信コン向けネタ 鶏頭と野分
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはスクラントン現実錨1基を内蔵した標準人型オブジェクト収容室へ収容します。SCP-XXXX-JPの異常性を目撃した人物には、クラスA記憶処理を施します。

説明:SCP-XXXX-JPは戸籍上196█生まれの██一樹と登録されているクラスⅣ現実改変実体です。
SCP-XXXX-JPの異常性は俳句を詠もうとすることにより発現します。SCP-XXXX-JPが俳句を構想しはじめると、SCP-XXXX-JPの傍に1本以上のケイトウ(学名:Celosia argentea)が出現します。出現するケイトウの本数はSCP-XXXX-JPが詠んだ俳句の完成度に対する認識にしたがって増減し、14本に達するとSCP-XXXX-JPを中心とした周辺の気候及び天候が実際の状況にもかかわらず快晴の九月頃のものに変化します。この範囲は最小でケイトウの出現数が14本の時に半径5mほどで、16本以上に達すると出現数とともに加速度的に拡大し、最大で半径1kmにまで至ります。これらの異常現象はSCP-XXXX-JPが俳句を詠み終わってから1分程度まで続きます。

SCP-XXXX-JPは、戦後蒐集院から引き継がれた資料に記載されていた要注意団体"鶏頭の徒"の調査中にその存在が示唆されました。財団が本格的に鶏頭の徒に関する調査を開始した結果、異常現象の確認された地点付近の公共施設の使用記録やセキュリティシステムの映像記録ログに改ざん及び消去といった痕跡が認められ、鶏頭の徒が非異常性の手段を用いて自身の活動記録を隠蔽し続けたことで蒐集院からの確保を逃れていたことが判明しました。

財団は改ざん及び消去されたデータをもとに異常現象が発生しうる物件を精査し、1974年9月22日に鶏頭の徒が東京都██区の管理する古民家を改装したフリースペースで集会を開催することを突き止めました。財団は当該フリースペースにカント計数器を内蔵した偵察目的用超小型ドローンを複数配備し、鶏頭の徒の集会を観測しました。以下は、各種データを統合、編集した観察ログを一部抜粋したものです。

[10:30:42] 広間に2名の初老の男性があらわれ盗聴盗撮機器の有無を確認するかのような動きを見せる。30分ほどかけて確認作業を終えると、広間の清掃及び設営作業に入る。

[11:13:22] 最初に入場した男性2名が設営作業を終える。ほぼ同時に集会参加者と思われる人物が少しずつ広間へ入室、広間中央に設置された机を囲むように着席する。

[11:30:09] 中年女性と10代前半程度の少年が入室し、会場がどよめく。着席していた参加者が次々と席を立ち少年のほうへ駆け寄り、労いや敬いの言葉をつぶやいて拝む。女性と少年が上座へ座り、参加者全員が着席する。

[11:32:30] 上座に座る女性が背筋を正し「それではただいまより、鶏頭の徒定例句会を開催します。まずはじめに鶏頭の句を3度斉唱します。斉唱」と言う。

[11:32:54] 参加者全員がそろえて「鶏頭の 十四五本も ありぬべし」と3度唱える。

[11:33:15] 参加者全員の斉唱終了後、女性が「ありがとうございます、続けてシキより季語を賜ります」と言いつつ隣の少年に拝む。同時に集会参加者全員が少年に拝む。

[11:33:23] シキと呼ばれた隣の少年がうなずき、広間の外を見まわす動きを見せた後、何かを考えこむように目を閉じうつむく。

[11:33:34] 少年を中心として周辺のヒューム値が変動しはじめ、少年の座る傍らに1本のケイトウが出現する。この時点から2分間、ヒュームの変動に呼応するように少年の周辺に出現するケイトウが1本から3本の間で増減する。

