収容チーム-sec81██-17("Tricolor-ocean")の人事ファイル:
チーム識別番号 | 通称 | |
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CT-sec81██-17 | "Tricolor-ocean" | |
隊章 | ||
![]() 注: 構造色を持つ隊章。受ける光の確度等によって別々の3色に見えるよう調整されている。 |
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活動状況 | 実績評価 | 構成人数 |
Active | A | 24(最大48) |
概要 | ||
セクター-81██に配属済みのSEA3s1製アンドロイドで構成された収容チーム。通称の由来はトリコロール+海(多様な特色を持つ機体群および製造計画名より連想)。職員の間では略称として "トリシャン" が用いられる場合もある。 平時はセクター-81██が保有する複数の収容チーム・部門に1機ずつ配属され、その補佐を行う。必要に応じて招集され、その際には管轄地域内のパトロール・異常存在の探索・フロント企業への出向などエージェントが行う業務全般に就く。現在は48の部門・チームに分配・運用されている。 平時の運用方針から、セクター-81██に存在する収容チームおよび各部門から広く意見を募集して各機体の調整方針を決定したため、性能・特性・外見の個体差が大きい。ただし全48機のうち45機は女性型であり、機体または装備品のどこかに蛍光色のパーツを持つなどの傾向や共通点は見られる。 以下のタブにはSEA3s製アンドロイドの基本仕様・運用状況・収容チーム81██-17の全構成員とその性能を要約して記載する。参照性向上のため、機体識別番号に通称を併記している。構成員に関する詳細な情報が必要な場合はこちらを参照のこと。 |
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チームリーダー | ||
SEA3s-sec81██-001 | ||
チーム管理者 | ||
███管理官 |

SEA3s素体設計図より抜粋
型番: SEA3s-[施設識別番号]-[機体識別番号]
説明: SEA3sシリーズは作業用アンドロイドの一種であり、標準拡張型非異常性機械式諜報員製造分配システム(Standard Extensible Anti-anomaly Automatic Agent System)によって製造された機体の総称です。
サイト-81██の第46製造部門・製造ユニットが素体の製造を担当し、完成した素体は全国の機械製造・加工設備を持つ財団施設に移送します。年間████体が製造・保管されており、欠員が発生し次第補充可能な体制を維持しています。
製造~各施設へ移送段階では最低限の指示に従うAIのみが搭載されており、腕を除いた基本骨格と歩行に用いる脚部の人工筋肉以外には機能を持ちません。受領施設の職員はこれらの機体を同施設の適切な部門まで運搬または誘導し、施設管理官の決定または各種部門との合議に従って二次加工を施し、運用します。
SEA3sシリーズの素体は拡張性を最重要視した設計であり、詳細な調整方針の決定は各施設に委任されています。これまでの運用方針は多岐にわたり、異常存在の捜索・接触・収容・戦闘、要注意団体との接触・交渉、実験への参加、Dクラス職員の管理、警備・給食・清掃等の補佐などが挙げられます。
全ての機体には「獲得した全てのデータ・抱いた全ての情動を財団データバンクにアップロードする機能と、これらの情報に対する魂魄の紐付け」が義務付けられており、これによって師匠のリスクが高いぎょむにも低リスクでアサインでき、円滑かつ確実性の高いリカバリーも可能となっています。
これらの作業のために考案された設計情報は情報保安管理局及び所属サイトに保管され、修復不可能な状況に陥った場合はこれらの情報と追加された素体を元に迅速な補填が可能です。
機体性能:
全体形式: 高拡張性作業用半有機式アンドロイド(低コスト型)
全高: 173.00cm
重量: 62.20kg
人工知能: 駆動支持応答AI
骨格: 軽量構造(全身)
動力: 電力(内蔵バッテリー)
搭載機能略記:
- 皮膚: N/A
- 毛髪: N/A
- 頭蓋部: 軽量頭蓋ケース・メインコンピュータ
- 後頭部: N/A
- 眼球: 標準立体視カメラ
- 耳: 小型マイク
- 鼻: N/A
- 口部: マイクロブザー
- 頸部: N/A
- 両肩: N/A
- 両腕: N/A
- 前腕部: N/A
- 手指: N/A
- 心臓部: N/A
- 胴体: 標準バッテリー
- 背面:N/A
- 臀部: 充電プラグ
- 陰部: N/A
- 両脚: 低強度機械式人工筋肉
- 脚部末端: N/A
- その他: N/A
付記: N/A
単体耐用年数: 30~50年
非推奨動作 / 非推奨環境: 水没地・不整地・高度な判断が求められる状況での運用

SEA3s-sec81██-001
識別番号: SEA3s-sec81██-001
通称: 居間 ネコマ (iruma nekoma)
セキュリティクリアランスレベル: 3
職員クラス: E
役職:
- セクター-81██ 管理官付き秘書官
- 情報保安管理局提携補佐官
- 作戦監督官補佐
- 収容スペシャリスト
- 慰安担当官
所属: セクター-81██
所在: セクター-81██ 居住棟 A-173-001 (他3体のSEA3s機体と共有)
業務内容: 秘書業務全般・情報処理補佐・データ解析補佐・収容計画立案・作戦指示代行・慰安業務
機体性能:
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調整原案: セクター-81██ 施設管理官 ███ ██
全体形式: 人型設計(開口部多様着脱簡易式)
全高: 184.76cm
重量: 721.07kg
人工知能: 高機能AI(情報処理能力向上型)
骨格: 強化構造(上半身)・耐荷重強化構造(下半身)
動力: 電力(内蔵バッテリー)
概要: SEA3s-sec81██-001(以下、通称を採用し居間秘書官と表記)は、収容チーム-sec81██-17チームリーダーおよびセクター-81██の管理官付き秘書官を務める機体です。立場上現場に向かうことは稀であり、前哨基地または管制室に待機した上で主にチームメンバーへの指示や作戦内容の提案・指示・実行・記録を行います。
チーム内で3番目に大型、重量は最も重く設計された機体であり、内部構造の多くをコンピュータが締めています。残りの外装および内部機構はその冷却・排熱を目的としている部位が多く、最大稼働時には「毛髪が逆立ち熱を放つ」「背部冷却ファンが稼働する」「体表に水滴を発生させる」「頭皮の一部が隆起し動物の耳のような形状を取る」等の外見的変化が複数表れます。
背面に配置された排熱ファン
搭載機能略記:
- 皮膚・体表面: 毛細管型チラーユニット・気化熱式冷却機構
- 毛髪: 高熱伝導性排熱ワイヤー(平時は毛髪として運用)
- 頭蓋部: 第一メインコンピュータ・皮膜式排熱機構(猫耳C型)・高精度マイク(側頭部)
- ↳ 後頭部: サブコンピュータ・小型バッテリー
- 眼球: 高精度立体視カメラ
- 耳: マグネティックマニピュレータ(金属板型)
- 鼻: 標準嗅覚センサー
- 口: 標準味覚センサー
- 頸部: 標準有機声帯・弐類小型臭気発生器・サブコンピュータ
- 肩部: サブコンピュータ
- 上腕部: サブコンピュータ・排熱ファン
- 前腕部: サブコンピュータ・排熱ファン・配線ポート(左前腕部)
- 手指: 展開式手指マニピュレータ・内蔵式拳銃
- 胸部: サブコンピュータ
- 胴体: 第二メインコンピュータ・電源ボタン・気化熱式冷却機構
- 背面: 大型排熱ファン
- 臀部: 大型バッテリー・充電プラグ
- 陰部: 標準慰安設備
- 両脚: サブコンピュータ・排熱ファン
- 脚部末端: 準展開式接地脚部
付記: 平時は青色(#007fff)の眼鏡を着用しているが、これは伊達眼鏡であり嗜好品。
人格プロファイル・来歴: 居間秘書官はセクター-81██において初めて稼働し、外見・機能面での変更例を示すためAIが初期設定状態のままボディを優先して加工された経緯があり、そのためAIの調整は先送りにされました。他部門での調整が順調に進む中、これに続く形でAIに調整を入れる案が挙げられましたが、その時点ですでに無調整の人格が施設内に浸透していたこともあり、調整は最低限に抑えられました。
こうした経緯があり、居間秘書官の人格は非常に淡白であり、セクター内においては「他のSEA3sに比べると1番AIらしい」と評される場面が多くみられます。職務に忠実であり、品行方正を心掛ける向きが強く、しばしば他のSEA3sシリーズを指導することもあります。
趣味・特技: 起動中は基本的に何らかの職務にあたっており、趣味を問う質問には多くの場合無いと回答します。ただし、セクター内の同僚によれば「ボディの洗浄やメンテナンス中は機嫌が良さそう」「入浴中に鼻歌を歌っているのを見た」との意見もあり、これらが趣味にあたるとの見方もあります。
機能上、特技は情報の高度な解析・走査を含む業務全般と言えます。また、セクター内の同僚の意見では料理や家事全般とする意見が多数を占めており、これは他のSEA3sシリーズがAIまたは機体の調整によって日常生活に求められる機能を縮小ないし完全に排除していることから来る相対的な評価と見られています。
苦手分野: 実績上苦手分野とは判断されていませんが、苦手な分野を問う質問には「慰安業務」と複数回回答しています。理由としては「機体重量が非常に大きいため、軽微なミスで被験者を負傷させてしまう危険があるため」としています。ただしこれは体位の調整で対応可能なほか普段の活動においても同じことが言えるため、性処理に利用される場合には正常位を促すよう指示しています。
会話ログ:
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会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
状況: セクター-81██ 第一食堂にて記録
<記録開始>
[食堂の座敷席にエージェント・田郷が着席し、スマートフォンを見ながら醤油ラーメンを啜っている。そこに居間秘書官と芹音建築技師が食堂のトレーを持って訪れ、声をかける]
芹音技師: 田郷くん1人? ちょうど用事があったんだけど、ここで食べても良いかな。
エージェント・田郷: ん? どうぞどうぞ。芹音さん珍しいですね。イマちゃんも?
