SCP-1927-JP いと高き方のもとに

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2/1927-JP LEVEL 2/1927-JP
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Item #: SCP-1927-JP
Keter
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炉心交換中のSCP-1927-JP-148。

特別収容プロトコル

全世界的な宗教学および考古学、古物オークションのネットワークは監視されています。宗教遺物の発見または既知の聖遺物の盗難、紛失に関する言及は記録されます。戦術的神学部門は未発見ならびに所在不明のSCP-1927-JPを捜索、回収しなければなりません。

回収済みの全てのSCP-1927-JPは解体され、相互に分割された状態で鋳鉄製のアキヴァ遮蔽チャンバーに保管されています。炉心の神学的背景に基づいた儀式的な清掃と点検が認可されています。残留する高レベルアキヴァ線源による残渣被曝を防ぐため、保全要員はクラスIII以上の対神性防護装備を使用してください。

アヴィニョン協定の制約に基づき、SCP-1927-JPの再組立、複製および模造、新規開発と生産、性能向上を目的とした改良は禁止されています。SCP-1927-JPの再拡散を防止するため、世界オカルト連合との外交ラインは将来にわたって維持されます。安全保障手順-528"定期査察"は、錬金術部門と連合PTOLEMY部門によって実行されます。

説明

SCP-1927-JPは異常な機械構造物です。SCP-1927-JPは主として硬木やリネン素材、卑金属の合金、少量の宝石と貴金属で構築されており、その構造は物理的剛性よりも儀式的な耐久性を重要視しています。SCP-1927-JPの形状は個体によって安定せず、また炉心との相互作用により、しばしば自律的に再構成されることが知られています。

SCP-1927-JPは擬似的な第二種永久機関であり、神力をランダムなエネルギーに変換する小規模な儀式場として振る舞います。SCP-1927-JPは適切な資格者によって組み上げられた炉室に広範な信仰1を集める宗教的シンボルを安置することで活性化し、炉室内のシンボルを媒介とする異常な量のアキヴァ放射線を発生させます。個々の構成材質にアキヴァ遮蔽能力が皆無であるにも拘らず、発生したアキヴァ放射はほぼ完全に吸収され、出力器から物理またはEVEエネルギーとして放出されます。

2010年現在、財団は527基のSCP-1927-JP実例を認知し、うち338基を収容または無力化しています2。相当数の認知されていないSCP-1927-JP実例が現在も稼働しているか、稼働可能な状態にあると考えられています。臨界-昇華イベントに伴う不可避の信仰撹乱のリスクを最小化するため、SCP-1927-JP実例の捜索は継続されています。

補遺1927-JP.1: 歴史

SCP-1927-JPの基礎理論は、魔術師学会の初期の理論的指導者クリスチャン・ローゼンクロイツ3によって体系化されたと考えられています。当時、"天使力"の実存証明と応用は錬金術における先進的な論題の一つでした。亜次元的に引き出されたエネルギーを封緘し、定量的に計測できる技術が存在しなかったことと、カトリック教会による徹底的な弾圧を受けたことで、これらの理論は長期間に渡って遺失していました。

SCP-1927-JPの現在の形式は、ジョセフ・バルサーモ4によって18世紀中頃に確立されました。

ロードス島の工房から発見された手記、第87節から:

"……工房の霊的安定をようやく得ることができた。 騎士団はこの島を毛嫌いしているが、私には約束の地のごとく思える。スルタンの威光は翳りつつあるが、ここでは教会も皇帝も騎士たちも、私の探求をどのように害することもできない5。"

"薔薇十字の名が山師の方便となって久しいが、神力と魔力の稠密な関係についてのみ、創始者の大偉業は翳ることなく輝いている。200年にもわたってこの理論が放置されたことは理解できる。エジプトでの彷徨は意味あるものだった — 始祖の智慧なくば、私とて秘奥に辿り着くことはなかったろう。"

"魔力は神力を拒否するが、神力は魔力に[順応/適合]する — この非照応的な関係は、神力を魔力に完全に転換することで解決できる。何故ならば、神力は天上の意志であり、魔力は地上の[人間/実存]に対応するから、両者は一方通行でありながら、明らかに隔絶されてはいない。"

[記述の欠落]

