アイテム番号: SCP-2440-JP
オブジェクトクラス: uncontained
特別収容プロトコル: SCP-2440-JP全域の常時監視及び収容は不可能です。SCP-2440-JP-2がSCP-2440-JP範囲外で発見された場合、機動部隊る-9(樹木医)により迅速にSCP-2440-JP-2の殺害及び破壊と処分、関係者と周辺地域に対してAクラス記憶処理が実行されます。
セキュリティクリアランス3verにおけるSCP-2440-JPはシアノバクテリアの出現の翌日以降消失しています。地理的特性と知名度を鑑み、完全に模倣した建造物の建造とカバーストーリー「修復と強度向上工事」の適用によりその過程を秘匿してください。
説明: SCP-2440-JPの正確な範囲は確認されていませんが、SCP-2440-JPの発生地点の記録より、中心をセキュリティクリアランス3verにおけるSCP-2440-JPが存在した地点を中心とした円範囲であると考えられています。現在もSCP-2440-JPの範囲は拡大を続けており、一時的または恒久的な拡大停止及び縮小の方法と結果は確立されていません。
SCP-2440-JPは特定範囲内で発生する異常物体、建造物、動植物(SCP-2440-JP-2)の出現及び既存の物体、建造物、生命体の消失という異常現象です。
SCP-2440-JP-2実体は現在確認されている全てが共通して1970年のものであることが木材等の炭素年代計測から確認されており、また当時の文化史に即したものとなっています。人間がSCP-2440-JPを一定距離内で視認した場合、その後約48時間以内に当該者は消失し、人型SCP-2440-JP-2実体が出現します。このSCP-2440-JP-2実体は自身が時代的に正常であると認識しており、その認識を他者と共有しようとします。これにより出現した人型実体は即座に処理されます。
追記[20██/5/29]: 更なるSCP-2440-JPの広域化が確認されました。機動部隊の増員が申請されました。[6/1]申請は許可されました。
追記[20██/9/3]: 実験2440-JP-A
概要: SCP-2440-JPの発生が比較的少数であった奈良県██地域において、50m四方の範囲をスクラントン現実錨により固定し、それによるSCP-2440-JPの抑制を目的として行われました。実験はSCP-2440-JP発生時にヒューム値異常が併発しないことの確認及び使用したスクラントン現実錨の█%の喪失という結果に終わりました。
追記[20██/11/24]: SCP-2440-JPの範囲拡大を受け、近畿地方圏の財団施設の放棄が決定されました。
[20██/1/15]: 財団エージェント数名の失踪が確認されました。SCP-2440-JPによるものと断定され、以降Dクラス職員を除く財団職員のSCP-2440-JPとの接触の危険性があるあらゆる行為は禁止されます。また、当該エージェントの所属するサイトは即時放棄されました。
[20██/2/1]: サイト‐81██からの通信が途絶しました。当該サイトはSCP-2440-JP範囲外と考えられていたため、これを受けてサイト‐81██の現状及びオブジェクトの喪失状況、収容違反の有無の調査が実行されました。
調査記録2440-JP-B[20██/2/2]
埋め込まれたGPS機器によってサイト81██が存在する近辺まで誘導後、D-2643によって映像装置が起動される。D-2643の情報はサイト内部への進入を円滑化する目的で臨時にBクラス職員としてデータベースに保存される。
D-2643: 機器の調子は良好。確認できるか?
モニタに映像が映写され、SCP-2440-JP-2と思われる建築物と生物が多分に存在している。その他建築物等に異常は見られない。道路はアスファルト舗装のない部分が存在する。
██博士: 確認できました。予定通り、配布済みの地図を使用して指定した場所に向かってください。こちらからも随時指示を出します。
D-2643: 了解。とりあえず適当に進む。が、しかしまぁ、なんか知らんがカオスだな。俺がガキの頃よりもっと古臭いやつが並んでる。
██博士: 想定よりもSCP-2440-JP-2の割合が多いですね。周囲環境もまとめて録画してください。人型SCP-2440-JP-2は確認できますか。
D-2643: 分かってるよ。いっぱいいる。今のところは別に、変な視線とかは感じないね。多分、俺の服とか見て頭おかしい人とか思われてんじゃないの。あとアスファルトならまだしも、これじゃ歩き辛い。
██博士: 把握しました。そのまま指定した場所に向かってください。
D-2643は周囲を撮影しながらサイト‐81██の存在する地点に到着する。サイトを偽装する外観に変化はない。
██博士: その地点です。外観は現在のものと変わっていないようですね。D-2643、先に渡したIDカードと氏名、パスワードを使用して侵入してください。
D-2643: 了解。……本当にコイツ使えるんだろうな?そんな職員はいないとか言われないだろうな?
