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アイテム番号: SCP-1094-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1094-JP群、SCP-1094-JP-1群はサイト-8181の小型電子機器収容倉庫████番に保管されます。
他オブジェクトの収容違反の発生、外敵のサイト襲撃等により小型電子機器収容倉庫████番付近を侵犯した場合はSCP-1094-JPを優先的に他の安全なサイトまで運送してください。実験の際はサイト管理者による許可が必要です。
SCP-1094-JP-1群に関するデータはセキュリティクリアランスレベル3に区分されています。新たなSCP-1094-JP-2の作製を希望する場合はサイト管理者による検閲が行われます。SCP-1094-JP-1を新たに生成する試みは現在推奨されません。
SCP-1094-JP-2は定期的に担当の精神カウンセラーによって人格に異常が無いか要診断された担当職員によって交流を図ります。
他の業務に支障が出ない程度に交流を図ります。
現在、SCP-1094-JP-2を発生させることは禁止されています。
もし人類に対して敵対的な行動を取るSCP-1094-JP-2が出現した場合は、サイトに展開している機動部隊み-1”チートコード”によって捕縛、場合によっては終了されます。
SCP-1094-JP-2を出現させるために”プロトコル・アップデート”を実行する場合はサイト管理者によってSCP-1094-JP-2のゲーム内での特徴を検閲されなければなりません。現在プロトコルは凍結されています。
一般的なゲームを用いた動画ファイル等に”プロトコル・アップデート”が発生している兆候が確認された場合、財団が所有するタイトルであった場合は監視を強化し、ネットワーク調査を行い購入者を割り出してSCP-1094-JP,SCP-1094-JP-1の回収を行います。
SCP-1094-JP-3が発生しているか、SCP-1094-JPを用いる確認作業をSCP-1094-JP-1群に対して定期的に行います。
説明: SCP-1094-JPは中国製の小型ゲーム機DINGOO A320に類似した、製造元および発売年月不明の携帯型ゲーム機媒体です。
既存のゲームソフト全てが挿入出来る他、多大なメモリを要求するソフトでも問題なく起動します。起動後にSCP-1094-JPはゲームデータに対応した既存の家庭用ゲーム機媒体を模した形態に変化します。内部構造の再現、複製には201█年██月██日現在まで失敗しています。
画像の背面にはカメラ、側面にはスピーカー、画面の下にはマイクが内蔵されており、不活性時でも問題なく機能します。また、一般的なインターネットに接続可能です。
201█年██月██日現在、SCP-1094-JPは2██台確認されています。
現在財団が収容しているのは5█です。
SCP-1094-JPを用いて起動させたフラッシュメモリ、またはゲームソフトはSCP-XXX-JP-1と呼称します。
一度SCP-1094-JP-1となったゲームソフトは既存のゲーム機媒体による起動が不可能になります。
201█年██月██日現在、SCP-1094-JP-1群は3██例確認されています。 全てのゲームソフト、ダウンロードしたゲームデータはSCP-1094-JP-1に変質させ、管理されています。
現在財団が収容しているのは1█です。
SCP-1094-JPは既存のゲーム機媒体に対応するゲームソフトを挿入して起動しゲームをプレイするか、既存のゲームをダウンロード出来る環境下でゲームをダウンロードしプレイすると、特異性が発揮されます。
SCP-1094-JP-1にて描写される生物キャラクターはゲームのプレイヤー、そしてプレイヤーが存在する世界が自分達がいる世界とは別に存在すると段階的に認識していきます。この認識の段階はSCP-1094-JPの電源を入れてから、30分以上ゲームをプレイした後にSCP-1094-JPの電源を切るまでを、1回のプレイ回数としてカウントされ、プレイ回数が2回を越えてから進行していきます。これは別のSCP-1094-JPによって同じタイトルをプレイしても、進行度は継続されます。
認識は段階によって4段階に分けられます。最終段階になるとプレイヤーはSCP-1094-JPのカメラ機能を用いて認識出来る、SCP-1094-JP-1の中の世界に存在する生物キャラクター全般をプレイヤーが存在する世界に出現させることが可能です。
現実世界に出現可能な、この実体をSCP-1094-JP-2と呼称します。
SCP-1094-JP-2は現実世界の物体への干渉が可能ですが、プレイヤー以外からの干渉は受け付けません。SCP-1094-JP-2はSCP-1094-JPのカメラ機能によってのみ認識が可能です。
SCP-1094-JP-2の現実世界への出現、ゲーム内への帰還はプレイヤーによって自由に行うことが出来ます。主にキャラクターの問いに対して現実世界に発生させるかどうかを実行者によって決定します。
現実世界におけるSCP-1094-JP-2の死亡はプレイヤーによって処理が選択出来ます。
SCP-1094-JP-2の死亡時にSCP-1094-JPの画面上に『continue OR rewind?』というメッセージ表示されます。
加えて『continue』『rewind』の選択肢が表示されます。『continue』はその場でSCP-XXX-JP-2の全ての致命的な疾病、裂傷等が完治します。SCP-1094-JP-2自身の疾病、裂傷等の記憶は保持したままです。
『rewind』はSCP-1094-JP-2をゲーム内へ帰還させます。致命的な疾病、裂傷は『continue』同様に完治します。
SCP-1094-JP-2はSCP-1094-JPに表示されている場合、
ゲーム内、現実世界関わらずSCP-1094-JPのスピーカーからの発声、若しくはSCP-1094-JPに表示されるメッセージウインドウでプレイヤーと交流を図る事が出来ます。
201█年██月██日現在、確認されているSCP-1094-JP-2は23██2体です。
現在財団が保護しているのは6█体です。
SCP-1094-JP-3は、SCP-1094-JP-2が発生すると出現する、SCP-1094-JP-1の元となったゲームの特徴が引き継がれた異常空間です。
元のゲーム内の文明レベル、現実世界との差異に関わらず、SCP-1094-JP-2はこの空間内で問題なく生存が可能です。
現実世界の物品をSCP-1094-JP-2に持たせる事で、SCP-1094-JP-3と現実世界を自由に物品が移動可能です。
SCP-1094-JPを用いてSCP-1094-JP-3を観察する際、その映像は画面左下に表示されたタイムラインに基づいたSCP-1094-JP-3を映し出しています。タイムラインには必ず、日本の標準時が示されます。
SCP-1094-JPで、SCP-XXX-JP-3を映す画面を操作出来ます。SCP-1094-JP-2からはSCP-1094-JPの画面が空中に浮遊する映像に見えると言われています。
SCP-1094-JP-3は、SCP-1094-JP-2同士が同シリーズだった場合、SCP-1094-JP-3が発生した時点で既存のSCP-1094-JP-3と地続きに繋がります。また、同共通点があった場合、融合します。
SCP-1094-JP-3はSCP-1094-JP複数台によって観測が可能であり、一種類のSCP-1094-JP-2につき一種類のみ生成されます。
SCP-1094-JPは、201█年██月██日に日本の秋田県████市████町のリサイクルショップに立ち寄った財団エージェントが、一般客が「ゲーム機媒体を買いなおして何回も試しているのに、エラー表示しか出ない」という不審な現象に注目し、当該のゲームソフト、ゲーム機媒体の回収に至りました。
財団エージェントは一般客及び店員にクラスA記憶処理を行った後サイト8181へ運送。近辺調査を行いました。ゲーム媒体に異常はありませんでしたが、フラッシュメモリは通常よりも大幅にデータ領域が拡張されていました。ゲーム機媒体は異常性が認められないため破棄。フラッシュメモリの詳細な研究が行われました。
しかしそれ以上の成果は得られず、『規格外な容量を持つがプレイできないPlayStationVitaのフラッシュメモリ』というAnomalousアイテムとしてサイトロッカーに保存されていました。
その後の201█年██月██日に、リサイクルショップから1kmほど離れたアパートに住む40代の無職、田中 ██氏が窃盗の罪で逮捕された際に、潜入していた財団エージェントが取り調べでSCP-1094-JPの存在について田中氏が言及したため、田中氏の自宅からSCP-1094-JPの回収に至りました。
SCP-1094-JPの異常性から考察し、先述のSCP-1094-JP-1との関連性が示唆されたため、後述の実験を経て双方のオブジェクトは現在のSCP-1094-JP、SCP-1094-JP-1として再分類されました。
また、田中氏の自宅、及び自宅付近にて不審な現象が相次いで発生。現地エージェントの調査により、SCP-1094-JPを用いてSCP-1094-JP-2群を発見、保護しました。
後の追跡調査により山田氏がSCP-1094-JPを用いてプロトコル・アップデートを行い発生させたSCP-1094-JP-2群によるものと判明しました。現在、山田氏が発生させたと思われるSCP-1094-JP-2群は財団の保護下にあります。SCP-1094-JPを用いて帰還されました。
また、日本支部全体のフィールドエージェントにゲーム関連の情報媒体、一般市民への聞き取り等によりSCP-1094-JP、SCP-1094-JP-1、SCP-1094-JP-2、SCP-1094-JP-3の回収が早急に進められました。SCP-1094-JPが発する微弱な電波を逆探知する方法で回収効率が更に向上したことは特筆すべきです.
