SCP-1518-JP 錆びた歯車<共著改稿>

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不明な時点で撮影された、SCP-1518-JPの写真

アイテム番号: SCP-1518-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1518-JP-1へのインタビューは5日に一度実施されます。スケジュールの遅延は認められません。北米大陸におけるGoI-004A("壊れたる教会")1の活動を監視し、異常な機械部品の移送を妨害または阻止します。想定されうるCK-クラスシナリオを阻止するため、すべてのSCP-1518-JP-2は回収されなければなりません。

SCP-1518-JPは、研究収容サイト-310の地下大型倉庫に収容されます。倉庫天井部に紫外線スクリーンを設置し、倉庫内を滅菌処理してください。倉庫の出入口を施錠し、警備員2名を配置します。SCP-1518-JP-1が死亡した場合、警備員を増員し、倉庫内を常時巡回してください。新たなSCP-1518-JPが起動し確保された時点で、この措置は解除されます。

SCP-1518-JP-1は、研究収容サイト-310医療棟のクラスI滅菌収容室に収容されます。医療部門から割り当てられた医師2名、看護師4名がSCP-1518-JP-1の治療にあたっています。収容室への入室にあたっては、標準的な抗病原体処理が必要です。SCP-1518-JP-1が死亡した場合、遺体を焼却し、残存部品を回収してください。

説明: SCP-1518-JPはヒト由来組織と機械部品によって構築された、同一の外見的特徴を有する半機械的人型実体群です。SCP-1518-JPは完全な停止状態にあり、一切の外部刺激に反応を示しません。外部からの働きかけによってSCP-1518-JPを起動するあらゆる試みは失敗しています。現在、財団が収容しているSCP-1518-JPは139 128 114 103体です。

SCP-1518-JPの身体構造の約40%は精密な機械部品群に置換されています。これらの部品は主に消化器系および循環器系の各器官の代替品だと考えられています。SCP-1518-JPのヒト由来組織は、異常な非代謝性のプロセスによって損傷を最長15時間程度で自己修復します。機械部品群は異常な耐久性を有しており、また放射線を透過しません。SCP-1518-JPの破壊は不可能であると考えられています。

特筆すべき点として、SCP-1518-JPの機械部品の多くは臓器の模倣としては異常な構造を有しています。これらの形状は個体によって変異がみられます。構造への理解は遺体から回収された部品の解析から得られました。以下はその一例です。

  • 心臓と大動脈に相当するポンプ群の異常な分岐と合流。
  • 肝臓に相当する複合ギアボックスの著しい肥大化。
  • 肺の一部に相当する圧力バルブの顕著な強度不足。
  • 大腸に相当する大型チューブの多数の破孔、ならびに内部隆起。
  • 横隔膜に相当するスクリーンの損傷、あるいは欠損。

SCP-1518-JP-1は、起動状態のSCP-1518-JPです。SCP-1518-JP-1個体の完全な死亡は、24時間以内のSCP-1518-JPの新たな起動に繋がります。また、SCP-1518-JPが同時に複数起動した事例は確認されていません。

SCP-1518-JP-1はヒトにおける多臓器障害に相当する疾患を有しており、また一般的なヒト感染症に対して免疫的に無防備です。これは臓器を代替する機械部品の異常な構造に起因していると考えられています。多臓器不全ならびに複数の免疫疾患を中心とした複合症状により、SCP-1518-JP-1は起動から平均して7日以内に死亡します。SCP-1518-JPの異常特性はこれらの症状に対する治療を困難なものとしており、財団医療部門は適切な治療に失敗しました。収容に対する協力的な態度を維持するため、医療用麻薬を用いた緩和療法が許可されています。

SCP-1518-JP-1は知性を有しており、標準的な北部方言の英語で会話可能です。これまでに確認されたすべてのSCP-1518-JP-1個体は同一のパーソナリティを示した一方で、以前に死亡したSCP-1518-JP-1について認識しておらず、記憶は引き継がれていませんでした。各個体へのインタビューによれば、SCP-1518-JP-1は1857/07/21にアメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン区で誕生した白人男性、ロイド・アーチボルト(Lloyd Archibald)です。1924年現在、SCP-1518-JP-1の外見は20代半ばのように見え、老化の兆候はありません。

SCP-1518-JP-2は、GoI-004Aの崇拝する神格に関連すると仮定されている異常な機械的実体群です。SCP-1518-JP-2は未回収であり、その詳細は不明です。