"聖変化原理は[人間/実存]要素の再構築を示したが、これは同時に神力の魔力への再編にも適用されうると解すべきである。天使の実在は教書ごとに矛盾した解釈を執って説明される。しかるに、触媒とされるのは象徴性であり、これは[正当/正常]性の議論とは無関係である。"

[判読不能]

"神は高くにあるが、その力は遍く地上にあり、被造物は神の意志を受ける。であれば、大いなる[光/輝き]とはまさに天使力の降下であって、私はついに黄金を得ることができるだろう。"

ヴァチカンの記録によれば、バルサーモに対する1789年の異端審問は"極めて重大な神聖体への冒涜行為"の罪状によるものだったとされています6。投獄と前後してバルサーモの研究資料の大部分は教会に破棄されましたが、一部は彼の後援者によって秘密裏に持ち出されました。

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E.ヴァルター、奇跡工学者。1883年の肖像。

補遺1927-JP.2: ブライスロード・インシデント

SCP-1927-JPの最初の実例は、1892年に黄金の夜明け団によってインヴァネスの工房で構築されました。1874年の特別報告以後の西洋奇跡学の進展により、神力の物性変換に関する研究は実用可能な段階に達していました。最初期の完成品はアキヴァ-ヴァルター信仰変換器と命名され、パリで実験的に運用されました。

超常現象の確保収容に関する王立財団7はSCP-1927-JPの実用性に懐疑的な姿勢を示し、回収および調査に消極的でした。この消極性は1900年4月、ブライスロード・インシデントの発生に繋がりました — 事態の掌握に前後して財団は方針を転換し、実例の回収および開発に関与した要注意人物の捜索を開始しました。開発を主導した奇跡工学者エドゥアルト・ヴァルターは財団の追求を逃れてバイエルン王国に亡命し、直後に行方不明となりました。暗殺が疑われています。

全世界的な超常ポテンシャルの混乱と、ブライスロード・インシデント以後の黄金の夜明け団の分裂により、SCP-1927-JPの基礎理論は大陸諸国に急速に拡散しました。現在に至るまで、SCP-1927-JPの痕跡を超常社会の記録文献から抹消する試みは部分的な成功に留まっています。

序文、ブライスロード事件についての覚書、1900年4月15日夜半

悪夢のごとき2日間が過ぎ、漸く検死業務から解放された。今、私は数日ぶりに自宅に戻り、葉巻に火を点している。肺病の毒ではあるものの、肉の臭いから逃れるためにはこれが最上の策となるだろう。

最終的に、私とバスケスは19体の遺体を回収した。婦人とわかるものが4体、子供は2体だった。胴体のない手足も複数見つかった。魔術師どもに至っては、塵も残さず溶けたものもあるに違いない。

何が彼らを凶行に走らせたかを窺い知ることは難しい。ブライスロードの神殿は崩壊し、多くの民間人が巻き込まれた。原因が魔術師どもの内紛であるとすれば、我々の間者は裏切り者か、気付かれていたか、完全な無能だったということになる。卑劣漢のクロウリー8は逃亡した。炉に最後の火を焚べたのは奴で間違いないだろう。

炉は消失した。正確には、じき消失するだろう。カシアンが地下に続く直線的な縦穴を発見した。人夫が1人落下してしまい、助からなかった。どのようにしてかは不明だが、猛烈なエネルギー放出の結果として聖遺物は異常な重量を獲得し、岩盤を削り取って地下へ落ちていった。回収手段は見つかっていない。

司教座と連絡し、ミサの準備を整えた。霊脈は崩壊寸前だが、立て直すことはできる。幸い、ヤードは隠蔽に協力的だ。すべてを終わらせ、その後は — 魔術師狩りを始めねば。

女王陛下と王国の安寧のために、
C. ブラックウッド

補遺1927JP.3: 拡大

SCP-1927-JPの拡散は既存の宗教遺物及び魔術触媒の実用価値を向上させ、世界的な要注意団体の活性化を招きました。トゥーレ協会を始めとするヨーロッパの隠秘学結社はSCP-1927-JP実例の製作を目的とした聖遺物探索を開始し、各地で現在の財団の前身組織および土着の魔術集団、壊れた神の教会などの異常宗教組織との衝突を引き起こしました。