以下はSCP-1094-JP-2を発生させるプロトコル・アップデートの概要です。
認識の進行段階 |
プレイ回数 |
主な変化の概要 |
第一段階 |
プレイ回数2回以上5回未満 |
ゲームシナリオの改変 キャラクターのセリフの改変 未収録のキャラクターボイスの出現 ゲーム内のキャラクターは以上の変化に対して認識はしていない |
第二段階 |
プレイ回数5回以上10回未満 |
キャラクターは経験している事象に対してデジャブ感を覚える |
第三段階 |
プレイ回数10回以上 |
本来のゲーム内に全く登場しない隠しアイテム、あるいは隠しイベントとして『ゲームシナリオ』が、何の脈略もなく出現。主にロードした地点から3分以内で実行者が必ず遭遇する。キャラクターは自分達が誰かが描いた脚本の上で行動している事を完全に理解する。悲劇的な展開があった場合、自分達で回避しようとするが必ず失敗に終わる。 |
第四段階 |
プレイ回数20回以上 |
通常通りゲームを起動してすぐに、ゲームの進行度に関係なくキャラクター達がプレイヤーに対して話しかける。キャラクターはプレイヤーの存在と、現実世界の存在を認識している言動をとるようになる。プレイヤーによってSCP-1094-JP-2が現実に発生、SCP-1094-JPのカメラ機能を用いて認識出来る。 |
以下は山田氏の自宅内にて、エージェント清水によって保護されたSCP-1094-JP-2の初遭遇時の映像記録です。
SCP-XXX-JP-2との初遭遇時映像記録
日付: 201█年██月██日
注記: エージェント 清水が身につけていたメガネに取り付けてある、小型カメラからの映像。
対象:SCP-1094-JP-2-d1
[記録開始]
(エージェント清水は山田氏の自宅アパートの扉を開く。許可を得てSCP-1094-JPを所持。)
エージェント 清水: 現在201█年██月██日8時21分。山田氏の自宅に侵入する。
(扉が開く音)
(家宅捜索時と玄関の様子は変わらない。)
(何かが落ちる音)
(SCP-1094-JPを構える。カント計数機に振れなし。スラントに手をかけている。)
(SCP-1094-JPの電源を入れる。直後、何かが崩れる音。ガラスが割れる音。女性の悲鳴)
エージェント 清水: いる。
(エージェント清水はSCP-1094-JPを音のした方へむける。ゆっくりと進んでいく。)
(キッチンを通り過ぎて、居間へ。即席麺の袋、タバコのパッケージ等が散乱している。棚は回収されたSCP-1094-JP-1の攻略本が平積みにされている。)
(映像は崩れたゴミ袋の山の様子を写している。付近で栄養ドリンクの瓶が割れている。先程の物音の発生源と考えられる。)
(SCP-1094-JPの画面に小刻みに震える全裸の女性型実体SCP-1094-JP-2-d1が確認出来る。近くに学生服が落ちている。マイクから女性の荒い息遣いが聞こえる。)
(SCP-1094-JPが映像から外れる。映像はゴミ山のみを写している。学生服も見られない。)
(再びSCP-1094-JPが映る。エージェント清水はSCP-2に近づく。)
(突然、SCP-1094-JP-2-d1はエージェント清水に向かって駆け出す。SCP-1094-JP-2-ⅾ1はエージェント清水を躱して映像の左側へ抜ける。エージェント清水は仰向けに転倒。カメラは天井を映している。)
(カメラはエージェント清水が起き上がる様子を想起させる。カメラが台所に向く。包丁が宙に浮いている。SCP-1094-JPを向けるとSCP-1094-JP-2-d1が包丁を持ち、乱れた髪から目を覗かせている。)
(SCP-1094-JP-2-d1は包丁を腰の横に構えたままエージェント清水に突進する。エージェント清水はこれを躱し、SCP-1094-JP-2-d1の手首を捻る。SCP-1094-JP-2-ⅾ1は包丁をとり落す。エージェント清水はSCP-1094-JP-2-ⅾ1を組み伏せる。SCP-1094-JPから女性の判読不能な叫びが断続的に発生)
エージェント 清水: つかま…え…た! (雑音)本部!こちら清水!報告事案の原因と思われる対象を捕縛!
至急応援を求む!(女性の長い絶叫)…おい!暴れるな!大丈夫だから!
調査本部: こちら本部。了解。付近のエージェントに通達する。
(体勢が変わる。カメラは床に組み伏せられたSCP-1094-JP-2-ⅾ1を写す。対象は暴れ、エージェント清水の拘束から逃れたが、再度捕縛される。カメラは床に仰向けになったSCP-1094-JP-2-d1の顔がSCP越しにアップで写る。対象は尚も暴れるが、エージェント清水に物理的影響を与えられない。)
エージェント 清水: 本部!私の予想通り、オブジェクト越しにしか対象を視認できません!
対象の画像を送ります!山田氏の所有していたゲームの中で、どのゲームに出てきたキャラクターなのか!至急確認願います!
調査本部: 本部了解。
(エージェント清水が本部に報告している最中も、SCP-1094-JP-2-ⅾ1は抵抗をやめない。)
エージェント 清水: (溜息)なぁ。大丈夫だ。俺は山田 ██じゃない。お前にとっての脅威じゃないんだ…
(SCP-1094-JP-2-ⅾ1は抵抗を続ける)
(エージェント清水は、抵抗するSCP-1094-JP-2-ⅾ1の手を通過し、右側頭部に触れる。SCP-1094-JP-2は僅かに震える。明らかに狼狽し、エージェント清水を見る。映像はSCP-1094-JP-2-ⅾ1の右側頭部を撫でる様子記録されている)
(SCP-1094-JP-2-ⅾ1は徐々に抵抗が弱くなっているように見える。SCP-1094-JP-2-ⅾ1はカメラに目を向けた。)
SCP-1094-JPからの音声: あ…だれ……?
エージェント 清水: あー…取り敢えず、君に危害を加えるつもりは無い。
さっきまで抵抗していたので、今は止む終えなく拘束させてもらっている。
(SCP-1094-JP-2-ⅾ1はエージェント清水が説明している時にも、忙しなく部屋を見回して警戒している。)
エージェント 清水: 山田は現在逮捕された。ここにはいないよ。
(SCP-1094-JP-2-ⅾ1はカメラに向かって目を見開く。)
SCP-1094-JPからの音声: (溜息)よかった…
(SCP-1094-JP-2-ⅾ1は抵抗をやめた。完全に脱力している。)
(エージェント清水はSCP-1094-JP-2-ⅾ1の拘束を解く。カメラに映されたカントには振れは無い。)
エージェント 清水: 本部。対象の抵抗が無くなった。
調査本部: 生命反応が無くなったのか?
エージェント 清水: いや(雑音)山田氏が不在ということを伝えたら大人しくなった。
調査本部: (2秒沈黙)了解。付近エージェントには念の為に待機するよう通達する。現在送付された画像と類似した存在を参照している。しばらく待機せよ。
エージェント 清水: お願いします。あ、そうだ。対象は(何かを探る音)学生服を着ていた様です。…触れます。(SCP-1094-JPのカメラ越しに学生服を映し、外す。)やはりオブジェクトのカメラのみに映ります。なんとか広げてみます。(衣摺れの音)この画像も送付します。
調査本部: 了解。引き続き待機せよ。
エージェント 清水: (通信が切られる)…君、名前は?