SCP-1518-JPは、1924/07/03に実施されたGoI-004Aのマンハッタン-スタテン合同教区に対する財団の一連の捜査の結果、FoI-1518-JP2("アーチボルト邸")地下で発見されました。


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FoI-1518-JP回収物の一部。

補遺1518-JP.1: FoI-1518-JP制圧作戦の報告書

FoI-1518-JPはマンハッタンにおける著名な旧邸のひとつで、市の管理する史跡として登録されていましたが、本来の所有者に関する情報は長らく不明でした。1857年にGoI-004Aのマンハッタン-スタテン合同教区が成立した後、回収された内部資料における"アーチボルト家"に関する言及から、財団はアーチボルト邸をFoIに指定しました。

以下はFoI-1518-JP制圧作戦に参加した機動部隊により作成された活動報告書です。マンハッタン-スタテン合同教区における一連の捜査結果は、サイト-310情報管理保全部書庫にて閲覧可能です。

機動部隊活動報告書


関連する機動部隊: 機動部隊スティグマ-9("自然発生する歯車、梃子、滑車からの進化")
命令者: サイト-310管理官
場所: アメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン区
日付: 1924/07/03

行動計画:

  • FoI-1518-JP "アーチボルト邸"の制圧。
  • GoI-004A構成員の捕縛若しくは終了。
  • 所有アノマリー・資料の回収。
  • 必要に応じた隠蔽工作。

行動結果: 作戦成功。行動計画は問題なく遂行された。

17:30に作戦開始。45分間の作戦行動の結果、FoI-1518-JPは制圧された。予想されたGoI-004A構成員との交戦は発生せず、また邸宅内へのヒト型存在の居住実態は確認されなかった。人的損害なし。

大量の非異常性物品に加え、以下の物品が回収された。

  • GoI-004Aの紋章が刻印された用途不明の機械部品、14点
  • 鉄合金製にもかかわらず一切の磁性を有さない精密工具、55点
  • 羊皮紙片に高級インクでしたためられた"破片の書"のコピー、多数3
  • 未知の理論で暗号化処理された書簡4、8点

物品の多くは1階北棟の書斎と居間で発見された。回収物品はサイト-310に移送された。

また、登記局が保管する建築図面に記載のない地下構造が発見された。北棟書斎奥の隠し扉の開放に失敗したため、発破処理が行われた。隔壁内部への機動部隊スティグマ-9の突入は18:30に行われ、小規模な戦闘が発生した。最終安全確認は23:15に完了した。

戦闘経過: 戦闘はおよそ3時間継続した。

地下構造は明らかに非3次元的拡張を加えられており、総体として工房に類似する機能を有していた。また、内部にはヒト由来組織と機械部品で構築されたヒト型実体が多数存在し、機動部隊員の侵入に反応して敵対行動をとった。攻撃は主として大型の工具状の不明な物理兵器によるものであった。実体群の予想質量に対して異常な膂力と正確な照準は脅威となったが、一方で明らかな知性及び統制の欠如から、実体個々の戦闘能力は比較的低いものと判断された。

機動部隊スティグマ-9は一時書斎前面まで後退したが、弾薬と重火器、爆薬の補給を受け態勢を立て直した。本隊より増援が行われ、工房の掃討は問題なく遂行された。人的損害12名、死亡者なし。実体は全て破壊され、残存サンプルは回収された。

工房深部にて、約20m四方の大型機械構造体が確認された。当該構造体は複数のヒト型実体を生産しており、工房内のヒト型実体の供給源となっていることから、FoI-1518-JP制圧任務への直接的障害であると思われた。サイト-310司令部の承認のもと、工兵部隊によって爆破処理が行われ、構造体は破壊された。

付記: 構造体背面の機密扉奥に存在した貯蔵施設から、大量のヒト型実体群が発見された。これらはサイト-310に移送され、SCP-1518-JPに指定された。

工房内部の調査は継続中である。地下構造の延べ面積は12.6km2以上であると推定されている。


補遺1518-JP.2: SCP-1518-JP-1へのインタビュー記録

初期収容時の検査において、SCP-1518-JPは非生物オブジェクトとして分類されていました。しかし、FoI-1518-JP制圧作戦から5日後の1924/07/08、保管庫への移送中にSCP-1518-JP-1が起動しました。サイト-310管理官と収容チームの協議の結果、インタビューが実施されました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-1518-JP-01


対象: SCP-1518-JP(以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

日付: 1924/07/11

付記: SCP-1518-JPの身体特性への理解が不十分であったため、収容およびインタビューは通常のヒト型収容室で行われました。


<録音開始>

インタビュアー:それでは、インタビューを始めます。SCP-1518-JP5、本名はロイド・アーチボルト。間違いありませんか?