トゥーレ協会の思想を継承するアーネンエルベ・オブスクラ軍団は、最初期にSCP-1927-JPの量産と兵器化を志向した機関でした。第7次オカルト大戦勃発時点において、現存していたSCP-1927-JP実例のおよそ48%がオブスクラ軍団と関連組織によって掌握されていたと考えられています。大戦における記録された主要な戦闘のほぼ全てにSCP-1927-JPの関与が報告されていることは注目するべきです。

以下は第7次オカルト大戦中に運用されたSCP-1927-JPのリストの抜粋です。完全なリストの閲覧にはキャベンディッシュ主任博士の許可が必要です。

番号 運用組織 説明
#131 オブスクラ 製造コード"モーリスの槍"。当初は実用試験炉として運用されていたが、戦況悪化に伴い水上艦の動力炉として改造された。北海における連合国およびAOI9との一連の戦闘で喪失。
#148 英国オカルト局 イスラエル・リガルディー10から売却された起源不明の実例。ドイツ空軍による爆撃からウィンザー城を防護するために運用された。終戦後は同局の管理下で凍結状態にあり、1989年に何者かに盗み出された。ORIAの関与が報告されている。
#155 ペンタグラム11 R1"ナイチンゲール"奇跡論爆弾の炸薬。同型のアキヴァ弾頭は計7発製造され、枢軸国の重要施設における神学的防御機構を無力化する目的で運用された。オーバーロード作戦中、カーンの戦闘で使用され喪失。
#183 オブスクラ 製造コード"流星"。北海沿岸の軍用鉱山で石油及び銀の採掘に使用されていた。ポーランドへの赤軍の侵入以後、GRU"P"部局に接収されたと考えられている。
#210 オブスクラ / RIDIA12 製造コード"ラインの黄金"。RIDIAの従軍魔術師部隊に供与され、地中海およびバルカン西部戦域の異常宗教組織掃討に使用されていた。未確認の戦闘で喪失したものと思われる。エルズィンジャン地震との関連が疑われる。
#250 N/A 英国のチベット探検隊が消息を絶った2週間後、未確認のアキヴァ放射パターンがヒマラヤ高地で確認された。同地における壊れた神の教会の小集落は1943年に中国へ越境した。日中戦争の混乱から、事態の詳細は記録されなかった。
#266 オブスクラ 製造コード"真なる杯"。対象は完全に喪失したものと見なされる。

SCP-1927-JP-266についての詳細は、インシデント記録: オメガ-ネロを参照してください。

補遺1927-JP.4: オメガ-ネロ

1945年5月25日未明、リューネブルクの森番は異常に変形した人型の実体が森を出て国道方面へ逃走する様子を目撃しました。間もなく、前日に捕虜収容所で自殺したハインリヒ・ヒムラー13の遺体が収容所の冷凍室から消失していることが明らかになりました。冷凍室の内壁は異常な力で破壊され、検死時に切り取られたヒムラーの前頭葉はホルマリン溶液内で微弱な活性を示していました。英国オカルト局の担当エージェントは、何らかの異常な作用によりヒムラーが蘇生、肉体を再構築して逃走したことを予測しました。

同日中に、ベルリン市内で赤軍の管理下にあったアドルフ・ヒトラーの遺体の少なくとも下半身が行方不明となりました。ソビエト連邦当局およびGRU"P"部局は事態の隠蔽を図り、財団とAOIの状況掌握は不完全でした。複数の爆発と銃撃がフランス陸軍の憲兵隊によって記録されました。

ベルリン上空における臨界-昇華イベントは午後10時39分に開始されたと考えられています。イベントはおよそ2時間にわたって継続しました。カバーストーリー"重要戦犯の捜索に伴う照明弾投下"が適用されました。

イベント.jpg

進行中の臨界-昇華イベント、ベルリン市街上空。1945年5月25日深夜に撮影。

第一次聞き取り調査の書き起こし

供述者: ハワード・フィッシャーマン、主任考古学者

聴取者: サミュエル・エベルストロム

日時: 1945年5月30日、正午


始めよう……まだ少し混乱しているが、話すことくらいはできるようになった。どこから手を付けるんだ? 調査に取り掛かったところから? それともあの怪物のことを?

