ある保管サイトの不思議な料理(人事tale)

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コミカルな人事taleを目指しました。
単純に面白いか。もしvoteするとしたら、どう評価するか。等、自分自身では分からないため、批評を求めています。

心配なのは、以下のような点です。
・ストーリーがとっ散らかっていないか。
・展開的に不自然な部分は無いか。読み取れる限りの設定に、大きく違和感を感じる致命的な部分は無いか。
・人事キャラを活かしたいがために、無理やりな展開になっていないか。
・コミカルにしたつもりだが、成功しているか。
・各キャラのリンクを踏まずとも、成立している内容であるか。

全体的に、もう少しコミカルにしてみる。
お見合いの部分はもう少し削っても良さそう。
3個以上セリフが続くと、分かりづらい。1個か2個ごとに、情景を挟む
異常な料理を調べるというのを、明言する。


「何か見つかったー?」

「いや、特にめぼしいものは無いかもな…」

長期保管サイトの資料室に声が響き渡る。問いかけに、エージェント・和泉は手にしていた本をパタンと閉じながら答えた。机の上に山のように積まれた資料を眺めながら、問いかけたエージェント・若菜はため息をつきながら頬杖をついた。

「成果なしかぁ…。もー、私、学校さぼってきてるんですけど…」

「そんなこと言ったら、俺だって自分の店を休業してお前に付き合ってやってるんだ。文句ばっかり言うな」

制服を着た女子高生に、清潔感のある30代くらいの男性。今日の資料室に居るのは、そんな二人組だった。和泉はぬるくなった缶コーヒーを一口飲みながら、クリアファイルに入った一枚の紙片を若菜に手渡した。

「料理のレシピなのは分かるんだがな…。という事は、そっちも手掛かりなしか?」

「全然なし!何も分かんない。料理系専門のエージェントとして、ちょっとプライドが傷ついたかも」

若菜が見つめる紙片にはいくつかの食材リストと、調理法らしきものが記されている。日付は十数年前のもので完成系らしき料理の写真もあった。

先日の日本生類創研への襲撃任務の際に、回収された文書の調査がそれぞれ専門のエージェントに送られることになったのは、先週の事だった。特に急ぎの調査案件ではないが、自身を”美食家”と豪語するほど自分の職務に誇りを持つ若菜は、すぐに相棒で料理人でもある和泉を連れ出して調査を始めたのだった。

「すみませ~ん。料理に関係する資料で、これ以上参考になりそうなものは無いと思います…」

資料室の管理を担当している津々楽事務員が声をかける。趣味の小説執筆のために、非番の日も常に資料室に居る彼が言うなら確かなのだろう。データベースでも検索に引っ掛からないし、数日本漁りをし続けても何も分からないとなると、手詰まり状態に近かった。

「え~?どうしよう」

「あの…、もしかしたら、彼なら何か情報を持っているかもしれません。こういった手掛かりの少ない中での調査なら、専門のはずですから」


清川調査員は自身の資料保管庫に入るなり、机に突っ伏して眠りこけているエージェント・雛野を発見していた。恐らく、先週行くと言っていた異常領域の調査報告書を持ってきたのだろうが…。彼女の寝起きの悪さは凄まじい。下手に起こすのは賢明ではないと判断した清川は、後ろからそっと毛布をかける事にしたのだった。毛布をかけ終わると、机の上にスッと黒猫がやってくる。

「俺が戻るまで、雛野と遊んでてくれんだな。ありがとうな、ヤマト

清川調査員の飼い猫であるヤマトは、頭をなでられて満足そうに喉を鳴らしていた。ヤマトはクレヨンで書かれた落書きから生まれた黒猫だが、起源以外には異常性は確認されていない。清川はそういったオブジェクトの"起源"の調査を専門としたエージェントだった。全身の力を抜いてリラックスしているヤマトをしばらく撫でていると、軽いノック音と共に、若い女性の声が聞こえた。