対象: ええ、間違いありません。私はロイド。アーチボルト家の一人息子であり、のみを持つもの、冶具の受け手の末裔です。私には名がある、その番号で呼ぶことはやめていただきたい。

[対象の声は掠れており、時折咳き込む]

インタビュアー: 努力しましょう。ロイド……3日前、倉庫で目覚めたときにあなたがそう名乗ったことで、我々はアーチボルト家について調査しています。時間がかかりましたが、その名前が記された出生証明書を発見しました。しかし、これは60年以上も前の記録です。あなたはどう見ても30代ですらない。

対象: 私とて初めは無垢なるものでした。しかし私は生まれながらにして壊れていた。この躰は成れの果てです。

インタビュアー: 壊れていた?

対象: ええ。全ての生命は壊れている……だからこそ我が一族は、神のための鋼を鍛える時間を得る術を追い求めてきました。クレタからローマ、ブリタニア、そしてこの大陸まで。アーチボルトの習わしです。

インタビュアー: アーチボルトの名前は古い教会の資料に散見されます。やはりあなたには親族がいるのですね?

対象: かつては。しかし今は私だけです。皆、先に行きましたから。

[対象は咳き込み、口を抑える]

インタビュアー: 大丈夫ですか、SCP-1518-JP。

対象: ええ………ハンカチをお借りしても?

インタビュアー: これを使ってください。それではあなたの一族と、あなたの老化しない異常な肉体について話を──

対象: [笑い]これは一族に代々伝わる祝福の秘儀であったものです。砕かれたるものを拾い集め、聖性の分散を組み上げるには、人の身では足りない。決して足りない。だからこそ教衆は躯体を捧げ、鋼の心臓が刻むだけの時を得る。しかし私は……

[対象はハンカチで口を押さえている]

対象: 私は弱かった。生まれたその時から肉の災いに囚われていた。鼓動に触れ得ぬ、一族の未来を背負うに足らぬ器でした。受け手の使命を……神の身体を組み上げる大いなる役目を授かりながら、私は何も成し得ない……

[対象の口から多量の血液が溢れ出す。対象は咳き込み、左胸を押さえてもがく]

対象: 私は祝福されて……一族に続き、使命を果たす日を……ああ、どうか、まだ……まだ、

インタビュアー: [罵倒]、なんだこれは。医療班!

対象: 死にたくない。

<録音終了>


終了報告書: インタビューは中断され、SCP-1518-JP-1は集中治療室に搬送された。約50時間に及ぶ意識不明の状態の後、肺気胸と大量の腹腔内出血、細菌性疾患による敗血症性ショックによってSCP-1518-JP-1は死亡した。


補遺1518-JP.3: 参考人へのインタビュー記録

SCP-1518-JPについての調査のため、参考人として過去GoI-004Aのマンハッタン-スタテン合同教区に所属していた人物へインタビューが実施されました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-1518-JP-07


対象: エージェント・ネイサン・セルバンテス(以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

日付: 1924/08/04

付記: エージェント・セルバンテスはGoI-004Aから財団へ亡命した元信者の一人です。聞き取り調査の結果、SCP-1518-JP-1と面識があることを表明したため、参考人に選出されました。


<録音開始>

[重要性が低いため削除]

インタビュアー: 本題に戻りましょう、エージェント・セルバンテス。あなたはSCP-1518-JP-1と当時どの程度の交流がありましたか?

対象: ……それほど多くはありません。教会では何度も顔を合わせましたが、話したのは数回程度です。

インタビュアー: なるほど。彼は教会ではどんなことをしていましたか?

対象: フィルモア神父からは信頼されていて、他教区との折衝を任されていました。喜捨された物資や活動のための資材を手配する役目です。教会の慈善事業にも、神父が出席する時は必ず顔を出していたと思います。

インタビュアー: 当時のSCP-1518-JP-1は、合同教区の神父と強い関係を持っていたと?