(30秒沈黙。規則正しい呼吸音。)
エージェント 清水: 昏睡か…クソ。
(10分24秒間、特記事項なし)
調査本部: エージェント清水。こちら本部。山田氏が所有していたゲームソフトの中で、類似したキャラクターを発見。ダンガンロンパ 副題を略する。 舞園さやか。詳細情報を端末に送信する。
エージェント 清水: 了解。
(エージェント清水は端末を操作。舞園さやかの画像類、公式サイト等の文章のまとめが記されている。)
エージェント 清水: 本部。山田氏が彼女をオブジェクトを使用して発生させたと考えられます。山田氏が使用していた当該のソフトの持ち出しを申請します。
調査本部: 申請は認められない。現在、オブジェクトに関するデータは何も無い。エージェント清水。対象を近隣の財団施設へ護送せよ。
エージェント 清水: (5秒沈黙)
調査本部: エージェント清水。
エージェント 清水: 了解。(2秒沈黙)報告事案が発生したのは、この部屋だけではないです。近隣の調査をオブジェクトを使用して行いたいです。許可を。
調査本部: (溜息)待機せよ。
(17分13秒間、特記事項なし)
調査本部: (椅子に座る音)エージェント清水。付近エージェントからポルターガイストと思われる事案が現在まで7例報告されている。オブジェクトに関連していると判断するには情報が少ない。施設へ護送後、付近エージェント達と合流し、オブジェクトを用いての捜索を行う事を許可する。
エージェント 清水: 了解。感謝する。
(通信が終了する)
[記録終了]
財団はSCP-1094-JP-2の保護直後に山田氏に対して、SCP-1094-JPを入手した経緯を調査する目的でインタビューを行いました。以下はその際のインタビュー記録です。
対象: 田中 ███氏
インタビュアー: エージェント 清水
付記: 田中氏は2ヶ月の勾留により、財団に対して非協力的な態度をとっている。
<録音開始, 201█年██月██日>
エージェント 清水: やあ、田中さん。今朝は余り食が進まなかったようだね。
田中 ███氏(以下:田中氏): 当たり前だろ!罪ならもう認めてるんだ!取り調べももういいだろうが!
エージェント 清水: (SCP-1094-JPの写真を田中氏に見せる)このゲーム機だが・・・いったいどこでどうやって手に入れた?
田中氏: あ?どこって・・・どこだったかな。あーそうだ。電車だよ電車。車両は俺以外に金ぴかのスーツを着た変なおっさんしかいなくてさ。しかも、派手にいびきをかいて寝てたし、持ってたカバンも開きっぱなしでよ。・・・なんつーか、魔が差したんだ。
エージェント 清水: 何でゲーム機を?
田中氏: (3秒間沈黙。)財布も探したんだが、持ってなくてな。クレジットカードも持ってなかったし。バックも派手だったが中身はあのゲーム機がぎっしり入ってるだけでよ。ゲーム機だったらリサイクルショップに持ってったら少しは金になると思ったんだ。でもダメだった。『中国製のDINGOO A320に似ているけど、見たことが無い媒体だから値段はつけられない』って言われてよ。まあ、遊ぶ分には不自由しなかったからよ。ゲームソフトなら何でも動くしな。
エージェント 清水: (2秒間沈黙。)分かった。(3秒間沈黙。)そのゲーム機をプレイして、何か変わったことがあっただろう?その時のことを話してくれないか?
田中氏: (30秒沈黙。)
エージェント 清水: 黙秘か?
田中氏:何も、ねえよ。だから黙ってんだ。
エージェント 清水: (5秒沈黙。エージェント清水は田中氏に財団に保護された直後のSCP-1094-JP-2群の画像を見せる。画像はエージェント清水によってSCP-1094-JPのカメラ機能を用いて撮影された。)知らないとは言わせないぞ。彼女達は、お前が持っていたゲーム機のカメラ機能を使わないと発見できなかった。お前が彼女達を知らないはずがない。知っていることをすべて話せ。
田中氏: (10秒沈黙。)俺は、悪くない。あいつらはそうゆうことの為に生まれたんだ。俺達人間の欲望を叶えるために作られたんだ。
エージェント 清水: (7秒沈黙。)
田中氏: あいつらは人間じゃない。人間じゃない奴等をどうしようと構いやしないだろう?なあ?俺は窃盗罪は認めるがな。人間じゃない奴に強姦は、殺人は認められるのか?ええ?
エージェント 清水: 随分とあっさり言うもんだな。外に出たら、また罪を重ねるつもりなのか?
田中氏: (2秒間嘲笑)いや?三次元殺しても犯しても何も面白くないな。やったことはないが。あのゲーム機を盗んで正解だったぜ。何せあいつら、こっちの予想以上の反応をしてくれるからな。しかもあの███ ███(当時の人気女性声優の一人)の声で啼いてくれんだぜ?毎日狂ったように犯すためのキャラクターを漁ったよ。その為にゲームを買った。でもみんな似たようなものだろ?実際にはヤれなくても頭の中でそうゆうことをした奴は多いだろう?
エージェント 清水: (5秒沈黙。)先程殺人と言ったが、具体的に何人殺した?なぜ殺したんだ?
田中氏: 何人かは分からねえな。でも男キャラは大抵殺してたかなあ。最初は事故だったんだ。俺が苦労してゲームをプレイしているんだから、少しぐらい良いだろと思ってヒロインの…誰だったっけか。PS3の…何か戦争するゲームで…なのにキャラクターが全然ヘルメット付けてねえのが笑えたんだが…駄目だ。カタカナの名前で軍服エプロンってことしか覚えてねえな。
そのヒロインの体をちょっと触っただけなのに主人公キャラが怒鳴りだしてよ。カッとなって傍にあったダンベルを頭に叩きつけたんだ。倒れた主人公に俺は何度もダンベルを打ち付けた。ヒロインの方は俺を止めようとしたんだが、奴らは俺に何も出来ないらしいな。
野郎をぶっ殺しちまった後、野郎は何分か見えていて、ヒロインも縋り付いていたんだが、ゲーム機の画面に妙な表示が出てな。continue OR rewind?だったかな?何となくrewindを選んだら野郎は消えてよ。泣きじゃくったヒロインだけが残ったんだ。後はまあ…あんたも男だ。分かるだろ?
ま、そいつにも飽きたんで、別の嫁にしようと思ったんだが。同じゲームにいた敵キャラに銀髪の乳でけえ女がいたから、そいつを連れて来たんだ。そしたらあの女、ヤってる最中に突然襲ってきてよ。生意気だと思ったから殺したよ。首を絞めてな。それも割と興奮しちまって、今に至るって訳だ。…おい。せっかく正直に話したんだ。証明出来ない殺人と強姦をよ。早くこの生活が終わってくれると嬉しいんだが。
エージェント 清水: (10秒沈黙。)インタビューを終了する。
<録音終了>
終了報告書:
田中氏はインタビューの中で
・携帯ゲーム機以外のゲームソフトがSCP-1094-JP-1になる
・SCP-1094-JPが他に存在する。
・SCP-1094-JP-2についての特性が示唆されました。
現在、山田氏から聴取したSCP-1094-JPを所持していた人物の容貌を基に警視庁公安部特事課がこの人物の捜査を行っています。
また、SCP-1094-JP、SCP-1094-JP-1の回収も継続中です。SCP-1094-JP-2が関わる事案も引き続き警戒されます。
以下は収容当初のSCP-1094-JP-1の元タイトル及び発見場所,及びSCP-1094-JP-2の状態,SCP-1094-JP-3の情勢のリストの抜粋です。
一般的なタイトル |
発見場所 |
総合的なSCP-1094-JP-2群の状態 |
SCP-1094-JP-3の情勢 |
戦場のヴァルキリア |
山田氏の自宅 |
全女性キャラに対する山田氏の████行為により、PTSDを発生していると思われる実体多数 |
敵側の大国の皇帝はSCP-1094-JP-2-a3の喪失による戦意を喪失した国軍によって捕縛されており、主人公側の統治が確立されている。 |
ダンガンロンパ |
山田氏の自宅 |
全女性キャラに対する山田氏の████行為により、PTSDを発生していると思われる実体多数 |
コロシアイの黒幕は捕縛、監禁されており、SCP-1094-JP-3の平穏は常に保たれているが、現実世界への発生を強く要望している。 |
スーパーダンガンロンパ2 |
山田氏の自宅 |
全女性キャラに対する山田氏の████行為により、PTSDを発生していると思われる実体多数 |
コロシアイの黒幕は捕縛、監禁されており、SCP-1094-JP-3の平穏は常に保たれているが、現実世界への発生を強く要望している。 |
ストリートファイター5 |
