SCP下書き「死んだふりする熊と怪死事件」

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クマ

SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP個体は生物収容サイト-81██内の、監視カメラを備え付けた高さ8mの一般大型生物収容室に収容されています。1日に3度通常のニホンツキノワグマと同様の給餌を遠隔操作ロボットを用いて行ってください。給餌担当は、給餌が完了する度にサイト-81██に常駐している生物飼育監督官に報告し、SCP-XXX-JPが飢餓状態にならないよう注意して下さい。収容室内の清掃を行う場合、一時的に別の収容室にSCP-XXX-JP個体を移動し、清掃担当とSCP-XXX-JP個体が同じ収容室内に滞在する事が無いようにして下さい。

SCP-XXX-JP個体が死亡しているのが監視カメラの映像から確認された場合は、確認から最低8時間は死体の処理を行わないようにして下さい。管理手順の不手際等で、SCP-XXX-JPによる幻覚症状の影響を受けた職員が発生した場合、該当職員と該当職員を視認した可能性がある職員を隔離し、最低24時間は隔離状態を維持して下さい。

説明: SCP-XXX-JPは、異常性を持つニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)です。現在、飼育室に12頭の個体が収容されています。SCP-XXX-JPは、外敵を発見した時点で、即座に散弾銃で銃撃されたような損傷を受け、死亡します。その後、SCP-XXX-JPの死体は約1分間で急激に形状を変化させ、SCP-XXX-JPが確認した外敵の死体に酷似したものになります。1

形状変化が完了したSCP-XXX-JPの死体を、SCP-XXX-JPが確認した外敵と同一の種の生物が直接視認すると、幻覚症状が発症します。2幻覚の内容は、全て自身の生命が危機的状況にあると錯覚する内容だと判明しており、共通してその場から恐怖などで動けなくなります。幻覚の内容によっては、自殺やショック死する事例も確認されています。SCP-XXX-JPが冬季の冬眠準備期間や飢餓状態の場合、影響を受けた生物を視認した際にも同様の幻覚症状を発症します。幻覚症状は約24時間程度の時間経過で回復しますが、視認したSCP-XXX-JPの死体に関する記憶は曖昧になります。反対に、幻覚症状の内容は鮮明に記憶され、記憶処理剤を用いても除去が不可能になります。

SCP-XXX-JPは死亡してから約8時間後、SCP-XXX-JPの死体は元の形状に戻り、損傷が消失した状態で蘇生します。胆嚢にあたる部分だけは、物理的干渉を受けないため、その他の部位が野性動物に捕食されるなどして消失している場合、胆嚢を中心に再生します。外傷・病気や老衰など、通常の方法で死亡した場合のSCP-XXX-JPの死体には異常性は確認されていません。

収容経緯: SCP-XXX-JPは、秋田県██地域で猟師3名が自殺し、地元猟師1名が殺害された事件の痕跡から、異常存在の関与が疑われたため調査を行った所、発見されました。以下は、事件の詳細です。

岩手県内で、趣味で狩猟を行っていた澤口 誠、吉田 健一、木幡 剛、田口 直樹の4名のうち、田口 直樹を除く3名が自殺し、田口 直樹が地元猟師である千田 浩二を散弾銃で射殺した事件。4名は、秋田県██地域に「遠征」と称して出猟していたが、██地域は禁猟区域であり、密猟だったようである。

4名は、熊1頭3を散弾銃で狩猟した。仕留めた熊を確認に向かった吉田 健一、木幡 剛からの応答が無かったため、澤口 誠、田口 直樹が合流すると、吉田 健一が自ら眼球をくりぬき、木幡 剛が散弾銃の銃口を口内に押し込んでいる様子を目撃した。目撃した澤口 誠は、突如衣服を脱ぎ捨てた。異常を感じた田口直樹は、その場から離れ車に戻ろうとしたが、斜面から滑落し、軽傷を追った。杖でブレーキをかけたものの、装備が絡まり身動きが取れない状況になったが、銃声を聞いて見回りを行っていた千田 浩二に発見され、救助された。

道中、天候が悪化したため、千田 浩二のマタギ小屋に立ち寄った所で、田口 直樹が背後から散弾銃で射殺。射殺からしばらくは小屋の中で過ごしていた。翌日、田口 直樹は下山し、自ら警察に出頭。調査が行われ、4名の変死体が発見された。

補遺: 殺害された千田 浩二を含む地元猟師は、██地域に生息するSCP-XXX-JPの異常性を把握していた事が判明しています。以下は、地元猟師の遠藤氏に行われたインタビューの記録です。

対象: 遠藤氏

インタビュアー: エージェント███

<20██/██/██記録開始>

遠藤氏: 千田が死んだ話だろ。聞いたよ、良い奴だったのにな…。

エージェント███: ええ、その件に関してだったんですが、何点かお聞かせ下さい。まず、██地域に生息する熊について、何か知っていますか。

遠藤氏: よく知ってるよ。あそこの熊は狩りをするんだよ。

エージェント███: 狩り、ですか。

遠藤氏: ああ、狩りだ。ワラダウチ4って知ってるか?あれと同じでよ。獲物をびびらせて、動けなくなった所を仕留めるんだ。

エージェント███: なるほど…。熊が狩りをするようになったのは、いつからなんでしょうか。

遠藤氏: かなり昔だな。それこそ、俺の師匠の若い頃からそうだったらしい。今は役所のなんちゃらで禁猟区域になってっけど、普通に熊狩りをやってたぜ。…ま、ここだけの話な。最近も仲間内で、あそこの熊を撃ちに行くこともあったな。

エージェント███: そうなんですか。しかし、かなり危険だと思いますが…。

遠藤氏: いや、でもなぁ…。狩りが危険なんて、当たり前だぜ?この辺の奴等は、それ以外の生き方を知らんしな。1発で仕留めれば、何の問題も無い。昔っから何も変わらん。マタギは命懸けなんだや。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、記憶処理とカバーストーリーの流布を実行しました。SCP-XXX-JP個体は、1年に渡る調査の末、全個体が回収されました。


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