対象: おそらくは……神父に懺悔室に案内されるのを見たこともあります。私はマンハッタンにそれほど長く住んでいたわけではないので、神父ともあまり話したことはありませんが。

インタビュアー: ありがとうございます。では、彼について何か知っていること……教会内での彼の振る舞いや印象などを話してください。

対象: 彼は……そうですね、教会の活動に対してかなり熱心だったように感じます。説教6には必ず参加していましたし、私の見た限りでは、彼が礼拝に欠席した姿を見たことがありません。初めの頃は家族と一緒に来ていましたよ、たぶん……姉と妹だ。

インタビュアー: ありがとうございます。彼の身体的な問題についてはどうですか? 持病はありましたか?

対象: いえ、特には。彼は決して活動的ではありませんでしたが、健康そうに見えました。咳をしているところも見たことがない……しかし、私があそこにいたのは20年以上も前のことです。当時の私は信仰への疑問を抱いていた。もはや日々の記憶も曖昧です、お役に立てず申し訳ない。

インタビュアー: いえ、問題はありませんよ。ありがとうございます、エージェント。

<録音終了>


終了報告書: 以降も同教会に所属していた職員・PoIに対し計5回のインタビューを実施し、教会内でのSCP-1518-JP-1の振る舞いについては同様の見解が得られた。SCP-1518-JPの起源ならびに一族の詳細は未だに不明であり、教会関係者へのインタビューは続行される。機動部隊スティグマ-9はフィルモア神父の捜索に割り当てられる。


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FoI-1518-JP内部で発見された、不明な機械構造の一部

補遺1518-JP.4: FoI-1518-JP探査結果

FoI-1518-JPに対する財団の一連の調査の結果、地下構造(暫定名称"工房")における調査拠点が確立されました。機動部隊スティグマ-9による深部探査は、工房の大深度地下における巨大なトンネル構造の存在と、複数の重量物7が搬出された痕跡を明らかにしました。トンネル構造は異常な空間的短絡を経てマンハッタン島南西方面へ続いており、ハドソン川河口のアッパー・ニューヨーク湾を経由して大西洋へ接続していると考えられています。トンネル出口周辺の想定される水深に対応する耐圧装備を確保できないこと、また工房内の気密状態の維持に対する懸念から、さらなる追跡は中止されました。北米大陸東海岸における財団の沿岸調査資産は、海底を移動する不明な重量物の追跡・警戒に割り当てられます。

工房内からは大量のAnomalousクラス相当の低異常性物品が回収されました。これらの多くは工具ないしは儀式的装飾品であり、何らかの目的で使用されたと考えられています。また、不明な理論で構築された大型機械部品が複数発見されました。これらの部品は物理的に明らかに矛盾した構造を有しており、また未知の精神影響によって調査員の多くが部品に「語りかけられる」と報告しました。サイトへの運搬途中、工房を出た瞬間にすべての部品が自壊8したため、オブジェクト指定は解除されました。

1924/10/19、コーンウェル主任調査官による現場陳述の転写

我々が調査しているものが一体なんであるか、確たる証拠は何もない。しかし私は、この調査の責任者として、考えうるすべての可能性を俎上に載せておくべきだと考えている。

ここにあるナンバリングすらされていない物体の用途を考えれば、その意味は明白だ。時計屋どもはここで何かを作っていた。それが何かは分からないが、非常に重く、硬く、そして何より重要なものだ。発見された資材搬入口のいくつかは、60km以上離れた出口へ繋がっていた。頭の上に味方の教会の建屋がそっくりあるってのに、わざわざブルックリンの端まで通路を伸ばしているのは何故だ? アーチボルト家とやらの名前が、連中の文書にも数えるほどしか出てこないのはどうしてだ?

