対象: D-75099
実施方法: 対象にイヤーカフ型の高性能小型マイクを装着させ、指示を送りつつSCP-XXXX-JP内部への侵入を試みる。
██博士: D-75099、私の声は聴こえるかい?
D-75099: 大丈夫、問題ないよ博士。
██博士: わかった。ではそのまま進んでくれないか。先に生垣が見えてくるだろう。
D-75099: ああ、あれだな。生垣に人が通れるような入り口があるよ。そこから入るのか?
██博士: そうだ。目につくものがあったら教えてくれ。
D-75099: 了解した。(急にノイズが酷くなる)うわっ、なんだよ急に…凄い雨が降ってきた!
██博士: 雨?こちらは快晴だが。確かに凄い音がしているな。
D-75099: (ぐるりと見渡す)…なんかこの一帯だけ降ってるみたいだ。今入り口くぐったぞ。
██博士: 成る程、敷地内はどうなっている?
D-75099: なんかすげえ綺麗な庭だな。映画に出てくるやつみたいだ。奥に立派な家があって、壁にたくさん蔦が……おい、家から人出てきたぞ。
██博士: 報告では空き家の筈なんだがな。
D-75099: 良くわからんけど、多分日本人の女と…外人の男。こっちに走ってくる。
██博士: わかった。気をつけて接触してみてくれないか。
D-75099: ああ、了解だ。
SCP-XXXX-JP-A: やあや!お客さん、こんな所で立っていたら風邪を引いてしまうよ!さあ、おいで。家に入って!
D-75099: え、ああ、いや俺は…
SCP-XXXX-JP-B: 遠慮なんか要らないわ!さあ入って!
██博士: 危害を加えてくるようなら部隊を突入させるから、それまでおとなしく従うんだ。YESならマイクを一回指で叩いてくれ。
D-75099: (トン、と叩く音)
(対象がSCP-XXXX-JPの建物内部に侵入する)
SCP-XXXX-JP-A: 以前ね、僕と妻はここでペンションをやっていたんだ。だから部屋はたくさん余ってるし、雨が上がるまでゆっくりしていって良いんだよ。ああ、お金なんかはとらないさ!
D-75099: あ、ありがとうございます。
SCP-XXXX-JP-B: あのね、久しぶりのお客さんで嬉しいのよ。さあ、この部屋を使って頂戴ね。夜通し雨だっていうから、泊まっていって。今着替えを持ってくるわ、あと温かいお茶もね。
(扉の開閉音の後、沈黙)
██博士: D-75099、今そこには一人かい。
D-75099: あ、ああ大丈夫。こっちの状況は聴こえてたか?
██博士: 問題ないよ。引き続き調査を続けてくれ。ただし勝手な行動は厳禁だ。即刻終了対象になるぞ。
D-75099: ああ、了解だよ。
(その後もSCP-XXXX-JP1は終始友好的であり、提供された飲食物を摂取しても対象の体調に悪影響はなく、対象は1時間毎に報告を繰り返し夜を明かした。)
D-75099 : 長い1日だな…しかし、昨日は久しぶりにあんな豪勢な食事をしたよ。こんな実験なら毎日でも良いな。
██博士: D-75099、不要な発言は避けるように。与えられた勤めを全うに果たすんだ。そうしたら君は自由になるさ。
D-75099: わかったよ博士。…お、雨が止んだみたいだ。
██博士: そうか。なら今回の調査はこれで終了だな。帰還してくれ。
D-75099: 了解だ。なんか拍子抜けだな……ん、あれ?
██博士: どうしたD-75099、報告してくれ。
D-75099: 子供、庭に子供がいるんだ。男の子が1人と、女の子が3人。何してるんだ…?手を繋いで、輪になってる。
██博士: 続けてくれ。
D-75099: なんか、唄?日本語じゃない。唄歌いながらぐるぐる回って…
(環境音に混じって子供の歌声が聴こえている。)
D-75099: (長い沈黙)
██博士: D-75099、D-75099。どうした、応答しろ。
D-75099: …博士、俺行かないと。あいつらと遊んでやらなきゃ。
██博士: 何を言っているD-75099、勝手な行動は厳禁だと言ったろう!
D-75099: 博士も聴こえてるだろ?あいつら呼んでるんだ。
(環境音に混じって子供の歌声が聴こえている。)
██博士: 子供達の歌声だろう?微かには聴こえている。だが、それは君の名を呼んではいない。勝手な行動は終了対象になるぞ!
D-75099: 博士、あいつら遊んで欲しいんだ。少しだけだからさ。
(扉の開閉音)
SCP-XXXX-JP-A: やあや、せっかく来たんだから帰る前に遊んでお行きよ。我が家自慢の庭さ!孫も喜ぶ!
D-75099: わかったよじいさん、ちょっとだけな。
██博士: D-75099、おいD-75099!
(階段を駆け下りる足音や扉の開閉音の後、段々とはっきり歌声が聴こえてくる。)
D-75099: おい、ガキども来てやったぞ!
SCP-XXXX-JP-C: やったあ!待ってたよう!
SCP-XXXX-JP-D: 一緒に遊んでくれるの?
SCP-XXXX-JP-E: 教えてあげる、こうやるんだぜ!
SCP-XXXX-JP-F: さ、手を繋ごう!
██博士: D-75099、D-75099!クソッ!
(SCP-XXXX-JP-2と対象の歌声が聴こえている。暫くの間変化は見られなかったが、次第に対象が苦しみ、歌声に混じって呻き声が聴こえ始める。)
D-75099: …な、ぐう…な、ななな、なんだ、よ、これ。
██博士: D-75099?何があった?!応答しないか!
D-75099: はか、はか、せ。ごめ、お、おお俺、俺の、か、からだ、から…つる。つるが。葉っぱ、が…
██博士: つる?何を言っている?何が起きているんだ?!
(SCP-XXXX-JP-2の歌声が笑い声に変化する)
D-75099: …く、くそっ、たれ…!お、俺のかか身体…ひひ、引き裂か…れて…く、くるし、たすけ…
██博士: おいD-75099!どうしたんだ!
D-75099: ば、ばば…ばら、だ。
結果: 機動部隊が到着時、SCP-XXXX-JP-1ならびにSCP-XXXX-JP-2は即座に消失。
D-75099の回収には成功しましたが、対象の身体から発生した植物は成長を続け、蕾が開花したと同時に対象の生命活動は停止しました。
分析: 検死の結果人体の全ての血管がバラ化に似た植物の蔓に置き換わっており、水分が大量に奪われていたことが判明しています。
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