██博士: 大丈夫です。あなたは臨時に████として財団の正規職員に登録されています。目的のサイトに相当の異常がない限り、財団のセキュリティはあなたを拒否することはありません。
D-2643: 分かった。行くぞ……
D-2643は入り口のセキュリティの突破を試みる。
D-2643: は……?おい、通らないぞ。どうなってんだ?
██博士: おかしいですね。そんなはずはありません……ええ、情報は登録されています。サイトの人間と接触は可能ですか?
D-2643: いや、セキュリティシステムに触れちまったらしいな。いったん退避する。
██博士: それは出来ません。開始から48時間以上経過しなければ、あなたが離脱することは認められません。恐らくセキュリティチームが接触してくるでしょうから、彼らとコミュニケーションを試みてください。
D-2643: ああクソ、しょうがねえな。
数秒後、サイト‐81██内部から人影が出現する。
D-2643: 誰か出てきたぞ。
D-2643と人影が接近する。
人影: 今は何年だ。
D-2643: 20██年。アンタは誰だ。
人影: よし。安心しろ、私はあの古臭い泥人形ではない。サイト‐81██所属のエージェント金子だ。サイトの通信不全に関しての調査は完了して、報告書はこれだ。サイトの状況も記している。
██博士: 人事情報を確認しました。内容を撮影してください。
D-2643は報告書を撮影する。内容は後述。
エージェント金子: それと、D-クラス。撮影器具はここに残して、お前は私に付いてサイトの中に入れ。やらなければならないことが1つ残っている。お前でなくてもいいが、他人の力が必要だ。
██博士: D-2643、従ってください。
D-2643: 分かった。
エージェント金子とD-2643はサイト内部へ進入する。
エージェント金子: 早く入れ。扉は俺が閉める。
D-2643: そう急かすなよ。2秒も3秒も変わらないだろ。
エージェント金子により、サイトのセキュリティドアが手動でロックされる。
エージェント金子: 変わるから言ってるんだ。いいか、俺が消えたらこのスイッチを押して死ね。お前はこのクソッタレな状況について何も知らないだろうから教えてやる。お前は奴らとアレを見た。だから死ぬ必要がある。
エージェント金子: あのオンボロなミニチュアを見ただろ?そうしたやつは48時間以内に、跡形もなく消える。何もなかったようにな。そうして、晴れて奴らの仲間入りだ。
D-2643: おい、待ってくれ。俺はあの博士とかには、48時間後には戻って来られるって言われたぞ……どうなってるんだよ!
エージェント金子: お前にオブジェクト詳細が伝えられるわけないだろうが。俺の話だって特別なんだよ。
エージェント金子: クソッタレ。俺はこの時代に産まれてすらないんだぞ。そんな奴らに全部奪われてんだ、畜生。
エージェント金子: これは実験だ。奴らを消せるか、そしてあのクソ野郎どもを産み出さないために、母体を徹底的に潰す実験だ。分かるか?お前も今の俺と同じなんだよ。
D-2643: ……そうなのか。クソ、どうやったって戻れねぇのかよ……
エージェント金子: そうだ。分かったら黙って、俺が消えた瞬間に吹っ飛ばせ。
これ以降、音声が断絶。2時間後、サイト81██が爆発する。数分後、1体のSCP-2440-JP-2実体がサイト内部から出現する。
以下は報告書の内容です。
通信異常に関して: 20██/2/1/10:12、SCP-2440-JPがサイト内部の電気通信系統で発生し、サイト全体が連絡手段とネットワーク接続能力を喪失した。またこれにより、サイト内部の職員が全員SCP-2440-JPに曝露したと思われる。断絶の初日に半数が消失し、SCP-2440-JP-2実体が出現したが、サイト内部に隔離することに成功。その後SCP-2440-JP発生から20時間以内に全員が消失。
