爆転ニギリ スシブレード外伝 ~試される大地~ 第3話「クラブラスター、アクセラレーション!」

現在このページの批評は中断しています。

【これまでのあらすじ】

 闇寿司の呪縛から解き放たれたカイは、己とスシブレードを見つめ直すための贖罪と求道の行脚を続けていた。
 そんなある日、突如彼の目の前に現れた北郷と名乗る謎のスシブレーダーに惨敗してしまう。
 北郷についてわかっていることは、スシブレーダーのフロンティア・北海道から来たこと、そしてタラバガニをネタに使用したスシブレード・クラブラスター[T]の使い手であるということだけ。
 宮城へと舞い戻ったカイの話を聞いた勝は、北海道で店を構える知人の寿司職人を紹介し、彼を尋ねるように勧める。
 かくして、カイはその勧めに従い、謎に満ちた北の大地へと旅立つのだった。


 北海道札幌市。
 北海道の道庁所在地かつ政令指定都市である、北海道の政治・経済・文化の中心地だ。
 その雑踏の中に、カイの姿はあった。

(なんなんだ、さっきからずっと染み付いて離れない、この肌を刺すような感覚は。そこかしこでスシブレードの熱を感じるのは俺達のホームも同じだが……しかし、これは。質が違う)

 カイは新千歳空港に降り立ってからこちら、ずっとこの奇妙な感覚に悩まされていた。
 じりじりと、夏の日差しのように熱く、しかし刃で切り刻まれているかの如き殺気。まるで、常に闇寿司との真剣勝負が繰り広げられているかのような、誇りと命を賭したスシブレードがここでの日常とでも言いたげな、そんな感覚だった。
 手元のメモを頼りに、JR札幌駅から札幌市営地下鉄を乗り継ぎ、██駅で降りる。そこから先は徒歩だ。
 目当ての住所は街の喧騒から離れた裏路地。そこにひっそりと看板を掲げる寿司屋がある。
 寿司屋「CRABHEAD」。勝が紹介した店だ。カイは意を決して中に入った。

「いらっしゃい……昼日中からこの店に客とは、珍しいな」

 入店すると店主と思しき寿司職人が声をかけてくる。若い男だ。頭に板前帽を乗せ、エプロンを着けていることから寿司職人であることが伺えるが、その下から覗くのは青いジャケットとカーゴパンツに革靴と、伝統的なスタイルをやや無視した傾向の出で立ちである。

「あんたに用があってきた。こいつを見ればわかるはずだ」

 カイは勝がしたためてくれた紹介状を寿司職人に手渡す。それを受け取り、しばし内容を読むと、若き寿司職人は呟いた。

「……勝さんのところのスシブレーダーか。話は概ねわかった」

 上を向き、瞑目する寿司職人。

「北郷と戦ったんだったな。あいつは、圧倒的な力で全てをねじ伏せるスタイルのスシブレーダーだ。さらなる力を求めて内地に渡ったと聞いていたが……元気そうで何よりだ」
「俺は、あいつに言われたんだ。俺のスシブレードには足りないものがあると。テクニックだけでも、機体の強さだけでも至らないスシブレードの境地、それを俺は知りたい。ここに来れば、それがわかると勝さんに聞いたんだ」

 カイは眼前の寿司職人に訴えかける。寿司職人はそうだな、と呟いた。

「勝さんがお前をここに寄越した意図はだいたい察しがつく。この、北海道という土地はお前にとって刺激的な体験ができるはずだ」
「どういうことだ?」
「ここに来るまで、スシブレーダー達の放つ殺気にさらされてきたはずだ。この北海道という土地はスシブレーダーの戦場なんだ。常に自分たちの縄張りを広げようと、戦いを繰り広げている。……噂をすれば、ここにも来たな」

 寿司職人の目が鋭くなった。

「まぁ見ていると良い。俺たちのスシブレードを見せてやる。何か得るものがあれば幸いだ」

 寿司職人がそう告げた次の瞬間、店のドアが乱暴に開けられ、3人組の男たちがずかずかと入り込んでくる。いかにも柄の悪そうな出で立ちの男達は入ってくるなり寿司職人の男に因縁をつけた。

