お前を鋼に変えるもの

このページの批評は終了しました。

rating: 0+x
blank.png
FDR_at_Groton_April_1900.JPG

初期収容直前に撮影された、SCP-XXXX-JPの写真

photo-2291916.jpg

SCP-XXXX-JP-Bに置換されたDクラス職員の一部

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは、研究収容サイト-310の強化ヒト型収容室に収容されます。収容室入り口にはスクラントン現実錨(以降"SRA")を1基設置し、オブジェクトの現実改変能力の使用を防止してください。

SCP-XXXX-JPを用いた実験には、サイト-310に常駐するレベル3研究員3名以上による書類上での許可が必要です。実験は収容室内で実施され、また非常事態を考慮し、SRAの再起動に備えなければなりません。

全てのSCP-XXXX-JP-Bは、サイト-310の適切な容量の低脅威収容コンテナに収容されます。

SCP-XXXX-JP-1群およびPoI-XXXX-JP-2群の捜索は、機動部隊ショー‐6 ("錆びた歯車") により進行中です。

説明: SCP-XXXX-JPは後述の条件下においてのみ異常性を発現できる、クラスII現実改変実体です。ニューヨーク州保健局が保管する出生証明書のコピーによれば、SCP-XXXX-JPは1897/07/21にアメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン区で誕生し、ロイド・アーチボルト(Lloyd Archibald)として当局に届け出られました。

SCP-XXXX-JPは主に金属で構成されており、有知性・有自我です。SCP-XXXX-JPの表皮はシリコン皮膜で、体毛は未知の非生物性繊維1で構成されています。SCP-XXXX-JPの表皮や毛髪は破壊可能ですが、一種の自己修復性を有しており、最長で26時間ほどで破壊前の状態に再生します。体内に存在する金属製の構造は高い耐久性を有しており、内視鏡検査は機器の破損により失敗しました。これらの性質と放射線撮影に対する未知の抵抗性から、オブジェクトの内部構造は未解明です。

SCP-XXXX-JPは関節部品の動作による自律駆動が可能です。五感の存在も確認されており、顔面にはヒトの目・鼻・口・耳を模した部品が存在し、これらは感覚器官として機能しています。収容から現在まで、SCP-XXXX-JPは起動状態を維持していますが、オブジェクトがエネルギーを補給した兆候は確認されておらず、その駆動原理は不明です。

SPChu.png

GoI-004Aの紋章。

SCP-XXXX-JP-Aは任意の手段でSCP-XXXX-JPにより描画された、真円と数種類のシンボルで構成された図形です。SCP-XXXX-JPによる対象物へのSCP-XXXX-JP-Aの刻印は、SCP-XXXX-JPの現実改変能力の使用に必要な唯一の条件であり、それと同時に改変のための媒体として機能します。

SCP-XXXX-JP-Aは*church-of-the-broken-god-hub GoI-004 ("壊れた神の教会") として知られる宗教団体の宗派の一つ、GoI-004A ("壊れたる教会") の紋章に酷似しています。当該宗教団体との関与は明確なものとみなされており、関連性はXXXX-JP研究班により調査されています。

任意の対象物へのSCP-XXXX-JP-Aの刻印から約30分~13時間後、対象物はいくつかの非鉄金属部品を含む、ほぼ同質量の鉄合金製構造体(SCP-XXXX-JP-B)に置換されます。その出自を除き、SCP-XXXX-JP-Bに異常性は確認されていません。カント計数器による観察は、異常性発現時のSCP-XXXX-JP-Aのヒューム値が1.9Hm~2.5Hmを記録することを示しました。このことから、SCP-XXXX-JP-Bへの置換は媒体となったSCP-XXXX-JP-Aの現実改変による結果と推測されています2

ニューヨーク市郊外に位置するGoI-004Aの拠点を制圧した際に、SCP-XXXX-JPは要注意人物として財団に確保されました。その後、実施された聴取と実験においてオブジェクトの異常性が判明したため、PoI指定は解除され、正式にオブジェクトとして収容されました。

補遺:XXXX-JP.1: 参考人へのインタビュー記録

SCP-XXXX-JPについての調査のため、参考人として過去同教会に所属していた人物へインタビューが実施されました。以下は当インタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-XXXX-JP-1


対象: エージェント・ネイサン・セルバンテス(以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

付記: エージェント・セルバンテスはGoI-004Aから財団へ亡命した元信者の一人です。調査により、SCP-XXXX-JPと所属期間・地域の重複が確認されたため、参考人に選出されました。


<録音開始>

[重要性が低いため削除]

インタビュアー: 本題に戻りましょう、エージェント・セルバンテス。まず最初に、あなたはSCP-XXXX-JPと当時どの程度の交流がありましたか?