収容中オブジェクトに関して: 危険度の高いもの、破壊不可能なオブジェクトは他サイトへの輸送後であったため、重大なインシデントは発生せず。
SCP-2440-JPの範囲は想定よりも進行している。再考の必要有り。
発生した人型SCP-2440-JP-2実体はプロトコルに従い処分予定。
この結果を鑑み、予想されるインシデントに対応するサンセット・プロトコルが策定されました。
追記[20██/3/6]: SCP-2440-JP-2の出現頻度増加及びSCP-2440-JPの広域化が日本国外へ進行していることが確認されました。日本国内のサイト及び財団施設は全て放棄され、日本支部職員は本部に吸収されます。
日本人口の約半数がSCP-2440-JPに曝露したと考えられます。
追記[20██/5/24]: 更なる出現頻度増加及び広域化が確認されました。これに伴い、セキュリティクリアランス4verの特別収容プロトコルにサンセット・プロトコルの詳細を記載することが決定されました。
追記[20██/6/4]: SCP-2440-JPの抑制のために現実改変者を利用することは許可されます無意味であるとして許可されません。中国支部とロシア支部の統合が決定されました。
世界人口の約1%が喪失されたと考えられます。
追記[20██/8/26]: 東アジア、東南アジア地域の財団施設の放棄が決定されました。
世界人口の20%が喪失されました。
追記[20██/9/5]: アジア地域に属するすべての国家政府との通信が途絶しました。これは想定を上回る速度であり、SCP-2440-JPの範囲拡大は加速しているものと思われます。
世界人口の45%が喪失されました。
追記[20██/10/3]: サンセット・プロトコルの発効はO5評議会にて否決されました。
追記[20██/11/2]: ロシア=中国支部の解体が決定されました。財団施設の放棄は既に実行されています。
インシデント2440-JP-C
概要: 放棄指定されたサイト██所属のルンゲ博士によって起こされたプロトコル違反。博士は財団の輸送車と多数の武器を所持し、SCP-2440-JP範囲内部に侵入しました。
ルンゲ博士の持つ連絡手段の全てに管理官からアクセスする。10秒後、携帯電話に応答する。
██管理官: ルンゲ博士!君にはサイト██への退避を命令したはずだ、何をしている。
ルンゲ博士: 見て分かりませんか?あの忌々しいクソ野郎どもをやっつけるんですよ。
██管理官: 君にそのような指示を出したことはない。直ちに指定されていたサイトに移動しろ。
ルンゲ博士: 私の独断ですから、貴方には身に覚えがないでしょうとも。それに、今から戻れ?無茶言わないでくださいよ。どうせ47時間後までには死んでるんですから。帰還したら、それこそ俺がクソ野郎だ。今でもですか?はは、違いないですね。
ルンゲ博士: 考えてみてくださいよ。俺たちがこれまでやってきたことは何なんだ?オブジェクトに世界を掠め取られるために、私たちは命を捨ててたのか?……分かってますよ、クソが。どうしようもない。
ルンゲ博士: どうせヨーロッパの残り半分も今すぐにでも消えてしまうでしょう。あの忌々しい塔はどこに消えた?粉々にへし折ってやる。
██管理官: 君に私怨による破壊行為は許可されていない。早く指示に従いたまえ。さもなくば、
ルンゲ博士: さもなくば?何だろうと大いに結構。今、私は何なんだ?ルンゲ?財団職員?命令違反のクズ?SCP-XXXX-JP-2の曝露者?