ああ、調査は17日からだった。王立財団は2週間早く到着していたが、ヴェーヴェルスブルク14の安全確保に手間取っていた。50人以上の魔術師が呪いを投げつけあって、その半分が狂い死にした場所だ。大事をとるに越したことはないし、ロシア人の件もあった。あの不気味な連中は何もかもに文句をつけてくる。奴らと一緒に食事をするのは耐え難い、わかるだろう。

アーネンエルベが溜め込んだ貴重な文化財をできるだけ回収するのが私の役目だった。それで、まず連中の書庫から始めた。焼け残った目録から埋もれた宝の概要を掴むんだ。シュメール人の石板を読むような調子で、焼け跡を這い回って紙という紙をかき集めた。

奇妙な記述がいくつも見つかった。コレクションのリストを暗号化するのは神経症患者か盗賊と相場が決まっているが、アーネンエルベはその両方だ。"盃"という単語の登場は特に頻繁で、そのくせ所在への言及がない。何か重要なものを隠し持っていると思ったよ。

4日かかって、城の見取り図から地下施設の入り口を特定した。足元に何か広大な空間があることは分かっていたが、問題はその後だ。

財団の科学者が妙な計器を持ってきて、アキヴァがどうこうと言い出した。最初は新式のガス計だと思っていた。ところがすぐに軍人がやってきて調査を仕切ると言い、ロシア人も顔を出して、見る間にもう一度戦争が始まる勢いになった。急いで君に電報を打ったよ、フリッツではこうはいかなかったろう。

とにかく、発掘の主導権を巡って争いが起き、地下室は手つかずだったんだ。私達はそちらを後回しにして、大広間の壁画を保護するのに忙しくしていた。共産主義者がいつ停戦を破るかわからない状況で、勇み足をするわけにはいかない。分かっているよ、まったく馬鹿げた判断だった。25日の夜まで、地下室は瓦礫で塞がった入り口に覆いをかけただけで放置されていたのだから。

日没前だったと思う。城の方から猛烈な音が聞こえて、宿から飛び出した。駐屯兵はソ連軍の攻撃だと思って怖気づいていた。私とクシュナーはライフルを手に取り、城を見に行って、そして……

すまない、ありがとう。今でも自分の目で見たものが信じられない。あれは地下室を文字通り掘り起こして、中からなにか巨大なものを取り出していた。およそ10フィート四方の……金属の、複雑な箱のようなものだ。それぞれのパーツは精緻に噛み合って駆動していた。大量の歯車から微かな空電音が聞こえた。戦闘機のエンジンに似ていたが、もっと重要なものだ。何故だかわからない。だがそう、心の底から感じることができた。

反対に、あれはおぞましい怪物だった。初めのうち、クシュナーは多くの人間が中庭に集合していると言った。しかし、実際には……あれは集合体だった。幾人もの、20を超える人間の集まりだ。融合し、身体のパーツを収斂していた。右腕だけが滑稽なほどに大きく、その腕で箱を取り出していた。左腕は精々2人か3人分のサイズしかなかった。何かを脇に抱えているようにも見えたが、暗い中では黒く折れ曲がった陰影にしか見えなかった。

怪物は地下室から箱を取り出し、その蓋を開けた。異様な光景だった。光が……純粋な光が見えた。乳白色と金色の入り混じった、しかし辺りは暗いままで、私はそれを輝きとして理解していたが、たぶんあれは光ってなどいなかったんだ。

箱の奥に盃が見えた。遠目にだがはっきりと見えた。どちらかというと形は鉢に近かった。小ぶりで、赤みを帯びた木でできているようだった。古臭く、価値などない小物のようで、ただ美しかった。

だがあの怪物は左の腕で、抱えていた何かを……詰め込んだんだ。そう、箱の中に。砕きながら乱暴に押し込んで、そして蓋を閉めようとした。

あの時初めて、私は自分を思い出した。幼いころ、祖母に連れられて通った、フォートガーデンの教会を。蝋燭の煤で汚れた磔刑像を拭いたことを思い出し、そして……引鉄を引いた。隠れていた石壁から身を乗り出して、鬨の声と共に、全部を撃ち尽くしたんだ。クシュナーもそうしていた。彼は私なぞよりずっと信心深かったし、何より、鴨撃ちの名手だった。

何が起きたのかはわからない。とにかく、箱の蓋は閉まっていなかった。あの奇妙な光は弱々しいものになっていた。太陽は沈んでいた。怪物は……あれは私達を見ていなかったと思う。まったく反応していなかった。まるで何かが欠けているように、ただ詰め込み続けていた。