対象: ……それほどは。数回話した程度ですね、彼が入信した時に。

インタビュアー: なるほど。では、彼は入信した時点で既に現実改変能力を会得していましたか?

対象: ええ。当時、フィルモア神父からの指示で教区を巡回する姿をよく見かけました。いつも金属製の何かを運んでいたと思います。

インタビュアー: ……ということは、当時のSCP-XXXX-JPは、あなたがかつて所属していた……その、教会の神父と強い関係性を持っていたと?

対象: その可能性は高いかと。私はマンハッタンにそれほど長く住んでいたわけではないので、神父ともあまり話したことはありませんが。

インタビュアー: ありがとうございます。では、彼について何か知っていること……教会内での彼の振る舞いや印象などを話してください。些細なことでも構いません。

対象: 承知しました。[数秒沈黙] 彼は……そうですね、教会の活動に対してかなり熱心だったように感じます。説教3には必ず参加していましたし、私の見た限りでは、彼が礼拝に欠席した姿を見たことがありません。あれは……そう、ハリケーンで教区の半分が屋根を失っていた16年の夏ですら、彼は毎朝礼拝堂にいた。こういっては何ですが、かなり不気味ではありましたね。

インタビュアー: ……ありがとうございます。他にはありますか?

対象: いえ……私は彼についてこれ以上のことを知りません。私は彼との交流が殆ど無か……いえ、交流する気力が湧かなかった、と言った方が正しいかもしれません。彼は無機質な人間でしたし、私は信仰への疑問を抱き始めていた……。

対象: 申し訳ありません、これ以上お役に立てそうにない。しかし誤解しないでほしい、私は決して、財団に対する忠誠を失っているわけではないのです。

インタビュアー: いえ、問題はありませんよ。[数秒沈黙] では、次の質問に移ります──

[以降の記録は重要な情報が得られなかったため削除]

<録音終了>


終了報告書: 以降も同教会に所属していた職員・PoIに対し計5回のインタビューを実行したが、「現実改変能力を既に会得していたか」「教会内でのSCP-XXXX-JPの振る舞い」については同様の見解が得られた。

我々は当初、SCP-XXXX-JPの現実改変能力は彼が所属していた教会のメンバーによるものであると推測していました。しかしながら、どうやら件の異常性の出自は別の要因によるもの、あるいは先天的なものであるようです。

機動部隊による家宅捜索も視野に入れつつ、彼の経歴について精査を行う必要があります。まず第一に行うべきは、彼が所属していた教会の神父への尋問でしょう。  ──ジェンス・フィッシャーマン研究員


補遺:XXXX-JP.2: ザフィー・フィルモアへのインタビュー記録

SCP-XXXX-JPについての調査のため、重要参考人としてマンハッタン島に関連するGoI-004Aの聖職者へインタビューが実施されました。1922年初頭の財団によるマンハッタン島の掃討作戦以降、ザフィー・フィルモアの消息は不明でした。いくつかの小規模超常コミュニティを通しての接触の後、自らの身の安全ならびに地位と尊厳の保証、サイト-310に収容中のGoI-004A構成員への正当な待遇を条件に、フィルモアは財団に自主的に投降しました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-XXXX-JP-13


対象: ザフィー・フィルモア (以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

付記: フィルモアへのインタビューは2回目です。第1回のインタビューはフィルモアの地位の確認と保証、いくつかの宗教的合意と、財団の収容下にあるGoI-004A構成員のメンタルケアに関する議論に費やされました。


<録音開始>

[インタビュー開始から10分間が経過している。対象は"破片の書"4の聖句を暗誦している]

対象: しかして、語られる苦役のその先にあるものを知らぬとして、それの輝きに気づかぬものはいない。壊れながらにして神は涙を見つめ、彫り手は腕の中に撥条の聖性を……

インタビュアー: 10分です。時間ですよ、フィルモア。

対象: 砕かれたるものの在処を……ああ、そうか。では、質問とはなんだ?