居間秘書官: 「イマ」ではなく「イルマ」です。エージェント・田郷。
[芹音技師と居間秘書官がエージェント・田郷の対面に並んで着席する。芹音技師のトレーには目玉焼きが乗った焼きそばが、居間秘書官のトレーには水のみが乗っており、芹音技師は着席後に食事を始める]
芹音技師: いやあちょっと相談があってさ……あれ、ていうか1人? みんなは?
エージェント・田郷: もう食い終わって行っちゃいましたね。猪力ちゃんは小食だし、鵜飼たちは早食いだし、玉梨のおしゃべりに乗ってるとだいたいいつも俺が最後ですよ。ラーメンが伸び伸び。
芹音技師: あちゃー。玉梨ちゃんか鵜飼くんにも用事があったっていうか、むしろあの2人が本命なんだけど……。
エージェント・田郷: 俺はいらないって……コト……!?
居間秘書官: そうですね。
エージェント・田郷: エェーーー!?!? いや待て、ツラの良いアンドロイドに罵倒されると興奮するな……いやそんな睨まないでくれよ。…………まぁあとで伝えときますよ。あの2人ってことは機械系か奇跡論絡みなんスか?
芹音技師: [嚥下] そうだね。実は居間ちゃんの重量制限をなんとかする手段を探してるんだ。
エージェント・田郷: 重量? ああ……重そうだもんな。
芹音技師: うっわ失礼。
居間秘書官: 気にしませんよ。
芹音技師: そう?
居間秘書官: 私が執務室を出る事由として最も多いものは、この食堂を訪れる███管理官に同伴するためです。しかし、執務室から食堂までの通路にはいくつか重量制限が設けられた区域があります。
芹音技師: 高重量職員は居間ちゃんだけじゃないから食堂自体はここも含めて堅い設計だけど、通路は組み換えの都合上どうしても弱い部分が出ちゃうからね。でもこのままだと███さんの身体に負担がかかっちゃうかなって。
エージェント・田郷: いい歳だしなぁ……[ラーメンを啜る]
芹音技師: 申請は必要になるだろうけど、あの2人ならどうにかできないかな?
エージェント・田郷: まぁ…… [嚥下] なんとかはなるでしょう。ただ申請がクッソ面倒臭いですねぇ……現状の設備なりなんなり使ってなんとかならないモンなんですかね? なんとか。
芹音技師: ナントカカントカすぎる!
居間秘書官: 問題となるのは、私自身の軽量化が難しいことです。常任しているわけではありませんが、本サイトの情報処理能力が不足した際やサイバー攻撃への対応等で私の演算能力が必要になる場面は多く、スペックを落とすことはできません。
エージェント・田郷: 詳しくは知らんけど精密機器ゴツ盛りなんだろうし、耐久面っつうか駆動面を削るのもキツそうだしなぁ……いっそ浮かしてみるのは?
芹音技師: 一応、設計段階でスラスターを付ける案はあったらしいけどね。ただ、マミーちゃん2みたいなプロペラで700kgオーバーの居間ちゃんを浮かそうとするとダウンウォッシュがヤバすぎるし、当然ジェット系もダメ。反重力系は高すぎるしね……。
エージェント・田郷: うーん……あ、たしか磁力操作できたなイマちゃん。それで浮けない?
居間秘書官: 悪くないかもしれません。
芹音技師: いやー、キツくない? 出力が足りるか微妙だし、磁力で吊るとなると見えない位置の鉄製部材に負荷がかかっちゃうってことだから、設計の練り直しから入らなきゃいけないよ。
エージェント・田郷: それこそうちは構造の融通が利くわけだし、アリなのでは?
芹音技師: うーん、いや、うーん……どうなんだろ? そもそもバッテリーが
居間秘書官: 可能ですね。
芹音技師: あ、電力的には行けそう?
居間秘書官: いえ、先ほど私自身の出力、バッテリー消費量、現在のセクター-81██の構造と再編の余地から計算した結果、執務室と食堂との間程度であれば問題なく移動できると判断できました。
芹音技師: ん? え?
エージェント・田郷: おお、早い。さすが [ラーメンのスープを飲む]
居間秘書官: 次回の構造再検討ミーティングの際に進言してみます。
芹音技師: 早いね……かなり広いけどそんな一瞬で計算できるものなんだ。
居間秘書官: 慣れもあります。構造再編案の計算に参加したことも複数回ありますから。それに、浮遊高度を数mmに抑えたので、既存の高強度構造に鉄製の部位を追加するだけで概ね問題ありませんでした。
エージェント・田郷: ドラ███式歩行か……浮く時効果音付けない?
居間秘書官: 却下です。
エージェント・田郷: そんな。
芹音技師: じゃあ一件落着か。申請の手間が省けたね。
居間秘書官: ですが、一点だけ問題があります。
エージェント・田郷: ん? 何さ。
居間秘書官: 施設の負担を最小限にするには、より広範囲の部材に負荷を分散するためにワイヤーの頭髪をある程度展開する必要があります。前後左右に3mほど広がることになってしまいます。
[沈黙]
居間秘書官: 通行を妨げてしまいます。
エージェント・田郷: クソデカスパイクヘア―か……。
芹音技師: 邪魔にもなっちゃうけど、それ以上にものっ凄いシュールだね……。
<記録終了>
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会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/02/14 23:54
状況: 職員寮 A棟 エントランスホールにて記録
<記録開始>
[居間秘書官は蔓籠を腕に提げてエントランス入り口に立ち、帰寮する職員に籠から小袋を手渡している。そこに壁面を透過して鳥啼山警邏隊員3が帰寮する]
居間秘書官: [帰寮する職員を見送る]
鳥啼山警邏隊員: どうしたんだイマ姉ぇ、こんなとこで。
居間秘書官: おかえりなさい、凪。また夜遊びですか。
鳥啼山警邏隊員: 「夜遊び」って言い方には合わねぇだろアタシのは。散歩じゃねぇ?
居間秘書官: 星を見るわけではないでしょう。夜の山を走り回るのは天体観測とは言いません。
鳥啼山警邏隊員: 文句ならジイさんに言えよ。荷物くれえ1人で持てって。
居間秘書官: 狭間さん4は外出許可を出していますから問題ありません。業務字時間外の行動とはいえ彼も貴女もEクラス職員なのですから、外出には適切な手続きがあります。
鳥啼山警邏隊員: へーへー、ジイさんも時々似たようなこと言ってるわ。考えとくよ。そころで
マミー管制官: なんか夜遊びがどうとか聞こえたんだけど~。ついに凪ちゃんも慰安業務はじめたの~?
[プロペラが回る音と共にマミー管制官の声が聞こえ、10秒ほど経ってエントランス入り口からマミー管制官が帰寮する]
鳥啼山警邏隊員: 冗談キチぃぞマミー。
居間秘書官: おかえりなさいマミー。収容計画は提出できましたか?
マミー管制官: いや~、むり。時間たんなかったから、お任せしてきたよ~。
居間秘書官: そうですか。場合によってはあれば再招集があるかもしれませんね。帰寮後に確認しておきましょう。
鳥啼山警邏隊員: いらねぇだろ。俺らもう上がりだし。アレだろ? 365と共同のヤツ。あっちの領分だろ。
居間秘書官: いいえ。今回は観測サイト-8136所属のaicの皆さんとも協力することになっていますが、あちらだけでは対応しきれない場合もありますから。……しかし、確かに私たちはもう休養の時間ですね。
鳥啼山警邏隊員: だろ?
居間秘書官: 緊急時には通知を出すように指示しておきましょう。
マミー管制官: まじめ~。
鳥啼山警邏隊員: 出たな。いつものクソが付く真面目。アタシらも引っ張られるんだろ? ゴメンだぜ。
居間秘書官: 拒否は認めませんよ。
マミー管制官: ブラック企業だ~~~。
新名清掃員6: チョコの匂いがする!!!
[新名清掃員の声が聞こえ、エントランス入り口から小走りに新名清掃員が帰寮して来る]
新名清掃員: 姉ちゃんチョコ配ってんの!? 1個ちょうだい!
マミー管制官: チョコ?
居間秘書官: 良いですよ。お疲れ様、タクト。
[居間秘書官は蔓籠からチョコレートが入った小袋を1つ取り出し、新名清掃員に渡す]
新名清掃員: サンキュー姉ちゃん。いやー、この時間になると甘いもん足りなくてさ。
鳥啼山警邏隊員: やっぱチョコかそれ。
マミー管制官: いいな~。わたしも欲しい~。
居間秘書官: 良いですよ。[チョコを渡す] 凪も食べますか?
新名清掃員: 抹茶味美味ぇ~~~。
鳥啼山警邏隊員: いや、アタシはいいよ。外で色々食って来たから。ていうかタクト、お前は清掃の姉ちゃんたちから貰えたんじゃねえのか?
新名清掃員: いやあ……俺は貰うっていうよりなぁ……なんていうか、毎年ギリギリでしんどいわ。
鳥啼山警邏隊員: あ?
マミー管制官: 凪ちゃん~。タクトくんは疲れてるんだよ~……。
鳥啼山警邏隊員: あ? [思案] あ~……ホワイトチョコってことか?
居間秘書官: そうですね。タクトの疑似精液の精製には糖分が必要ですから。補充する暇が無かったのでは?
新名清掃員: うわ、せっかく濁したのに。
マミー管制官: 濁したのは下半身でしょ~。
新名清掃員: マミー、そう言うのホントに良くない。なあなあ姉ちゃんさあ、俺今からでも別の部署行けねえかなぁ~……人間なら大喜びでしょこれ。
居間秘書官: 貴方の働きは一般的な成人男性で賄えるものではありませんし、慰安業務に就くには制限がありますから、諦めなさい。
鳥啼山警邏隊員: やーいヤリチン。
マミー管制官: んふふ、ヤリチン~。
新名清掃員: ホントに良くない。
居間秘書官: さて、その様子ではメンテナンスに時間がかかるでしょう。もうすぐ消灯時間ですし、帰りますよ。
マミー管制官: は~い~。
新名清掃員: ホントに良くない……。なあ姉ちゃん、まだチョコ余ってない?
