(41歳男性)
実験結果 付記
対象はSCP-XXX-JP-1内部に存在した画用紙に色鉛筆で絵を描き始めた。対象は16分間画用紙に絵を描いた後、色鉛筆を自身の喉元に刺して失血死した。画用紙の中央には黒く塗りつぶされた円形が描かれており、その下部に"まっ黒いたいよう"と書かれていた。円形を囲むように"すべりだい"、"うるわしいの小がっこう"、"クワガタ子どもそぐ"といった文字がオレンジ色の色鉛筆で書かれている。 対象は学生時代から絵画を趣味としており自身も画家を目指していた。しかし、美術大学の試験に二度落第した後は美術とは関係のない企業に就職し絵を描くこともほとんどなくなった。
対象: D-56803(53歳女性)
実験結果 付記
対象はテーブルの上のBCLラジオに向かって十数回頭を打ち続け打撃によって死亡した。対象の死体は死亡直後から4分間にわたって"かごめかごめ"の歌を歌い続けた。 対象は過去に小学校で音楽教師の職に就いていたが、児童への[編集済]によって有罪判決を受けている。自身も幼少期に[編集済]を受けていた。
対象: D-56803(48歳男性)
実験結果 付記
対象は多量の赤黒い液体を目から流し始め、██宗派のものと酷似した合掌を行いベランダから飛び降りた。ベランダから外部の道路までの距離は20m程度であるにも関わらず、対象は47秒間地面に落下し続けていた。対象が飛び降りる間に対象の身体は黒い粘質性の液体に変化していき、地面に到達した際には対象の全身が液体に変質していた。液体はその後一つにまとまり、人間の脚を四つ備えたサナギのような実体を作った。実体は即座に住宅街に走り抜けて移動したためその行方は不明である。 対象の両親は新宗教団体████████に所属している。対象は幼年期から当該団体に所属していたものの、金銭関係をめぐる団体とのトラブルから18歳の際に脱退し両親とも絶縁状態となった。しかしながら、対象の自殺の際の合掌は当該団体においては禁忌とされている点が注目に値する。
対象: D-56811(36歳男性)
実験結果 付記
対象は木彫りのタンス棚から輪が付いた紐を取り出し、物干しざおにそれを垂れ下げた。対象のその後空中の紐の輪に首を取り付けて縊死した。 対象の父と叔母、いとこの一人は自殺によって故人となっている。全ての死因は首吊りによる縊死だった。タンス棚からは無数の紐と破損したVHSテープが見つかった。テープの表面には"童楽"と書かれたガムテープが張られていた。

補遺.3: SCP-XXX-JPが発見された███町出身である戸田 ███氏に対してインタビューが行われました。インタビューは神戸市にある戸田 ███氏の自宅で行われました。

インタビュアー: 湯川博士
インタビュー対象: 戸田 ███氏(73歳)
付記: 戸田 ███氏の家族に対して湯川博士は介護福祉センターの職員であると説明している。


[無関係な記録は省略。]

湯川博士: 次に戸田さんのことについてお尋ねします。戸田さんは神戸に上京される以前、███町にお住まいでしたよね?

戸田氏: ええ……まあ、いやそういうわけでは。実際に住んどったのは違う場所ですけどね。

湯川博士: 違う場所? そうですね、ではそこで何か変わったことなどございませんでしたか?

戸田氏: [沈黙]

湯川博士: 何か小さなことでも構いません。子供のころに何か不思議な体験をしたとか、あるいは町内で何か-

戸田氏: それは何か私の、その、病気に関係あるんですか?

湯川博士: こういった症状には過去の経験に由来するものも多いんです。そうでなくとも、昔の記憶をたどることは治療にも良いんです。

戸田氏: ……分かった。でももう50年以上は前の話なんでいかんせんね、思い出すのが難しくてね。それに、あの頃の思い出は好かん……良くないことばかり浮かぶもんだ。

湯川博士: これに見覚えはありませんか?███町で撮影されたものです。

[湯川博士はSCP-XXX-JP-1の外部の写真を戸田氏に見せる。]

戸田氏: 違う。

湯川博士: どうしました? 戸田さん。

戸田氏: [嗚咽]これは███町じゃない。朱木原だ……朱木原の夕日だ。

湯川博士: 朱木原?