突然、猛烈な閃光が走って、私もクシュナーも薙ぎ倒された。城の半分が倒壊したようだった。瓦礫の中で、私は光がベルリンの方角に飛び去るのを見た。

あとは知っての通りだ。イギリス人たちが駆けつけるまでの間、私は気を失っていた。目を覚ましたときには何もかもが終わっていた。手遅れだった。

私は考古学の道に進んで長い。これまで幾度となく、この手の与太話を聞かされてきた。シナイの洞窟、レンヌの修道院、スコットランドの離れ小島、ノバスコシアの森……どれも信ずるに値しない法螺吹きの戯言だ。しかし今、私にはその姿が見える。あの美しい輝きが目に焼き付いて離れない。一瞬のことだったが、私は確かに……奇跡の一端を目にしていた。

なあサム、どうか教えてくれ。

あの杯は真実だったのか?

以下はヴェーヴェルスブルク城の地下遺構から回収された、オブスクラ軍団の軍事指導者コンラート・ヴァイスと、アーネンエルベの錬金術部門主任であった奇跡工学者カール・エレンバウアーによる往復書簡の一部です。

発: カール. A. エレンバウアー

宛: コンラート. ヴァイス

題: 配備遅延


ヴァイス閣下、

計画の進行遅延について謝罪いたします。72号RR15動力系の制御は難航しています。大帝の槍を炉心とすることで出力安定に至りましたが、調整に伴う炉心の開放は多量の黄金力放射16を発生し、これに被曝することは作業員の精神的健全性に悪影響を与えています。

改宗は不可避の問題です。ゲルマン祖先宗教への積極的啓蒙にも拘らず、作業員の多くは安息日のミサへ参列することを熱烈に主張しています。出力増強のためにより強大な炉心を使用すれば、さらなる混乱を生むでしょう。未来あるゲルマン民族の若者が時計仕掛けや脳腫瘍を崇拝するようになれば、帝国の未来は暗澹たるものです。

奪還計画の再考を重ねてお願いいたします。邪教徒の遺物は帝国の栄光の妨げとなります。人々の未来は、民族の神話によってのみ啓かれるべきです。

HH

24.VI.1938

発: コンラート. ヴァイス

宛: カール. A. エレンバウアー

題: 計画進展


ドクトル、

先日の提言について再度検討した。貴殿の懸念に同意する。しかしながら、列強の先史遺産収奪に対抗し続けている第三帝国の現状を鑑みれば、提言を受容することは困難である。

人類学部門からの助言は傾聴に値するものだった。今後、非ゲルマン人種の技術者は重要機密作戦に従事するものとゲルマン女性を配偶者に持つものを除いて、順次RR運用部門に割り当てられる。2等人種がいかほどに肉の邪教に傾倒しようとも、帝国の未来を揺るがすことはないだろう。

奪還計画は既に進行中であり、いずれ第一陣は貴殿のもとに届く。異教の遺物が中心となるだろうが、最終的にはアーリア民族神話由来の秘宝が戦力の中核となるだろう。

薔薇十字団の秘術はドイツ民族の財産であり、他国に遅れを取ることは断じて許されない。健闘を期待する。

HH

3.VIII.1938

発: コンラート. ヴァイス

宛: カール. A. エレンバウアー

題: 運用計画再考


ドクトル、

アメリカ人たちはRRを爆弾として用いているようだ。ラ・プラタ沖の水難事故現場から疑わしい物資が水揚げされた。民族の誇りを持てない詐欺師たちの考えそうなことだ — 無論ながら貴殿のことではない! 父祖の遺産を火に焚べる愚行は許し難く、いずれ彼らの支配する遺物をも取り戻さなければならない。

だが、興味深い事実がある。沈没した貨物船の生存者はフランス系で、十字架と聖書を身に付けていたが、彼はインド占星術に傾倒していた — 明らかについ近日、劇的な宗旨変えをしていた。この件に関して、ゲルマン学部門から興味深い考察が届いている。

貴殿が報告してくれたように、RRによって遺物に沿った特質を与えられた黄金力放射は人間の大脳に作用する。大いなる存在への帰依を誘導するこの特質を利用し、十分に信仰を集めた聖遺物とRRによる黄金力放射を適切に用いれば、歴史の彼方に消え去ったゲルマン祖先の宗教を蘇らせることができるのではないか? キリストによって簒奪された始祖の神話、インド・アーリア族の威光を地上に取り戻せるのではないか?