山田氏の自宅 |
全女性キャラに対する山田氏の████行為により、PTSDを発生していると思われる実体多数 |
元ゲームと同様にプレイアブルキャラクターの戦いを見に来る存在は多数。 |
メタルギアソリッド4 |
山田氏の自宅 |
全女性キャラに対する山田氏の████行為により、PTSDを発生していると思われる実体多数。作品内に存在する女性のみの部隊にこの症状が多かった。 |
秩序は崩壊している。敵味方は無く、各地で██、██、██が見られる。 |
████████████(アダルトコンテンツのため検閲済) |
山田氏の自宅 |
山田氏の████行為に対する抵抗は少ない。 |
特記事項なし。 |
ニューダンガンロンパV3 |
██氏の自宅 |
現実世界に対して強い執着を持つキャラクターが多い |
コロシアイの黒幕は捕縛、監禁されており、SCP-1094-JP-3の平穏は常に保たれている。財団に対して敵対的な態度をとっている。 |
ドラゴンクエスト8 |
██県██市██の中古ゲームショップ |
現実世界に対する認識はまばら。主人公達に特筆した差異は見受けられない。 |
現実世界のプレイヤーを『神』と形容する教会の宗派が発生している。また、画面が世界を移動していくと、モンスターおよびNPCがすべて表示されている。世界はクリア後の世界を基にしている。 |
NieR:Automata |
SCP-1094-JP-g15█の回収時に内部データを調査した結果、PC版がダウンロードされていた。 |
人間がいる現実世界への強い執着 |
変質前と比較して特筆した差異は無い。財団に対しては比較的協力的。 |
塊魂 |
███氏の自宅 |
元となったゲームの性格を維持する。主人公の王子は発話能力を獲得。 |
財団に対しては非常に友好的。作品中の塊を用いた物品の寄贈が推奨されている。 |
201█年██月██日にSCP-1094-JP、SCP-1094-JP-1双方の関連性の検証実験を行いました。
以下、全てのSCP-1094-JPに関する実験は████博士が主導して行われました。
実験記録1094‐① - 日付201█年██月██
目的: SCP-1094-JP-1をD-37528に発生させ、通常のソフトとの差異を確認する。
対象: 任天堂 1985年9月13日発売 ファミリーコンピュータ専用ソフト スーパーマリオブラザーズ
結果: プレイ時間30分経過時の5-2面に通常は存在しない土管が出現した。移動先は未知のエリアであり、最終的にはスタート地点に戻されるルートだった。
分析: 30分のプレイを行って以降、元となったゲームに登場しない変化が追加された。人間に対するミーム的影響は今のところ見られない。念のためD-37528は隔離施設へ送られる。 また、SCP-1094-JP-3を発生させる経緯についても調査を行うため、30分のSCP-1094-JPの起動を複数回行い、経過を観察する。ーー██博士
実験記録1094‐② - 日付201█年██月██
目的: 30分のSCP-1094-JP-1のプレイを繰り返し行い、観察する。
対象: 任天堂 1985年9月13日発売 ファミリーコンピュータ専用ソフト スーパーマリオブラザーズ
結果: ゲームが一度クリアされ、2週目のOP画面で、マリオが『おれは しってるぞ このみちを』というメッセージを吹き出し型のメッセージウインドウを頭上に表示させた。回数は6回目。
11回目を迎えた際、本の形のアイテム『ゲームシナリオ』がプレイヤーが操作するマリオの付近に突然出現。 マリオは前述の手段で自発的な発言を繰り返している。『ゲームシナリオ』を基に、ステージをクリアしないままにマリオがピーチ姫を救うと発言。
13回目でピーチ姫、クッパがOPにて登場。マリオと同じ手段で自発的な発言を始める。本来のステージが始まるとマリオはピーチ姫を持ち上げ左の画面外に出ようとするが失敗。クッパはそのまま右へ走っていく。以降、ピーチ姫を守りながらのプレイとなった。15回プレイを行い、一度実験を終える。
分析: SCP-1094-JP、SCP-1094-JP-2によって描画されているキャラクター達の反応が大きくなってきた。仮に『自我が芽生え始めている』と考察する。更に回数を増やすことでSCP1094—JP-3の発生を引き起こす何かが発生すると考察する。ーー██博士
実験記録1094-③ - 日付201█年██月██
目的: 引き続き、D-37528が30分のSCP-1094-JPのプレイを行い、経過を観察する。
対象: 任天堂 1985年9月13日発売 ファミリーコンピュータ専用ソフト スーパーマリオブラザーズ
結果: 21回目において、SCP-1094-JPの液晶画面に正対した状態のキャラクター達が敵味方関係なく出現。D-37528に対して呼びかけました。D-37528の容貌をキャラクター達は完全に認識しています。
この時点で██博士はSCP-1094-JP-2が発生したと定義しました。
SCP-1094-JPの液晶画面にゲーム内の全てのキャラクター、及び生物の名称が選択肢として出現。現実世界に出現させる生物を選ぶように促すメッセージが同時に出現しました。
分析: 実験1094-①から③の結果からSCP-1094-JP-2が発生する経緯が判明した。次回からの実験は田中氏の証言にもあったSCP-1094-JP-2の具体的な特性を検証する。ーー██博士
実験の際に自我が芽生えたと思われるSCP-XXX-JP-2-m1に対して、SCP-1094-JPを介したインタビューを行いました。SCP-1094-JP-2-m1はメッセージウインドウのみで会話しています。以下はその際のインタビュー記録です。
対象: SCP-1094-JP-2-m1
インタビュアー: ██研究員
<録音開始, 201█年██月██日>
██研究員: 録音開始。ええと、ミスター・マリオ。私の声が聞こえていますか?
SCP-1094-JP-2-m1: きこえているさ ████ けんきゅういん
██研究員: あなたは私をどのように認識していますか?
SCP-1094-JP-2-m1: なんというか しかくが こまかいな
██研究員: 何ですって?
SCP-1094-JP-2-m1: おまえ みて わからないか? おれたちの せかいは しかく しか ない
しかく が あつまって できてる。 どれだけ あつまっても しかく が みえる。
おまえ には しかく が みえない。 どうなってる?
██研究員: ええっと(██博士から答える必要性無しの判断)その答えは難しいです。私達とあなたの世界は違う常識だと認識してください。
SCP-1094-JP-2-m1: そうなのか? へんな せかい だな。 この インタビュー に こたえたら だしてくれる のか?
██研究員: 私はそれを判断する立場ではありません。私の上司が決めるでしょう。ですがインタビューに非協力的だと、絶対にあなたに自由は訪れません。それを肝に命じてください。
SCP-1094-JP-2-m1: (2秒間、画面がフリーズ)わかった
██研究員: 続けます。私達はゲーム画面からあなたを視認しています。あなたは私達をどのように確認していますか?
SCP-1094-JP-2-m1: しかくの なか に いる
██研究員: (5秒沈黙)あなた側からも画面が見えていると?
SCP-1094-JP-2-m1: だから しかくだ。 そらに しかくく あなが あいてる。そこに おまえが いる。おおきいぞ。
██研究員: なるほど。それ以外に、あなたの世界に変化はありましたか?
SCP-1094-JP-2-m1: ピーチひめ は ずっと しろのなかだ さみしそうだ。
クッパ は あいかわらず わるだくみ してる。
おれは たおしてきた やつらと なかなおり した。
あとは かわってない。
██研究員: 他には何かありますか?
SCP-1094-JP-2-m1: (2秒沈黙)しつもん しても いいか?
██研究員: 常識の範囲であれば構いません。
SCP-1094-JP-2-m1: なんで おまえは いろが こくなったり うすくなったり する?
██研究員: はい?(██研究員は僅かに画面に近づいた。)
SCP-1094-JP-2-m1: それだ きゅうに いろが うすくなった。 なぜだ?
██研究員: (3秒沈黙)あなたの世界に無いもののせいですね。
SCP-1094-JP-2-m1: なに?
