ジャムコンA下書き：不思議の国のロビンソン・クルーソー

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アイテム番号: SCP-1719-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1719-JPはサイト-8104内の低危険度物品収容ロッカーに収容されます。また、現在SCP-1719-JPを用いた実験は無期限に凍結されています。(加筆済:JST2019/10/19)

説明: SCP-1719-JPはサイト-81██所属 三波研究員の自室にて発見・回収された、製造元不明の蕎麦殻枕です。外見に異常な点は無く、使用されている蕎麦殻も一般に流通しているものと差異はありません。
SCP-1719-JPの特異性は就寝時に当該物品を使用し、使用した人物(以下、対象と呼称)がノンレム睡眠に到達した場合にのみ発現します。特異性発現時、対象は「ロビンソン・クルーソー」と名乗る実体が出現する夢(以下、SCP-1719-JP-2と呼称)を見ます。
SCP-1719-JP-2は共通して、「幻想的」「不気味」と形容される森林において、対象が「ロビンソン・クルーソー」に救出される場面から開始されることが確認されています。また、救出時に「行動を共にするか否か」という趣旨の質問を受け、拒否をした場合、対象は即座に起床します。
SCP-1719-JP-2における対象の衣類・装飾品等はSCP-1719-JP使用時のものが反映され、カメラ等記録機器の持ち込み、データの回収が可能です。加えてSCP-1719-JP-2内部での負傷は対象の肉体に反映され、SCP-1719-JP-2内部で死亡した場合、対象の肉体・衣類等は不明な方法でSCP-1719-JPに吸収されます。

以下はSCP-1719-JP実験記録です。

実験記録1719-JP-1 

実験記録1719-JP-1 - 日付2019/07/01

対象: D-23967

実施方法: 対象に記録用スマートフォンを支給、所持した上でSCP-1719-JPを使用、SCP-1719-JP-2内部を記録する。救出時の質問は承諾する。

映像記録:

<撮影開始>

D-23967: チェックチェック、オーケー。俺は今、気味悪りぃ森ん中にいるぜ。甘ったるい匂いがする。マジで夢って感じだな。

[森が映し出される。確認できる植物は全て、絶えず変色している。]

D-23967: あとはここで「ロビンソン」とかいうヤツを待てばいいんだな。…うわっ、なんだなんだ？あん中にロビンソンは居ねえよな。名前持って無さそうな奴らだ。

[縮毛の男性5人がD-23967を包囲する。]

D-23967: いてぇ！おい、危ねぇぞ！それ振り回すな！クソ、ロビンソンとかどうでも良いから早よ覚めてくれ！

ロビンソン: 私の名を呼んだかい？マイソン！ハハッ！

[実体が出現。不明な方法でD-23967を救出する。]

ロビンソン: 如何にも、私こそが勇猛なる「ロビンソン・クルーソー」。そしてお前は今から「フライデー」だ。お分かりかな？さぁ、私と共に冒険へ出発しようじゃないか！

D-23967: …確か、質問には「はい」で答えろだっけか？めんどくせぇ。

ロビンソン: 何か言ったかい？

D-23967: なんでもねぇよ。さっさと行こうぜ。

ロビンソン: よし来た！私の後をついてきたまえ。この森は私の庭のようなものだ。先ずは食糧を探そうか。

D-23967: 好きにしてくれ。[歩き出す]…にしても、マジで気味悪ぃな。こんなファンシーな森にゴロゴロ生肉みたいなのが転がってやがる。

ロビンソン: なんだ、ニクムシが気になるのかね？そいつはな、肉と勘違いして寄ってくる奴らを毒殺して食べてしまうんだ。おっかないだろ？しかも、幾ら食っても腹にたまらないんだ。