ヴュスト17所長はヒムラー閣下にこの件について諮っている。予算化が承認された暁には、貴殿の組織を再編成し、宗教学者を派遣することになるだろう。東方は未だ不安定である以上、ポーランド人の教化は急務だ。この分野で我々が親衛隊に遅れを取ることがあってはならない。

戦果を期待している。

HH

23.V.1940

発: カール. A. エレンバウアー

宛: コンラート. ヴァイス

題: 筐体完成


ヴァイス閣下、

124号までの筐体が完成し、実装ラインへの準備を待っています。ロシアで回収部隊の失敗が続いたため、炉心不足が深刻です。現在のところ、我々の部隊に差し迫った任務はなく、チベットから持ち帰られた新技術の体系を試験することに時間を費やしています。

中国人が機械信仰者たちの技術を受容できたとは、俄には信じ難いことです。肉体と機械を融合する彼らの手技は、オドの変質をどのように制御するかについての新たな知見を齎しています。150号には彼らの技術も盛り込まれる手筈になっています。信仰の拡散はより大規模で、類を見ないものとなるでしょう。

調査隊がアフリカから帰還したと耳にしました。閣下が直接私に仰ることがないのであれば、彼らは失敗したのでしょう。多くの隊員が喪われたと聞いています。伝説にある通り、杯を追い求める者は危難に晒され、生き残ったものだけが栄光を手にするでしょう。私はただ待つより他にありません。

計画の成功を祈っています。

HH

19.II.1943

発: コンラート. ヴァイス

宛: カール. A. エレンバウアー

題:


彼らは豊穣の杯を手に入れた。

父祖と神霊の導きあれ、

HH

7.VIII.1944

聖杯.jpg

回収された炉心。

補遺1927-JP.5: 波及

1964年、ポートランド近郊で発生した住宅火災の現場に出動した消防士の発言が地元メディアによって報道され、財団の注意を引きました。消防士は火災現場で"身の丈ほどもある巨大な歯車の塊"を発見し、その内部の"美しい杯"が火元だったと証言しました。財団は秘密裏に現場を調査し、焼損したSCP-1927-JP実例の遺構から炉心となった遺物を回収しました。住宅の所有者は著名なオカルティストでしたが、火災の2年前に死亡しており、超常社会との関与は認められませんでした。

考古学部門による鑑定の結果、炉心は金メッキが施された真鍮製の工業製品であると判明しました。販売店への調査は、杯が1961年にオーダーメイドの土産物として製造されたこと、製造工程は完全に非異常かつ非神聖なものであることを示しました。地元消防局の調査員を装った財団エージェントの尋問に対し、製造業者は杯の底面に記されたルーン文字が販売時には存在せず、後から付け加えられた旨を指摘しました。

錬金術部門による試験炉での運用調査は、炉心が一般的なカトリック系宗教遺物の約65%の出力で安定稼働することを示しました。

以下は杯を販売したポートランドの骨董品販売業者、ジョアン・ヒギンズへの尋問記録です。

尋問対象: ジョアン・ヒギンズ

尋問者: ギデオン・キャベンディッシュ研究員

カバーストーリー: ポートランド訟務局による古物詐欺の捜査、ならびに立件準備。


<記録開始>

ヒギンズ: なあ、もう帰ってもいいか? 俺は訴えられるようなことは何も —

キャベンディッシュ: 判事がどう思うかはわかりません。貴方が、そう……土産物に細工をして、まるで戦争出土品のように見せかける常習犯だと知ったらね。

ヒギンズ: ハ、あんなものは犯罪でもなんでもない。

キャベンディッシュ: そうでしょうか? 3年前に貴方が売った"聖杯"の紛い物に関連して、4軒の住宅が全焼しました。怪我人は8名。現在までに市が支払った金額の合計をここで請求書にしても?

ヒギンズ: 冗談だろ、おい。

キャベンディッシュ: それにしてはつまらない話です。なぜ細工を?

