僕とお前のデスゲーム

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この下書きやばい…めっちゃ好き…

いやぁ、この人の新作凄いわ。やっぱ流石としか言えない。みんな読んで


そんな文字列が何度も何度も、タイムラインを下っていく。それを見るたび、胸が押し潰されるような感覚に襲われる。息抜きにタイムラインを眺めていたはずが、かえって息苦しくなってしまった。堪らずページを閉じ、再び下書きページに向かう。

………何も書けない



それどころか、今まで面白いと思って書いていたこの下書きも急に色褪せ、味気ないものになっていた。

「…これも駄目だなぁ」

今まで書いたものに取り消し線をつけ、Saveボタンを押す。数時間かけて書いた下書きは、一本の黒線でその存在を否定され、無意味な文字列になった。それを見て、僕は少し胸が軽くなる。こう感じるということは、僕は心の底で、この下書きに満足できていなかったのだろう。ふぅと一つ大きくため息をつき、背もたれに体重をかける。ギシっという音が、椅子の悲鳴のように聞こえる。何時間前に淹れたか覚えていない冷めたココアに口をつける。味はしない。泥水を飲んだらこんな感じなんだろうかと考えながら、ざらざらした液体を飲み込む。


ここ最近、ずっとこんな調子だ。今開催しているコンテストに出すために寝る間も惜しんで記事を考えているが、納得のいくものができない。どのアイデアもきちんとテーマに沿っている。矛盾点も少ない。……はずだ。しかし、他の人がコンテストに投稿した記事や下書き…才能を見ると、自分の作品が、アイデアが全てゴミ同然に思えてくる。



同い年の彼も

年下の彼女も

仲良くしてくれるあの人も

みんなみんな、素晴らしい才能を持っている。

どうしてそんなものを考えられるのか

何故自分はそれができないのか

自分に足りないものは何か

彼らにあって、僕にないものは一体何なのか

必死で頭を巡らせ、考える

…わからない

何も、何もわからない



酷い頭痛がする。パソコンを閉じ立ち上がり、倒れ込むようにベッドに横になる。わかってる。これはただの趣味。暇つぶしだ。何もここまで気負う事なんて一ミリもない。それでも、それでも、こうも周りとの差を直視してしますと、吐き気がする。今すぐ大声で叫びたい。このどうしようもない感情を、ただただ吐き出したい。…もう、辞めてしまおうか。別に僕が書かなくても、他の人の素晴らしい作品がサイトを大いに盛り上げる。別に、僕が頑張る必要はないんだ。そう思いながら、ゆっくりと瞼を閉じ、現実から目を背ける。


しかし、まぶたの裏の暗闇には、一人の男が立っていた



そいつが誰か、僕は知っている。「こいつ」は、ただの職員として記事に登場する脇役のはずだった。普通の記事のようにインタビューし、終了報告をする。そしてオブジェクトの犠牲になる。それだけのありふれた存在のはずだった。しかし、何度も何度も書き直すうちに、こいつの存在は僕の中で大きくなっていった。それこそ、脳裏に焼き付いて離れないほどに。こいつを記事に使わなければいけないというある種の強迫観念に襲われるほどに。


そいつは何も言わず、ただ僕を見つめている

その目には、ある種の哀れみ、憎悪、怒りがあった

何だよその目は

お前に恨まれる筋合いはない

お前は僕の頭の中だけにいるんだ

所詮お前は、空想の産物でしかない

お前がどう動くか、どう話すか、生きるか死ぬか

全部、僕が決められるんだ

だからお前にそんな目で僕を見る権利はない

さっさとそこから消えろ




しかし、男はそこから消えない。何をするでもなく、ただただ僕を見つめている。じっと。瞬きもせず。ただ、見つめてくる。まるで「早く書け」と催促しているようだ。


うるさい

消えろ

消えろ

今すぐそこから消えろ

お前に言われなくてもそんなことは分かっている

わかってる

だから、今は消えろ

少しでいいんだ、一度忘れさせてくれ



だがいくら経っても、こいつはいなくならない。こいつがいるせいで、僕の頭からSCPという概念が片時も頭を離れない。おなかがすいた時に考える好物のように。付き合い始めたばかりにカップルが相手の事を考えるように。細胞レベルで染みついているようだ。

「はやくやれ」

「続けろ」

「逃げるな」


こいつはそう僕に話しかけてきているように感じた。……わかった。いいだろう。お前がどうしてもそこから消えないというのなら、僕がお前を消してやる。何度でも、何度でも。お前がそこから消すことができるまで。僕はお前を殺そう。僕の心の平穏のために。僕を「財団」というしがらみから解放するために。


そう心に誓い、僕は再び机に向かい、パソコンを開く。起動時の明かりが目に刺さるが、心地よい刺激のようにも感じられる。下書きページを開き画面とにらめっこを始める。これはゲームだ。僕が書きあげるのが先か。彼という存在が、僕に音を上げさせるのが先か。そんなデスゲームが今、ゴングの音と共に始まった。

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