軽々!天使のランドセル
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル:全てのSCP-XXX-JPは、サイト-81██内の低危険度異常物品保管庫用ロッカーに保管されています。補遺3、4での事案を受け、現在、SCp-XXX-JPの市場流通の有無が24時間体制で監視されています。

説明: SCP-XXX-JPは、翌年度小学生になる児童がいる家庭に郵送される、一般的な素材、規格で製造されたランドセルです。現在までに、黒、赤、ピンク、水色の4色が発見されており、全てのオブジェクトに小さく「軽々!天使のランドセル」と刺繍が施されています。また、出現したオブジェクトの内部には、一枚の紙面が入っており、以下の文面が記載されています。

この春から新入生になるきみ!入学おめでとう!! そんなきみにはこの、軽々!天使のランドセルをプレゼントしよう!!軽くてきょうかしょやノートもいっぱい入るから、まさしく君にぴったりなランドセルだ!このてんしの羽のように軽いランドセルで、新しい生活を楽しもう!

保護者の方へ:本製品は、弊社「████カバン」から、お子様へのプレゼントとなっております。弊社は、お子様のますますの成長、ご発展を心より願っております。商品の不備、ご不明な点等ございましたら、下記のアドレスまでご連絡ください。また、当商品の使用によって発生した怪我等につきましては、こちらでは一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
████@█████.██.JP

「████カバン」及び記載されていたアドレスの調査を行ったところ、どちらも存在しないものであることが判明しました。

出現した家庭の児童(以下対象と記載)が、対象が登校する予定になっている小学校の入学式当日にこのオブジェクトを背負った場合、SCP-XXX-JPは異常性を発揮します。SCP-XXX-JPを背負ってから約3秒後、対象の肩甲骨が異常発達し、表皮を突き破り、およそ1分で鳥類の翼に酷似した器官(以下、SCP-XXX-JP-1と記載)へと変化します。このプロセスの際、対象は背部から出血しますが、すぐに出血は止まり、痛みを伴うことはありません。SCP-XXX-JPの日付の認識方法及び、肩甲骨の変形のプロセスの詳細な原理は、現段階では判明していません。

形成されたSCP-XXX-JP-1は、対象の意思に関係なく羽ばたきを始め、対象は鉛直方向に約150m上昇し、その後対象の登校予定となっている学校へ、6km/hで移動を開始します。上昇の際、対象には極度の耐久性が付与されており、いかなる外傷も受けません。この耐久性により、屋内で上昇を開始した場合、対象は壁や天井を破壊しながら上昇します。また移動の際、進行方向の変更こそ不可能なものの、対象はある程度自由に動くことが可能です。また、対象の恐怖心は時間経過と共に徐々に薄れていき、飛行開始から5分後には、恐怖心を完全に忘れ、飛行しているという事実に強い幸福感を覚えます。

対象が登校予定の学校の敷地上空に侵入すると、SCP-XXX-JP-1は急速に縮小を開始し、約3秒で元の肩甲骨の形状に戻り、対象は自由落下を開始します。落下の際、対象に上昇時のような耐久性はなく、地面に衝突した際の衝撃で死亡します。

補遺1: SCP-XXX-JPは、2017年4月上旬に「子供が空を飛んでいる」「子供が学校に落ちた」という通報が複数の地域で相次ぎ、財団の介入が行われた結果、全ての通報現場にて、SCP-XXX-JPが発見されました。郵送先の家庭の特定が困難であること、情報統制およびインターネット上に拡散された映像の完全な回収が極めて困難であることから、SCP-XXX-JPはKeterクラスオブジェクトに指定されました。

以下は、20██/4/03に発生したSCP-XXX-JP事案を、一般市民が撮影した動画を押収したものです。

<記録開始,(20██/4/01 08:02)>

[00:01]: 映像が映し出される。複数人の一般人が、スマートフォンを上空に向けている様子が一瞬映り、直後に映像が同様の方向に向く。映像には、高度約150m地点を飛翔する6人の対象が映っており、どの対象も悲鳴や泣き声を上げている。記録終了直前まで、撮影者や他の一般人の驚嘆の声や、保護者のものと思われる悲鳴も録音されている。

[03:47]: 対象の泣き声は徐々に聞こえなくなり、笑い声が聞こえるようになる。

[05:19]: 全ての対象が笑顔を浮かべ、笑い声をあげている。また、映像には、対象のものと思われる音声が小さく録音される。(解析の結果「凄い!本当に空を飛んでる!」や「学校楽しみだな!」等の発言であると判明しています。)

[9:04]: 対象は宙返りや回転を繰り返しており、飛行を非常に楽しんでいる様子が確認できる。

[12:37]: 撮影者が警備員に呼び止められ、██小学校校門前で立ち止まる。その間も映像は対象を映し続ける。対象が██小学校の敷地上空に侵入してまもなく、SCP-XXX-JP-1が急速に縮小し、全ての対象が落下する。撮影者含めた数人の悲鳴と共に、落下音と何かか潰れるような音が小さく録音される。

[12:58]: 撮影者が警備員の制止を振り切り敷地内に侵入、対象の落下地点へと向かう。30秒後、映像に校庭が映し出され、対象が横たわっているのが確認できる。撮影者が近づき、対象を一人一人映像に収める。どの対象もすでに死亡しており、大量の出血や頭部の陥没、全身の複雑骨折などが確認できる。撮影者が嗚咽し、その後嘔吐する。