いいか、ここで油まみれになってただろう連中は、決してお前たちが冗談交じりに言うような、自動車修理工の三男坊どもじゃあない。連中は明らかに秘密の事業を持っていた。仲間内にすら明かさない仕事をだ。ここで作られた何がしかは海底を運ばれてどこかに消えた。作成物の用途は不明だが、教会の教義を考えれば、これはこの地域の正常性に対する重大な脅威に他ならない。すぐにでも調査部隊を編成して追跡するべきだ。連中の神とやらの声を聞くやつがこれ以上増えてたまるものか。

正式な提言を受け、サイト-310は北東アメリカにおけるGoI-004A調査の主要拠点に指定されました。現在、マンハッタン=スタテン合同教区は財団の完全な監視下に置かれています。アーチボルト家の作成物はSCP-1518-JP-2に指定されました。捜索が進行中です。


補遺1518-JP.5: ザフィー・フィルモアへのインタビュー記録

SCP-1518-JPについての調査のため、重要参考人としてマンハッタン島に関連するGoI-004Aの聖職者へインタビューが実施されました。財団によるマンハッタン島制圧以降、ザフィー・フィルモア神父の消息は不明でした。いくつかの小規模超常コミュニティを通しての接触の後、サイト-310に収容中のGoI-004A構成員への正当な待遇を条件に、フィルモアは財団に投降しました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-1518-JP-27


対象: ザフィー・フィルモア (以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

日付: 1924/12/04

付記: フィルモアへのインタビューは2回目です。第1回のインタビューはフィルモアの地位の確認と保証、いくつかの宗教的合意と、財団の収容下にあるGoI-004A構成員のメンタルケアに関する議論に費やされました。


<録音開始>

インタビュアー: 時間ですよ、フィルモア。インタビューを始めます。SCP-1518-JP-1……ロイド・アーチボルトと、その一族について聞かせてください。

対象: アーチボルト。ふん、古い名前だ。高慢で、稠密で、簡潔な連中だ。一族郎党すべてを神のために捧げたものたちだ。祖先はかつて死海のほとりにて聖徒より冶具を賜ったのだと聞く。本当のことかはともかく、この地の信徒たちは皆そう信じていた。

インタビュアー: いわゆる地域の名家であったと、そういった理解で問題ないでしょうか。彼らに対する言及は資料にほとんど残っていません。フィルモア、あなたの記憶している限りで、彼らの具体的な人数や名前、特徴を知りたいのですが。

対象: [5秒間の笑い] おい、何を言ってる? これでもおれは40年間、ここの教区長をやってたんだぜ。聞きたいのか、それならジャスパーから始めよう……

[以後30分以上に渡って、フィルモアはアーチボルト家構成員の名前と年齢、人相を詳述する]

対象: ……シメオン、これで47人だ。ロイドを合わせて48人になる。側溝を流れる廃油よりひどい血の濃さの、陰気な一族だ。前任がおれに教区を譲ったときには全員が就祭の儀に来ていたが、今じゃあひとりも残っていない。

インタビュアー: ロイド・アーチボルトは一族について、先に逝ったと表現していました。彼の……異常性は一族にも共通だったのですか?

対象: [笑い] 馬鹿な、やつらは鋼が老いに代わるのさ。最長老のアッシャーは400年は駆動していただろうが、それだけだ。ロイドを最後に子が生まれることはなくなったが、寿命なぞ存在しないに等しい。イーペル9に放り込んだって生きていただろうよ。奴らはいなくなったんだ、磨り減った活字のように、1人ずつ。

インタビュアー: いなくなった?

対象: 最初はエナタ、次にイドラ、シメオン、アメリー……毎週の礼拝に来ていたやつらが欠けていく。あいつらの誰もそのことに触れない。本当はおれは聞かなきゃいけなかった。だが聞かなかった、それで……17、8年も過ぎた頃には、ロイドと従姉妹しか残ってなかった。キランとノヴィエラは一緒に消えて、やつは1人だ。

インタビュアー: ロイドは消えなかったのですね。一族と違い、彼は残っていた。

対象: ああ、だがどこかで変わった。以前は人並みに笑うやつだったが、もう笑わない。ここ十数年は毎日朝6時きっかりに教会に入り、夕方6時きっかりに退出する。雨の日も風の日もだ。懺悔室に連れ込んでもまともに口を利かず、何か命じれば従うだけだった。今のやつはまるで機械人形だ。

インタビュアー: 自我は存在するようですが。

対象: だが以前とは別人になり、教区からも消えた。やつの仕事も、長椅子も、経典も、もう他人のものだ。あの邸宅で何があったのかも、知るべきときは過ぎた。俺にできることはもう残っていない。