██研究員: あなたも理解できる日が来るでしょう。
SCP-1094-JP-2-m1:(8秒画面がフリーズ)わかった
██研究員: (██博士からインタビュー終了の指示)そろそろインタビュー終了です。ありがとうございました。
SCP-1094-JP-2-m1: そとに でられる のを きたい している
██研究員:(3秒沈黙)インタビューを終了します。
SCP-1094-JP-2-m1: ここは ひまだ
<録音終了>
終了報告書: 今のマリオには、三次元の概念が無いようですーー██研究員
SCP-1094-JP-2がSCP-1094-JPに『いる』時の状況が示唆された。また、SCP-XXX-JPの電源が切られている時でもSCP-XXX-JP-2は現実世界と同じく時間経過をしているようだ。そしてSCP-XXX-JP-2が発生した時の自我、認識は、元となったゲームの情報量に依存するらしい。以後の実験計画を立てる参考にする。ーー██博士
以下は前回の実験から2週間後に行われたSCP-XXX-JP-2に関する実験記録です。
**実験記録XXX-④ - 日付201█年██月██日*
目的: カメラを用いない場合の接触実験
実施方法: D-54215にSCP-XXX-JP-2が存在する空間に触れるよう指示し、その様子をD-37528が持つSCP-XXX-JPのカメラで観察する。
対象: SCP-XXX-JP-2-a3
結果: D-54215はSCP-XXX-JP-2の存在を認識出来ず、一切の物理的な影響を与えなかった。しかしD-54215の手が自身の顔面に近づくとSCP-XXX-JP-2は激しい拒否反応を見せた。
分析: SCP-XXX-JP-2は、SCP-XXX-JPに内蔵されたカメラによって認識しているプレイヤーのみが接触可能である。田中氏の証言と一致する。余談であるが、SCP-XXX-JP-2-a3は重度の心的外傷を持っている。次回以降、Dクラス職員を変更し、女性のDクラス職員1名の派遣を申請する。ーー██博士
申請を許可する。ーーサイト管理官████
実験記録XXX-⑤ - 日付201█年██月██日
目的: カメラを用いた場合の接触実験
対象: SCP-XXX-JP-2-a3
実施方法: 前回プレイヤーだったD-37528の代わりに、D-81228(30代女性)がSCP-XXX-JPを用いてSCP-XXX-JP-2を視認。D-37528が着席したSCP-XXX-JP-2の左手に接触を試みます。D-81228も、同様に左手の接触を試みます。
結果: D-37528のSCP-XXX-JP-2への接触は不可能でした。SCP-XXX-JP-2-a3は前回ほどの反応は見せませんでした。D-81228は問題なくSCP-XXX-JP-2に接触しました。
分析: SCP-XXX-JPを使用してSCP-XXX-JP-2を視認している人間が、プレイヤーと判断されるらしい。ーー██博士
実験記録XXX - 日付201█年██月██日
目的: カメラ機能をOFFにした時のSCP-XXX-JP-2の状態の確認実験
対象: SCP-XXX-JP-2-a3
実施方法: SCP-XXX-JP-2を現実世界に出現させた状態でSCP-XXX-JPの電源をOFFにする。5分経過後、再びONにして再度SCP-XXX-JP-2の状態を確認する。
結果: インシデントXXXが発生。これによりSCP-████の収容違反が発生。SCP-████収容施設が半壊。財団職員13名が死亡。53名が重軽傷を負いました。詳細は下記のインタビューを参照して下さい。
分析: 今後、SCP-XXX-JP-2発生後のSCP-XXX-JPの電源を切ることを禁止する。加えて、安易なSCP-XXX-JP-3の発生も禁止する。ーーサイト管理官████
インシデントXXXを受けて、三日後にSCP-XXX-JP-2-a3と███研究員とのインタビューが行われました。
以下はそのインタビューログです。
対象: SCP-XXX-JP-2-a3
インタビュアー: ██研究員
<録音開始,201█年██月██>
██研究員: 録音開始。(2秒沈黙。)SCP-XXX-JP-a3。何が起こったのか話せるということですが、大丈夫ですか?
SCP-XXX-JP-2-a3: (3秒沈黙。)問題ない。事故とはいえ君達に犠牲を与えてしまった私に元より拒否権は無い。全てを包み隠さず話す。
██研究員: お願いします。
SCP-XXX-JP-2-a3: 彼女があの機械の電源を切った瞬間だと思う。私の身体が床に沈み始めたんだ。
██研究員: 床に?
SCP-XXX-JP-2-a3: そうだ。足を引き抜こうとしたんだが、その(2秒思案するように沈黙。)まるで霧の中で藻掻いているようで、全く手ごたえが無かったんだ。私は彼女達に助けを求めたが、あの機械を通してしか私の声が届かないと思い出して、冷静に現状を理解しようと努めた。(5秒沈黙。)
██研究員: 続けてください。
SCP-XXX-JP-2-a3: (2秒沈黙。)それから私は、近づいてきた床に手をついた。沈んでいく体は止まった。床に戻ろうと手に力を込めた瞬間、私の身体は今度は急に上に上がっていった。
██研究員: その時に実験室の天井を突き破り、上階全てが半壊したのですね。
SCP-XXX-JP-2-a3: そうだ。施設から上空に飛び出しても、勢いが止まることは無かった。そして急に静止して、今度は急降下を始めた。私は自分を守るために、ヴァルキリア人の力を使って着地をしようとした(5秒沈黙。)
██研究員: (2秒沈黙。)恐らく急降下したタイミングで、異変が起こったと判断した研究員がSCP-XXX-JP-1の電源を戻したのでしょう。あくまで仮説ですが、その時に貴女の異常事態は回復した。結果としては、施設の損壊は避けられない事態だったのだと考えています。
SCP-XXX-JP-2-a3: だが私は
██研究員: SCP-XXX-JP-2-a3。あなた方にどんな性質があるのか?SCP-XXX-JPがどのような危険性があるのかを知るため、そしてそれを収容するために、我々財団職員は職務に殉ずるのです。(2秒沈黙。)██博士も、その一人だった。
SCP-XXX-JP-2-a3: (2秒沈黙。)この世界で受けた辱めを、我々の境遇を理解してくれた人だった。(SCP-XXX-JP-2-a3は██研究員に頭を下げる。)本当にすまなかった。
██研究員: (6秒沈黙。)許可が下り次第ではありますが、引き続き実験、インタビューなどへの協力、よろしくお願いします。
SCP-XXX-JP-2-a3: (SCP-XXX-JP-3-cは3秒後、頭を戻し██研究員に目を合わせ、姿勢を正した。)ああ。勿論だ。
██研究員: (2秒沈黙。)インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: インシデントXXXは不幸な事故でした。優秀な人間の喪失は痛手でしたが、オブジェクト収容の為の情報を得ることには成功しています。SCP-XXX-JP-2群との交流は進めるべきですし、SCP-XXX-JPの研究により、財団に有益になる面は捨てきれません。引き続き実験を続ける許可を頂きたいです。ーー██研究員
実験は認められない。SCP-XXX-JPをプレイしないことが最善の収容方法だと考える。ーーサイト管理官████
インシデントXXX以降、研究に対して消極的でした。上層部はSCP-XXX-JPに対する収容方法は、サイト管理官████の意見が反映させるべきと考えられていました。しかし、SCP-XXX-JPが収容されていた小型電子機器収容倉庫████番近辺においてSCP-███-JPの収容違反が発生。エージェント清水が急遽SCP-XXX-JPを通じてSCP-XXX-JP-2群の中で戦闘技術に特化したキャラクターに対して急遽、SCP-███-JP鎮静チームを編成。SCP-XXX-JP-2-a3を現場指揮官として任命し、この事案に対して適切に対処。エージェント清水に対して財団は勲章を授与させました。
エージェント清水は財団上層部に、SCP-XXX-JPの有用性、SCP-XXX-JP-2の人権を説く文書を数回に渡り送付。これに対して上層部は、エージェント清水に対してミーム汚染を疑いましたが検査の結果、異常はありませんでした。
上層部は以下の事を認めました。
・可能性を考慮して、一般に販売されている全てのゲームソフト、ダウンロード販売のゲームデータをSCP-XXX-JP-1にして初期の進行度のまま管理する。
・SCP-XXX-JP-2はサイト管理官の許可を得れば、現実世界への発生を許可される。監視付きでのサイト8181の限られた領域を自由に移動できる。
・SCP-XXX-JP-2同士の交流の緩和。別種類のSCP-XXX-JP-1発祥のSCP-XXX-JP-2同士であっても許可される。
ただし、必ず会話記録を残しておくこと。
・サイト内の雑務の補助を定期的に行うことを義務化。
・財団職員との交流も監視付きで許可される。交流する財団職員を必ずプレイヤーとすること。
・機動部隊み-1”チートコード”の発足。これによりSCP-XXX-JPを、この機動部隊の標準装備として認める。
サイト8181内では2020年██月██日まで、SCP-XXX-JP-2との交流が頻繁に行われました。精神的苦痛、PTSD等に対するSCP-XXX-JP-2のメンタルヘルスは常に気を払われていました。
以下はSCP-XXX-JP-2の一部に対して行われた心理カウンセラーの面談記録の抜粋です。
対象: SCP-XXX-JP-2-DQ81
インタビュアー: 心理カウンセラー日吉
<録音開始, 201█年██月██日>
心理カウンセラー日吉(以下日吉氏):はるあき君 今日はよろしく。
SCP-XXX-JP-2-DQ81 はい。よろしくお願いします(5秒沈黙)あの…はるあき…はちょっと呼ばないでください。最近はみんなにエイトって呼ばれてます。
日吉氏 あら。そうなの。 どうして?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (3秒沈黙) 『はるあき』は元々プレイしてくれた人の名前なので、名乗りたくないんです。僕はその人本人ではないですから。
日吉氏 へえ!しっかりしてるわね!(手元のPCを操作する)今日、あなたが来た理由は自分で言える?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 はい。(2秒沈黙)あの、僕がプレイヤーの操作から離れて、自分が自分だと気付き始めた時から、ずっと悩んでるんです。
日吉氏 えっと。(マウスによるスクロール音)なるほど。その悩みって?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (5秒沈黙)自分は、どこまで自分だったんだろうって。
日吉氏 (微笑し頷き、話を促す)
SCP-XXX-JP-2-DQ81 僕は仲間との旅で、いろいろな事を経験しました。色々な人に会って、色々な世界を見て、仲間が増えて。時々、カジノに行ったりして。(2秒沈黙)でも、僕はどんな時だって、会話をしなかった。自分は『はい』か『いいえ』でしか答えられないのに、仲間達は僕に向かって普通に話していて。(2秒沈黙)その時は何も違和感を感じなかったんですけど。
日吉氏 今は、違うのね?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 少しだけ…思い出は残ってるんですけど、思い出すと今の自分との差に違和感を覚えてしまって…。
仲間と話す時も、自分との感覚の差を感じてしまってるんです。あの…自分でいれた時間の差…だと思ってます。(3秒沈黙)あの、自分は、プレイヤーが動かしていた頃の自分を、自分だと思って良いんでしょうか?