「おうおうおう、こんなところに寿司屋広げてやがる野郎がいるとはなぁ!」

 カイは彼らの出で立ちに見覚えがあった。彼らの顔を覆う豚のマスクはかつて、自分がつけていたものと同じ。そう、カイにとっては古巣である闇寿司のスシブレーダーたちだ。

「札幌エリアでわざわざ店開いてんだ、俺達闇寿司に拠点にしてくださいって言ってるようなもんじゃねぇか」
「……」

 闇寿司のブレーダー達が下卑た笑いを漏らす中、その寿司職人は黙って男たちを睨みつけている。

「何だぁ? 弱小店舗のクズ職人がいっちょ前にイキってるつもりかァ?」
「何が起きても闇から闇へ……俺達闇寿司に楯突くんなら、ただじゃあ済まねぇのはわかってんだよなァ?」
「おうそこのお客さんよ、運が無かったな。だが安心しなァ、俺達闇寿司が本物の寿司を振る舞ってやっからよ」

 言われたい放題の寿司職人の様子に、カイは思わず懐のカンパッチェを取り出そうとするが、それを寿司職人は手で制した。

「……ッ!?」

 カイは目を見開いて寿司職人を見る。寿司職人はカイを見据えて黙って頷くと、一歩前に出た。

「おい──」

 それまで沈黙を保っていた寿司職人がついに口を開く。
 突然のことに呆けた様子の闇寿司ブレーダーたちに、寿司職人はただ一言、告げた。

「──寿司、回せよ」

 その唐突すぎる宣戦の言葉に、豚面の男達は一瞬硬直したように動きを止め、そしてゲラゲラと笑い出した。

「ギャハハハハハッ、正気かよォこのクズ職人がァ!?」
「俺達とスシブレードで勝負しようってのかァ!? 闇寿司に勝てる訳がねェだろォがよォ!」

 カイは黙ってことの成り行きを見つめる。
 闇寿司構成員の中でも、豚面をつけた闇寿司ブレーダーは相応の実力者だ。並のスシブレーダーでは30秒ともたないだろう。しかし、カイは同時に、目の前の寿司職人が勝負を持ちかけた瞬間にわずかに漏れ出た闘気を感じ取った。
 札幌の地を踏んでから、幾度となく感じた真剣なるスシブレード勝負の熱、その一片をこの寿司職人が纏い始めたのだ。
 カイは確信する。この寿司職人は、北郷という男に匹敵するほどの腕前だ。
 そんな思いを抱くカイを余所に、寿司職人は黙々と、スシブレードのスタジアムを用意する。そして、改めて問うた。

「俺が勝ったら、黙ってこの店から立ち去れ。だが、お前らが勝ったら、この店は好きにしろ。さぁ、やるのか、やらないのか」

 豚面の男達はひとしきり笑った後、各々の寿司を構える。

「いいぜぇ、相手になってやるよ。今更後悔しても遅いからなァ」
「さぁ、闇寿司の闇を味わいな!」
「ギャハハ、瞬殺してやるぜェ……!」

 3人が構えたのはハンバーグ、牛カルビ、そして豚トロ。いずれも構えた瞬間から闇のオーラを纏い、禍々しい雰囲気を漂わせる。

「纏めてかかってこい。この俺、CRABHEAD店主、南郷トオルが相手になってやる」

 寿司職人は名乗りを上げ、そして自らの寿司を構えた。カイは南郷と名乗った寿司職人が構える、その寿司の姿にはっと目を見開く。

(蟹の寿司……北郷ってやつが使っていたクラブラスターの系列機だと!?)