「すみません、清川さんはいらっしゃいますか?」

「お客さんだ。また後でな、ヤマト。はいはーい、今開けます」

ガチャリと扉を開け、訪問者である若菜と和泉を応接室に案内する。この2人に会うのは初めてだが…、凄腕の「料理人と美食家コンビ」の噂は耳に入っていた。

「ん、もしかして先客が?」

「いえ、和泉さん。自分も今戻ってきたばかりなんですが、気づいたら居ましてね。気になさらないでください」

「もしかして、付き合ってるんですかー?」

「若菜。初対面の相手に失礼だぞ」

「うーん、付き合ってるわけでもないんですが…。先日の職員同士の交流会で知り合いまして。何となく馬が合っただけですよ。それで、ご用件は、いったい何でしょう?」

「実はですね…」


「なるほど。……この料理の写真、どこかで見た覚えがあります」

「本当ですか!?」

「はい…確か、この辺に資料が……。あれ…、どこやったかな…」

資料保管庫には、許可を得て持ち出した資料のコピーが置いてあり、膨大な量で管理できていない。どんな資料があったかは何となく分かるのだが、所在まではさっぱり把握できていない。こんな時は、いつも相棒の手を借りる。

「ヤマト~。あの資料どこだっけか…」

声を聞きつけたヤマトはやれやれという顔をしながら、大量に積まれた資料の塔を、猫パンチで次々と破壊していく。大量の資料が部屋中に散らばる中、ひらひらと偶然机の上に落ちてきた資料は正に目当てのものだった。

「ああ、これこれ。ありがとうなヤマト」

「猫がここの資料を管理してるんですか…?」

「どうなんでしょうね。本当のところは分かりませんが、何故か資料の位置を分かってるみたいなんですよ」

「え~凄い。こんな賢いコ初めて見ました」

「ありがとうございま……」

和やかな会話をしていたと思った瞬間、何故かパイプ椅子が飛んできてバギャンと壁に当たり、会話が止まる。飛んできた方向を見ると、雛野がゆらりと立ち上がっていた。資料のバサバサ音で目を覚ましてしまったらしい。

「うぅ…、うるさい…」

「和泉さん、若菜さん!逃げてください!彼女の寝起きは最悪なんです!」

資料をグイっと渡し、何とか2人を出口に案内する。

「あ…あの、大丈夫なんですか?彼女さん」

「いつもの事なので、大丈夫ですよ。もし、何かわからない事があれば、また来てください。バタバタして申し訳ないです!」

バタンと扉を閉め、即座にしゃがんで飛んでくるシャーペンを回避する。普段は可愛くて、両親のためにと頑張れる素敵な女性なのだが、この時だけは危険すぎる。まぁ…いつもの事といえば、いつもの事なのだが…。

こうして、苦労人の気がある清川は、今日も全力で目の前の案件に挑むのだった。


「うわー激しい…」

「まぁ、とりあえず今のところは大人しく撤収するか…。それで、もらえた資料には何が書いてあったんだ?」

ドタバタと音が響き続けている資料保管庫を後にし、早速資料に目を通してみる。内容は「動物変調性質」というような専門的な用語ばかり書いてある論文であった。パラパラとめくっていくが、内容はほとんど読み取れない。ただ、確かに紙片にあった料理の完成写真が載っているページを見つけた。

「ここだ…。間違いなさそう」

「どれどれ。おお確かに。……でもこれ、著者の名前が黒塗りになってるな。誰が書いたか分からん」

「うー確かに…。あ、でもここ、この人達に聞けば何か分かるかも」

若菜は書類を確認する際の、回覧印が押されている部分を指さした。


この辺の内容を、コミカルに合わせ、もう少し穏当にする。

今日の第三会議室は、2人の女性が使っていた。椎名倫理委員は、狭い会議室で向かい合って座っている柊副管理官を見つめため息をついていた。独立した部門である倫理委員会は、財団の貴重な人的資源の浪費や不適切な使用が無いか調査している。たとえ、それがサイトの管理者の行った事であっても、対象外になることは無い。

「柊さん…、同い年として忠告しますけど、暗部に任せている仕事、少しやりすぎじゃないですか?」

「仕方ないんだよ。最近は、異常性保持者が当然のように入ってきたりする。まぁ…、保管サイトの癖に元から異常性のある職員が多いから潜入しやすいのかもしれないが。というか、ちゃんと生け捕りにしてるじゃないか」

「本当に四肢をつぶしておく必要があるんですか?その後の治療も大変になるし、情報を聞き出す尋問官もやりにくそうにしてるんです。収容する際の手間も増えますし…」

本当はもっとシンプルに人道的な理由で止めてほしいのだが…、柊にはこういった言い方の方が伝わるという私なりの工夫だ。20年以上、なんだかんだ付き合ってきた間柄だからこそ分かる。