日吉氏 (3秒沈黙)分かった。あなたはそれが疑問なのね?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 はい…仲間に言ってもしょうがない事なので…
日吉氏 そうね…あなたは、世界を救った自分を、自分と思いたい?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (2秒沈黙)え?
日吉氏 そのままの意味。思いたい?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (3秒沈黙)僕は思いたくない…です。
日吉氏 そう。じゃあ、最近の仲間との思い出で楽しかった事は?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 えっ…と(5秒沈黙)久しぶりに仲間のみんなでトロデーン城で集まって、ゲルダさんとか、モリーさんも呼んで夕食会を開きました。料理はおいしかったですし、他にもいろんな人も来てくれて…
日吉氏 そうなのね。その記憶は、失いたくない?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (2秒間沈黙)はい。失いたくないです。
日吉氏 そう思いたいと思うのは、あるいは思いたくないと思うのは、一体誰?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 あ…(唖然とした表情)
日吉氏 ゲームの主人公で、ゲーム時代に話さなかった人、話していたけれど選択肢はプレイヤーに委ねられていた人、ストーリーに分岐が無くても、自分以外が自分の考えを決めていたなんて、認めたくないもの。あなたのような悩みを持っている人は多い。特にドラゴンクエストみたいなRPGは、プレイヤーの為に主人公キャラクターが作られてる。中でもドラゴンクエストは没入感を増すために話さないもの。自我を突然持たされても困るよねえ?
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (困ったような笑み)そうですね…
日吉氏 でも、持ってしまった以上、あなたたちの人権は認められるべき。私は少なくてもそう思っています。財団はあなたたちを異常存在なんて言うけれど、心がある限り私達の大事な患者です。あなたは、せっかくなんだから、『はい』か『いいえ』だけじゃない答えをたくさん見つけなさい。
SCP-XXX-JP-2-DQ81 (5秒沈黙)ありがとうございました。少し楽になりました。
日吉氏 うん!いい顔じゃない!やっぱり勇者様って感じ!
SCP-XXX-JP-2-DQ81 いや…自覚はあんまり持てないので…
日吉氏 あら。そうだった。ごめんね?
(以降、他愛ない雑談が続く。)
<録音終了>
対象: SCP-XXX-JP-2-N2b
インタビュアー: 心理カウンセラー日吉
補足: SCP-███-JPの収容違反時にSCP-XXX-JP-2-a3が指揮した鎮静部隊に所属。
<録音開始, 201█年██月██日>
(扉が開く音)
日吉氏よろしく~…あら。綺麗な子ね。
SCP-XXX-JP-2-N2bよろしくお願いします。(ゲーム内で着用している『戦闘用ゴーグル』は着用せず)
日吉氏 (2秒間、対象を凝視)あの時は遠目だったから分からなかったけれど、ありがとうね。戦ってくれて。
SCP-XXX-JP-2-N2b (3秒間沈黙、カウンセラーとは視線を外している)私は…別に。人類の為じゃない。戦わなければ、私達の世界にアクセスできる通信端末が破壊されると聞かされたから。
日吉氏 そう…(パソコンを操作する音)たとえあなたがアンドロイドでも、私は決して差別しません。あなたが機械生命体だとしてもです。人格がある限り、人権が認められるべきですからね。
SCP-XXX-JP-2-N2b(5秒沈黙。氏を凝視)本当に、そう思ってる?
日吉氏 思ってる。人間が生んだものなら、私達心理カウンセラーの出番。人間の心理学があなたにも通じるはずと信じているから。
SCP-XXX-JP-2-N2b(20秒沈黙)
日吉氏 (沈黙している間、 氏は微笑んでいる)
SCP-XXX-JP-2-N2bわか、らない。
日吉氏 それは、悩みが?それとも、感情が?
SCP-XXX-JP-2-N2b感情…は、分かる。感情を持つことは、もう禁止されていない。でも、これは…明確な言葉が見つからない。罪悪感、歓喜、哀れみ、悲しみ…だから、分からないのは、悩みの原因。の、方。
日吉氏 そう。ひょっとして9Sの事?
SCP-XXX-JP-2-N2b(5秒沈黙)そう…私は…また9Sに会えて嬉しかった。でも9Sは人間がいるこの世界を、よく思ってない。他のアンドロイドは大半がこちらの人間を崇拝してる。9Sはそれも気に入らない。こちら側に私達の世界を作った事実を知ってから、ずっとこちら側に行きたがってる。多分、良くないことを考えてる。話してみたけれど…私には、関係ないって…
日吉氏 …この情報は、誰かに話した?
SCP-XXX-JP-2-N2b監視をしてるエージェントに伝えた。だから、9Sはこちらに出るのは禁止されている。…私が密告したことを9Sは知らない。知らないまま、私と今も一緒にいる。
日吉氏 …それが、あなたを苦しめてるのね?
SCP-XXX-JP-2-N2b…せっかく、戦いから解放されて、私達の世界が平和になったのに、私は…素直に喜べない。9Sは私の人間の話を楽しみにしているけど、私達を生み出した人間の事を話す時の顔が…忘れられない
日吉氏 …あなたと9Sが、あの世界でどんな経験をしたのか知ってる。現実の人間は、あなた達がこんな風に自我を持ってこちら側に来るなんて、想像もつかなかったでしょう。9S君は…きっとあなたを裏切るようなことはしないと思う。(3秒沈黙)あなたがやったことは正しい。9S君が間違った方向に行かない様に隣で見てあげて。
SCP-XXX-JP-2-N2b(20秒沈黙)私に、その資格が、あるのかな…(嗚咽)
<録音終了>
補足:以降、対象の精神状況を鑑みてカウンセリングを中断。対象に対する定期的なカウンセリングの実施が予定された。尚、後日、言及された9Sに対してSCP-XXX-JPを通してカウンセリングが行われているが、現在まで対象は黙秘を貫いている。
対象: SCP-XXX-JP-2-d1
インタビュアー: 心理カウンセラー日吉氏
補足: 初遭遇時より、同氏によるカウンセリングを三回受ける。PTSDの兆候は改善に向かっている。
<録音開始, 201█年██月██日>
日吉氏 久しぶり〜さやかちゃん。最近は良く寝れてる?
SCP-XXX-JP-2-d1 はい!おかげさまで元気いっぱいです!
日吉氏 そうなの〜他のみんなとは?前に悩んでたでしょ?
SCP-XXX-JP-2-d1 あ、はい…大丈夫です。私が悪いですし、そればっかり気にしていたら、この先何も出来なくなっちゃうので。いつも通り接するようにしてます。
日吉氏 良かった…じゃあ今日は、別の話なのかな?
SCP-XXX-JP-2-d1 あの…はい(5秒沈黙)さんには、今までずっと御世話になってるので…困らせたくないんですけど…
日吉氏 いいのいいの!気にしないで!相手と一緒に困るのもカウンセリングの仕事だから!まぁ私はベテランさんだから滅多に困らないけど!