居間秘書官: まだ少しあります。食べて良いですよ。
新名清掃員: やった。足りなかったら給湯室から何か盗んできちゃお。
居間秘書官: 駄目です。
鳥啼山警邏隊員: 大人しく申請して補給しろよ甘いもん好きめ……。
[3機は談笑を交わしながら寮へと帰っていく]
<記録終了>
インタビュー記録:
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インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: [匿名希望]
<記録開始>
上手局員: ではインタビューを始めます。
[匿名希望]: はい……よろしくお願いします。あの……これって本当に匿名で大丈夫なんですよね?
上手局員: はい、大丈夫ですよ。重要なのは同僚として裏付けが取れた人物からの証言であって、貴方が具体的に誰であるかは重要視されません。ただし、CL4以上の職員は申請とその可否によっては確認することができます。問題ありませんか?
[匿名希望]: そうですか……はい、大丈夫です。よろしくお願いします。
上手局員: よろしくお願いします。ではまず、貴方は最も多く居間秘書官を慰安目的で利用していることが記録から確認できています。その認識はありますか?
[匿名希望]: え、俺なんですか? ██か██さんかと思ってました。
上手局員: お二人は……[資料を確認する]……それぞれ利用回数記録は4位と9位ですね。
[匿名希望]: へぇ~……意外です。でも、居間さんは人気が分かれる方だと思うので、俺たちが比較的よく利用しているのかなとは思ってました。
上手局員: なるほど。では次に、貴方は先日も利用していますね。大まかで構いませんので、どのように利用したのかを教えてください。
[匿名希望]: う……うーん……はい、わかりました。一昨日のですよね?
上手局員: はい。
[匿名希望]: その日の休憩中にSCiPNET経由で予約して、偶然即日で空いてたので夜の10時に部屋に来てもらいました。俺はいつもシャワー浴びて待ってるのでそのままプレイに入って……内容もですか?
上手局員: 簡潔にで構いませんが、お願いします。
[匿名希望]: はい……。口で1発と、正常位で1発、口で掃除してもらってから松葉崩しで1発と騎乗位で1発ですね。それで終わりで、あとはシャワー浴びてもらってお疲れ様でした……っていうかんじです。起き上がれるようになってから後片付けして、俺もシャワー浴びて寝ました。
上手局員: なるほど。居間秘書官は何か仰っていましたか?
[匿名希望]: いえ、何も……いつも通り事務的でしたよ。そこが良くてお願いしてるところもあるので。……強いて言えば、シャワー浴びる前に「もう宜しいのですか?」って確認が入ったくらいですかね。一昨日は [役職上の理由] でちょっと溜まってて、いつもより1発多かったからもう少し頑張るのかと思ったのかもしれません。
上手局員: そうですか。騎乗位があまり推奨されていないことはご存じですか?
[匿名希望]: あ、はい。でもその……あの体格差で上に乗ってもらうのも醍醐味っていうか……すみません……。
上手局員: 大丈夫ですよ。ですが……これは最後の質問でもあるのですが、なぜ他の2機ではなく居間秘書官に頻繁に依頼しているのでしょう?
[匿名希望]: え~……うーん……好みだからとしか……。なんていうか、これは本当に個人的な理由なんですが……2年くらい前にニッソの研究室を強襲する作戦で [役職上の職務] した時、3mくらいあるセクサロイドのプロトタイプを見まして、それがこう……すごく良い仕事してまして。それ以来タッパがある方が好みになっちゃいました。
上手局員: 需要の大半が体格によるものだと思いますか?
[匿名希望]: いや、それはたぶん違います。それこそ██はロボ特有の目と事務的な淡々とした処理が良いって言ってましたし、██さんは……ちょっと俺はよくわかんないんですけど、居間さんって髪がワイヤーじゃないですか、あれでシてもらうのが良いって言ってました。██さんの体質だからできるんでしょうけど。
上手局員: 局所的な需要に応えていると……?
[匿名希望]: まあ……言っちゃなんですけどニッチですからね。刺さる人には刺さるってかんじだと思います。高身長、事務的、恵体、メカ……あたりが良い……のかな……? 何かあるんですか?
上手局員: いえ、慰安目的での運用が成される以上、ある程度広範な需要に応える形態の方が良いのかと思いまして。
[匿名希望]: [立ち上がる] とんでもない!
上手局員: 大丈夫です、[匿名希望]さん。皆さんそう仰るので、変更の予定はありません。
[匿名希望]: [着席] あ、そ、そうですか。すみません急に……。
[匿名希望]: いえ。ではこれでインタビューは以上です。何か質問等はありますか?
上手局員: いえ……あ、いや、質問っていうか居間さんに関する要望なんですけど、良いですか?
[匿名希望]: はい。審議の必要はありますが、どうぞ。
上手局員: 居間さんって全裸じゃないですか。
[沈黙]
[匿名希望]: はい?
上手局員: あ……言い方が悪かったですね。居間さんって服とか着ないじゃないですか、高菜ちゃん7とかレミちゃん8と違って。
[匿名希望]: そうですね。支給していませんし、購入もしていないようです。
上手局員: たぶん2人と違って人間っぽい皮膚とか無くて、機械感丸出しだから良い……ってことなんだと思いますけど、こう……慰安依頼してる身からすると時々仕事中にこう……興奮しそうになるっていうか……?
[匿名希望]: ……報告し検討します。
上手局員: ……よろしくお願いします……。
<記録終了>
-
- _
インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: セクター-81██ 施設管理官 ███ ██
<記録開始>
上手局員: ではインタビューを始めます。
███管理官: よろしく頼むよ。
上手局員: よろしくお願いします。まず、居間秘書官を設計する際の様子を教えていただけますか?
███管理官: ふむ……そうだね……あの頃はSEA3s計画が始まってすぐだったから、設計の前例が無くて困ったよ。ほら、配備は施設の規模順だっただろう?
上手局員: そうですね。東北地方では2番目に配備が始まっています。この時点ではまだ全国的に見てもRAISAに設計図の提出はありません。
███管理官: そうだね。ひとまず主要なエンジニアを集めて議論したんだが、「各部署に1機ずつ配備すること」「まずが首脳陣で1機仕上げて見せること」、そして「1機目はなるべく奇抜にすること」が決まった形だったかな。
上手局員: 奇抜……ですか?
███管理官: そう。SEA3sシリーズは拡張性に特化した構造で、改造次第でほぼ何でもできるという触れ込みで、実機を見て製造部門の面々も感心していたんだ。これを一塊の部隊として運用するのも順当ではあるが、各部門にバラバラに配備してそれぞれの業務に特化させた方が良いという意見が出てね。私もこれには同意見だった。
上手局員: なるほど……資料を見る限り、配備されたSEA3sをそれのみのチームとして運用する施設とここに独立して運用する施設はおおよそ半数ずつ存在するようですね。
███管理官: そうらしいね。我々がバラバラの運用を選んだ以上、より詳細な調整は各部署に直接相談した方が良い。ただし、いくら口で「どれだけ特殊な運用もできるほど汎用性が高い」と言っても想像には限度があるだろう? だから、1機目をなるべく他の職員の想像を超えるような性能や外見にすることにしたんだよ。
上手局員: なるほど。
███管理官: まぁ、結果的にはそう奇抜な結果にはならなかったけれどね。最序盤に提案された秘書官という役職、司令部寄りの運用を想定した演算機器の多量積載……エンジニアの皆はこの重さをどう支えるかでずいぶん楽しげに議論していたが……。
上手局員: 他の方からも白熱した議論だったと伺っています。
███管理官: そう。良くも悪くもね。エンジニアの皆があまり楽しげに作るものだから別の部署にも話が広がって、外見と性能だけ前倒しで公開して議論のリソースがそちらに割かれてしまったから、AIの調整も後回しになるしねえ……。他でもない居間くんには悪いことを……本人……本機は気にしないだろうけどね。
上手局員: 結果的には、むしろ居間秘書官が最も……こう言っては失礼ですが、普通の機体になったと言えますね。
███管理官: そうだね。非人型の機体も複数できたし、所属職員を補佐するのではなく職員を超えた働きを委任する部署もあったから、個性が強く出たよ。
上手局員: そうですね……先ほどのお話にはありませんでしたが、慰安機能はどなたが提案なさったんですか?
███管理官: 玉梨くんだね。
上手局員: またあの人ですか……。
███管理官: ははは。彼女は古参職員だからね、この手の話題にはよく上るよ。どこから聞きつけたのかかなり早い段階から「奇抜な案!?」と駆けつけてくれて、「慰安機能付けましょう! 男性陣の食いつきが絶対変わりますから!」とね。
上手局員: まあ……そうだったようですね。
███管理官: 結果的に慰安機能を持つ機体が居間くんを含めても3機しか提案されなかったのはむしろ意外だったね。機能こそなくとも前向きな機体もいるようだけれど。
上手局員: ……最終的に、職員に負けず劣らず個性的なメンバーになりましたね。
███管理官: うむ、良いことだ。
上手局員: ……良いことですか?
███管理官: 良いことだよ。うちの施設は職員の個性が強くて統率が成されていないなどと言われるけど、そんな中にピシッと統率の取れた集団を放り込んでも浮いてしまうからね。上手く馴染んでいるだろう?
上手局員: より混沌としていませんか?