[11:35:34] 少年の周辺に出現するケイトウが3本で固定化される。

[11:35:36] 少年が顔をあげ「松虫」とつぶやく。少年を除く全員が顔をあげ、女性が参加者の方へ向き直る。

[11:35:43] 女性が「承りました。それではこれより句会を改めてご説明します。富士山以外の季語をひとつ以上使い写生の精神に則った五七五の句を皆で詠み、互いに品評しあいます。特選とされた句は、後日発行する会誌にて最優秀作として発表されます。本日の季語は『松虫』です。それでは、はじめ」と言う。

品評対象として詠まれた句は合計で五十句にのぼり、どの句においても相当に忌憚のない意見が飛び交った。また、少年が句を詠みあげる度に周囲に出現するケイトウがヒューム値の変動に応じて増減し、最大で12本まで出現した。総じて集会は近代における席題での題詠句会の様相を呈しており非常に緊張感のある雰囲気だったが、蒐集院からの報告にあった気候と天気の変化は見られなかった。

集会解散後、財団は会場周辺に待機させていた機動部隊ひ-997"白樺派"によって集会参加者を全員確保、サイト-81XXへ移送させました。移送の最中に集会参加者の身元を調査したところ、集会を主導していた女性と少年は神奈川県川崎市在住の██恵子、一樹両氏であると判明、現実改変能力を有する実体として一樹氏をSCP-XXXX-JPに、集会を主導する人物として恵子氏をPoI.XXXX-JP.1に暫定的に指定しました。

インタビューログ.XXXX-JP.1: 集会参加者の全確保の直後、作戦を主導していたエージェント肥田は異常性の確認及び鶏頭の徒に関する情報獲得を目的として、SCP-XXXX-JPにインタビューを敢行しました。以下は当該インタビューの録音ログです。

対象: SCP-XXXX-JP

インタビュアー: エージェント肥田

<録音開始>

エージェント肥田: インタビューを開始します。SCP-XXXX-JP、あなた方はあの古民家で何をやっていたんですか?

SCP-XXXX-JP: なんだよその実験動物みたいな呼び方は。それになんであんたらの詮索に答えなきゃならない。人さらいみたいなマネしてさ、やってることが一方的すぎるだろ。一体なんのつもりだ?
 
エージェント肥田: 手荒な真似をしてしまったことにはお詫び申し上げます。我々にご協力いただけるのであればそちらのご質問にもお答えします。まずはお答え願えますか?

SCP-XXXX-JP:[大きく舌打ちをする]気に入らないけど、話が進まないな。あの古民家では句会をやっていたよ。僕らは4か月に1度くらいに集まって、あそこで俳句を詠む鍛錬をするんだ。

エージェント肥田: 句会の最中、貴方の傍に花が出現した様をこちらで確認しています。我々の観測ではそれらの現象は貴方が発生させているという結果が出ているのですが、貴方はこれらを故意に発生させているのですか?
 
SCP-XXXX-JP: いや、あれは僕が俳句を考えているときに必ず起きるんだ。わざと起こしてるわけじゃないよ。

エージェント肥田: 花の出現数が句会の最中で増減していますね。これらの原因に心当たりはありますか?

SCP-XXXX-JP: あれは詠んだ句の出来栄えで数が変わる。いい出来だって思ったら多いし、そうじゃなかったら少ない。
 
エージェント肥田: 今までで最大何本の花を出現させたことがありますか?

SCP-XXXX-JP: 15本を3回ほど。あれ以上の句は詠めないって思ったから、よく覚えてる。

エージェント肥田: 我々が知る過去の観測事例では、辺り一面に鶏頭が大量発生する事例が1903年から複数にわたって報告されています。見たところ貴方がその頃から生きていた人間には見えませんが、何か心当たりはありませんか?

SCP-XXXX-JP: 母さんから話には聞いたことはあるけど、それは僕がやったんじゃない。先代たちのやったことだと思うよ。句会のときしか起きない、とか聞いたな。

エージェント肥田: 先代というと、貴方のその力は脈々と受け継がれてきたものなのですか?