「分かったよ…善処する。部下達にも言っておくよ」

「その部下の方々についても、聞きたいことはあるんですが…。一体どこから調達してきてるんですか?公式な部下の申請は無いですよね?」

「……しらじらしいな。察していると思っていたが?」

「やっぱり…、柊さん、私にも見逃せないことはあるんですよ?学生を使うなんて、何を…」

コンコン。
白熱していく会話は、不意なノック音で一瞬止まった。来客だ。

「失礼します。エージェント・和泉ですが、椎名さんはいらっしゃいますか?」

「あ、はい。どうぞー」

「失礼します。あ、副管理官もいらしたんですか。お疲れ様です」

「お疲れ様です。和泉さん、今日はどうしたんですか?」

いつも通りの私と、"仕事モード"の柊。エージェント・和泉の目には、にこやかな会議をしていたように映るだろう。こういった切り替えが出来るのは純粋に凄いとも思う。真似したいとは思わないが。

「実は、こちらの資料なんですが…」


「なるほど。あー、この資料は確か…倫理委員会でも話題になってましたね。馬酔木博士が若い頃に書いた論文だったと思います」

「馬酔木博士ですか?」

「彼はユニークな研究を良くしてますからね。ユニークすぎて処分を言い渡すこともありますが、優秀な職員であることは間違いないですよ」

「もしこれから会いに行くのなら、私の方から連絡しておきますよ。倫理委員として連絡したい事もあったので」

馬酔木博士は謹慎処分中なのに、普通に研究室に居たらしい。あんまり意味は無いかもしれないが、職務上警告はしなくてはならない。

「そういえば…お二人は、何か打合せだったんですか?珍しい組み合わせだなと思いまして…」

珍しい…か。確かに、柊がサイト内に居る事自体が少ない。ただ、どう誤魔化したものか。話していた内容をそのまんま言うわけにもいかない。

「あー、実は先日の交流会に2人で参加した話をしてたんですよ」

「はぁ…、そうだったんですか。確かに大規模な会でしたね。何か良い出会いはあったんですか?」

「はい、色々な友達も増えましたよ。ね、柊さん」

「…え、まぁ…」

「さっき会った清川さんも、参加してたみたいですし、そんな盛況だったんですね。自分も参加してみれば良かったかなぁ」

「主催の佐藤さんは、来年もやりたいと言ってましたし、是非とも参加してみて下さい」

「考えてみます。…あ、打合せ中でしたよね。すみません。お忙しいところ、ありがとうございました」

バタリと扉が閉まり、和泉が遠ざかる足音が聞こえる。一息つくと、柊の怒気をはらんだ視線が突き刺さった。

「もっとマシな言い訳は幾らでもあっただろう。あれじゃ、まるで遊んでたみたいじゃないか」

「まぁまぁ、結果的に誤魔化せたし良いじゃないですか。…で、何の話でしたっけ」

「部下の件だろう。お前と話すと、何だか調子が狂うな…」

逆だ。積極的に狂わせないと、生き馬の目を抜くように鋭い柊には全てを見透かされてしまう。対等に喋るには、愚者を演じることも必要になる。

こうして、椎名と柊の油断ならない会話は続いていった。


「あ、終わったぁー?」

「ああ、分かったぞ。というか、何で一緒に来なかったんだ」

「分かんないの…?椎名さんと副管理官の2人が揃うと、独特な空気感というか…。私は苦手なんだよね…。和泉にはその辺、分かんないでしょ?女性職員の間では、割と有名なのよ」

「…すまん、さっぱりだな。まぁ、とにかく知りたい情報は分かったんだから良いだろ。どうやら、これは馬酔木博士の論文らしい」

「馬酔木博士?会ったこと無いなぁ」

「…悪いが、こっちの方は任せても良いか?そろそろ店に戻って明日の下拵えをしなきゃならん」

「え~、付いてきてよ」

「悪いが、俺はそんなに暇じゃない。任せたぞー」

「うー…」


「失礼しますー。馬酔木博士はいらっしゃいますかー」

返事はない。ただ、鍵はかかっていないようだ。若菜は扉を開けてみると──

「ヒヒーン!」

「ひょええ!」

ヘッドホンを装着して、ノリノリで踊る馬が居た。馬はいきなり大声で嘶き、若菜は腰を抜かした。


「やぁやぁ、驚かせて悪かったね。お嬢さん」

馬酔木博士は、動物細胞の改変技術研究の第一人者だ。動物に変身できる職員を参考に、自身の肉体を使って人体実験をしていたらしい…。いや、でもいきなり馬になっている所に遭遇してしまうとは。予想外すぎた。