インタビュアー: ……では、SCP-1518-JP-1が何を行ったのか、あなたは全く知らないというのですね。

対象: [10秒間沈黙]……そうだ、おれは何も知らない。だがおれは神父だ、言えることはある──いいか、あのブリキになっちまった男に伝えてほしいことがある。

インタビュアー: ええ、許可が下りれば。

対象: [20秒間沈黙] 好きに生きろ。一族がお前に何を求めたのかおれは知らないが、少なくともお前は、お前だけはまだここにいるんだ。己の心臓が刻む音に従って生きろ。そうすることで、おれたちは神に近づいていく。

<録音終了>


補遺1518-JP.6: SCP-1518-JP-1へのインタビュー記録

FoI-1518-JP探査によって得られた情報とGoI-004A構成員へのインタビューから、アーチボルト家の活動が北米大陸における正常性への脅威である可能性が指摘され、状況解明のためにインタビューは定例化されました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-1518-JP-50


対象: SCP-1518-JP-1-29(以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

日付: 1924/12/15

付記: SCP-1518-JP-1へのインタビューはこれまで32回にわたって試みられ、その多くが対象の健康上の問題によって短時間で終了しました。SCP-1518-JP-1-29は緩和療法の効果が高い個体で、比較的長時間のインタビューが可能でした。医療用麻薬による躁状態が対象に及ぼした影響は不明です。


<録音開始>

インタビュアー: 今日は調子がいいようで何よりです、ロイド・アーチボルト……それでは、インタビューを始めます。

対象: 手早く済ませましょう、フィッシャーマン。お互いのために。

[対象は咳き込む。体調を考慮してインタビューは複数回の休止を挟んで行われた。休止部分は編集されている]

インタビュアー: 我々の知りたいことはそう難しくはありません。あの地下工房で何が組み立てられ、どこに送られ、何に使われるのか。あなたはそれにどのように関わったのか、それだけです。

対象: 一族の信仰、その結実。そうとしか言いようのないものです。存在の意味そのものを削り出し、駆動のために心臓を差し出した。あれは骨子なのです。使徒の涙の上に差し出された硝子、その聖性の具現です。

インタビュアー: 平易な言葉で答えることを望みます、ロイド。我々は教会の人間ではありません。

対象: [笑い]努力しましょう──といっても、私も本当のところは知らないのです。我が一族が何を融かし、何を切り出し、何を組み上げたのかを。私は常にそのそばに在りましたが、それに触れられなかったのだから。

インタビュアー: 知らない? 知らないと言ったのですか、ロイド・アーチボルト?

対象: 我らの壊れたる神、分かたれた至尊の聖性を集め、形にし、そして長きにわたる工程の間じゅう彼のものの鼓動を聴き続ける。それに耐えることがどれほど困難な道のりかわかりますか、フィッシャーマン。我が一族は研鑽の果てにそれを成し遂げました。合一です。自らを組み換え、拍動を同調させ、内側からそれを成し遂げる。

インタビュアー: 何を言って、 [沈黙]

対象: 私だけが不適格でした。肉体は耐えきれなかった。砕かれた身体をキランが撚り合わせ、ノヴィエラが組み直して、地下の器に収めました。私は一度終わり、そこで永らえた。しかしそれでは決して鑿は持てないではありませんか。あれらを送り出したとき、私の生は終わったのです。

インタビュアー: [呻く]……では、アーチボルト家の消えた47人は。

対象: 彼らは務めを果たしました、フィッシャーマン。魂は安らかに、我らの主と共にあるでしょう。

インタビュアー: 彼らは今どこに──

対象: 行き先は彼らと主しか知り得ません。声が呼ぶのでしょう。再臨の地に私はもはや辿り着けない。微かな鼓動が聞こえても、それに応じることはできません。この心臓は空気に触れるだけで錆びていく。

インタビュアー: あなたは──

対象: フィッシャーマン、鋳出すものファウンダーよ、私はロイドです。神を組み上げることを夢見、そして失敗した男でしかない。しかし、"我ら"はアーチボルトなのです。

[対象は首を傾げ、微笑む。対象の口から血液が流れ出す]

対象: 我らは滅亡を望みません。そして忘却も望みません。生を望み、救済を望むからこそ、我々は神を望むのです。

対象: 名門もいずれは死に絶えるのでしょう。ですが、アーチボルト家は……"我ら"が駆動し続ける限り、滅びることはありません。いずれ錆び付き止まる歯車であった"我ら"は、来たるべきその日、神の御下へと至るのですから

<録音終了>


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利用ガイド

  1. portal:5060201 ( 15 Jan 2019 17:15 )
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