D-23967: 見た目肉塊なのにな。…なぁ、１つ気になったんだけどさ、あんた、夢の世界の住人だろ？俺がこの夢を見てないときって、あんたはどうなるんだ？

ロビンソン: 気になるかい？じゃあ、探索がてら話してあげようかね。…先ず、私は元から夢の世界に棲んでいたわけじゃないんだ。フライデー、君と同じく現世の人間だったのだよ。彼方では時空間移動の技術を研究していた。少々異常なアイテムを使ってね。

D-23967: [笑い声] 時空間を移動？なんじゃそりゃ。んなもんあるわきゃねえよ。

ロビンソン: 信じなくて結構。さて、話の続きだ。一応試作品が完成したのだがね、恥ずかしながら実験は失敗した。…まぁ、色々あって夢界…もとい夢の中に遭難してしまったのだよ。私のハニーと一人娘を残してね。…あと、フライデー。君たちが夢を見ていないときの夢界については言及しかねる。説明しても理解できないだろうからね。

D-23967: おいおい、軽く教えてくれたって良くねえか？めっちゃ気になるんだけど。[停止する]…おっ、リンゴが成ってる。けど、虹色してるな。おいロビンソン、食えるのか？あれ。

ロビンソン: [振り向く]おお！でかしたフライデー！これで暫くは空腹を凌げる！

D-23967: ふん、俺の視力が役に立ったな。おい、俺はボランティアは嫌いな

ロビンソン: [遮るように]助かったよ。それじゃさようなら、フライデー。俺の為に働いてくれてありがとう。

D-23967: ちょっとまて、お

<撮影終了>

結果: 開始から5時間後に起床。上記の映像記録を回収。D-23967右上腕部に鋭利な刃物による裂傷が確認された。

分析: 簡易報告書及び回収時インタビューと目立った相違点なし。SCP-1719-JP-2内部の負傷は起床時、現実に反映されるようだ。また、映像記録内の発言により、先日失踪したPoI-████との関連性が示唆される。現時点ではSCP-1719-JP-2内部の仕組みすらハッキリしていない状況であるため、更なる実験、調査を進める。

実験記録1719-JP-2 

実験記録1719-2 - 日付2019/07/18

対象: D-19681

実施方法: 対象に記録用スマートフォンを支給、所持した上でSCP-1719-JPを使用、SCP-1719-JP-2内部を記録する。救出時の質問は承諾する。

映像記録:

<撮影開始>

D-19681: テステス、こちら夢の中です。見えますかね、とても幻想的です。取り敢えず待機します。

[縮毛の男性5人がD-19681を包囲する。]

D-19681: 囲まれてしまいました。下手に刺激せず、「ロビンソン」が出現するまで待機します。

ロビンソン: 私の名を呼んだかい？マイソン！

[実体が出現。前回実験時に比べ、窶れている様に見える。不明な方法でD-19681を救出する。]

ロビンソン: 如何にも、私こそが勇猛なる「ロビンソン・クルーソー」。そしてお前は今から「フライデー」だ。お分かりかな？さぁ、私と共に食糧探し…いや、冒険に出発しようじゃないか！

D-19681: ええ、同行しましょう。

ロビンソン: 今日のフライデーは随分固いな！[息切れ]さあ、行こう！

D-19681: 待ってください。先にこの森を記録させてもらってもよろしいですかね。

ロビンソン: 構わんよ。そのかわり、決してそこを離れないでくれたまえよ。私はちょっと食糧を探しに行ってくる。

D-19681: わかりました。…ちゃんと撮れてますかね、このキノコ。透けてますね。[キノコが変色する。]おお、風を受けて色が変わりました。とても興味深いです。

[移動する。]

D-19681: これは生肉…では無さそうですね。肉塊が蠢いてます。…ちょっと触ってみます。

[D-19681が気絶し、肉塊に吸収される。]

ロビンソン: クソっ！折角食い物を見つけたのに消えやがった！おい、フライデー、もう良いだろ！こっちに来なさい！[10秒刊沈黙]フライデー？聞こえてるんなら返事をしなさい！…もういい！そこで待ってろ！