「行くぞ、クラブラスターΖ-Wild」

 南郷と豚面の男達の間に、勝負直前の独特の緊張が走る。そして、互いの掛け声と共に、戦いの火蓋は切られた。

「3、2、1、へいらっしゃい!!」

「クラブラスターΖ-Wild、アクセラレーションッ!!」

 南郷の裂帛の気合とともに湯呑が箸を打ち、殻のついたズワイガニを乗せたクラブラスターが、スタジアムへと解き放たれる。そこへ襲いかかる闇の肉寿司たち。

「一撃で決めてやらァ!!」

 男の快哉と共に襲いかかる牛カルビ。クラブラスターはこれをまともに受ける。弾かれたように吹き飛ぶが、辛うじてリングアウトは免れた。

「運のいい野郎だぜ! だが苦しむ時間が伸びただけだなァ?」
「オラオラァ、ぼさっと回してっと殺られちまうぞォ?」

 しかし、スタジアムの縁から中央へと戻ろうとするクラブラスターにハンバーグと豚トロが左右両方から襲いかかる。左回転のハンバーグ、右回転の豚トロのツープラトンによる挟み撃ちだ。まともにこの攻撃を喰らえばクラッシュは必至。
 だが、クラブラスターは回避しない。ハンバーグと豚トロは勢いよくクラブラスターに左右からぶつかった。だが、クラブラスターは耐えきってみせる。
 カイはクラブラスターの硬い殻がハンバーグの攻撃を受け流し、その反動を利用して豚トロを押し返した瞬間をその目にしっかりと捉えていた。

(クラブラスター……この機体は防御に特化しているのか? 波状攻撃を受けても致命傷を上手く避けている。だが、防御型のスシブレードは何らかのカウンター手段を講じない限りいずれはジリ貧になる。どこで反撃に転じるんだ、南郷さん……?)

 カイが固唾を飲んで見守る中、クラブラスターはひたすらに攻撃を受け続ける。致命傷は避けているが、ダメージが蓄積されればいくら防御特化のスシブレードとは言えただでは済まないだろう。どこかで反撃に転じなければ、待っているのはじわじわと襲いくる死だ。

 その時、カイの耳に妙な音が聞こえ始めた。キュッ、キュッ、と何かが擦れるような音だ。視線を泳がせ、音の出どころを探す。果たしてその音の正体は、南郷の足元にあった。南郷が履く革靴が、床を擦る音だったのだ。

「ひとつ教えてやろう」

 南郷はおもむろに話し始めた。

「ここ、北海道は内地の企業が製品リサーチの場として機能してきた歴史がある。現代の北海道を形作っているのが全国各地から集められた開拓者の子孫だからな。それは食文化──ひいては寿司文化も同様だ」

 カイはそれを聞いてはっと息を飲む。以前、こんな噂を耳にしたのだ。スシブレードの新戦法の3割は、北海道出身のブレーダーが産み出したものである、と。
 さらにカイは記憶をたどる。闇寿司総帥である闇親方は闇に落ちる前、北海道は大雪山に籠もって修行をしていたことを本人から聞いていた。彼が何故北海道という土地を選んだのか、その理由について語る言葉とともに。

「俺はあそこで自分の技を磨き上げようとした。だが……足りなかった。光も闇もない環境は、俺の求めていたものとは違ったのさ。北海道の寿司は江戸前寿司とはまた違った、独自の発展を遂げている。さらに、北海道民が全国各地からの移民で成り立っている関係上、北海道で受け入れられたものは全国区でヒットするって寸法だ。だからこそ、江戸前寿司の保護に躍起になる回らない寿司協会の連中は北海道の寿司を亜流扱いして、隔離地域、Evacuate Zone……通称『E-ZONE』と呼び、我関せずの姿勢を貫いていやがるのさ。協会の目から逃れて修行する分には最適だったが……北海道は俺の追い求める闇とは違った。あそこの寿司はな、何か別のものだ」

 試される大地、北海道においては闇も光も存在しない。この土地における寿司、そしてスシブレードは、闇と光で断ずることのできない混沌の中で進化を続けてきた。そして、今まさにカイが見守る中戦っているこの男をはじめとして、北海道のスシブレーダーは独自の美学を持っていた。

「こと『寿司』において俺達の前にあるのは無限の荒野。そしてそこに宿るのは新境地を開拓する可能性。それを闇と断ずるならば結構。だが俺達にとってそれは闇でも光でもない。あるのはただの混沌、俺達のフロンティア・スピリッツがそれを切り拓き道を作る。そう、『その先の、道へ』向かうだけだ。それを理解できないお前達に負ける道理など無い」

 つま先で床を鳴らしながら、南郷は眼前の豚面の男達を見据える。その眼力に思わずたじろぐ豚面の男達。

「だっ……だから、なんだってんだ!?」
「どのみちテメェは闇にも光にもなりきれねぇ半端者だろうがァ!」

 口々に吠える豚面の男達だが、南郷は首を振った。

「お前達に見せてやろう。可能性の具現、寿司とブレーダーの絆が真に結ばれる新たな境地を」
「うるせェ! ガタガタ吐かすんじゃねぇぞクズ職人がァ! これでジ・エンドだァァァァァ!!」