インタビュアー: 昨日と同じです。SCP-XXXX-JP……ロイド・アーチボルトについて聞かせてください。

対象: ふん。我が教会にアーチボルト家の御曹司が入信の儀を求めてきたときは何事かと思ったが、こうまで厄介の種になるとはな。

[対象は笑い、複雑なジェスチャーで死者への祈りの所作を行う]

インタビュアー: マンハッタン-スタテン合同教区への財団の干渉は、あくまで司令部の決定事項です。SCP-XXXX-JPの存在は当時はまだ確認されていませんでした。

対象: いいや、貴様らでなかったとしても、いずれは問題が起きただろうよ。やつが何を考えていたにせよ、あれは正しい姿ではなかった。歯車は神に近づき、神を組み上げるための手段であって、それ以外ではない。

インタビュアー: SCP-XXXX-JPの現実改変能力は、あなたによって得られたものだという疑いがあります。経緯を説明していただけますね?

対象: [8秒間の笑い] はは、何だと。おれが? おれが彫り師5に見えるかね。おれは信仰し、導く。神を組み上げるに足るものたち、それらを支える者たちを見出す。それだけだ。おれにはのみは扱えん。

インタビュアー: 現実改変能力を与えたのはあなたではない、という理解で間違いありませんか?

対象: お前たちの言う現実改変というのは、やつの刻印のことだろう。馬鹿げている、あれは刻み屋ティッカー6の思想だ。他の信徒に何をするわけでもないから礼拝を許していたが、ほかの教区ならばいつ破門されてもおかしくない出来栄えだ。アーチボルトで得たものがあれならば、ただ哀れというほかはない。

インタビュアー: ……では、アーチボルト家について、知っていることを話してください。

対象: ふん、笑えるぞ。あれらの血の濃さときたら側溝を流れる廃油よりひどい。マンハッタンでは名家だと言われるが、教区からは孤立していた。ロイドを含めて一族みな、礼拝堂に来ても一言も喋らない。同じ顔、同じ服、全員が同じ屋敷に住んでいる。他所から嫁婿を迎えることもない。前任が膝のベルトを千切れさせておれが教区を引き継いだ後、一族は屋敷に引っ込んだ。ロイドが成人して入信の儀を済ませてからは、やつ以外は礼拝に来もしなかったさ。

インタビュアー: SCP-XXXX-JPは、教会の活動に非常に熱心だったとされています。フィルモア、あなたが彼に指示を出し、活動への参加や鉄塊の回収を行わせていたのでは?

対象: [ため息] おれは神父だ、若者よ。お前たち財団が教会をどう思っているのか知らないが、おれたちは人間で、神の信徒だ、機械仕掛けではなく機械仕掛けを組むものだ。分かるな?

インタビュアー: それは理解しているつもりです、フィルモア。質問に答えてください。

対象: ロイドは機械のようだった。人ではなく。毎日朝6時きっかりに教会に入り、夕方6時きっかりに退出する。雨の日も風の日も、ハリケーンで礼拝堂の横手にニレの木が倒れ込んだときもだ。教会の中にいる間は微動だにしない。こちらが声をかけても顔を動かすだけ、口をきくことはほとんどなかった。おれが何か命じれば従うが、命じられたこと以外は何もせず、礼拝堂の端でただ座っていた。いいか、おれも信徒たちも人間だが、やつはまるで機械人形だ。

インタビュアー: 実際、肉体の構造はそれに類似しています。

対象: 身体のつくりは信徒の尊厳だ、おれから言うことはなにもない。おれが命じたのは教会の慈善事業への参加だけだ。炊き出し、工事の手伝い、施療院、輪読会、暗誦、週末の集い。来いといえばどれも来た。やつが金属の塊を運んでいるのは何度も見たが、命じたことは一度もない。やつはあれを屋敷へ運び込んでいたし、そのことをおれは一度たりともやつに言わなかった。おれはこれでも自由主義者だからな。