ルンゲ博士: 未来から来たロボット、とかだったら良かったんですけどね。
以降通信状態を維持するも応答および一切の環境音の観測なし。35時間後、通信が切断された
追記[20██/11/25]: ヨーロッパ全土、北アメリカ地域の75%相当の喪失が確認されました。
追記[20██/12/16]: 北、中央アメリカの喪失が確認されました。
追記[20██/12/25]: サンセット・プロトコル発効がO5評議会にて承認されました。
追記[20██/1/1]: サンセット・プロトコル実行。
サンセット・プロトコル: サンセット・プロトコルは特別収容プロトコルとは区分され、発動された時点で通常プロトコルは停止されます。
サンセット・プロトコルは全てのSCP-XXXX-JP-2に対して適用されるものではありません。適用の可否についてはO5評議会の許可が必要です。
プロトコル概要: サンセット・プロトコルはSCP財団、特定の要注意団体、準要注意団体を除いた要注意団体の消失に伴い出現した類似の団体に対した本オブジェクトに関する文書通達と技術貸与の試みです。
- 本オブジェクトの情報と技術的助力。この時、財団代表者はセキュリティクリアランス4以上の職員1名を含む5人以上のチームとする。
- SCP-XXXX-JPによる財団、類似団体に関しては本オブジェクトの情報に限らない。
現在までに██の要注意団体が対象とされています。
文書SCP-XXXX-JP
以下は1970年、膨大なデータファイルと共に財団に届いた文書です。
1970年の財団職員の皆々様に置かれましては、まぁ宜しくやっているだろうと推測する。
それで、一つ。信じられない、と言うのはこの際語らないで貰いたい。
我々は2025年の財団であり、君達の先駆者であり、君達の成れの果てを示すものでもある。
我々の世界は現在、各所で起こる局所的な1970年世界の出現と我々の世界の消失について調査しているが、現在までこれを収容できたことはなく、ただ我々の知る残された我々の世界へと逃避することを繰り返している。君達が我々を異物として認識できているかは知る所にない。
我々は考え得る全ての手を打った。
その上で、我々がこの終末論に対して知り得たものは、それが開催されるときまでに終わるカウントダウンが始まるということだけだ。我々の場合、それは30億年の旅路を遡ることだった。
しかし、我々は自分たちが矮小な存在であることを改めて理解した。あの塔が持つ黄金の顔こそ、我々が守るべきものの象徴だった。しかし、それも今は過去という黒い顔が侵食し、塗り潰してしまった。
だが、我々は止まってはならない。暗闇でこそ、道を照らすべきなのだから。
新たな日の出を祝福しよう。いつか、君たちが我々よりも輝いてくれることを願う。
現在までSCP-XXXX-JPが確認されていないことから、この文書に付属されていたデータファイルに含まれた報告書を、オブジェクトクラスを除いて流用し現在の報告書が作成されました。SCP-XXXX-JPが確認された場合、この報告書はアーカイブ化され、新規の報告書により更新されます。
SCP-XXXX-JP-1ではないでしょうか。全体的にXXXX-JPとXXXX-JP-1が混同されているように感じます。見直してみてください。
-2はないのでしょうか?
オチはありだと思いましたが、コメントにある通り短さとストーリー性が足りないのが足を引っ張っていると思います。気が付いたら日本が完全に滅んでおり、「いつの間に?対処はできなかったの?」というような印象を受けました。この部分のギャップをある程度埋めるためにも財団が範囲の拡大にどう対処したかなどある程度ストーリー?というか奮闘した痕跡を残す必要があると思います。例えば同じく範囲が拡張する異常性であるSCP-1009ではある程度の制御方があり、財団はそれに従って対処を行っています。こういった抵抗の跡が見えた方が読み物としては面白くなるのではないかと思います。
最後の文書は悪くないと感じたので、その過程の見せ方だと思います。正直これを達成するのは(財団が頑張ったが対処できずに滅んでいく過程を合理的に描くのは)結構厳しいものではありますが、上手くいけば対策になりそうなのでやる価値はあると思います。頑張ってください。
批評ありがとうございます。
修正します。
3を2に変更したものが反映されていなかったようです。修正します。
具体的な例までありがとうございます。やはり懸念点が嵌っている感じですね……こちらは制御もクソもないので、難しいところですが考えていきます。
アイデアとしては概ね十分な評価をしていただけているようで嬉しいです。ありがとうございました。
調査記録の追加、内容の加筆と修正を行いました。
物語として大阪万博をテーマにしている理由が分からなかったです。進歩をテーマにしている複数回開催されるイベントだから、というのは分かるのですが、大阪万博だからこそ成立させられる味わいのようなものが感じられませんでした。追記された調査記録も含め、滅亡モノとしてよくある展開をなぞっているだけのように思います。最後の文章に熱量は感じましたが、「リレー」など万博と表現が噛み合っていないのが気になりました。
イベントを起こすとは現象の過程を細かく刻んでいくことではなく、1970年に置換されていく中で人は何を思うかとか、リスタートする人類に向けて大阪万博と掛け合わせて何を言うかにかかってくると思います。まず大阪万博を素材として味を引き出すために、強みとして何を引き出せるかを考えてみるといいでしょう。
批評ありがとうございます