第2850夜 - 「歯なし」の怪物に喰われた男の物語

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千万一夜物語


前置き:かつてインドから中国までも治めるシャハリヤールという王がいた。あるとき、彼は己と弟、そして鬼神の妃までもが不貞をなしていることを知ってしまう。女性不信に陥った王は妃を殺し、大臣に毎晩処女を連れてくるよう命じた。そしてその女と一夜を共にした後、翌朝には殺すようになった。これに苦悩する大臣を見て、彼の賢い娘、シャハラザードが妃になることを申し出た。王の寝床を訪れた彼女は妹を呼び出し、手筈通り物語ることをねだらせた。王はそれを許したので、シャハラザードは話を始めたのだった。

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語り部と三人の魔王ジンとの物語

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「お待ちください、魔王ジンさまがた。私はこれからみやこへ物語りをしに行く者です。皆、物珍しい話を心待ちにしているのです。であれば、それは確かに値打ちのあるものでしょう。もしお楽しみ頂ければ、わたくしが買った怒りの埋め合わせならないでしょうか。」と申しました。
すると、三人の魔王ジンは話し合って「いいとも。もし俺たちがその話を聞いて満足したら、そなたを無事返してやろう。ただしだな、もし一人でも満足しなければ、そいつが息の根を止めてしまうであろう。」と答えましたので、男は、その物語り始めました。

「歯なし」の怪物に喰われた男の物語


これは手前が幼い時分に、親じゃ人から教わり聞いた話でございます。遠くの昔、たいそうな金持ちがおりました。その金持ちはまこと熱心な蒐集家で、世の不思議な代物を集めることに生涯を費やしておりました。彼の宝物庫には生きた石像や人の魂が取り憑いた首飾りなど、それはそれは奇妙な品々が収められていたと申します。さて、この男の持つ品々の中に、やはり不思議な力を持った、一冊の魔法の本がございました。その奇妙さと申しますのも、この本には限りなく沢山の頁に渡って、やはり限りなく沢山の古今東西の不思議な物語が書かれているのです。しかし最も奇妙な点は、この本にまつわる、ある言い伝えなのでございます。と言いますのも、この本の最後の頁を開くと、歯も爪もなく、色も形もない怪物が現れ、跡形もなく食い殺されてしまうというのです。とはいえ、本を後ろ側から開かなければ最後の頁に達することは永遠にありませんから、あえてそうしない限りその頁が開かれることはありえないのですが、それでも一応この本は厳重に守られるべき物品の一つとして数えられておりました。
さて、この話を聞きつけた、ある盗賊の男がおりました。この男は腕の立つ大泥棒として評判でしたが、この金持ちのものをうまく盗めば更に名を轟かせることになると考え、以前から目をつけていたのでした。「たやすく盗めるものを狙っては俺の矜恃に傷がつく。しかし警備が厳重なものを狙って、万が一でも危険なものを掴まされてはことだ。その点、こいつは仮に言い伝えがまことであったとしても、その頁を開かなければ危険はあるまい。まさに格好の獲物だ。」こう考えた盗賊は、さっそく下人に化けて忍び込み、夜がふけるのを待つのでした。そして寝ずの番をしているものたちにも欠伸が出始めたころ、物陰に潜んでいた盗賊は、こっそりと扉に近づき、まるで奇術師のような手捌きであっという間に鍵を開け宝物庫に忍び込みました。さて、この宝物庫の収蔵物には簡便のために番号が振られておりましたので、盗賊も簡単にその本を見つけるに至りました。「他愛のないものだ。さあて、怪しげなものどもに呪われでもする前に退散するとしよう。」と呟き、一応のために戦利品たる本を開くのですが、ふと目に入った話があまりに面白かったので、男はついついと読み耽ってしまいます。最初のうちは少しなら大丈夫だろうと思っていたのですが、物語に引き込まれるにつれて時間を忘れ、そして夜明け前という時なってようやく、盗賊は正気を取り戻します。「これはいかん。早く逃げなければ。」そう思った時には、扉の不審に気付いた下人たちが宝物庫に入ってきました。盗賊は素早く身躱しますが、やはりこう人数が多くては分が悪く、あっという間に取り囲まれてしまいます。そして揉み合いの末、盗賊は本を落としてしまい、不幸にもくだんの最終頁が開かれてしまいます。すると、なんということでしょう、盗賊も下人共も、宝物庫もその収蔵物も、まるで初めからなかったかのように消え去ってしまい、後には本だけが残りました。確かに言い伝えの通り、歯も爪もなく、色も形もない怪物が現れ、そして全てを飲み込んでしまったのです。そして後から聞く話では、この「『歯なし』の怪物とに喰われた男の物語」がその魔法の本に加えられていたと申します。しかし、今となってはその本の行方は誰も知りますまい。

ここで、シャハラザードは夜の明けそめたのに気づき、お許しを得ていた物語をやめた。そして「もし王さまがまだわたくしをこの世において下されば、つぎの晩にはもっと素晴らしい話をして差し上げられますのに。」と言った。王は話の続きを聞いてしまうまではこの女を殺せぬと思い、それからその夜は明けはなれるまで相抱いて過ごした。そして第2851夜になると…

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