インタビュアー: ……では、SCP-XXXX-JPの現実改変能力や、彼の肉体のルーツはアーチボルト家にあるということですか。

対象: おれはそう考えている。いいか、教区はいずれ修復され、またひとつの歯車となる。そのときにアーチボルトが残っていようがいまいが構わんが、あのブリキの男に伝えてほしいことがある。

インタビュアー: ええ、許可が下りれば。

対象: [10秒間沈黙] 好きに生きろ。一族が何をしたのかおれは知らないが、少なくともお前は、お前だけはおれが入信させた、おれの信徒だ。己の心臓が刻む音に従って生きろ。そうすることで、おれたちは神に近づいていく。

<録音終了>


補遺:XXXX-JP.3: アーチボルト邸制圧作戦の報告書

1924/07/03、アーチボルト家が所有する17箇所の不動産に対して立ち入り調査が行われました。このうち、ニューヨーク州登記局が把握していた物件はマンハッタンに所在するアーチボルト家の邸宅のみでした。事前調査から複数の現実改変実体が内部に存在する可能性が示唆されたため、北米司令部の承認のもと、機動部隊による制圧作戦が立案されました。

以下はアーチボルト邸制圧作戦に参加した機動部隊により作成された活動報告書です。財団が把握するすべての不動産に対する一連の調査結果は、サイト-310情報管理保全部書庫に保管されています。

機動部隊活動報告書


関連する機動部隊: 機動部隊スティグマ-9 ("自然発生する歯車、梃子、滑車からの進化")・第3分隊
命令者: サイト-310管理官
場所: アメリカ合衆国ニューヨーク州マンハッタン区
日付: 1924/07/03 17:35

行動計画:

  • アーチボルト邸の制圧。
  • SCP-XXXX-JPの親族の捕縛若しくは終了。
  • 所有アノマリー・資料の回収。
  • 必要に応じた隠蔽工作。

行動結果: 作戦成功。行動計画は問題なく遂行された。

45分間の作戦行動の結果、アーチボルト邸は制圧された。予想された現実改変実体との交戦は発生せず、また邸宅内へのヒト型存在の居住実態は確認されなかった。人的損害なし。3階制圧時、脱出用と思しき隠し扉の誤動作によって隊員1名が軽傷を負った。

大量の非異常性物品に加え、以下の物品が回収された。

  • GoI-004Aの紋章が刻印された用途不明の機械部品、14点
  • 鉄合金製にもかかわらず一切の磁性を有さない精密工具、55点
  • 羊皮紙片に高級インクでしたためられた"破片の書"のコピー、多数7
  • 未知の理論で暗号化処理された書簡8、8点

物品の多くは1階北棟の書斎と居間で発見された。回収物品はサイト-310に移送された。

また、登記局に提出された建築図面には記載のない地下構造が発見された。北棟書斎奥の隠し扉の開放に失敗したため、発破処理が行われた。隔壁内部への機動部隊スティグマ-9の突入は18:30に行われ、小規模な戦闘が発生した。最終安全確認は22:15に完了した。

戦闘経過: 戦闘はおよそ1時間継続した。

地下室内部にSCP-XXXX-JPと酷似した外見を有するヒト型実体が多数存在し、機動部隊員の侵入に反応して敵対行動をとった。攻撃は両腕部と胸部に接続されたモジュールによって行われ、それらは主として大型の工具もしくは刀剣、いしゆみ状の物理兵器であった。実体群の予想質量に対して異常な膂力と正確な照準は脅威となったが、一方で顕著に低い移動能力と明らかな知性の欠如、またしばしば四肢の欠損あるいは増加によって重心バランスが不安定であることから、実体個々の戦闘能力は比較的低いものと判断された。

機動部隊スティグマ-9は一時書斎前面まで後退したが、弾薬と重火器、爆薬の補給を受け態勢を立て直した。分隊長により増援は不要と判断され、地下室の掃討は問題なく遂行された。人的損害なし。実体は全て破壊され、残存サンプルは回収された。