███管理官: 良いのさ。居間くんや君のような、良いブレーキ役もいるからね。
<記録終了>
薬剤師(#7fff00)
REMI(レミ)。事務員。クソ嘘流布系噂好き軽率メカバレもちもちお姉さん(性処理機能付き)
③事務員ヤンママ(#00ffff)
購買部職員(#ff007f)
鳥啼山 凪。警邏隊員。超常挙動猿叫武闘派系拾い食い常習犯超軽量鷹風山伏ハーピィ。(#ffff00)
警邏隊員(#ffff00)
記録官(#00ffff)

SEA3s-sec81██-007
識別番号: SEA3s-sec81██-007
通称: 大塚 ナナ (ootsuka nana)
セキュリティクリアランスレベル: 2
職員クラス: E
役職:
- 機材調整整備部門 エンジニア
- インフラ整備部門 アドバイザー / サポーター
所属: セクター-81██
所在: セクター-81██ 居住棟 A-079-914 (他3体のSEA3s機体と共有)
業務内容: 業務補佐・人員供給
機体性能:
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調整原案: セクター-81██ 機材調整整備部門 一同
全体形式: 人型遵守設計(薄型四脚)
全高: 132.90cm(直立時: 184.11cm)
重量: 68.28kg
人工知能: 高機能AI
骨格: 基本構造(上半身)・強化構造(両腕部)・耐荷重強化構造(下半身・各脚部)・高可動関節採用
動力: 電力(内蔵バッテリー)・内燃機関(サブ動力)
概要: SEA3s-sec81██-007(以下、通称を採用し大塚整備士と表記)は、セクター-81██にエンジニアとして所属する機体です。主に機材調整整備部門で行われる機械製品全般の改造・調整・点検・修繕を担当します。また、活動の傾向上機械製品に関連する複数の部門の補佐を依頼されることも多く、特にインフラ整備部門には正式にアドバイザー兼サポーターとして参加し、施設内インフラの整備等を行っています。
狭小空間での作業や不安定な環境での作業を重視した設計が採用されており、可能な限りの軽量化を施しつつ多数の機能を有する四本の脚部によって多様な地点への接地を可能としています。臀部に接続された尾部には多数の工具が保管されている他、内容物を取り出すことでプレート状に変形させ、更なる軽量化・小型化も可能となります。
搭載機能略記:
- 皮膚: 標準アンドロイド用スキン(腰より上のみ)
- 毛髪: 標準アンドロイド用ヘア(ベリーショート丈)
- 頭蓋部: メインコンピュータ・追加平衡感覚機
- 眼球: 高精度立体視カメラ(瞳部分を緑色(#00ff7f)に加工)
- ↳ 眼窩周辺: ルーペ用固定具・サブカメラ4機
- 耳: ペンクリップ・高精度マイク
- 鼻: 高感度嗅覚センサー
- 口: 標準味覚センサー
- 頸部: 標準有機声帯
- 肩部: フック掛け・配線ポート(右肩)
- 上腕部: ルーペ入れ(右腕)
- 前腕部: 小型溶接トーチ(右腕)・吸引/吸着機器(左腕)
- 手指: 展開式手指マニピュレータ(強化モデル)
- 胸部: 射出機能付き小型ウインチ・フック類収納ケース
- 胴体: 内燃機関・小型燃料タンク・追加平衡感覚機
- 背面: フック掛け2箇所
- 臀部: 内蔵バッテリー・充電プラグ
- ↳ 尾部: プレート可変式工具キャビネット
- 陰部: N/A
- 両脚(四脚): フック掛け2箇所(各脚部)・吸引/吸着機器
- 脚部末端: 準吸着式足底・格納式ローラー
付記: 大塚整備士は多数の子機を所有・運用しています。以下はそれらの機体に搭載された機能です。
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全体形式: 人型遵守設計(薄型四脚)
全高: 132.90cm(直立時: 184.11cm)
重量: 40.03kg
人工知能: 高機能AI
骨格: 基本構造(上半身)・強化構造(両腕部)・耐荷重強化構造(下半身・各脚部)・高可動関節採用
動力: 電力(内蔵バッテリー)
搭載機能略記:
- 皮膚: 標準アンドロイド用スキン(腰より上のみ)
- 毛髪: 標準アンドロイド用ヘア(ショート丈)
- 頭蓋部: サブコンピュータ・追加平衡感覚機
- 眼球: 多機能カメラ(瞳部分を緑色(#00ff7f)に加工)
- ↳ 眼窩周辺: サブカメラ6機
- 耳: 標準マイク
- 鼻: 標準嗅覚センサー
- 口: 標準味覚センサー
- 頸部: 標準機械声帯
- 肩部: フック掛け・配線ポート(左肩)
- 上腕部: 収納ケース
- 前腕部: 吸引/吸着機器
- 手指: 展開式手指マニピュレータ(強化モデル)・吸引/吸着機器(指先)
- 胸部: 小型ウインチ・フック類収納ケース
- 胴体: メインコンピュータ・爆薬格納ケース・追加平衡感覚機
- 背面: フック掛け2箇所
- 臀部: 内蔵バッテリー・充電プラグ
- ↳ 尾部: 工具キャビネット
- 陰部: N/A
- 両脚(四脚): フック掛け2箇所(各脚部)・吸引/吸着機器
- 脚部末端: 準吸着式足底・格納式ローラー
付記-1: 子機は親機である大塚整備士と協力してデータの共有や工作活動を実行することが可能なほか、親機から一時的にデータを引き継ぎ、親機として行動することやオフライン環境でもデータを移送することが可能となっています。
付記-2: 各子機は手作業かつありあわせの材料・機材で製作されているため、偶発的または意図的な外見的差異が存在します。以下はそのリストです。
例: 子機004号の刺青(左)
子機056号の刻印(右)機体番号 相違点 001 左耳たぶに「01」の刺青。 002 左親指の爪に「02」の刻印。右前腕部の吸引/吸着機器のカバーが金属製。 003 右小指に金属製の指輪を装着。指輪の内側に「03」の刻印。 004 味覚センサー中央に「04」の刺青。左後脚部に花の彫刻。 005 左多機能カメラに半透明のホログラムで「05」の表示。手指の爪が木製。 006 右前脚部に「06」の刻印。右親指に緑色のマニキュア。 007 後頸部生え際に「⑦」の刺青。通常時は収納ケース内に飴類を携行。 008 背面下部フック掛けの形状が「8」の字型。瞳孔の形状が横長。 009 右前脚部ローラーホイールに「09」の刻印。両耳に赤色のピアスを装着。 010 胴体左鎖骨付近に「10」の刺青。爪にドット柄のネイル。 011 左上腕部に「11」の刺青。工具キャビネット末端にサッカーボールのストラップを装着。 012 配線ポートに「12」の刻印。収納ケースに保冷機能付き。 013 フック類収納ケースの蓋に「十三」と記入。青色のサブカメラを使用。 014 右後脚足底に「14」の刻印。ウインチ末端の金具がピンク色。 015 右頬に「15」の刺青。苺柄のハンカチを所持。 016 右前脚足底に「16」の刻印。小型ウインチのホイールが強化プラスチック製。 017 頸部左側面に「017」の刺青。右多機能カメラ目尻に黒子。 018 左手首内側に「18」の刺青。ブラインドサングラスを所持。 019 タンクトップ左前裾付近に「19」の刺繍。背面下フック掛けが強化プラスチック製。 020 右手のひらに「20」の刺青。両肩部フック掛けが楕円形。 021 左後脚部ローラーホイールに「21」の刻印。通常時は収納ケース内に空のメモリーカードを携行。 022 右手の甲に「22」の刺青。口元左に黒子。 023 下腹部中央に「23」の刺青。標準機械声帯が男声仕様。 024 左前脚足底に「24」の刻印。タンクトップの胸元に犬の刺繍。 025 左手の甲に「㉕」の刺青。右前脚部にスマイルマークのシールを貼付。 026 背面腰付近中央に「26」の刺青。標準立体視カメラを使用。 027 右耳たぶが「27」の形にくりぬかれている。左肘のみ駆動音が発生する。 028 右肩部フック掛けに「28」の刻印。カメラの形状がやや垂れ目。 029 爆薬収納ケース内側に「29」の刻印。大型犬の声真似が極めて上手い。 030 右手首内側に「30」の刺青。 多機能カメラ目尻に黒子。 031 左後脚足底に「31」の刻印。右後脚部にハートのシールを貼付。 032 多機能カメラ右に「XXXII」の刺青。左耳たぶに黒子。 033 鳩尾中央に「33」の刺青。面上フック掛けが三角形。 034 右鎖骨付近に「XXXIV」の刺青。通常時は収納ケース内に携帯灰皿を携行。 035 右上腕部収納ケース内に「35」の刻印。眉が太い。 036 左小指に「36」の塗装。通常時は収納ケース内に森永ミルクキャラメルを常備。 037 工具キャビネット末端に「37」の刻印。工具キャビネット内に耳かきを携行。 038 右頬に「㊳」の刺青。他の機体より体温がおよそ2℃高い。 039 瞳に「39」の刻印。爪にライトグリーンのマニキュア。 040 「㊵」型の大型イヤリングを両耳に装着。背面フック掛けが上下ではなく左右に配置されている。 041 左手の甲に「四十一」の刺青。歯が木製。 042 左眉付近に「42」の刺青。八重歯をやや長く設計。 043 左手の甲、親指付け根付近に「43」の刺青。喫煙者。 044 標準ドックタグを所持。タグに「44」の刻印。通常時は収納ケース内に目薬を携行。 045 陰部カバー裏に「45」の刻印。左薬指にプラスチック製の指輪。 046 右人差し指の爪に「46」の刻印。同部位がプラチナ製。 047 左後脚部内腿に「47」の刻印。日本のローカルな地理に詳しい。 048 左多機能カメラ付近に「48」の刺青。工具キャビネット内にボアクリーナーを携行。 049 右前脚部膝付近に「㊾」の刻印。通常時は収納ケース内に頭痛薬を所持。 050 頸部右側面に「50」の刺青。暗所で皮膚が淡く発光する。 051 味覚センサー裏面に「51」の刺青。唯一音痴ではない機体。 052 右腋に「52」の刺青。脚部フック掛けがやや大型。 053 右収納ケースの蓋裏面に「53」の刻印。収納ケースが他の機体よりやや広く設計されている。 054 右前腕部に「54」の刻印。同部位表面全体がシリコン製。 055 左頬に「55」の刺青。通常時は収納ケース内にスキットルを保管。中身はブランデー。 056 右耳に「LVI」の刻印。両耳がゴム製。 057 左側頭部に「57」のバリアート。右小指にピンキーリングを装着。
人格プロファイル・来歴: 大塚整備士は機材調整整備部門の主導で製作されたSEA3s機体であり、大らかで気さくな性格です。施設内外の誰とでも分け隔てなく接し、身の回りの出来事を交えたジョークで他の職員を和ませる様子が多くみられています。
しかし、落ち着きがなく増長しやすい性格としても知られており、勢いに乗って作業や趣味に没頭しすぎた結果フリーズや故障を起こすことも多く、注意が必要です。この性格は機材調整整備部門の職員たちのうち数名にも共通するものであり、しばしば「親に似た子」であると形容されます。
趣味・特技: 一部の機材調整整備部門職員と趣味を共有しており、自身の子機を制作しています。当ファイル執筆現在で57機が運用されており、この機体を利用して平時の業務や他部門の補助、有事の戦闘・警備を効率化しています。インタビューには特技も同様に子機の製造・整備と回答しており、常日頃から同僚・子機と行動を共にしています。
苦手分野: 業務上の苦手分野は特に確認されていませんが、同僚の間では「強烈な音痴」として知られています。これは運用開始以降、機材調整整備部門の複数名から作業歌と称して様々な歌を教育された結果と考えられており、時折子機と共にコーラスを交えながら熱唱している際に他部門から苦情が入ります。
会話ログ:
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会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
状況: セクター-81██ 機材調整整備場にて記録
<記録開始>
[大塚整備士は整備場の隅にある作業台に向かい、着席している機材調整整備部門の同僚と卓上に置かれた高機動車のエンジンの調整について相談している。周辺にはさらに多数の職員が人垣で輪を形成している]
大塚整備士: うーん、やっぱりもうちょっと渋めにした方が良いんじゃないですか? コケたらマズいですって。
[人垣から複数賛同の声が上がる]
千万技師: [地図を指先で叩く] だーかーら、どうせ平坦な道行くんだって! 急坂下るんなら問題あるけど今回は良いんだって。
[人垣から複数賛同の声が上がる]
NUTS.aic: 賛成します。
振栖整備士: いや、明後日は雨でしょ。確か。いくら今回平地つったってスピード出すぎると良くないでしょ。
千万技師: だーかーらー! この程度なら問題なく行けるつってんだろこのチョビヒゲがよォ~!