<記録終了>

発見初期の事案にて、対象の保護者へのインタビュー及び、上記映像と同様の内容の映像が複数押収されたことから、このオブジェクトの異常性が明らかとなりました。

補遺2: SCP-XXX-JPの解析の結果、使用されている素材や製法が愛媛県██市に存在する「████工房」製のランドセルと酷似していると判明し、同工房に調査員が派遣され、工房の調査及び██社長へのインタビューが行われました。以下は、その際の音声記録です。

インタビュアー: ████研究員

対象:██社長

付記: 調査隊は愛媛県警所属の警察官であり、████研究員はその代表であるという説明がなされています。

<抜粋開始>

████研究員: では確認したいのですが、あなたの工房で、こちらのランドセルを製造していますか?[SCP-XXX-JPの写真を██社長に見せる]

██社長: …似てはいますけど、うちじゃこんな物作っていませんよ。

████研究員: よくお分かりになられますね。

██社長: 私も、この道に入って長いですからね。自分のところの製品とよその製品くらい、すぐに見分けがつきますよ。

████研究員: 成程。調査の結果、この写真のランドセルと、こちらの工房で作られているランドセルの素材や製法がほぼ一致していたんですよ。

██社長: …なんですって?

████研究員: ご存じないとなると、あなた方の名前を騙った粗悪品が出回っていると見て、間違いないと思います。そのようなことをする人物に心当たりはありませんか?

██社長: …まさか、いや、でもそんなこと…

████研究員: 心当たりがあるんですね?

██社長: …去年までうちで働いてた███ってやつなんですがね。腕は確かな奴だったんですけど、酒癖が非常に悪くて…居酒屋や工房でよく問題を起こしていました。それである時、私の堪忍袋の緒が切れてクビに…。出て行く時、「いつか後悔させてやる!」って喚いてたのを覚えています。

████研究員: 今、彼がどこで何をしているかご存じですか?

██社長: さぁ…今頃どこで何してるんだか…

<抜粋終了>

調査の結果、███氏は現在、東京都██市に住んでいることが判明し、機動部隊による拘束が試みられました。しかし、突入の際、住居内に███氏はおらず、数枚の写真と一枚のメモ用紙だけが残されていました。背景の解析から、写真は対象が落下している際のものであると判明しており、全ての写真が対象の恐怖の表情を収めたものとなっていました。写真と共に残されていたメモ用紙には、以下のようが記載がなされていました。

まさに、"上げて落とす"ってね

補遺3: 捜索が行われていた███氏が、北海道札幌市にて傷害事件を起こし、逮捕、拘留されているとの連絡がありました。直ちに財団へ身元が引き渡され、インタビューが行われました

対象: ███氏

インタビュアー: ████研究員

<録音開始>

インタビュアー: ではまず、あなたが作っていたあのランドセルについて、いくつかお伺いしたいと思います。

███氏: [1分間の沈黙]

████研究員: なぜあのようなランドセルを作ったのですか?

███氏: …ストレス発散、って言うのが一番しっくりくるかね。

████研究員: どういうことでしょうか?

███氏: あのクソ社長、少し馬鹿したからって顔真っ赤にして「お前なんてもう知らん!ここから出ていけ!」って言いやがったのさ。それが頭にきて工房を飛び出して、そっからは飲んだくれの毎日よ。その日から、店に並んでるランドセルや、ガキ共が背負ってるのを見てるだけでも無性にイライラしてきたんだ。最初は、どうにかしてあの爺に復讐してやろうと思ったんだ。でもな、ランドセルを背負いながらニコニコ笑顔で学校に通うガキどもを見てるうちに、だんだん気が変わってったんだ。

████研究員: と、言いますと?

███氏: ……なんて言えばいいんだろうな、あのキラキラした笑顔が、酒に溺れてお先真っ暗な俺にはまぶしく見えたのかもな。とにかく、爺よりもそっちの方に殺意が向いたんだ。そんな時、あいつにあったんだよ。

████研究員: あいつ?

███氏: 居酒屋で一人で飲んでるときに、向こうから話しかけてきたんだ。最初は普通に雑談してただけなんだよ。でも、そのうち酔いが回っちまって、酒の席の冗談のつもりでさっき言ったこと全部話したんだよ。そしたらあいつ「手伝ってやろうか?」って言いやがったんだ。それも大真面目な顔で。

████研究員: あなたは何と返答したんですか?

███氏: あんときゃ冗談だと思ったからな、「おぉ、ぜひ頼むよ!」って言ったさ。そしたら次の日の朝、家の前にあの男がいてよ、「約束通り、手助けをしよう」って言って、目隠しさせられて車に乗せられたんだ。もういきなりの事で訳が分かんなくてよ、どこに連れてくつもりか聞いても、黙ったままなもんだから、柄にもなくビビっちまったよ。しばらくしたら車が止まって、どっか建物の中に連れてかれたんだ。んで、また少ししてから

目隠しを外されたんだが、連れてこられたのは小さな小屋みたいなところだった。正確には覚えてないが、結構いろいろなものを作ってたところだった。そのまま奥の部屋に連れてかれたんだが、ランドセルに使う素材や道具なんかが色々用意されていたんだよ。


████研究員: それは、あなたのために用意されたものだったのですか?

███氏: あぁ。ほんとに驚いたよ。アレだけ上等なもんを、たった一晩で用意しちまうんだもんな。それで、あいつは俺にとりあえず一つ作ってくれ。そしたらその数日後に、動画を見せられてよ。俺の渡したランドセルを、ガキが背負ってたんだ。するとどうだ。背負った瞬間、ガキが真上にぶっ飛んだじゃねぇか。


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