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　通勤とは、女子高校生の匂いを嗅ぐことである。おや、何を言ってるのか分からないって顔してるね。あはは、さては一発ヌイてきたな？
　ほらご覧なさい、改札口の先に広がる絶景を。朱い向日葵を想起させるスクールリボン。神秘的な曲線を描く曇りなきブラウス。少女のささやかな反逆を推量するに足るスカート。そして、三種の神器を余すことなくその身に備え、まるで宗教画のように階段を降りてくる小天使たちの名は──女子高校生。
　おっと。見惚れているうちに、彼女たちとの距離は既に15mを切っていた。電車もそろそろ出発する頃合いだろう。だから……ではないが、今がベストタイミングだ。
　息を整える。0.8倍速程度に歩調を緩め、改札口に近付く。彼女たちも改札口に差し掛かろうとしている。さて、選別開始。
　芋臭いメガネブス……通って良し。たぶん野球部の坊主二人組……通って良し。0.75倍速に減速。寝癖を直しきれていないリーマン……通って良し。0.65倍速に減速。鉄板の端に転がるチヂミみたいな面をしたババア……死ね。0.5倍速に減──ッ否ァ！ ちょちょちょストップストップッ！ ババアの背後から現れたのは、なんと、女子高生じゃーん。肩の上でなびく繊細なショートヘア、TikTokといちごのパフェしか見たことなさそうな無垢な瞳、贅沢に二本も伸ばされた健やかな生足。総じて85点。合格。
　息を吐き切り、改札に入る。彼女も入る。彼女の温度を右頬で受け取ったのを合図に、吸う。鼻腔を突き抜ける、彼女の匂い。ピンク色のシャンプーと化粧水と体臭が入り混じったこの匂い。甘くも酸っぱくもない、例えるなら熟れた花に精液をかけたような匂い。女子高校生の匂い。ご馳走さま。
　幸福は続かないもの。改札を通過後、85点に続く他の子も横目で鑑賞していたが、ものの一分足らずで、70点を最後に彼女たちは去ってしまった。口惜しいが、振り返らない。駅員に変態だと怪しまれるのも癪だ。85点にフェラチオを強要する妄想に浸りつつ、ホームまで小走りで行くとしよう。前屈みで、な。

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1. portal:5252746 (26 Mar 2019 10:15)