 ハンバーグが、豚トロが、牛カルビが、3方向から襲いくる。流石のクラブラスターもこれは防げまい。

 その瞬間、カイは南郷の口元が僅かに動いたのを見た。口角の端が緩んでいる──微笑んでいる。

「行くぞ──クラブラスター。これこそが人寿司一体……スシンクロだ!」

 かっ、と目を見開くと、南郷は思わぬ行動に出た。スシブレードの作法では、両手を広げたポーズを取る。そして、その姿勢のまま、南郷はその場で自らの身体をフィギュアスケートの選手のごとく高速回転させはじめたのだ。

 そう、寿司とブレーダーの精神を同調させる技、スシンクロ。シャリにネタを乗せて握るがごとく、寿司に自らの精神を乗せ、一体化させてしまう。今やクラブラスターはその酢飯の一粒一粒に、そしてその上で躍るネタに、操り人たる南郷の精神を完全に取り込んで一体となっていた。南郷がクラブラスターであり、クラブラスターが南郷であるこの状態こそがスシンクロ。そして、自らの体躯となったクラブラスターを、南郷は自在に操る。

「なっ……!?」

 豚面の男達が愕然としてスタジアム上で起きた事象を見つめる。
 稲妻のような変則的な軌道を描いて、クラブラスターは闇寿司ブレーダーが仕掛けた包囲網から逃れてみせたのだ。物理法則を無視したかのような動きに、豚面の男達は動揺する。

「「無駄だ、お前達の動きはすでに学んだ。俺達のラスターマニューバはお前達の上を行く」」

 奇妙な現象だった。目の前で回転を続けるクラブラスター、そして同じく回転する南郷から、その声は同時に発せられている。

「馬鹿な……さっきまで何も反撃してこなかったのは、俺達の動きを観察してたからだってのか?」
「ざっけんなよテメェ……俺達をコケにしやがって、ナメてんじゃねェぞコラァ……!」
「おいテメェら。アレやんぞ。あの蟹野郎の甲羅ぶち割って蟹味噌引きずり出してやる」

 完全に自分たちが南郷の手のひらの上で踊らされていたと判明し、怒髪天を衝かんばかりの豚面の男達は歯ぎしりしながら己が操るスシブレードに念を込め始める。彼らの寿司が纏う闇のオーラが膨れ上がり、一斉にスタジアム外周部分に散らばった。3貫による連続波状攻撃で一気にトドメを刺す魂胆だ。

「「──いや、これでお前達は終わりだ」」

 南郷の宣言と共に、鋭角的な軌道を描いて一旦スタジアム中央へと向かうクラブラスター。そして、そこからVの字を描くように外周部分へと舞い戻る。カイはその挙動にさらに驚愕した。

「左回転に変わった……だと!?」

 そう、先刻まで右回転を続けていたクラブラスターは一度スタジアム中央へ向かい、再び外周部分に舞い戻った時、その回転が完全に逆の左回転になっていたのだ。まるで白昼夢でも見ているかのような動きは、スシンクロ状態だからこそ為せる挙動なのか。

 クラブラスターは止まらない。左回転のハンバーグを猛烈に追い回す。

「なんなんだ……なんなんだテメェはよォ!!」

 泡を食ったハンバーグの使い手はハンバーグに対して奥の手を命じる。ハンバーグの中から鈍色の刃が飛び出す。これぞ闇寿司奥義が一つ、隠し包丁だ。ついになりふり構わなくなった闇寿司のブレーダーは、相手ブレーダーへの直接攻撃を敢行するに至ったのである。

「南郷さん、危ないッ」

 カイが思わず声をかける。包丁が回転を続ける南郷に飛んでいく。流血沙汰は避けられないのか、と思いきや、次の瞬間、カイはブレーダーとして鍛えられた動体視力でそれを見た。

 南郷は回転しながら、飛んでくる包丁の刃を左手の人差し指と中指で挟んで止め、1回転して勢いをつけた状態で投げ返したのだ。
 闇寿司ブレーダーの側頭部をかすめた包丁は、そのまま背後のドア脇の柱、「店内禁煙」の張り紙の「禁」の文字の上に突き刺さった。驚きで口をあんぐりと開ける豚面の男達。