付記:

地下室の敷地面積のおよそ半分を占める貯蔵施設から、大量の鉄合金製構造体が発見された。カント計数機による計測の結果、微弱なヒューム値の変動の痕跡が確認されたことから、これらの構造体はSCP-XXXX-JP-Bと断定された。


補遺:XXXX-JP.4: SCP-XXXX-JPへのインタビュー記録

SCP-XXXX-JPは収容以降、財団の調査に対して生物的反射以外の一切の反応を行いませんでした。しかし、アーチボルト邸制圧作戦の完遂後、SCP-XXXX-JPは初めて自己意思を表明し、インタビューに応じる意向を示しました。サイト-310管理官と収容チームの協議の結果、アーチボルト邸で回収された物品の定例検査が終了するまでインタビューは延期されました。以下はインタビュー記録の書き起こしです。

インタビュー記録-XXXX-JP-20


対象: SCP-XXXX-JP(以降"対象")

インタビュアー: ジェンス・フィッシャーマン研究員(以降"インタビュアー")

付記: SCP-XXXX-JPへのインタビューはこれまで4回にわたって試みられ、対象の黙秘によって失敗しました。SCP-XXXX-JPの身体構造への理解が不十分であり、また自白剤の投与や拷問は効果的ではないと考えられていたため、インタビューを強制する試みは実行されませんでした。


<録音開始>

インタビュアー: 話す気になってくれたようで何よりです……それでは、インタビューを始めます。SCP-XXXX-JP、本名はロイド・アーチボルト。間違いありませんか?

対象: ええ、間違いありません。私はロイドとして生を受けた。アーチボルト家の一人息子です。

[対象の声は掠れ、顕著なノイズを含んでいる。インタビューは対象の発声機構の不調により複数回の休止を挟んで行われた。休止部分は編集されている]

インタビュアー: 我々の知りたいことはそう難しくはありません、SCP-XXXX-JP。出生証明書によれば、少なくとも出生時のあなたは、ごく一般的な……そう、人間でした。現実改変能力をもたない、機械化もされていない。

対象: そうですね、初めはそうでした。無垢なのです。生命は無垢であり、しかし生まれながらにして壊れている。

インタビュアー: 壊れている?

対象: ええ。程度の問題はあれど、そうです。私の場合は特に。

[対象は拘束された状態の右腕を掲げる]

対象: 今でこそ、この腕はこうして動き、神のために奉仕することができます。しかし、かつては違いました。生まれつき、私は弱かった。病魔に侵された私を、みなは呪い子と呼んだものです。肉の災いに囚われた、一族の未来を背負うに足らぬ器だと。当然です、腕も脚も心臓も肺も、どれも壊れていたのですから。

インタビュアー: しかし今はそうではありませんね。あなたの身体は……機械だ。

対象: ええ。一族は私をそのようにしました。これはある種の祝福です。砕かれたるものを拾い集め、分散を組み上げるには、人の身では足りない。決して足りない。

インタビュアー: ではあなたは、その身体と現実改変能力を、その……宗教的実現のために得たと?

対象: 私にとってはそうです。しかし我が一族にとってはどうでしょう。アーチボルトの血族にとって、私は裏切り者かもしれないのですから。

インタビュアー: ……どういうことですか。

対象: 第12巻21節、いわく計画は精神のものではなく、人がそのか細き叡智で成し遂げられるよりも、はるかに単純な真実についてのものである。計画は別の計画を生む。それがまた別の計画を生む。正確に成し遂げられたならば、それらの後により多くのものが生まれ、それは我らの喜びとなる。

インタビュアー: SCP-XXXX-JP、我々はあなたと神学論争がしたいわけではありません。

対象: 理解は時に回り道となります、鋳出すものファウンダーよ。教会はあなたがたが考えているよりも、平和と秩序を愛します。人が人たることを重んじます。壊れたる人が壊れたる神を組み上げる、そのことが我らの喜びです。人の身では足りぬからこそ、教会は歯車を造りました。歯車は一つでは動作しません。しかし集まれば、我々は構築者たり得るのです。フィルモア神父は常にこのことを述べておられました──彼と話したのでしょう?

