Tale下書き「いつもお世話になっております」

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アラートがけたたましく響き渡る。緊急の放送が繰り返し施設内に響き、機動部隊は既に侵入者の迎撃に向かっていた。

「ちょっと！こんな所で何やってるんですか！」

1人の若い職員が、テラスで寛ぐ年配の職員に声をかける。男はチラリと若い職員に目を向けるが、興味を示すことはなく、読んでいた本へと視線を落としながら紅茶を少し啜った。

「さっきの警報聞こえましたよね？何かがここに入り込んできたんですよ！早くシェルターに向かいましょう」
「ん……あぁあんた、この前新卒で入ったって人かい？」
「それがどうしたんですか！何が来てるかわからないんですよ？どこかのカルト教団か、オカルト連合の連中かもしれない。もしかしたらサーキック・カルトなんてことも…」
「はっはっは！いやいや、要注意団体に関してもちゃんと勉強しているようで結構。それだけ真面目なら、君は将来出世するよ」
「何呑気なこと言ってるんですか！さぁ早く！シェルターに…」

だが年配の職員は外見からは想像できない力で乱暴に腕を掴んできた手を振りほどいた。

「まぁ落ち着けって。大丈夫だ。今回はそう慌てることはない」
「んなわけないでしょうが！現に機動部隊だって出動してるってのに、どこか大丈夫なんですか！」
「そう焦るな若いの。今回機動部隊が担いでるのは非殺傷性の武器だ。それに、向こうも向こうで俺たちに危害を加えに来たわけじゃない。まぁ多少方法が手荒になってるのは間違いないんだがな。アレを相手にするくらいなら、そこら辺のイカれたカルト連中を相手する方がまだ簡単だ」
「じゃ、じゃあ一体、何が入り込んできて…」
「それは、君もよーく知る所さ。……と、いらっしゃったようだね」

振り返ると、テラス入り口には黒いスーツに身を包んだ、高身長の男が立っていた。男はさわやかに笑顔を浮かべていたが、その表情からはただならぬ迫力を感じ取ることができた。

「お久しぶりです高山さん。先月ぶりですね」
「黒木さんもお変わりないようで。ここにいるということは、機動部隊はいつものように全員やられちゃいましたかな」
「えぇまぁ、でもこの前より苦戦しましたよ。おかげでスーツに埃が付いちゃいました」

男はそう言いながら、肩に付いた誇りを手で払い飛ばした。

「ところで、管理官の所にはこれからもう行かれたのですかな？」
「いえ、向かおうとしたら高山さんがちらっと見えたので、挨拶をしに来ただけです。今月ノルマがキツくてですねぇ…。先月取り合ってもらえなかった分、今月はズバッと言うつもりです」
「ははは、お手柔らかに頼むよ」
「ところで、先ほどから固まってるこの方は？」

若い職員はこの正体不明の男の興味がこちらに向いたことに恐怖し、足の震えが止まらなくなっていた。

「あぁ、彼はこの前入ってきたばかりの子です。中々勉強熱心で、将来有望は職員ですよ」
「そうでしたか！では、きちんと自己紹介をしなければいけませんね」

男はそう言うと、ポケットから財布を取り出し、名刺を一枚差し出した。若い職員んは恐る恐る名刺を受け取ったが、書かれていた3文字に思わず目を見張った。

「え……これ…え？」
「はは、まぁそういう反応しますよね。じゃあちゃんと自己紹介をしておきますか」

男はそう言うと後ろに一歩下がり、襟を正し、ひとつ大きく咳払いをすると、次のように言葉をつづけた。

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