[実体がスマートフォンを手に取り、辺りを見渡す。]

ロビンソン: アイツどこ行きやがった！[息切れ]畜生！

[実体がスマートフォンを地面に叩きつけ、踏みつける。]

ロビンソン: …あぁ神様、哀れな私めをお助けください…。帰還研究も道半ば、私はもう一度

<故障、撮影終了>

結果: D-19681がSCP-1719-JPに吸収される。一時的に記録用スマートフォンの回収が不可能であったが、後に回収。(補遺2:を参照)D-19681は死亡したと見られる。

分析: SCP-1719-JP-2内部で死亡した場合、SCP-1719-JPに吸収されるようだ。帰還研究に関しては次回調査時に言及する。
今回気掛かりなのは、SCP-XXX-JP-2内での食糧調達に関してだ。実体の状態・発言を見るに、夢界には十分な食糧がないと考えることも可能だが、多様な動植物の存在が確認されている事実もある。ならば、何故人員を必要とするのか？「食い物が消えた」現象との関連性は？今後はそれについても調査を進めていく。

補遺1: SCP-1719-JPはサイト-81██所属の三波研究員の私物であり、氏による報告ののち回収されました。

補遺2: 実験記録:1719-JP-2より2日後、SCP-1719-JP収容ロッカー内に1枚の紙片とD-19681が所持していた記録用スマートフォンの出現が確認されました。以下が発見された紙片です。

・・・― ― ―・・・

上記の紙片については特異性が確認されていません。現在、SCP-1719-JP関連物品として別途保管されています。

補遺3: 補遺:2発生後から6日後、SCP-1719-JPから腐臭、或いはそれに類似する臭気が発生するようになりました。SCP-1719-JPの新規特異性獲得が危惧され、現在早急な対処が求められます。
なお、直近4回のSCP-1719-JP-2内部へのDクラスの派遣は全て失敗しており、記録用スマートフォンの回収が不可能となっています。

補遺4: 更なる人員の消費の必要性を鑑み、今後SCP-1719-JPを用いた実験は無期限に凍結されます。

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予定タグ: euclid　人工　睡眠　scp-jp

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  aisurakuto 04 Nov 2019 08:50

  現状は夢に棲むロビンソンが夢を介して供給を受ける共生関係にある、という場面設定が最後に明かされ死亡する内容であり、物語としてはまだ展開が見込めます。ロビンソンがなぜ夢に棲んでいるのか、どこかからの遭難なのか、彼自身にも何か抱えているのか、それを実験ログで提示すると、死亡にも哀愁が漂うでしょう。

  Hasuma_S 04 Nov 2019 09:05

  拝読しました。

  内容としては「ロビンソン・クルーソー」を基に、その夢界実体が悪さをしているというものですが、2回目の実験記録までは不穏さうまく演出できていると思います。ですが、補遺以降が安易な答え合わせになってしまっているように思われます。

  まず、インタビューですが、発見経緯の提示の役割を持っていますね。しかし、インタビュー形式では余計な情報が多く、今回の場合は説明で記載する方が端的にまとまりそうです。

  次に、手紙ですが、ロビンソン・クルーソーもどきの意思が直接書かれていますが、このような書き方によるオブジェクトの意思の開示は考察の余地を与えず、あまり面白さにつながりません。手紙としての表示はできれば1文くらいに短くし、できることなら間接的に表現した方が効果的です。補遺3の内容のように、事実からクルーソーの状態がわかるようにするといいかもしれません。

  rusk_unogami 04 Nov 2019 12:54

  aisurakuto様、Hasuma_S様、ありがとうございます。
  御二方の意見を反映し、
  ・実験1に於いてロビンソンの身の上話を追加
  ・補遺1 インタビュー記録の削除、説明への追記
  ・補遺2に於ける表現の変更
  を行いました。
  引き続き批評の程、宜しくお願いします。

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