[芹音技師が入室する]
大塚整備士: いやいやそれ言ったら
芹音技師: 大塚ちゃーん、ちょっと子機ちゃん貸してー。ダクトの中見に行ける人足りないんだ。
大塚整備士: はーい。いつもの申請お願いしますー。24号よろしくー。
子機024号: あ~い。
[芹音技師は入口横にある端末を操作し、子機の利用申請を行う。天井に吊るされていた子機024号が肩のフックを外し、着地して芹音技師に随伴する]
千万技師: あんだチビ。
大塚整備士: ヒゲは関係ないでしょ千万さん。それ言ったら千万さんはテーブルヘアだよ。ガイルみたいじゃん。
振栖整備士: テ ー ブ ル [笑う]
[人垣から控えめな笑い声が上がる]
千万技師: うっせえわチビ! 笑うなヒゲ!
芹音技師: じゃあ借りてくねー大塚ちゃんー。あとテーブルヘアー。
大塚整備士: はいよー。
[人垣の多くが笑い出し、芹音技師と子機024号が退室する]
千万技師: [立ち上がって] あンだとコラ芹音ェ! お前らも笑てんじゃねえぞ!
振栖整備士: [爆笑]
大塚整備士: まぁまぁまぁまぁ。で? これどうすんのさ。
千万技師: [舌打ち] 倉庫にある7番のやつに挿げ替えてえくらいだ。
[人垣がざわめく]
振栖整備士: [笑いをかみ殺しながら] それは ありえないですね。[深呼吸]
[子機022号・007号・034号が帰投する]
子機022号・007号・034号: ただいま~。
大塚整備士: おかえりー。
千万技師: [着席] 問題ねえって。護送が早くハケる方が今回のヤツは都合が良い。
[子機22号・007号が自身のワイヤーを使用し、天井のフックに戻って待機状態に入る。034号はワイヤーをドラムごと取り外し、新しいものと交換し始める]
振栖整備士: いや、加害性無しSafeでしょ今回。あのー……あれ、CAUTION?
大塚整備士: 今回のはACS付いてなかったはずですよ。でもたぶんSAFE・VLAM・CAUTIONくらいだとは思います。
振栖整備士: でしょ。
[エージェント・白神9が入室する]
エージェント・白神: 大塚君、子機を貸してくれ。1機で良い。
大塚整備士: 珍しいね……そこ書いといて。2号ー。
子機002号: あ~い。
[エージェント・白神は子機002号と挨拶を交わしながら入口横にある端末を操作し、子機の利用申請を行う。天井に吊るされていた子機002号が肩のフックを外し、着地してエージェント・白神に随伴する]
大塚整備士: 危険度なんざ関係ねえ。今回は肉絡みだろ、碌でもねえ展開に備えるべきだ。
子機034号: [人垣の隙間から] マザ~、ワイヤー汚れちゃったから置いとくね~。
大塚整備士: はいよ。お疲れー。
[子機034号が自身のワイヤーを使用し、天井のフックに戻って待機状態に入る]
振栖整備士: まあそれはそうですけどね。
エージェント・白神: では借りていくよ。
大塚整備士: はいよー。行ってらー。
千万技師: ここ10年は無えことだ。気合い入れた方が良いだろうが。
大塚整備士: まあ確かに珍しいですね。
振栖整備士: 記録上は3回目なはず。
大塚整備士: はえー。
千万技師: 細かいとこはわかんねえが、対応可能域を広げるって意味でも早く離すのは重要だ。奇跡論絡みなら距離離しても影響は繋がるだろうが、早めに離してぐるっと周り囲めるようにするべきだろ。
振栖整備士: でも事故ったら元も子もないですって。
千万技師: 運転手の腕に頼りゃいいだろが!
大塚整備士: 頼りすぎ良くない。
振栖整備士: そうそう、今の調整で良いですって。これ以上は過剰でしょ。スペシャリストもカルト関連の詳しい人に聞いてるはずですし。
千万技師: [舌打ち] お前らじゃ話になんねえな。
大塚整備士: まあまあ、今回はだいたい決まりでしょ。それこそちゃんと相談してるはずだし、指示通りでよしよし。
振栖整備士: また管理官に直談判とかやめ
大塚整備士: あ、待った。
[大塚整備士が2名を制止し、全員が怪訝な表情で待機する]
大塚整備士: 全機出動。燃焼系装備携行で。
子機001号・006号・007号・009号・012号・013号・014号・017号・022号・025号・026号・027号・028号・030号・033号・034号・038号・044号・050・056号: あ~い。
[人垣がざわめく中、待機していた全子機が肩のフックを外し、着地して火炎放射器とナパーム爆弾を装備し始める]
大塚整備士: 準備出来次第指定の座標に向かってね。エージェントの指示に従うように。
子機001号・006号・007号・009号・012号・013号・014号・017号・022号・025号・026号・027号・028号・030号・033号・034号・038号・044号・050・056号: 了解~。
大塚整備士: 私は今回行かないから、欠員出すつもりで頑張っといで。
子機001号・006号・007号・009号・012号・013号・014号・017号・022号・025号・026号・027号・028号・030号・033号・034号・038号・044号・050・056号: 了解~。
[準備が完了した子機から順に移動し始める]
千万技師: どうした?
大塚整備士: 教会で動いたやつがいたんだって。バレたとかじゃないらしいけど、緊急でメンツが欲しいって連絡きた。
振栖整備士: 避難?
大塚整備士: いや。こっちに来てるわけじゃないんで大丈夫です。私は管制室の方行くんで、今回はここまでっぽいですね。
振栖整備士: あ~。明日とかになりそう?
千万技師: [舌打ち] だーから早めに替えときゃよかったんだ。
振栖整備士: まあまあ。これ戻すの手伝いますから。
千万技師: ったりめエだろうが!
大塚整備士: じゃあ行ってきますみんなー。
振栖整備士: 行ってらー。
[大塚整備士が人垣を割って子機の群れと共に退室し、人垣が各々の作業に戻る中千万技師と振栖整備士はエンジンの移送準備に入る]
<記録終了>
付記: 事案の詳細については作戦記録-81██-█████████ "裂菊教会小規模支部制圧作戦"を参照してください。
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会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
状況: セクター-81██所有 ユニック車内部にて記録
<記録開始>
[映像はドライブレコーダーによって記録されており、セクター-81██へ向かう林道を走行中の車体は時折大きく揺れる。ユニック車の荷台には、Anomalousアイテムをそれぞれ納めた収容トランクが3台積載されている。運転席には大塚整備士が、助手席には子機022号が乗車している]
大塚整備士: あ、そうだ。
[大塚整備士がダッシュボードに手を伸ばし、カセットテープを取り出す]
子機022号: なんですか~それ~。
大塚整備士: このまえ千万さんから貸してもらったカセット。
子機022号: なんで~?
大塚整備士: うん。これ読んでみて。ほらここ。
子機022号: ……? 1998~?