インタビュアー: ……ええ。内容は教えられませんが。

対象: 彼が壮健であればよいのですが──ともあれ、一握りの同胞たちを除けば、教会は聖別9をよしとしません。しかしアーチボルトの一族は違いました。一族は代々、鑿を扱う家系でしたから、抵抗がなかったやもしれません。かつて防人たちを組んだと伝わる血を守るため、血族のみの婚姻を守ってきた。その結果として……私に兄弟はなく、私自身もまた子孫を望めぬ身体で生まれました。ゆえに一族は禁忌に手を染め、私とその似姿を造ったのです。

インタビュアー: なるほど……いえ、似姿と言いましたか? あなたのコピーが存在するのですか、SCP-XXXX-JP?

対象: ええ、あなたがたも見たはずです。地下には多くの失敗作があった。あれらは私ではありませんが、私を模して作られたので、私に危害を加えません。神の部品を守る番人としてはちょうど良かった。

インタビュアー: 地下の失敗作……では、成功したものがあるということですか。

対象: いくつ……いえ、何人いるのかは知りません。しかし、もはや失敗することはないのでしょう。私の完成をもって技術は確立されましたし、地下のあれらが補充されなくなって何年も経ちますから。

インタビュアー: SCP-XXXX-JP、あなたを機械化し、あなたのコピーを作成した存在はどこにいるのですか。あなたが黙秘したとしても我々は──

対象: 言ったでしょう、私は裏切り者だと。弱く、壊れて生まれ、一族に背教にも等しい所業を行わせた。今や私は幾人も存在するわけです。私は一族の誰の居場所も知りません。彼らが今は何人になっているのかも。私に言えることは、彼らは決して滅んでなどいないということです。

インタビュアー: あなたは──

対象: 鋳出すものファウンダーよ、私はロイドです。いずれ神を組み上げることを夢見る男でしかない。しかし、"我々"はアーチボルトなのです。

[対象は首を傾げ、微笑む。対象の顔面の表皮は歪み、崩れかけている]

対象: 我々は滅亡を望みません。そして忘却も望みません。生を望み、救済を望むからこそ、我々は神を望むのです。

対象: 名門はいずれ死に絶えるのでしょう。ですが、アーチボルト家は……"我々"が駆動し続ける限り、滅びることはありません。"我々"は歯車が錆び付き止まるその日まで、彼の者の御神体を蒐集し、保管し、護り続けなければならないのです。

<録音終了>

補遺:XXXX-JP.5: SCP-XXXX-JPへのインタビューから、SCP-XXXX-JP-1群の存在が発覚しました。また、PoI-XXXX-JP-2群は潜在的脅威であることが確認されました。

SCP-XXXX-JP-1群は、SCP-XXXX-JPの完全な複製存在です。SCP-XXXX-JPへのインタビューとアーチボルト邸に残された資料の解析結果は、SCP-XXXX-JP-1群が複製存在であるにもかかわらず、オリジナルと同等の現実改変能力を保持している可能性が高いことを示しています。SCP-XXXX-JP-1群は未収容です。

PoI-XXXX-JP-2群は、SCP-XXXX-JP-1群の製作技能を有するアーチボルト家の一族です。彼らの保有する異常な技能とGoI-004Aの教義からの顕著な逸脱は、PoI-XXXX-JP-2群の行動予測を非常に困難なものとしています。彼らの総数、活動目的、所在地については調査中です。

補遺:XXXX-JP.6: 1927年以降、アメリカ西海岸ならびに西ヨーロッパ各所で、SCP-XXXX-JP-1群とみられる個体の目撃情報が急増しています。機動部隊スティグマ-9は増強され、目撃情報のあった各地の近隣サイトに派遣されます。

SCP-XXXX-JPはUncontainedに再指定されました。すべてのSCP-XXXX-JP-1群が収容されたことが確認できるまで、当該指定は解除されません。

ERROR

The islandsmaster's portal does not exist.


エラー: islandsmasterのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:5060201 ( 15 Jan 2019 17:15 )
layoutsupporter.png
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License