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特別収容プロトコル: SCP-2000-JPは、遮光ケースに収納した上でサイト-8181の標準収容ロッカーに保管されます。オブジェクトの移動の際、担当職員はSCP-2000-JP-1を視認しないよう注意してください。オブジェクトを用いた実験は無期限に中止されています。
新たなキャリア-2000-JP-2が発生した場合はクラスC記憶処理を施し、特に職務の遂行が著しく困難となる場合は一旦職務を休止させてください。現在、キャリア-2000-JP-2の処分に関するプロトコルが制定中となっています。
説明: SCP-2000-JPは、著名なミステリー作家である上月 孝太郎氏の筆跡で未発表の小説が書かれた原稿用紙325枚の総称です。SCP-2000-JPには「[人物名]の首吊り死体」という語(SCP-2000-JP-1)が度々書かれており、その総数は497個です。[人物名]部分には複数の日本人の名前がランダムに5-10個重なって書かれており、解析によって書かれている名前は全て異なっていることがわかっています。
SCP-2000-JP-1を人間が3秒以上直接視認した場合、被験者は約60分間昏睡状態となります。昏睡状態中、被験者は一定の共通点を持つ夢(SCP-2000-JP-2に指定)を見ます。以下は、脳情報デコーディング技術によって判明した典型的な被験者の夢の内容です。
- 被験者は上月市の自宅の書斎に酷似した空間内に存在している。部屋の天井からは全裸の人型実体のの縊死体が大量に吊るされている。被験者は視点を変えることはできるが、これまでに空間内を移動した例がないため、移動は不可能と考えられている。
- 約10分経過後、黒色のマントを装着した首から上が存在しない人型実体が、空間内の扉を開けて入室する。手には麻製と思われるロープを持っている。
- 黒色マントの人型実体の入室から約1分30秒後、目をアイマスクで隠され、口に猿轡を咥えた全裸の人型実体が複数入室する。黒色マントの人型実体は被験者もしくは全裸の人型実体に話しかけているように見える。
- 黒色マントの人型実体が、全裸の人型実体をロープで1人ずつ絞殺していく。絞殺された人型実体は瞬間的に天井へ移動し、既に吊るされている縊死体と同一の体勢へ変化する。
- 全ての人型実体を絞殺した後、黒色マントの人型実体は被験者に接近し、被験者の首にロープをかけたところで被験者が覚醒する。
昏睡状態から覚醒した被験者は大抵の場合極度の恐慌状態に陥り、自然回復するまでの間日常生活が困難になります。恐慌状態からの自然回復にはおおよそ24-120時間を要します。さらに対象は、回復後も一部の行動を過度に忌避するようになります。これまでの事例から、対象が忌避する行動には概ね人間の殺傷が関連していることが明らかになっています。SCP-2000-JP-2の記憶はクラスC記憶処理によって除去することが可能ですが、上述の精神影響については除去する手段が発見されていません。
SCP-2000-JPは2016年7月4日、同年6月下旬から行方不明となっている上月氏の捜索の一環で、警察が彼の自宅に突入した際に発見されました。上月氏の失踪とSCP-2000-JPには何らかの関係性があると考えられていますが、現在までに有効な手がかりを得ることはできていません。
補遺2000-JP.1: 異常性の広がり
SCP-2000-JPの収容から数週間後、財団職員による異動や退職の申請が急増しました。その動機の多くが「精神的な理由で通常業務を続けることが不可能になった」という旨のものだったことを不審に思い、これらの職員の行動履歴を調査したところ、SCP-2000-JP-1の被験者だけではなく、被験者からSCP-2000-JP-2の内容を直接聞いた職員も多く含まれていることがわかりました。この事案から、SCP-2000-JP-2の内容に異常なミーム伝播性の存在が疑われ、後者に該当する職員にインタビューが行われました。
対象: 長良研究員
インタビュアー: 三笠カウンセラー
備考: インタビュアーにはSCP-2000-JP-2の精神影響による職務への影響が少ない職員が選ばれ、質問内容は適宜担当職員によって外部から指示が行われました。
[記録開始]
インタビュアー: 長良研究員、精神状態が悪いと言っていましたが、それはいつ頃からの話ですか?
対象: 1週間ほど前からです。
インタビュアー: その頃になにか特別なことをしていた心当たりはありますか?
対象: はい。とあるオブジェクトの実験をしていて……すみません、三笠さんのセキュリティレベルってどれくらいでしたっけ。
インタビュアー: 3です。
対象: ああ、なら話しても問題なさそうですね。
[対象によってSCP-2000-JP-2の詳細が話される]
インタビュアー: ……それはなかなかむごいオブジェクトですね。
対象: その日からというもの、先程言ったような夢を私も毎日見るようになりまして……家族とか、同僚とか、昔の友人が次々と殺されていく夢を。明らかにオブジェクトの影響を受けていることがわかったので、プロトコルにある通りクラスC記憶処理を依頼しました。
インタビュアー: では、それで悪夢は見なくなったのではないですか?