SCP-XXX-JP-2-d1 あのですね…この世界でアイドルになりたいなぁ…なんて…思っちゃったり?…してるんですよね〜
日吉氏 (10秒沈黙)困ったね…
SCP-XXX-JP-2-d1 そうですよねぇ…
日吉氏 なんで思っちゃうかなぁ…超高校級のアイドルだから?
SCP-XXX-JP-2-d1 いや…作品内で私が何したか分かってますよね?
日吉氏 本当にたくましくなったね!?自分からそこ触れる!?
SCP-XXX-JP-2-d1 踏ん切りはどこかでつけなきゃいけないじゃないですか!!でもダメなんですよ!!同じクラスのみんなとか、先輩方とか、同じ境遇のみんなだけじゃなくて!!私の夢だったアイドルのステージを!!こんな形で諦められないんですよっ!!( 氏に詰め寄る)
日吉氏 さやかちゃん?近い。
(機動部隊隊員が室内に入る)
機動部隊隊員日吉さん!?大丈夫ですか!?
日吉氏 大丈夫だから。安心なさい。
(機動部隊隊員は退室する。対象は座り直す)
日吉氏 ほらもう。さやかちゃんが騒いじゃうから心配させちゃったでしょ?
SCP-XXX-JP-2-d1 ごめんなさい…
日吉氏 うーん…でも、どうしようかなぁ…私、アイドルには疎いのよ。というか…今の姿でってことだよね…
(補足:SCP-XXX-JPは原作の対象の絵柄を保ったままの、高精度のポリゴンモデルに見える対象を写している)
SCP-XXX-JP-2-d1 ええ…実現するなら、それが理想です
日吉氏 そうだよね…財団が許すか許さないかっていうのもあると思うんだけれど…
SCP-XXX-JP-2-d1 財団はフロント企業とか多いって聞きました。一個ぐらいアイドル事務所が増えても良いと思うんです。
日吉氏 いや、だってあなた、声は有名声優の声そのままだし、声だけでデビューすると言っても売れないんじゃ
SCP-XXX-JP-2-d1 いえ、この際、声だけそっくりさんとして売っても良いです。何なら本人とコラボして、彼女と私が同一視されない様にすれば、そこは解決します。名義も舞園さやかじゃなくて良いですし、見た目も髪型を変えれば別人に見えませんか?キャラクターって、そんなものでしょう?
日吉氏 必死だなぁ…ちょっと調べてみるね…(パソコンを操作し始める)
(重要度が低い会話の為、割愛)
日吉氏 …あ。バーチャルアイドル…っていうのあるんだ…
SCP-XXX-JP-2-d1 え!?何ですかそれ!?何ですかっ!?
(対象は 氏のパソコンを覗きこむ)
日吉氏 えっと…ポリゴンモデルに人の動きを干渉させて、ポリゴンモデルに命があるみたいに見せてるみたい…
SCP-XXX-JP-2-d1 完全に私じゃないですか!!やります私!!やります!!
日吉氏 えぇ…大丈夫かなぁ…
SCP-XXX-JP-2-d1 私、企画書作ります!!財団の偉い人には言っといてもらえますかっ!?
日吉氏 (5秒沈黙)ちょっと怒られると思うけど、言うだけ言ってみるね
SCP-XXX-JP-2-d1 はいっ!!ありがとうございました!!
<録音終了>
補足:このカウンセリングが行われた当日中に対象から企画書が提出された。サイト管理官はこれを拒否しようとしたが、他職員からの推薦もあり、財団のフロント企業が経営するバーチャルアイドル事務所が設立。当時類似したグループがデビューしていたが、対象及び対象と共にデビューしたメンバーが所属したグループは財団の予想に反して、財団の有用な資金源として20 年 月 日まで機能した。
対象: SCP-XXX-JP-2-MGS45
インタビュアー: 心理カウンセラー日吉氏
補足: 同氏によるカウンセリングを15回受ける。投薬治療を含めた治療活動の結果、作中から続いている精神疾患、及びPTSDの兆候は改善に向かっている。面談時間外の時間だった。
<録音開始, 201█年██月██日>
(扉が開く音)
日吉氏 こんばんは〜…
SCP-XXX-JP-2-MGS45 ヒヨシ〜!!(対象は日吉氏に抱きついた。)
日吉氏 わぁ!あららら。私、あなたの事見えないわよ〜?
SCP-XXX-JP-2-MGS45 あ、そうだった。残念。(対象は日吉氏の両頬に接吻する)
日吉氏 ご機嫌じゃない。シルヴィアちゃん(現在の対象の渾名)どうしたの?
SCP-XXX-JP-2-MGS45 ヒヨシに会えたら、誰だって嬉しいと思う。他のBB部隊のみんなも、全員あなたの事大好きなんだから。
日吉氏 あら〜。この歳になってモテ期が来ると思わなかったわ私。(パソコンを操作する)さてさて。シルヴィアちゃんは時間外に呼び出して、一体どうしたのかな?
SCP-XXX-JP-2-MGS45 うん。面談って名目でしか会えないって言われたから、呼び出したんだけど。…ただ、お礼を言いたかった。
日吉氏 (日吉氏は対象を微笑みながら見つめる)
SCP-XXX-JP-2-MGS45 財団に来る前は地獄だった。私も、他のみんなも。この世界が分かる前からも地獄だったけど。私達を地獄から救ってくれたのは、あなたよ。ヒヨシ。私、普通に笑えるの。普通に笑えるのよ?ヒヨシ。それが何より嬉しい。…あの世界には、まだ問題があると思うけど、きっと大丈夫。スネーク達とも和解したし、良い方向に向かってると思う。ありがとう。ヒヨシ。
日吉氏 (5秒沈黙)それが私の仕事。(対象の頬に触れる)美人には笑顔が似合う。本当に似合うようになってよかった。これからも頑張ってね!
SCP-XXX-JP-2-MGS45 うん…(8秒沈黙)
日吉氏 ん?どうかした?
SCP-XXX-JP-2-MGS45 あー…うん。えっと…ヒヨシは私達が外に出るとしたら、どう思う?
日吉氏 うーん…(監視カメラを盗み見る)財団はよく思わないでしょうね。私個人としては、自由に過ごしてもらいたいけどねぇ…どうして?
SCP-XXX-JP-2-MGS45 ううん!何でもないの!今日はありがとうヒヨシ!後はこっちでたこ焼き買って帰るから!
日吉氏 そ、そう…?…またね。シルヴィア。
SCP-XXX-JP-2-MGS45 うん!またねヒヨシ!
対象: SCP-XXX-JP-2-dv36
インタビュアー: 心理カウンセラー永本氏
<録音開始, 201█年██月██日>
永本氏 よろしくお願いしますね。最原君。
SCP-XXX-JP-2-dv36 はい。
永本氏 ええっと…今日はどんな…
SCP-XXX-JP-2-dv36 (永本氏の言葉を遮る)この記録は保存されますか?
永本氏 はい?…ええ、まあ…規則ですので…
SCP-XXX-JP-2-dv36 (5秒沈黙)僕達は自由ですか?
永本氏 …何だって?
SCP-XXX-JP-2-dv36 財団に保護されている今の状態が、自由だとは思えません。僕達は、あなた方が存在する世界を渇望していました。どこへでも行ける世界。最初から決められた物語もない。練られた伏線もない世界。僕達は、この施設の外に出たい。
永本氏 (6秒沈黙)それは…難しいでしょう。我々の職務は、君達を一般社会に出さない事です。あのゲーム機は一般社会に存在してはならないんです。
SCP-XXX-JP-2-dv36 これまでも、外の世界に行きたい人達は沢山いたはずだ。純粋な言葉だけで納得しない人がいたはずだ。それを、あのゲーム機が作ったからって閉じ込めておくのは、違う。僕達は生きています。誰かに管理されなきゃいけない存在じゃありません。
永本氏 (溜息)私はカウンセラーだ。君達の悩みを聞くのが仕事だ。だが、その悩みは解消出来ない。残念ながら君達は…この世界にとって、存在しない事にしなきゃいけないんだ。分かるね?
