音羽猛被害者の会もしくは財団がゴキブリを売り始めた理由

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クレジット

タイトル: SCP-2591-JP - 音羽猛被害者の会もしくは財団がゴキブリを売り始めた理由
著者: ©︎Gokipo
作成年: 2022

アイテム番号: SCP-2591-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 財団Webクローラにより、SCP-2591-JPの発生と活動がないか常時監視を行います。SCP-2591-JPによる荒らしが検知された際には即座にアカウントをハッキングし停止させます。SCP-2591-JPが発生したDiscordサーバーには一時的に短期記憶処理ミームエージェントを流し、メンバーのSCP-2591-JPに関する記憶を消去します。

音羽氏の自宅に出現するSCP-2591-JP-Aは誘引材と空間転送装置を使用して捕獲し、座標がランダムに選択された山中でDクラス職員に殺害させてください。

説明: SCP-2591-JPは「音羽猛」という人物に殺害されたと自称するDiscordアカウントです。現在SCP-2591-JPは約56,000個ほどが確認されており、ユーザーネームは全て英数字5-13文字で構成されています。発生時点でSCP-2591-JPと通常のDiscordアカウントを区別するのは困難です。

SCP-2591-JPは、公開・非公開を問わない他サーバーに入室し、大量のメッセージを投稿して「荒らし」を行います。メッセージの内容は荒らしによって多少差がありますが、共通点として「音羽氏の氏名・住所・電話番号とされるもの」「音羽氏が大量殺人犯であること」を含んでいます。

荒らしメッセージ例

令和最悪のサイコパス殺人鬼!!!!!!! 音羽猛(おとわたける)を絶対に許すな!!!!!!!!!!!!!!!!

北海道札幌市██████████ ████████
███-███-████

財団はいくつかのSCP-2591-JPへダイレクトメッセージを使用してコンタクトを試みましたが、いずれも「音羽氏に殺害された」「音羽氏を許さない」といった趣旨の短文が返ってくるのみで、会話には至りませんでした。

補遺1: オブジェクト発生起源と思われる事象

「音羽猛」という人物は北海道札幌市に実在しています。音羽氏の住所・電話番号とされているものは、当初は札幌市中央区の飲食店『居酒屋海坊主』のものであり、音羽氏は当該飲食店でアルバイトをしていました。

音羽氏が勤務していた2019年5月-8月の期間、『海坊主』には大量のゴキブリが発生していました。日本の他地域に比べ、北海道はゴキブリの生息数が非常に少ないことが知られていますが、後述する音羽氏の告発文より、『海坊主』には統計的に推定される数の100倍以上のゴキブリが発生していたと推測されます。当時、音羽氏はホールやキッチン業務でミスを多発させていたため、このゴキブリの駆除を主な業務としていました。

2019年8月23日、音羽氏は店主に解雇を告げられました。その理由として店主は「音羽氏が勤務している時間帯だけゴキブリが大量に発生している」「音羽氏の名前を使用したいたずら電話が多発している」ことを挙げました。これらのことから、大量発生は音羽氏の勤務中にのみ起こっていたこと、SCP-2591-JPがこの時期には既に発生していたことが推定されています。

退職直後、音羽氏はSNS上で『海坊主』の杜撰な衛生管理を告発しました。この内容には、店内に大量のゴキブリが発生しているにもかかわらず、その駆除を全て1人の店員(音羽氏)が行っていたことが含まれていました。この告発により『海坊主』には多くの誹謗中傷が送られ、『海坊主』は休業を余儀なくされました。

財団は以前より異常性不確定案件としてSCP-2591-JPの活動を監視していましたが、この告発により音羽氏の周辺で異常な数のゴキブリが発生していることが判明し、関連性を確認するため本格的な調査を開始しました。なお、財団は本告発をカバーストーリー適用の対象としていません。

補遺2: オブジェクトの変容

音羽氏の退職以降、数週間SCP-2591-JPの新規発生は停止していましたが、2019年9月3日より音羽氏の自宅にもゴキブリが大量発生し始めました。SCP-2591-JPも再発し、メッセージに書かれる住所・電話番号も音羽氏のものへ変化しました。なお、SCP-2591-JPの発生停止から再発までの期間、札幌市街地の各地ににおいてゴキブリの死骸が報告されていたのは特筆すべき点です。

財団はSCP-2591-JPの発生原因がこのゴキブリ(SCP-2591-JP-A)の殺害にあると推定しました。初期実験として、財団エージェントが音羽氏の自宅で5匹のゴキブリを捕獲したのち、屋外でDクラス職員に殺害させたところ、30分以内にSCP-2591-JPが5件発生しましたが、荒らしメッセージの住所が殺害地点に変更されていました。「音羽猛」という文面は変化していないため、SCP-2591-JP-Aは自身の殺害地点は認識しているものの、殺害人物については認識していないことがわかりました¹。

その後、財団はSCP-2591-JP-Aの捕獲・屋外での殺害を継続して行っていましたが、『海坊主』勤務時よりも音羽氏のSCP-2591-JP-A発生地点への滞在時間が長いぶん、SCP-2591-JP-Aの発生量が飛躍的に増加し、殺害に膨大な時間がかかるようになりました。Webクローラへの負荷の観点から同時に大量に殺害することもリスクとなり得るため、捕獲したSCP-2591-JP-Aの一部を実験用動物としてフロント企業から製薬会社へ販売し、殺虫剤の研究開発に使用してもらうことで、殺害数・殺害時間の分散を図りました。

この結果、SCP-2591-JP-Aの殺害地点が製薬会社の実験室に集中し、SCP-2591-JP-Aがここを音羽氏の自宅と誤認したためか、以前から比較して半数ほどのSCP-2591-JP-Aが製薬会社の実験室に出現するようになり、音羽氏ひいては財団の負担が大幅に改善されました。現在もこの事業は継続されています。

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