対象: そうですね……悪夢は見なくなったのですが、実験中にDクラス職員を終了しなければいけなくなった時に、あの夢がフラッシュバックするんです。それと同時に、幻聴のようなものが聞こえてきて。
インタビュアー: それは、どのような?
対象: 「この人殺し」「お前も私と同罪だ」「また悪夢に囚われるだろう」というものです。
インタビュアー: なるほど……それが終了のたびに繰り返されるとなったら、かなり精神的にきますね。
対象: はい……情けないです。
インタビュアー: 長良研究員だけの責任ではありませんから。とりあえず今はゆっくり休んで、上からの指示を待ちましょう。
対象: はい。今日はありがとうございました。
[記録終了]
インタビュー終了後、三笠カウンセラーにも長良研究員と同様の症状が見られたことから、SCP-2000-JP-2に異常なミーム伝播性があることを断定、1度でもSCP-2000-JP-2を経験した職員をキャリア-2000-JP-2と定義し、その全員にクラスC記憶処理が行われました。
補遺2000-JP.2: キャリアの大量発生と対応
2016年8月6日、SCP-2000-JP-2を一度も経験していない職員1名が突発的にキャリア-2000-JP-2となる事案が発生しました。当該職員は心理抵抗度が25と低めですが、SCP-2000-JPに関しては報告書を1度閲覧しているだけでした。この事案は初めて文書からキャリアが発生した例として捉えられ、SCP-2000-JPは一時Keterに再指定され、暫定処置としてSCP-2000-JPの報告書の閲覧には心理抵抗度制限が設けられました。
この発生をトリガーとして、全世界のサイトでキャリア-2000-JP-2が指数関数的な増加を見せ始めました。この中には心理抵抗度が25以上の職員も多く含まれており、明確な原因の特定が進まない中での大量発生だったため、当時の財団は記憶処理の実施という対症療法的な方法でしかこれを抑え込むことができず、潜在的キャリアの発生防止には至りませんでした。SCP-2000-JPの報告書は一時完全に閲覧が禁止されましたが、最初の突発的キャリア発生が職員の不安を駆り立てる事案だったこと、当初は心理抵抗度さえ基準を満たしていれば閲覧に問題はないと思われていたことから、禁止以前に報告書を閲覧していた職員が多数存在したため、全職員の11%が一時キャリアとなりました。この事案に伴って世界的に記憶処理剤の供給不足に陥ったため、記憶処理剤は基本的に新たに発生したキャリアに対して使用されることとなり、記憶処理未実施のキャリア約150,000人が暫定的に隔離サイト-81TTに置かれました。
現在は潜在的キャリアは根絶されたと考えられており、全キャリアに記憶処理が実施されています。また、SCP-2000-JPの報告書はセキュリティクリアランスレベル5が必要となり、対抗ミームによって拡散もほぼ完全に抑えられています。しかし、記憶処理済みキャリアのほとんどは、進退判断が為されないまま待機する事態となりました。
現在も大量発生の明確な原因は特定されていませんが、立川博士による仮説が最も有力とされています。これは、最初の突発的キャリア発生を知り「自分もキャリアになるのではないか」と不安を持つことで、SCP-2000-JP-2そのものへの局所的な心理抵抗が減少したことを原因とするもので、さらなる突発的キャリア発生による連鎖的な恐怖の増加で大量発生を説明することが可能です。
補遺2000-JP.3: 記憶処理済みキャリアへの対応
記憶処理済みキャリアのうち、特に精神影響により現職での勤務が著しく困難となっている職員の処分は喫緊の課題でした。主に一斉終了とDクラス職員としての再雇用の2つが提案されましたが、O5-08によって提案された案の1つとして、当該職員へのアクイタル・プロトコルの再実施がありました。これは、SCP-2000-JP-2による殺傷の忌避をSCP-001-JPによる精神負担の軽減によって相殺することを期待したものでした。当初、アクイタル・プロトコルの簡易さから数十万人の該当する職員に実施するのも容易であると考えられ、この提案は支持されました。最終的にキャリアを標本として実験が行われるまでに至りましたが、標本として選ばれたエージェント10人のうち6人が自殺、4人がうつ病の発症という結果に終わったため、却下されました。このうち、自殺したエージェントの1人による簡易的な日記の1部を以下に示します。
2016/10/12
今日から仕事に復帰できることになった。実験の参考のために日記もつけることになった。どうやらキャリアからの良い復帰法が見つかったらしい。といっても、まだ実験段階らしいから、参考のために日記もつけることになった。でも、カウンセリングを受けて何枚か写真を見せられただけで本当に効果があるのか?