大塚整備士: 年号かもね。
子機022号: 昔~。
大塚整備士: まぁそう……かな……? 「実家の戸棚から出てきたんだが、由来不明だから何入ってるかはわからん。こんどお前らボロユニック使うだろ。聴いてみろ」って言われたんだったなって思い出して。
子機022号: へえ~。
大塚整備士: そんなわけで入れてみてよ。
子機022号: あ~い~。
[子機022号がカセットデッキにカセットテープをセットし再生ボタンを押すと、夜空ノムコウが再生される]
大塚整備士: 知らない曲だ……検索できる?
子機022号: ちょっとお待ち~。
[子機022号はイントロとAメロを聴き取り、歌詞から曲名・歌詞等を電脳接続でweb検索し、大塚整備士の電脳野に直接転送する]
大塚整備士: こんなかんじみたい~。
子機022号: 1998年の流行曲……? その年代の流行歌のまとめテープってことかな。
[大塚整備士がデッキを操作し楽曲を飛ばすと、サマーナイトタウン、誘惑が連続して再生される。子機022号はこれらも同様に検索し、概要を送信する]
大塚整備士: そんなかんじみたいだね。
子機022号: ね~。
大塚整備士: 知らないけど良い曲だ。
[およそ1時間の沈黙。この間にカセットテープはA面からB面の再生に変わり、再度夜空ノムコウが再生され始める。この間再生されたのは全て西暦1998年前後に流行した楽曲であった]
大塚整備士: お、1周した。
子機022号: そだね~。
[沈黙]
大塚整備士: ……あれからー、僕たちはー、何かを信じてこれたかなー
子機022号: ……! ふふ……。窓をそっと開けてみる~、冬の風の匂いがした~
[2機がカセットテープの音源に合わせて夜空ノムコウを最後まで歌い切る]
子機022号: ……どうしたの急に~。
大塚整備士: いやーなんとなくね。歌うのは結構好きでしょ?
子機022号: それはもちろん~。
大塚整備士: やっぱこれもヘタなのかなあ……。
子機022号: だろうね~。なんか~抑揚がないんだと思う~。
大塚整備士: ああー言われた言われた。抑揚ゼロの音割れボカロ曲みたいって言われたよ。
子機022号: ふふ……波形がかなりそれっぽい~。
大塚整備士: ………………本当だ……信じられない……。
子機022号: ふふ……。
大塚整備士: ……ふふふ……。
[2機はテープから再生される楽曲を順に歌いながら帰投した。情報がSCiPNET経由で他の子機に同期され、セクター-81██内各所で原曲が判別できないほど低品質な鼻歌のコーラスが発生し、一部の職員が異常現象と誤認したことで異常事態宣言の発令が検討された件については軽度の注意を検討中]
<記録終了>
インタビュー記録:
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インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: エージェント・田郷 / 大塚整備士
<記録開始>
上手局員: ではインタビューを始めます。
エージェント・田郷: はい……いや本当
上手局員: 私語は慎んでください。
エージェント・田郷: あっはい……。
大塚整備士: ほんとすみませんでした……。
上手局員: はい。では事実確認から始めます。大塚整備士、貴女は昨日午前4時頃何をしていましたか?
大塚整備士: その……収容棟Bの一斉設備点検が来週まで迫ってきてるのに打音検査系の機材がまだ検査終わってなくて……5番と7番と一緒に作業進めてました……。
上手局員: そうですね。それ自体は良いことです。そのあと何がありましたか?
大塚整備士: 田郷さんが来ました……。
上手局員: [エージェント・田郷の方を見ながら] はい、何ですか?
エージェント・田郷: 何ですかて……鵜飼が出したスクラップ持ってきただけですよその時点では。俺の権限じゃ廃棄できないやつなんで、いつもナナちゃんにやってもらってるんです。
大塚整備士: 鵜飼さんが作る機械には奇跡論とか現実改変絡みの機能が備わってることもあるし、変な材質とか原子力系動力の取りこぼしもあったりするので、分解したりしないといけなくて……。
上手局員: そうですか。大塚整備士は超常機材選別資格者でもありますからね。妥当な判断ですねそこまでは。それを受け取った大塚さんはどうしましたか?
大塚整備士: 普通に分解始めました。
上手局員: エージェント・田郷、貴方は?
エージェント・田郷: ええ~……見てました。
大塚整備士: 何故。
エージェント・田郷: いやその……え~……鵜飼と仕事してるとどうしてもスクラップ飛び散る中飛び回ったりしなきゃいけなかったりとかするじゃないですか。その時こう~……上手くヤバい機械だけ避けた方がこう……動きやすいでしょ。俺も無敵ってわけではないですし~……参考に?
上手局員: その判断が妥当かどうかはここでは判断できないので、記録して、戦闘職の方も交えて、キ ッ チ リ 議論しますのでそのつもりで。
エージェント・田郷: 怖……。
上手局員: それで、大塚整備士はどうしましたか?
大塚整備士: えー……普通に解体してたんですけど……途中でベリリウム銅とテレキル合金でできた熱膨張エンジンプレート的なやつが現実性変動抜きで動くのを見つけちゃって……。
上手局員: はい。そのあとは?
大塚整備士: その……上手く使えば私の脚のパーツ強化できますね~みたいな話を振りました。その……目の前にいたので……。
[上手局員がエージェント・田郷の方を見る]
エージェント・田郷: あ~……その……あれ……かなり強力になるなと。
上手局員: な ぜ 強化の方向に?
エージェント・田郷: いや! いや! だってほら! 強化って! 強化って言った!
大塚整備士: アタシ!? いやそりゃ言っ
上手局員: 静かに。
エージェント・田郷: はい。
大塚整備士: はい……。
上手局員: それで。
エージェント・田郷: アッ、うーんその……手を貸しつついくつか試しに作って……こう……。
上手局員: 手を貸しつつ。
エージェント・田郷: そう~~~~~……ッスね……。
上手局員: [大きなため息] 子機の記録では、止めに入った個体もいたようですが?
大塚整備士: うっ……はい……。
エージェント・田郷: 止まってないッスね……。
上手局員: それで?
大塚整備士: えー……完成した新型脚部を装着したら……その……出力が上がりました……。
上手局員: どの程度向上しましたか?
エージェント・田郷: えー……ちゃんと測定したわけじゃないんでアレですけど……すごい跳べましたね。パーツの付け位置がこう……良くなかったか。
上手局員: 一跳びで天井を突き抜けるほど?
エージェント・田郷: [沈黙]
大塚整備士: [沈黙]
上手局員: 天井まで50mあるのですが。
エージェント・田郷: [沈黙]
大塚整備士: [沈黙]
上手局員: 直上の通路いくつ貫通しましたか?
エージェント・田郷: [沈黙]
大塚整備士: [沈黙] 4本です……。
上手局員: 貴女の頭の修繕費もかかりますね。
エージェント・田郷: [沈黙]
大塚整備士: [沈黙]
上手局員: 返事は。
エージェント・田郷: その……。
大塚整備士: すみませんでした……。
<記録終了>
付記: インタビュー内で言及された事案による被害は通常の修繕を施した場合修繕費・検査費等を総合して███████████円ほどかかる見積でしたが、エージェント・田郷の異常性を利用した修繕と大塚整備士による検査を経て無料で修繕されました。2者には大幅な減給を含む懲戒処分が科されています。
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インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: 千万技師 / 振栖整備士 / 須舘設計士 / 飯田技師 / 檻収容スペシャリスト / 佐波SE / 大瑠総務技師 / NUTS KNOCKER.aic
<記録開始>
上手局員: ではインタビューを始めます。
千万技師: おう。
振栖整備士: よろしくです。
須舘設計士: よろしくお願いします!
飯田技師: ンー。
檻収容スペシャリスト: よろしくお願いいたします。
佐波SE: [沈黙]
大瑠総務技師: はい……。
NUTS KNOCKER.aic: はい。
上手局員: よろしくおねがいします。今回は大塚整備士の成立経緯について伺いたいと思います。まず
飯田技師: ンン? 設計した頃の話をしたら良いってこと?
上手局員: はい。そうですね。なので
NUTS KNOCKER.aic: ワタシは当時まだ運用されていません。退席してもよろしいでしょうか?
檻収容スペシャリスト: 駄目です。
千万技師: あの頃つったら……まず須舘が何か言ったんじゃなかったか?
須舘設計士: え、そうでしたっけ。わたしは髪型以外はオーダー通りに作っただけでしたよ。髪型以外は!
振栖整備士: それだよそれそれ。設計方針より先に髪型があったねまず。おかしくない?
須舘設計士: 良いでしょベリショ!
飯田技師: ウーン、うちではちょくちょくあることだね。
檻収容スペシャリスト: "うち" で括られるのは心外ですね。議論は本題を軸に進めるべきと再三にわたって申し上げていますよ。私は。
大瑠総務技師: あ、私もそう思います。はい……。
飯田技師: ンー、そうだね。
佐波SE: 外見は重要な要素。
千万技師: 外見に出る機能は中身作るときも設計の軸になるだろうが。はじめはどんだけ案が出ても良いモンだ。はじめに出るのが「髪型」はくッだらねェと思うがな。
須舘設計士: ンだとてめえ、も一回言ってみろ?
千万技師: あ? [立ち上がる]
須舘設計士: ああ? [立ち上がる]
上手局員: お2人とも
飯田技師: ンート……次はたしか足回りだったかな? たしかかなり時間かかったね。
檻収容スペシャリスト: あなたが「天井にも貼り付ける安定感を」などと言い出すからでしょう。
振栖整備士: まあ、「あらゆる環境を走破可能な脚部」と思うとそうもなるかな。はじめは八脚だったよね。
檻収容スペシャリスト: 過剰に脚が多かったですね。徐々に減らして最終稿では四脚まで抑えました。
飯田技師: ン~、狭い場所を行き来することもあるしね。
佐波SE: 具体的な数値や調整は大瑠。
大瑠総務技師: え、あ、はい……どうも……。
須舘設計士: はいはいはいはい! 前2本を長くして直立できるようにしたのはわたし! わ た し !