人間形態に戻った馬酔木博士は、ペットボトルのお茶を投げて渡してきた。少し落ち着いた若菜は"何だ、この人…。"と心の中で思いつつ、本題を切り出した。

「実はこの論文について何ですが…」

「オオー!懐かしい。僕が高校生の頃に書いた論文じゃないか。どこでそれを?」

「清川さんが持ってた資料の一つにあったんです。それで、このページなんですが…」

「どう?その論文、結構面白かったでしょ!いやー、今でこそ研究が進んで獣変調だとか動物特徴保持者とかが一般的になってきたけど、それより遥か前から、仮面ライダーを見ていた僕はピンと来ていてね。それらについての研究をしていたんだよ。特に、その論文は変身に変身を上塗りするという着眼点から書き上げた論文でねー。僕が……」


それから数時間、若菜は疲れきった顔で馬酔木博士の相手を続けていた。

「そこで、僕はキミに決めた~って、一頭の馬を選んだんだ。そしたら、笑いながら噛み付いて来やがってさぁ」

「はあ…」

「何すんじゃ~と思って、こいつ、どう料理してくれよう!ってなってさぁ」

「へえ…。って、料理?もしかしてこの料理の事ですか?」

「そうそう、良く分かったね」

「とにかく、体を作り替えるという目的で、最もナチュラルな方法は、食事を変えることなんだよね。で、栄養価が高く薬膳料理なんかにも使われる馬肉をベースにしたんだ。で、ハリー・ポッターのポリジュース薬って分かるかなぁ。あれみたいに、変身したい動物のDNAを取り込んで、この薬を調味料に使いながら作ると、動物に変身する料理の完成だ」

「え、凄い!」

「でしょ。それを使えば、消化されて排出されるまでの短時間ながら、手軽な動物変身を…」

「それより!これって美味しいんですか?」

「うん、美味いよ」

「あの、是非!是非とも、作って食べてみても良いですか!もしレシピがあるなら、それも欲しいです!」

「あー、良いね。面白そうだ。レシピは頭の中に入っている。書き出してあげるよ。材料も揃えてあげる。どうせ、僕の若い頃の研究だから、こうやって注目されるのは嬉しいしね」

「ありがとうございます!」

馬酔木博士から何やらいっぱい薬を貰う。貰った調理法は、レシピというより薬の製法のような内容だったが、どうせ作るのは和泉だから問題ない。

「……よし、これで全部かな」

「ありがとうございます。大事に使わせて貰います」

「後でどうなったか、教えてねー」

「分かりましたー!失礼しま~す!」

去っていく足音を聞きながら、上機嫌になった馬酔木博士は、頭部だけを馬の姿に変化させ、再び大きく嘶いた。


「出来た!完成だ…」

朝日が差し込むキッチンで、和泉は遂に目的の料理を完成させていた。見た目は馬刺しのようだが、無色透明のトロリとした薬品タレがかかっている。

昨夜、馬酔木博士から資料を受け取った若菜は、その日のうちに材料を抱えて和泉の経営するレストランに戻ってきたのだった。そして、レシピを渡して「明日の朝までには作っておいてね!」と来たもんだ。かなり薬の精製に手間取ってしまったが、いちおう料理である以上、料理人の意地で何とか作り上げた所である。

「はー、はー。本当に一晩で完成させてしまうとは、さすが俺」

和泉は振り返ったが、当然ながら若菜の姿はない。恐らく、仮眠室で呑気に寝ているのだろう。

「おい、起きろ~。朝だぞ」

「ふぇ!?……あー、ここか。おはよう。ちょっと待って着替えてくる」

軽くチョップをかまし、若菜を起こす。ふと思えば、不思議な光景だ。何で俺は、こんな所で女子高生と行動を共にしているのか…。

それもこれも原因は、昔に正気を失っていた俺が作り、彼女の人生を美食に狂わせた謎の料理だ。俺はその作り方を思い出せないが、それを食べた彼女は、それをもう一度食べるために、財団のエージェントになった。俺だって思い出したい。"あの料理を作って!"と言われて応えられない屈辱。忘れられない。

