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「……さて、新人の皆さん。これで一連の講義は粗方終了したと思います。それでは、今から名前を呼ばれた者は応答しなさい。……よろしい、全員の生存が確認されました。では、今呼ばれた者以外は退出し、外の職員の誘導に従いなさい。君たちにしてもらうことがあります」
そぞろに、部屋に残る人数は少なくなった。呼ばれた名前がそもそも少数なのだから当然なのだが、先の人の群れに比べればなんとも寂しくなった。
「さて、君たち。私に名前を呼ばれた時、どう思いました?居眠りをしていたことがバレたのか?それとも怪訝な目と耳とで私の講義を聞いていたことが見られたとか?まるで先生に叱られる前の中学生のような感情ですか?いいえ、いいえ。別に君たちの態度がどうあろうが、私の知るところではありません。そんな者は勝手に淘汰されればいいのです。それ以上で、財団に不利益を齎すようならその限りではありませんが」
静寂の広がる部屋に起こる、引き攣った笑い。
「ええ失礼、話が逸れました。つまり私は君たちを無駄に叱り、矯正し、正しく箸を持たせるために集めたのではないということです。むしろ、その逆と言って差し支えないでしょうね。君たちには"必要なかった"ということなのですから」
「財団は不必要なことを行いませんし行わせません。君たちと彼らの間にどのような違いがあろうと些事に過ぎないのですから、君たちが気にする必要はありません。これを言い換えると、いいから気にするな、ということです」
「私はあちらの人間でした。当時の私の心境を一言、いや二言程度で話しましょう。"彼らはなにをしでかして、何を言われるのだろうなぁ"です。その分君たちは運がいいのでしょう。それともこれまでの人生に何かしらの原因が存在するのか、と言うことは分かりかねますが」
今は私のことは関係ないのでね、と話を切る。
「財団は稀によく色々と言い換えられます。"暗闇を照らすためのランプ"とか、そう言った。講義を受けてきた、そして選ばれた君たちなのですから、そのランプの燃料が何かはよく分かっていることだと思います」
「そう、技術やそれらも勿論のことながら、最も大きなものは職員の、文字通りに献身的な活動です。オブジェクトには、具体的には知らずとも危険極まりないものが多数存在することは予想か、知っているでしょう。それらに対してどう確保し、収容、保護するのか?ノウハウも持ち合わせているとはいえ、ほぼ全ては手探りです。暗闇を探る、そのためにはランプを点けなければならない」
「そして、そのランプは"消えてはならない"、ということも想像できるでしょう。暗闇で知らぬ間に首をへし折られても困りますからね」
「しかし、消えないだけではランプ足り得ない。それを持ち運ぶ手があってこそ、ランプはランプとしての意味合いを持つでしょう。広場の真ん中に置かれて動かせないランプに何の意味がありますか?パントマイムに使えるとか、そういうものではありません。無駄な場所に置かれていても、何の効果もない。つまり君たちは広場です。酷いところなら、雨も降っているような。しかしながら、それでもやはり礎となるべき土壌であることに変わりないのです」
「勿論、私もその大地のうちの1区に過ぎませんね。ただ私と君たちの違いは、どれだけ酸性の雨に打たれたか、渇きに渇いてひび割れたか」
そう、ただそれだけなのだ。私との違いでさえ。
「さて、最後に。君たちが最も今知りたがっているであろうこと、彼らは何をしているかについて、今度こそ一言で教えてあげましょう。私が受けたものと内容が変わっていなければ、彼らは」
「灯の点いたランプの写真を見ているだけ」
「もう一度。君たちも彼らも、大差ないのです」
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:5253895 (15 Nov 2019 13:19)
ワンシーンで、との事ですが、この記事を扱いたいのであればワンシーンのみだと少し難しいものがあるのではないかというのが呼んだ時の率直な感想です。この記事を題材にするのであれば、財団のシステム的な無情さとか、それを受ける側の心情を描いたものであるとか、そちらの方面に振るものだと思うのですが、今の下書きを読んだところそう言った形では上手くいっていないと感じました。
あくまで淡々と、財団の行いとして、という方面であればやはりsolvexの提言でやられているので目新しさがなく、分が悪いと思います。いずれにしても、このワンシーンだけ、という縛りでは題材を生かした演出ができていないように感じました。