大瑠総務技師: アッ、ヒッ……エッ……ええ、はい……。
千万技師: [着席] ケツ付けるって話が出たからだろうが。悪いな大瑠。
大瑠総務技師: い、いえ……。
須舘設計士: だって作業台は高めな位置に欲しいでしょ!
佐波SE: 微妙。
檻収容スペシャリスト: 別に台を用意したらそれで良いのでは? もしくはすこし屈めば良いでしょう。
飯田技師: ンー、それはそう。
振栖整備士: まあいらないよね。
NUTS KNOCKER.aic: 帰っても?
須舘設計士: えええ~~~~~?
千万技師: 二本足なぶん作業位置が高くなる。俺の歳になるとわりと助かる。作業台として使うかはともかく……悪くはねえと思うぞ。
須舘設計士: でっしょ~!
千万技師: 須舘にしては。
須舘設計士: 殺すぞ金床野郎。
千万技師: あ? [立ち上がる]
須舘設計士: あ?
NUTS KNOCKER.aic: 帰っても?
飯田技師: ン~、飽きないね。
振栖整備士: 籠状に展開する工具入れにしようって提案したのは俺ですね。
檻収容スペシャリスト: そうですね。設計図を用意したのは私と佐波さんです。強度面の問題で時間がかかりました。
振栖整備士: いやいや、具体的なつくりまでは考えてなかったんで助かりましたよ。
飯田技師: ンン……僕のボックス状案も捨てがたかったけどね……。
佐波SE: 検討の価値あり。
大瑠総務技師: あ……私の発条状案も……。
千万技師: 長球状で決着したろうが。
須舘設計士: 右に同じく! 蜘蛛みたいで可愛いでしょ!
佐波SE: 蜘蛛キモい。
須舘設計士: あ~~~???
檻収容スペシャリスト: 落ち着きなさい。そもそもプレート状のパーツを組み重ねている都合上非展開時のスペースが
千万技師: そこはマイクロブレースの応用でどうとでもなるって話じゃなかったか?
須舘設計士: いいから可愛く! 助手役は可愛くあってこそでしょ!
佐波SE: 無意味。機能美最優先。
飯田技師: ンン~、立ち上がった時に後2脚を前2脚に格納して
檻収容スペシャリスト: 悪くありませんね。しかしコスト面の問題が
須舘設計士: フォルム面の美しさは譲れませんよ! なんなら衣類で整えて
振栖整備士: あ、そういえば別部門からの調整以来で、キャビネットの最長
千万技師: 待て待て。その話は俺の方で大塚の自己調整機能の
佐波SE: 不毛。
NUTS KNOCKER.aic: [退席]
大瑠総務技師: あ、あわ、あわわ……。
上手局員: [長い沈黙] 大塚さんを呼びます。
<記録終了>
付記: インタビューは錯綜し、召喚された大塚整備士の仲介によって一旦は沈静化したものの再度より深刻に錯綜し、居間秘書官による仲裁が入るまで大塚整備士の設計・調整・運用について議論が行われました。
信仰補佐官(#7f00ff)
放送部職員・アホ(⑨)(#0000ff)
建築士(#00ff7f)
⑥一次産業部門農業科職員(#7fff00)
高菜 チャン。エージェント。クソデカツインテクソデカ二丁対物ライフル凸砂ヘビースモーカーイカ腹粗暴のじゃロリゴリラ(性処理機能付き)(#ff00ff)
エージェントロリ(#ff00ff)
RAISA局員(#ff007f)
白神 高嶺。エージェント。男装イケメン。(#00ff00)
エージェント白神(#00ff00)
警備担当者モチモチ(#ff0000)
会計士(#ffff00)
マミー。管制官。プロペラ。(#00ffff)
①管制官空(#ff007f)

SEA3s-sec81██-018
識別番号: SEA3s-sec81██-018
通称: 逆縷 凛々 (sakaru riri)
セキュリティクリアランスレベル: 2
職員クラス: E
役職:
- 機動部隊員
所属: セクター-81██
所在: セーフハウス-81██-1003 "ドレッサーNoshiro"10(40.20████,140.02████)
業務内容: 施設担当地区内に存在する各学校施設への潜入調査・フィールドワーク補佐・セーフハウス保守
機体性能:
-
- _
調整原案: 機動部隊い-34("漫ろ歩き") 一同
全体形式: 高近似人型設計(術式導入型有機式アンドロイド)
全高: 172.11cm
重量: 65.54kg
人工知能: 有機式AI
骨格: 標準規格(強度向上・術式伝達補助用術式書込み済)
↳ 筋組織: 標準規格(強度向上・性能向上用術式書込み済)動力: 有機駆動(駆動補助に外部動力を転用可能)
概要: SEA3s-sec81██-018(以下、通称を採用し逆縷隊員と表記)は、セクター-81██にて機動部隊員として活動する機体です。主に機動部隊い-34("漫ろ歩き")に参加し、担当区域内に居住する民間人に紛れる形での哨戒・斥候・潜入等および緊急時の戦闘を担当します。
職務上民間人と接する機会が非常に多くより高い秘匿性が求められるため、術式導入型有機式アンドロイド11へシステム換装を行っています。これによって人間のエージェントと遜色ない業務を遂行可能なほか、セクター-81██で運用されているSEA3's製アンドロイドの中では最も高い奇跡論への適性を持ちます。
思念流動性有色皮下色素
搭載機能略記:
- 皮膚: 思念流動性有色皮下色素・攻撃感知式触覚遮断術式(構造)
- 毛髪: なし
- 頭蓋部: 人格擁立補助術式(刻印)
- 後頭部: なし
- 眼球:
- ↳ 網膜: 千里眼術式(刻印)
- ↳ 水晶体: 攻撃感知式視覚遮断術式(エイドグリフ)
- 鼻: 攻撃感知式嗅覚遮断術式(構造)
- 口: 攻撃感知式味覚遮断術式(構造)
- 頸部: 攻撃感知式嚥下拒絶術式(刻印)・攻撃感知式呼気代替術式(刻印)
- 肩部: なし
- 上腕部: なし
- 前腕部: なし
- 手指: 思念流動性指紋偽装術式
- ↳ 爪: バイオロイド用ハードネイル
- 胸部: なし
- 胴体: なし(卵管・卵巣を持たない)
- 背面: なし
- 臀部: なし
- 陰部: なし
- 両脚: なし
- 脚部末端: なし
- ↳ 爪: バイオロイド用ハードネイル
付記: 思念流動性有色皮下色素の色素には黄色(#ffff00)を採用しており、非使用時には非体表面の粘膜(結膜・直腸・膣等)に移動させている。
特記事項: 現在、逆縷隊員は信知覚旋回式物理現実歪曲理論を応用した現実性歪曲兵器の試験中であり、記憶内に同理論を保持しています。既存兵器・奇跡論術式への応用が許可されています。大規模な破壊を伴うため、緊急時において非戦闘員は可能な限り速やかに逆縷隊員から距離をとってください。
人格プロファイル・来歴: 逆縷隊員は機動部隊い-34("漫ろ歩き")構成員の主導で製作されたSEA3s機体であり、悪戯好きな性格として知られています。これは円滑なコミュニケーションを重視した人工知能調整の過程で得た特徴と見られており、言語・運動を問わずあらゆるコミュニケーションを介して相手をからかうような仕草を見せます。
しかし任務の特性上単独行動・独居生活で過ごす期間が非常に長く、単身で過ごすエージェント・逆縷を観察した職員からは「非常に物静かで落ち着いて見えた」との感想が得られています。
趣味・特技: インタビューでは「趣味は遊ぶこと全般であり特定の趣味は無い」旨の回答が得られていますが、セーフハウス内にて多数の花卉・観葉植物を栽培しています。これについては内装・景観の維持を目的としたものと返答していますが、セーフハウスを利用した他の職員の所感では趣味であろうとする意見が多数を占めています。
特技としては上述した草花の栽培に加え、奇跡論術式の開発が挙げられます。逆縷隊員は有機式AIを採用した近似型アンドロイドの中でも、人格擁立補助術式を活用して柔軟にバックラッシュを回避した術式を構築することに秀でており、秘匿の必要がない範囲で日常的に奇跡論を使用・新規術式の立案を行っています。
苦手分野: 戦闘行為に奇跡論術式を多用しすぎる傾向があり、装備した銃火器への切り替えや咄嗟の徒手格闘をやや苦手としています。多彩な術式を操ることもあり致命的な欠点となった事例はありませんが、緊急時においても可能であれば他職員の随伴・補助が推奨されています。
会話ログ:
-
- _
会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
状況: 能代ショッピングセンター3F ゲームセンター付近にて記録
<記録開始>
[逆縷隊員はゲームセンター内をパトロールしている。エスカレーターを利用したエージェント・猪力が通りかかり、これに気付いた逆縷隊員が声をかける]
逆縷隊員: あ、いっちゃんじゃん。おはよ~!
エージェント・猪力: おはようございます。見回りですか?
逆縷隊員: え? あ……う~ん……うん! そんなかんじ! [笑顔で親指を立てる]
エージェント・猪力: [嘆息] ですよね。見回りなわけありませんよね。私はこれから仕事がありますので、逆縷さんも早く仕事に戻ってください。
逆縷隊員: だいじょぶだいじょぶ! 見回り "も" してるから! おけおけ!
エージェント・猪力: そもそも女子高生の服装で日中に商業施
逆縷隊員: [遮って] それよりそれより! いっちゃんがゲーセン来るなんて珍しーじゃん! やっぱパトロール? それともデートとか?
エージェント・猪力: 私の話を聞いていましたか? [嘆息] 上の階12に行く予定です。この時間帯はエレベーターの利用者が多いので、これから階段で向かいます。
逆縷隊員: [これ以降200kHz前後の小さな声で] なんかあった?