「お待たせー!おー、意外と美味しそうじゃん」

制服姿に食事用のエプロンをつけて戻ってきた若菜は、歓喜の声をあげる。それに対し、和泉は渋い顔をしながら、半開きの目で料理を眺めていた。

「なぁ…、作っといて何だけど、本当にこれ危なくない奴なのか?試験管や三角フラスコを使わないと作れない料理なんて、不安しか無いんだが」

「でもあんたも味見はしたんでしょ?なら、大丈夫じゃない」

「まぁ…そうなんだが。何か嫌な予感がしてな」

若菜は和泉を無視し、早速頂いていた。

美食家として、まずは見た目を楽しむ。

普通の馬刺しのようだが、透明なタレが肉の奥まで浸透して、まるで肉汁が出ているにも見える。

和泉が味付けとしてアレンジしたようで、薬味としてニンニクと生姜がついており、食欲をそそる香ばしさも感じる。

さてそのお味は。

柔らかいっ!今まで馬刺しは沢山食べてきたが、どう考えても史上最高に柔らかく、口の中でサラァと溶けていくようだった。

しかも、甘い醤油のような味もする。とにかく甘い!まさか、透明の得たいの知れないタレが、こんな役割になっているとは…。元々の脂の甘味も合わさり、口の中が幸せに包まれる。

ゴクンと飲み込んだあとも、口の中にじわりと旨味が広がる。

かなりの満足感だった…。正直期待していなかったのだが、ここまで美味しくなるとは…。

「……って、コラァ!勝手に食レポを始めるな!もっと慎重に…。もう少し、後先と言うものを…。」

和泉が言いかけたとき、異変は起こった。

「「わーーーー!!」」

和泉と若菜の叫びは、朝日に輝くレストラン中に響いていた。


エージェント・雛野は、手土産を持って和泉のレストラン前まで来ていた。先日、また寝起きの悪さが災いして、エージェント・和泉とエージェント・若菜に迷惑をかけてしまったらしい。今回は、その謝罪に来ていたのだった。

「……すみませ~ん。和泉シェフと若菜さん…いらっしゃいますか…?」

普通なら、店は開店している時刻だった。控えめに掲げられていた"CLOSE"の立て札は目に入ったが、今回は食事が目的ではないので、気にすることは無かった。

返事はない。鍵はかかっていないようだ。雛野は扉を開けてみると──

「キャーッ!」

「わあぁーー!」

セーラー服を来てうずくまっているケンタウロスが居た。ケンタウロスは驚いて叫び、雛野は腰を抜かした。


終盤、何が起こっているのか分かりやすくする。

「うう…。もうヤダァ…」

「すみませんね、雛野さん。バタバタしてて」

「い…いえ…。あの、どうなさったんですか、若菜さん…?」

「いや…、実は馬酔木博士の開発した料理を作って食べたらこうなってしまって…」

それを聞いて何となく納得した気持ちになる。多彩な職員が集まった交流会で、一度だけ話したことがあるが、中々に変人だったことは覚えている。何より、馬酔木博士は馬だった。とにかく馬だった。

「確かに、他の動物に変身する馬刺ではあったんです。時間経過で戻るらしいので、心配はないですよ。でも、他の動物のDNAを大量に取り込まなければ、大丈夫っていうはずだったんですが…。」

大量のDNA、そこまで聞いて雛野はふと素朴な疑問が沸いていた。

「あの、それって…」


「あ、思い出した」

のんびりとキャロットジュースを飲んでいた馬酔木博士は、ふと昨日渡した薬の重大な欠陥を思い出していた。

「そういえば、あの料理…。結局取り込む情報の馬の分量が多すぎて、全部食べると結局馬になっちゃうんだよなぁ…。やべー。まぁ、流石にまだ作ってないよな…」

そんなことをのんびりと考えていた馬酔木博士は、数十分後に始末書を大量に書かされる未来が待っていることを知る由もなかった。

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執筆者: usubaorigeki
文字数: 9612
リビジョン数: 18
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最終更新: 16 Aug 2020 00:35
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