戸田氏: どうして……。

湯川博士: 朱木原について詳しくお話いただけないでしょうか-

戸田氏: 断る。

湯川博士: ……なぜです?なにかお気に障ったなら-

戸田氏: 違う。悪いけどこれは良くない、今日はもう帰ってほしい。もうすぐ夕方だ。

[記録終了]

このインタビュー後、同じく出身者である円藤 ██氏にインタビューの試みが行われました。当初円藤 ██氏はインタビューを拒否していましたが、数度の交渉の結果木島博士によってインタビューが実施されることとなりました。

インタビュアー: 木島博士
インタビュー対象: 円藤 ██氏(75歳)
付記: 円藤 ██氏には軽度の健忘の症状がみられる。


[無関係な記録は省略。]

湯川博士: 朱木原について教えていただけませんか? なぜ誰もこの町について語りたがらないのですか。

円藤氏: [僅かに視線を逸らす]他の人が話したくないんも分かります。あんなことがあったんでは。

湯川博士: [無言で会話を促す]

円藤氏: あの町は確かに存在しました……昭和の最期の年までは。大阪で一番綺麗な夕日が見られて、ホタルもいたんです。静かで綺麗な場所でした。

[円藤氏は湯呑からお茶を一口飲む。]

円藤氏: おかしくなったんは80年代に入ってからでした。変な業者が入ってきたみたいな話が流れてきまして。

湯川博士: その業者とは?

円藤氏: 私がその業者を直接に見たんは一回だけです。おかしな連中が市長や役所の職員と頻繁に会っとると。それから変なもんが学校や病院に置かれ始めました。

湯川博士: 例えばどのようなものですか?

円藤氏: 招き猫の置物やら日本人形、あとビデオデッキですね。みんな怖がってたんです。置物と人形は夕方になると目で人間を追ってるとかなんとか。ビデオデッキも同じく夕方になると変な曲が流れるんですよ。

湯川博士: 続けてください。

円藤氏: 市長が変な宗教にでも入ったんじゃないかみたいな噂も聞いて、一回親連中で話をつけようと話になったんです。役所まで押しかけて業者の人間に会いに行きました。……そんで見たんですよ。

[円藤氏が横に目をそらす。]

円藤氏: この世のものとは思えんかったんです。そいつがスーツを着てたのは覚えてます……でも首から上が分からなんだんです。確かに顔があるのに無いように見える。作りもんみたいな目が常に私私たち一人一人と合ってるように見えて……。

湯川博士: ……それからどうなったのでしょうか?

円藤氏: そいつは"公社"から来た者ですとだけ言いよりました。その後全員怖気づいてしもうて何も言えませんでしたよ。皆で帰る時に役所中の置物が嫌でも目に入りましたよ。あいつが持ってきたのかと思ったんです。

湯川博士: [沈黙]

円藤氏: ついに止められませんでした。夕方になるとみんな気分が悪うなるんです。あの年からです、町を離れる人間が増えたのは。そんでも町を離れた後も夕方になると、良くないもんが見えるだとか聞こえるだとか。精神を病んだんですよ、みんなです。ある日、夕日が黒う見える言う者が出てきて……。

湯川博士: その後どうなったんですか?

円藤氏: [汗をぬぐう]みんな出ていきましたよ。……朱木原町も夕日も思い出も盗られたんです。[せき込む] 良い記憶は全部取られて……後は良くないものしか残らん。

湯川博士: 大丈夫ですか? ご体調が-

円藤氏: まだ……盗られる、目が見える[強くせき込む]

[記録終了]

補遺.4: SCP-XXX-JP-1の全ての分解可能な人形の内部から以下の文章が書かれた古紙が発見されています。この文章と異常の関連性は調査中です。以下は内容の転写です。

望み時 皆勤童子へ 紅目玉
真っ黒羽に新新歌 鱗粉地平カツオノ地獄
天井の瞳が笑うなら 首飛び入れよう闇袋
童攫いがかき出す始末 口笛吹いてあの時刻
幸の童が堕ち往く夕色 楽が転じて一転んで起きず



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