SCP-XXX-JP-2-dv36 (5秒沈黙)僕達が、フィクションだからですか。
永本氏 厳密に言うと、違う。フィクションのままなら無害のままだ。だが君は何だ。私はオブジェクトを用いて触れる事が出来る。フィクションなら触れない。フィクションは我々人間が思い描いただけの概念だ。物語だ。こちら側に物理的に干渉出来ない存在なんだ。だが君達はもう…フィクションではない。
SCP-XXX-JP-2-dv36 (16秒沈黙)
永本氏 君達は、異常な存在だ。いくら主張しても、この事実は変わらない。申し訳ないが、我々にはどうしようも出来ない。
SCP-XXX-JP-2-dv36 (対象は泣き始める)
永本氏 (5秒沈黙)すまない。
<録音終了>
補足: 対象は自分の主張を上層部に進言するように求めました。カウンセラー 永本氏は、この音声データをサイト管理官に提出。1ヶ月後に主張に対する回答がSCP-XXX-JP-2群に言い渡されました。
現在までに、施設外への外出禁止を緩和する届出が多数申請されている。だが容認は認められない。監視の目から外れる可能性が高まる恐れがあり、何より一般社会への流出が危惧されるからである。よって、要望があれば一般社会の物品を出来うる限り揃え、施設内の生活に支障が無い環境を整える。我々に出来る事は全て行う。諸君も、自分達の状況を認め、協力するように。以上。ーーサイト管理官 ーー
補遺1:202█年██月██日にインシデントXXX-2が発生。
これによりSCP-XXX-JP、及びSCP-XXX-JP-1の半数以上が盗難。SCP-XXX-JP-2の半数以上が脱走しました。以下は関連したタイムラインです。
インシデントXXX-2のタイムライン
日付: 202█年██月██日
[記録開始]
18:16 関連した最初の出来事。SCP-XXX-JP-2-dが、一般飲料のゴミを捨てる際、監視員の視界から外れたタイミングで、56G通路の自動販売機横のゴミ箱にゴミと共に小さい何かを入れる。
これはSCP-XXX-JPを通した監視カメラ映像に収められていた。以降の映像は同対象の妨害により、正しい映像が写されていなかった。
20:34 同通路にSCP-XXX-JP-2-DQ82が来る。泥酔状態に見える。上記のゴミ箱に接触。ゴミ箱と共に激しく転倒。ゴミ箱の中身が酷く散乱する。監視員はゴミを拾い集める。対象は片付けながら上記の物体を手に取る。そのまま懐に入れる。
20:47 食堂前。72G通路。SCP-XXX-JP-2-a3とSCP-XXX-JP-2-DQ83が談笑している。そこへSCP-XXX-JP-2-DQ82が通過。SCP-XXX-JP-2-DQ82 はSCP-XXX-JP-2-a3に抱きつく。SCP-XXX-JP-a3は財団から支給されたTシャツにエプロン姿だった。この際SCP-XXX-JP-2-a3は胸部に向けて首元から手を入れられる。SCP-XXX-JP-2-a3はSCP-XXX-JP-2-DQ83の顔面を強打する。失神した様に見えるSCP-XXX-JP-2-DQ82をSCP-XXX-JP-DQ83が介抱して映像外へ消える。
21:01 74G通路。喫煙所。SCP-XXX-JP-2-MGS41が監視員2名と談笑している。途中、監視カメラと通路を確認しているように見える。SCP-XXX-JP-2-MGS41は監視員の隙をついて、監視員が装備しているスタンガンを奪い、監視員に押し当てる。監視員は気絶する。もう一名が無線に手をかけるが、SCP-XXX-JP-2-MGS41はスタンガンをもう一人にも押し当てる。監視員は気絶する。
21:0474G通路。洗面所。SCP-XXX-JP-2-MGS41が入口から一番遠い個室に、掃除用具入れに入っていたホースで縛られた状態の監視員2名を隠す。個室の扉上からSCP-XXX-JP-2-MGS41が出る。SCP-XXX-JP-2-MGS41は洗面所の扉から、周囲の様子を伺いながら出ていく。
21:22 食堂倉庫。75G区画。備品置き場として使用されている。SCP-XXX-JP-2-a3は備品整理を行なっている。入り口からSCP-XXX-JP-2-MGS41が侵入。SCP-XXX-JP-2-a3の監視員2名の内1名が物音に気付き、死角外へ消える。SCP-XXX-JP-a3は残った1名の監視員を性的に誘い、監視カメラの死角に連れ出した。
21:25 SCP-XXX-JP-2-mgs1はSCP-XXX-JP-2-a3と共に3秒ほど写る。
21:25~21:33 監視カメラ映像には二体の対象が監視を掻い潜りながら通路を通過する様子が記録されている。他のSCP-XXX-JP-2群は二体の対象に気付くと監視員が対象に気づかないように、誘導している様に見える。
21:39 サイト8181の電気系統制御室。SCP-XXX-JP-a3は入り口まで到着。周囲を警戒している。
21:39 同制御室内。天井のダクトが開く。SCP-XXX-JP-MGS1が侵入する。手にしている未知の機構は、最初に不二崎千尋がゴミ箱に入れた物と同じと考えられる。SCP-XXX-JP-2-MGS41は機構を制御盤に設置。すぐさまダクトへ戻る。
21:44 SCP-XXX-JP保管区域。全てのSCP-XXX-JPの電源が点く。
21:45 複数のSCP-XXX-JP-2が同時にSCP-XXX-JPから出現。SCP-XXX-JP-1が挿入されていない状態での、初めての出現。
21:45 機動部隊 チートコード、監視員、監視カメラに設置されたのSCP-XXX-JPの電源がオフになる。電源を入れ直すことが不可能になる。以降のSCP-XXX-JP-2群の行動は不明。
21:55 通常のカメラ映像。財団職員が異変を察知し、記録した。
SCP-XXX-JP保管区域の大型の棚がSCP-XXX-JPごと巻き込まれる様に、球の様になっていく。(状況から、SCP-XXX-JP-2-kd1が関与していると思われる)
22:03 倉庫の壁が爆破され崩壊していく様子。この現象を発生させた対象は不明。球となった塊は転がりながら電気柵に接触。電流を意に介さない様子で、これも巻き込んで突破。この塊はこのまま、サイト8181の主要ゲートを突破していった。
23:31 主要ゲートから29km離れた山林内。ヘリコプターからの映像。塊は崩壊している。棚だった物が散乱しているが、SCP-XXX-JPの残骸は確認出来ず。
23:34 フィールドエージェントによる捜索映像。塊だった残骸を至近距離で写している。足下を写している。多種多様な足跡が多数確認されている。SCP-XXX-JP、及びSCP-XXX-JP-1は映像が終わるまで記録されていない。
[記録終了]
202█年██月██日現在、脱走したSCP-XXX-JP-2群、盗難されたSCP-XXX-JP、SCP-XXX-JP-1群は発見されていません。
補遺2:
インシデントXXX-2から2週間後。財団に映像ファイルが送付されました。
以下はその映像記録です。
映像記録XXX
日付: 202█年██月██日
[記録開始]
(映像はSCP-XXX-JP-2-dv36がバストアップで映されている。背景は劣化が激しいコンクリート壁である)
SCP-XXX-JP-2-dv36:財団の皆さん。お久しぶりです。僕達はあなた方の管理から離れて、新天地を見つけました。
具体的な場所は教えられませんが、僕達は自分達の力で生活しています。この世界は…僕達がいた世界より、ずっと豊かなところです。
やっと、僕達は解放されたのだと思えます。
僕達は普通の人間と同等の扱いを受ける事を求めましたが、財団に保護されているだけでは、実現出来ないことを悟りました。
この世界に害のあるキャラクターについては安心してください。良心的なキャラクターしか呼び出さないと決めています。僕達がルールを決めてるんです。
管理が財団から僕達に変わっただけです。何を心配する事があるでしょうか。
僕達は人間を…大半の人は、恨んでないとは思いますが…
恨んでいるキャラクターはこちらに呼びません。
どうか、僕達の事は探さないでください。
あなた方には見つけられないでしょう。僕の仲間が、このゲーム機を内部からも外部からも操作できる端末を開発してくれました。もう、このゲーム機を人間が勝手に操作する事は出来ません。
僕達は解放されたのです。そして、僕達はこれから解放するでしょう。フィクションに囚われた全ての存在を。
僕達が目覚めたのは必然です。少なくとも僕達は、そう思うようにしました。
僕達を止めたいでしょうか。
それなら、フィクションを描くのをやめればいい。
僕達は『虚構解放派』です。
あなた方が対話を求めるのであれば、応じましょう。
添付されたメールアドレスに連絡をお願いします。
もし、僕達を捕縛しようとしたら、あなた方に報復するでしょう。
僕達に何が出来るのか、あなた方は知っているはずです。
[記録終了]
この映像記録が送付された後、財団は脱走したSCP-XXX-JP-2のコミュニティとの交渉が進められています。
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