正直人をまた殺すのは気乗りしないが、終了されるよりはマシだろう。
2016/10/13
今日、Dクラスを1人終了した。未だに幻聴は聞こえるが、以前よりはためらいなく引き金を引けるようになった。どうやら効果はそれなりにあるようだ。
2016/10/15
復帰してから3人終了した。引き金は引けるが、幻聴は前よりむしろ長くなっている気がする。でも仕事はできるから問題ない。
2016/10/18
5人終了した。幻聴は1日の半分ぐらい聞こえるようになった。仕事には全然問題ないが、流石にちょっとうるさくなってきた。
2016/10/20
幻聴は1日中聞こえている。でも問題ない。なんだか人じゃなくなってしまったみたいだ。
2016/10/23
声が1人じゃなくなった。終了するたびに大音量のうめき声が聞こえる。でも問題ない。
2016/10/24
今日も終了した。問題ない。
2016/10/25
問題ない。
2016/10/26
問題ない。
2016/10/27
問題ない
2016/10/28
もんだいない
2016/10/29
もんだいない
2016/10/30
そうか おれはわすれていたんだ
当該キャリア職員への処分議論がまとまらない中、倫理委員会からも意見書が提出されました。以下は意見書の全文です。
現在議論中のキャリア-2000-JP-2の処分について、私達倫理委員会は財団からの解放を提案します。あなた達は重要な前提を見落としています。
そもそも財団職員を解放せず終了する理由は何でしょうか? SCP-001-JPがあるためですよね。アクイタル・プロトコルは財団職員を他人の死を厭わないロボットにする代わりに、財団内に収容するプロトコルです。しかし、キャリア-2000-JP-2にはもはやその必要がないのではないでしょうか。他人を殺すことを忌避するというのは極めて健全な感情であり、SCP-001-JPの影響はないと言っても良いでしょう。つまり、彼らはもはや財団に収容しなくてよいのです。
もちろん、社会復帰や幻聴のカバーなど、課題は多いでしょう。しかし、できないことではありません。財団はこれまでも記憶処理やカバーストーリーを駆使して異常存在を一般市民から遠ざけてきました。終了やDクラスへの再雇用は確かに課題を解決するための簡単な方法ですが、今回に関してはただの"逃げ"です。もはやロボットではなくなった人間が財団の中で理不尽に生涯を終えることに、何の意味があるのでしょうか? 最も身近な一般市民すら守れなくて、何のための財団なのでしょうか?
どうか、O5の皆さんには真摯な対応をお願いします。
これを受けて、O5で再度協議の上、前述の倫理委員会の提言に対する採決が行われました。
O5評議会提言概要
提言: “勤務復帰困難なキャリア-2000-JP-2職員の解放、及びそのカバーに向けたプロトコルの制定。” (倫理委員会)
評議会投票概要:
是 |
否 |
棄権 |
O5-03 |
O5-01 |
O5-13 |
O5-04 |
O5-02 |
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O5-05 |
O5-06 |
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O5-07 |
O5-09 |
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O5-08 |
O5-11 |
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O5-10 |
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O5-12 |
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|
この結論により、勤務復帰困難なキャリア-2000-JP-2職員の解放に向けてプロトコルが制定されることになりました。プロトコルの詳細は協議中ですが、社会復帰に関しては財団フロント企業への斡旋、幻聴に関してはカバーストーリー「都市伝説 "天使のささやき"」の流布が盛り込まれることは決定しています。
無のコンテストエントリー予定記事です。
特に以下の点が気になっています。
これ自体は異常に思えるので、「この異常性の影響は小さいと考えられています。」とした方が自然に感じると思います。
タグに反ミームが付いてるのを見つけてもう一回見直すタイプの記事になりそうで、楽しみです。
>収容室の中央に静置されています。
静置ではなく収容のほうがいいかもしれません
>、視界にオブジェクトと同型の死体を視認します。
同型ではなく同一のほうがいいかもしれません
>上月氏の行方が分からなくなっています。
行方不明 としたほうがいいかもしれません
>復帰作が自分の自殺を15本集めた小説って……。純文学を書く人ならまだ分かるんですけど、上月先生はもともとミステリー作家ですから尚更気味が悪いです。
主人公の名前にペンネームを使ったり(辻村深月)、ページ数をメタ的にこだわる(清涼院流水)など、ミステリー作家はよくも悪くも癖が強いイメージがあります。ので、自分が死ぬ小説を書いたとしても、不思議ではなく、普通なようにおもえました
>いつも通りのミステリーを書いて欲しい、
「、」ではなく「。」のほうがいいかもしれません
H0H0さん、to2to2さん、コメントありがとうございます。参考にして、もう少し文章を練ってみようと思います。
文章の洗練およびバックストーリーの変更を中心に改稿を行いました。
内容としては一通り理解した後は面白いと感じましたが説明されないと分かりませんでした。
補遺2は本筋の理解を妨げますし無くて良いでしょう。
小説家として枯れて終わった人扱いされていたとかの方が本人の切実さが伝わるのではないかと思いました。話を理解する上で重要な小説家の心情は編集の話に集約されているのでもっとSNSが心の拠り所になっていたとか周囲に飽きられていたとかの要素は読者の目に付くよう強調した方がいいと思います。編集の話だけでなく本人のSNSの抜粋を見せるとかも良いかもしれません。
それから、補遺は後から付け足す物の事なので、説明を書いた時点で把握出来ていそうな情報は補遺ではなく説明の中に入れ込んだ方が報告書として自然かなと思います。