 スタジアム上では、先程よりも勢いを増して回転するクラブラスターが、逃げるハンバーグを追い詰めていた。ハンバーグのスリップストリームを受けたクラブラスターはさらに加速しながら回転軸を傾ける。スピードの乗った一撃がハンバーグを吹き飛ばした。勢いが減じたかと思いきや、ハンバーグを吹き飛ばした余剰エネルギーが空気中に渦を作り出す。その渦はやがて、ひとつの幻影を形作った。そう、虚像のクラブラスターだ。

 虚像のクラブラスターが先行し、それを追いかける実像のクラブラスター。虚像のクラブラスターは先刻のハンバーグのようにスリップストリームを産み、それに乗った実像のクラブラスターはさらに加速。加速で生まれた空気の渦が、虚像のクラブラスターをさらに強化させる。回転力の高まったクラブラスターの次なる餌食は豚トロである。それはハンバーグ撃墜からわずか1ミリ秒の出来事だった。クラブラスターと南郷の回転の勢いは更に増し、南郷の足元からは摩擦熱で煙が上がり始めている。クラブラスターに至ってはスタジアムとシャリの接触面から火花が散り始めていた。哀れな豚トロは虚像のクラブラスターに接触して回転が不安定になり、次いで実体のクラブラスターの容赦ない一撃を受けてスタジアムから吹き飛び宙を舞う。

 外周の2/3を回り切った所で、最後に残った牛カルビは虚実両方のクラブラスターから逃れようともがく。しかしクラブラスターの勢いは留まるところを知らない。今や、虚像のクラブラスターの回転すらさらなる虚像を生む。この状況から浴びせる3連撃こそ、クラブラスターΖ-Wildと南郷がスシンクロ状態で可能とする必殺奥義だ。まず第一の虚像が牛カルビのバランスを崩し、第二の虚像が風の刃で牛カルビのシャリに切れ込みを入れる。そこに襲い来る実像が火花を散らしながら牛カルビを穿ち、スタジアム外へと弾き飛ばす。目にも留まらぬ三連撃、これこそが──

「「──『蟹華舞彩太刀・虚実三貫』、一丁上がり」」

 南郷がその絶技の名を謳い上げると共に、クラブラスターがその身にまとった殻で牛カルビを強打し、天高く舞い上げる。先に飛ばしたハンバーグと豚トロの後を追うようにスタジアムの外へと飛び出した牛カルビ。3貫の肉寿司たちは、未だぽかんと口を開ける持ち主の口の中へと飛び込んでいった。

「「「ぐふぅッ!?」」」

 口に自分の肉寿司を叩き込まれ、まるで銃弾を撃ち込まれたかのように3人の身体が吹き飛ぶ。自分たちが入ってきたドアが男達の身体で押し開けられ、豚面の男達は店外へと叩き出されてしまった。

 カイは、スタジアムの外周を1周する間に3貫の肉寿司を立て続けに撃破したその鮮やかな絶技の一部始終にただただ魅せられ、呆然と呟く。

「1周する間に3貫を全て……ワンターンスリーキル……!」

 南郷は自らの愛機をスタジアムから飛び出させると、その身を回転しながら右手でキャッチ。やがて回転を止めた。シュウシュウと足から煙が上がる中、店外の男達にただ一言告げる。

「お前達に出す程のお愛想はない」

──続く


【次回予告】

 勝さんが紹介してくれたスシンクロの使い手、南郷さんは俺に北海道のスシブレード事情を語る。それは、スシブレーダーが徒党を組んで抗争を繰り返す戦国時代さながらの覇権争いの歴史だった。そんな中、南郷さんの店にまた一人スシブレーダーが訪れる。後志アサリ、彼女こそが北海道の二大勢力の片割れ・小樽天輪寿司連合の頂点だった!
 次回、「爆転ニギリ スシブレード外伝 ~試される大地~」第4話、「北の戦乙女 ホッキガイウス・カイザー降臨」! 北の大地で、へいらっしゃい!


    • _


    コメント投稿フォームへ

    Add a New Comment

    批評コメントTopへ

ERROR

The KazukiHagura's portal does not exist.


エラー: KazukiHaguraのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:4955274 ( 22 Mar 2019 11:26 )
layoutsupporter.png
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License