ヒギンズ: クソ……あんな奴に売るんじゃなかった。有名なマニアだったんだ。ナチの骨董を探してて、俺が鉄十字章を売るというと —

キャベンディッシュ: [遮って] 厳密に話してください、私は貴方をいつでも告発できる。

ヒギンズ: 勲章は本物だった! 信じろよ。とにかく、奴はそんな物はもう持ってると言ったんだ。もっと隠されてる代物を探してると。馬鹿みたいに声を潜めて、まるで監視されてるみたいな素振りだった。そういう客にはお決まりのやり方ってのがあるんだ。何をお探しですかいと小声で、上目遣いで聞いてやる。怯えた素振りもして……すると奴は言うんだ。"ヒトラーの聖杯"!

キャベンディッシュ: 売ったんですね?

ヒギンズ: 苦労したぜ。輸送の手配中だと言って何度も店に通わせ、奴の趣味に合うものを見繕った。本当にそれだけだ。値段は多少吹っ掛けたが、取引は公正さ。杯には確かにルーンを彫った。"SIG"、勝利ってな。ナチ趣味の馬鹿野郎にお似合いだろ。

キャベンディッシュ: 受け渡しはどのように?

ヒギンズ: 丁寧に梱包して、雰囲気が出るように裏口から。あの野郎、本気であれがヒトラーの遺品だと信じ込んでやがった。なあ、俺は本当に何もしてないんだ。

キャベンディッシュ: ありがとうございます、ヒギンズさん。貴方の詐欺行為についてはともかく、そういった物を求める人物は多いのですか? 聖杯を求める人々は?

ヒギンズ: 近頃は特に多いぜ。この近辺にも20人かそこらはいるだろう。元兵士が死ぬと戦場から持ち帰ってきた品が故買屋に回るから、ナチから奪った宝物が安値で売られるって噂になっている。それで考えなしの連中が蝿みたいに湧いてきて、古物市場を漁り回るのさ。

キャベンディッシュ: 誰も噂を否定しないのですか?

ヒギンズ: 商売にならねえだろ? 売ってくれと言われたら売るしかない。俺たちは使い古しのがらくたに託した夢を売る。聖杯なんてのはまさに夢の中の夢だし、何より、もしかすると……

キャベンディッシュ: もしかすると?

ヒギンズ: 本当にあるかもしれねえからな。

<記録終了>

2010年現在、財団の認知するSCP-1927-JP実例の18%が"ヒトラーの聖杯"に関連しています。現時点では、全ての炉心は近年製造された贋作であることが確認されています。捜索の試みが継続されます。


気になっている点

  • 面白いか?
  • オチが弱くないか
  • 歴史をただなぞるだけでなく、オリジナリティを感じられる仕上がりになっているか
  • むやみに長くなっていないか
  • 臨界-昇華イベントまわりの説明は必要か(現状では流れを良くするために敢えて削っています)

スポイラー

  • 信仰パワー変換器。宗教遺物を触媒にしてエネルギーを引き出し、中身がスゴイとパワーも増える。ただしエネルギーの種類を選べない。オカルト版原子炉。作るのはそこそこ簡単。
    • 神力=アキヴァ放射を引き出してエネルギーに変換するので、アキヴァ放射を浴びると色々おかしくなる。
    • 近代の考古学/発掘/神秘思想ブームの影の火付け役であり、第7次オカルト大戦の遠因のひとつ。
  • アーネンエルベはこれを作りまくり、本物の聖杯を発掘してこれに搭載した(#266)。
  • 結局史実通りナチス・ドイツは負け、ヒムラーは自殺するが、後に自分に仕込んだオカルト技術で蘇生する。
    • しかし脳の一部を切り取られていたのでまともな思考を得られず、ヒトラーの死体を奪って拠点に戻るも#266の起動に失敗。
    • 臨界-昇華イベントでヒトラー+聖杯の概念が結び付けられて拡散してしまった(聖変化原理の逆転)。
  • 現代に至り、ナチスの聖杯は人々に"信仰"されているため、SCP-1927-JPは模造聖杯でも作成できてしまう。
    • 財団とGOCはなんとか収容しようとしているが、うまくやると素人でもお手軽に原子炉が作れてしまううえ、理論が広く知られているので難航している。

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画像ライセンス

ソース: flickr
ライセンス: CC BY-SA 2.0

タイトル: turbine
著作権者: Arnooo
公開年: 2007


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