SCP-XXXX-JP: うん。この力は正岡子規の魂を受け継ぐものの証だって、母さんは言ってた。

エージェント肥田: 正岡子規の魂を受け継ぐ、というのは、どういう意味ですか?

SCP-XXXX-JP: そのままだよ、僕は正岡子規の魂を受け継いでいる。この能力は日本の俳人の1人にあらわれるもので、子規と同じように俳句で日本を変える素養を持つ人間だっていう印みたいなものらしいよ。僕らの間ではそう信じられている。

エージェント肥田: 信じられている、というとまるで宗教みたいに聞こえるのですが、貴方がたはただ集まって俳句を詠むだけではなくて、何か教義をお持ちなのですか?

SCP-XXXX-JP: 僕らにあるのは、子規の教えだけだよ。富士山以外の季語を一つ以上含み写生の精神に則った五七五の句の中に、日本の四季の美を記し示す。それだけが日本に生まれ俳句を詠む才を持った人間のあるべき姿であり、道だ。僕らはそう信じているし、句会の皆がそう信じられるように僕は子規の魂を持つものとして率先してそうあろうと思ってる。そんな生き方以外くそくらえだ。宗教だっていうなら、仏教だのキリスト教だのは日本と僕ら日本人を取り巻く美しさの本質にこれっぽっちも関わってない。南無阿弥陀仏もアーメンも、鶏頭の十四五本もありぬべしに比べたらなんの重みもない。あるかどうかわからない救いをくっちゃべって銭をせしめたブッダやキリストなんかより、その身でもって日本の四季を示し続けた子規のほうがずっと偉大だし信じるに値する。僕らは、正岡子規とその教えを信じてる。それが僕らだ。

エージェント肥田: なるほど、わかりました。伺いたいことは以上です、以降はあなたからのご質問にお答えします。ひとまずインタビューを終了します。
 
<録音終了>

終了報告書: SCP-XXXX-JPの現実改変能力は転移する性質を有しながらも能力自体は限定的かつ不随意に発生するため、意図的に悪用できる異常性ではないと考えられます。SCP-XXXX-JPの異常性の詳細はオブジェクト自身よりもPoI.XXXX-JP.1をはじめとした鶏頭の徒構成員のほうが把握していると判断できます。また、開催していた集会を句会と称していたことから鶏頭の徒は俳句結社であると推測されますが、正岡子規に対する異様なまでの薫陶を示しており通常の俳句結社とは異なる性質も持つと思われます。オブジェクトの異常性と鶏頭の徒の実態をより仔細に把握するため、確保済の鶏頭の徒へのインタビューを敢行します。 エージェント肥田

インタビューログ.XXXX-JP.2: インタビューログ.XXXX-JP.1の内容を受けて、エージェント肥田は事実確認を目的としてPoI.XXXX-JP.1へインタビューを敢行しました。以下は当該インタビューの録音ログです。

対象: PoI.XXXX-JP.1

インタビュアー: エージェント肥田

付記: インタビューログ.XXXX-JP.1収録以降、エージェント肥田は確保済の鶏頭の徒構成員に対し再三にわたってインタビュー及び句会の再現実験に関しての交渉を行っていた。当初各構成員達はこれらを断固として拒否しており、再現実験に対しても非協力的な対応のみを示していた。確保から3日後、PoI.XXXX-JP.1がインタビューに応じる意向を示したため、エージェント肥田はインタビューを行った。

<録音開始>

エージェント肥田: それでは、インタビューを開始します。まずは今までの非礼をお詫び申し上げます、貴方がたのお怒りはごもっともです。

PoI.XXXX-JP.1: 詫びるくらいならさっさと解放しなさいな。この扱いはどう考えても不当よ?

エージェント肥田: 承知しております。インタビューと再現実験にご協力いただけたあかつきには、すぐにでも皆さんを解放いたします。それにしても、先日まで取り付く島もないほど拒んでいらしたのになぜ今になってインタビューに応じようと思われたのですか?

PoI.XXXX-JP.1: いつまで経っても埒が明かないからよ。このまま押し黙ってても貴方がたは私たちを死ぬまで監禁し続けるだけでしょうし、力でもってここを抜け出すこともできそうにない。あきらめたのよ。素晴らしいわね、貴方がたは剛力でもって自分たちよりはるかに非力な人間をねじ伏せ協力する姿勢を引きずり出してみせたのよ。

エージェント肥田: ご理解いただけたようで何よりです。では改めまして。あなた方鶏頭の徒は、一樹君が天候や気候を変え花を出現させる力を持つと知っていますね。

PoI.XXXX-JP.1: 私達のことをそれなりには知っているようね。ええ、そうよ。あの子は子規の魂を受け継ぐ者、子規のようになる自覚は持ってもらわないと困るのよ。

エージェント肥田: 我々は過去に貴方がたが行った句会で、鶏頭が大量出現する事例を複数確認しています。一樹君がこれまで出現させた鶏頭の最大本数は15本だった、と本人の口から聞いています。彼によると詳細は貴方がたのほうが詳しいとのことなのですが、鶏頭の大量出現に関してご存じのことを教えていただけませんか?

PoI.XXXX-JP.1: [数秒の沈黙]それは句会でしか起こらないことね。私達の句会では皆が等しく至高の句を詠めるように互いの句を品評しあい、目と腕と心を極限まで研ぎ澄ます。いくつもの句会で己を研鑽した上で子規の魂を受け継ぐものが子規に等しい句を皆の前で詠みあげたとき、その現象は起きるわ。ちょうど先代のときもそのような感じだった、はっきり覚えている。

エージェント肥田: つまり、鶏頭の大量発生は句会でのみ発生するがめったに起きることではない、ということですね。

PoI.XXXX-JP.1: そうなるわね。

エージェント肥田: わかりました。少しお話を変えます。貴方がたが開催していた先日の集会の様子を見る限りでは鶏頭の徒は俳句結社だとお見受けするのですが、その一方で一樹君を信奉するかのような言動もちらほらと観測できました。見方を変えるならば、貴方がた鶏頭の徒は一樹君に異常性を発現させるよう煽っているとも捉えられます。

PoI.XXXX-JP.1: [上ずった声で]不敬な、よくもそんな大それたことを! 鶏頭が子規に遣われることはあっても、鶏頭が子規を遣うことはありえない。私達は確かによそとは少し違う俳句結社だわ、けどその違いは覚悟と信念を持って集っているからに他ならない。私達は他のお茶らけた俳人気取りどもの寄せ集めとは違う。子規の魂を受け継ぎ、子規の後継者になるものと共に俳人としての高みを目指す鶏頭の徒よ。句を詠むものとして子規を敬うのは当然のことだし、子規の力の一端を拝見したいと思うのも当然だわ。

エージェント肥田: その口ぶりですとおっしゃることは本心のようですね。なるほど、鶏頭の徒というのがどういう組織なのかこれで理解できましたよ。

PoI.XXXX-JP.1: 人を食ったような物言いね、今に見てなさい。貴方たちはいつか必ず後悔することになる。

エージェント肥田: 強硬手段を取らざるを得ないことになりかねませんので、あまり脅迫めいた言動はとらないでいただけると助かります。それではこれにて、インタビューは終了します。続けて検証実験に関しての交渉へ移ります。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー内容をもとに判断するならばケイトウが大量出現するケースはまれであるため、複数回以上の検証実験を行う必要があります。また、鶏頭の徒は正岡子規とその魂を受け継ぐSCP-XXXX-JPを信仰対象とみなした新興宗教としての側面を持つ俳句結社であることは断定していいと思われます。インタビュー直後、PoI.XXXX-JP.1に対し確保済の鶏頭の徒構成員に対し句会の再現実験への協力を仰ぐよう交渉がなされ、検証終了後にSCP-XXXX-JPを含む全構成員の解放を条件に2日後に句会の再現実験の実施が決定されました。 エージェント肥田

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