エージェント・猪力: [同上] ええ。SCP-████-JPが複数頭この上を通過中なので、その観測と撃墜に向かいます。観測手と記録要員として田郷さんと大塚さんの子機が1機すでに待機しているはずです。
逆縷隊員: うわ~、大変そーじゃん。てか呼んでくれれば行ったのに。子機ちゃんズもけっこーお久だし。
エージェント・猪力: 飛来のタイミングが重なっただけで、私や田郷さんがいるからといって大規模な戦闘になるというわけではありませんよ。問題ありません。
逆縷隊員: へー……あ、そーいえばタゴっちがそんなこと言ってたっけ。
エージェント・猪力: ……一応聞いておいても良いでしょうか。どのような話でしたか?
逆縷隊員: え? [エージェント・田郷の物真似をしながら]「最近は戦闘職じゃない方の暇な仕事が多くて助かるわ。何でも屋やってるのは平和な証だからな! ……まぁ面倒臭い仕事が増えるからアレだけども」みたいな?
エージェント・猪力: [大きな嘆息] そうですか。
逆縷隊員: あー……怒られちゃうかなコレ。ゴメンねタゴっち~! 生きて!
エージェント・猪力: ではその件も兼ねて仕事に向かいますので、私はこれで。逆縷さんも来ますか?
逆縷隊員: [通常の声で] 行く行く! 暇だし!
エージェント・猪力: [嘆息]
[2名はその場を後にし、屋上へ向かう。なおこの時点で収容作戦は完了しており、エージェント・田郷は状況を察知し子機を残して帰投したあとであった]
<記録終了>
-
- _
会話ログ-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
状況: セーフハウス-81██-1003 "ドレッサーNoshiro" にて記録
<記録開始>
["ドレッサーNoshiro"の玄関にREMI事務員が到着する。逆縷隊員はこの30分ほど前に到着し、待機時間を利用して室内の清掃を行っていた]
REMI事務員: こんにちは~。
逆縷隊員: お? ちわっすレミちゃん。どしたん? なんか予定あったっけ?
REMI事務員: ううん、無いよ。⑧移送路が故障で臨時点検らしくって、暇しちゃったから寄ってみた。今大丈夫?
逆縷隊員: マジか。なんも準備してないわ……。お菓子とか無いけどいい?
REMI事務員: オッケオッケ。なんかゴメンね急に。
逆縷隊員: いいっていいて。アタシもこれ [手に持った掃除機を持ち上げ] 片したら時間つぶすだけだからさ。上がって上がって。
REMI事務員: うん。お邪魔します。
[REMI事務員は "ドレッサーNoshiro" に進入し、リビングの窓際に配置された安楽椅子に腰かけてスマートフォンとモバイルバッテリーを用意する。その間に逆縷隊員は掃除用具を物置に収納し、キッチンに戻って空調の調節やグラス類の準備を行う]
逆縷隊員: お茶とか飲む~?
REMI事務員: あ、私はこれあるからいいや。[バッテリーの端子を咥え、スマートフォンで雑誌を読み始める] お構いなく~。
逆縷隊員: あいよ~。
[逆縷隊員はティーポットに1人分のハーブティーを淹れ、霧吹きに水を入れ、部屋中を巡り観葉植物に葉水を与え始める。観葉植物の手入れを終えるとキッチンに置かれたスツールに座り、ハーブティーを飲みながらSCiPNETでSNSをチェックする。ハーブティーを飲み終えるとSNSのチェックを継続しながら茶器とカップを洗い始める。途中からここまでの様子をREMI事務員が観察している]
REMI事務員: なんか……すごい丁寧な暮らし。
逆縷隊員: え? 何が? アタシ?
REMI事務員: 詳しくないからわかんないけどね。なんていうか……逆縷ちゃんってそんなキャラだったっけ? 私初めて見たんだけど。
逆縷隊員: 微妙にディスってない? まーアタシは女子力の鬼だからね。
REMI事務員: 女子力っていうかすっごく落ち着いて見える。普段もっと元気じゃん? おしとやか乙女みたいになっちゃってるじゃん。表情とかすごいよ。
逆縷隊員: ま~~~……なんでだろうね? アタシここが家みたいなもんだけど、実際は他の人も寝泊りするし、けっこー綺麗に使わないといけないじゃん? だからかな?
REMI事務員: へー、入り浸っちゃおうかな……。そのかんじだとケーキとか焼けそう。今度いろいろ買ってくるからスイーツ女子会とかする? みんな連れてきてさ。
逆縷隊員: お、いいねいいね~。オーブン無いけど術式組めばイケるっしょ。
REMI事務員: 奇跡論で焼くケーキかぁ……いいね、面白そう。
[以降の2機は⑧移送路の点検完了が通知されるまで女子会の計画に終始した]
<記録終了>
インタビュー記録:
-
- _
インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: エージェント・玉梨
<記録開始>
上手局員: ではインタビューを始めます。
エージェント・玉梨: よろしくー。
上手局員: 今回は逆縷隊員が使用する奇跡論術式について詳しく伺いたいと思います。
エージェント・玉梨: わかったけど、なんでアタシ? 聞いた時結構びっくりしちゃった。
上手局員: 逆縷隊員の術式に直接触れた経験があるとのことでしたので。そのうえで実戦経験が豊富な方といえば貴女が適任であろうとの判断です。
エージェント・玉梨: なるほどね。でも、アタシから言えることっていっても特にないんだけどな……。
上手局員: 何故ですか?
エージェント・玉梨: うーん。アタシほら、他の術者の術式とかめっちゃ参考にするでしょ? でもあの子のは特殊すぎてあんま参考になんなかったから、ちゃんと見てないっていうかなんていうか……。
上手局員: 皮下色素のことでしょうか?
エージェント・玉梨: いやいや、あのくらいなら全然。なんならアタシも似たようなことならやってるし。ホラ。
[エージェント・玉梨は腕まくりをし、複雑な刺青の紋様が脈動する様子を見せる]
エージェント・玉梨: あれ自体は誰でもその気になればできるよ。根性見せればね。むしろ問題は思考とかそういう方面の話。メカだな~っていうか……。
上手局員: というと?
エージェント・玉梨: なんて言ったら良いのかな……。奇跡論がどういう理屈で動くかって知ってたっけ? 説明した方が良いかな、長くなるかもしれないけど。
上手局員: 基礎的な部分は修めているはずですが……前線で使用できるほどの知識はないので、できればお願いします。
エージェント・玉梨: おっけ。そうだな……これは大概習熟してから知ることなんだけど、前提的な話だから先に話しちゃうね。パラレルワールドによって奇跡論の構造・発動条件・構築様式・源泉になるエネルギー……いろんな部分がかなり根本から違うって話は聞いたことある?
上手局員: 噂程度のものですが、SCP-███-JPの話ですか?
エージェント・玉梨: そう。それこそ███-JPの報告書も世界線によってはアタシら一般の職員には読めなかったりするし、それと似たようなかんじで特に横方向の世界線差異によってかなり大きくブレるみたい。まあアタシたちは自分の世界線の奇跡論しか使わないし良いんだけど、これがちょっと絡む重要な部分なの。
上手局員: はい。
エージェント・玉梨: うん。で、アタシたちが使う奇跡論っていうのは、ザックリ言えば現実改変を人為的に起こす方法。内部ヒューム値を後天的に高めて、より明確なイメージに沿わせることでバックラッシュが出ないように行使する。今回の話で大事なのは "明確なイメージ" の部分。
上手局員: はい。
エージェント・玉梨: 生え抜きの現実改変実体がバグみたいな挙動で現実をちぐはぐにしながら暴れることって多いでしょ、あれは自我が曖昧だったり目的があやふやだったりしてバックラッシュが滅茶苦茶に起きてるのね、かなり雑に言うと。これを避けるために、明確なイメージでもって通常現実との齟齬を潰しつつ、改変戻しもすんなり進むように全体を整える必要があるわけ。
上手局員: はい。
エージェント・玉梨: OK? で、このイメージを下支えするのが、例えば宗教とか伝説なんかの広く普及したイメージ。常識的なら常識的なほど強固に、伝説的なら伝説的なほど強靭になるイメージ。現実改変実体ほど全能じゃないけど世界規模でアレコレ探せばほぼ万能だし、宗教論争に発展するような危ない要素を拾わなければ術式も崩れずらいし、ああいうイメージを参考にするのが色々都合が良いの。
上手局員: わかります。逆に言えば、弱点もここになりますね。
エージェント・玉梨: そう。奇跡論の行使がイメージと切っても切れない関係にある以上、弱点もそのイメージに依存するし、イメージが崩れればバックラッシュだけが残って良くて軽症最悪即死。前者は術式の併用とか組み方である程度カバーできるけど、後者は意外性ひとつ見つけられればほぼ致命的だし、実力が拮抗した対人戦では一発逆転の目として狙われることも多いね。
上手局員: はい。
エージェント・玉梨: んで、あの子は、使ってる術式はパッと見普通な割に現実性の供給源が太くてパワーがあるから、それでゴリ押せるかんじの術者でしょ? 特に特定の神話や伝説をベースにするでもなく、その場その場でコロコロ手札を変えるかんじ。
上手局員: 対奇跡論術者との交戦記録では……そうですね。術式の多様性や特殊性というよりは、基礎的な術式効果をしっかり押さえて補助を入れつつ、内部ヒューム値に任せた広範囲大火力で押し切る……というイメージです。
エージェント・玉梨: ね。ただ、そこに至るプロセスが独特なの。
上手局員: というと?
エージェント・玉梨: さっきも言ったみたいに奇跡論にはイメージが大事なんだけど、あの子の場合イメージの源泉がAIなのよ。普通の術者は何かの伝承とかを下敷きにした普段使いの術式とか、地の利を生かした術式とかになるんだけど……うーん……この場合後者寄りではあるんだけど……こう……。
上手局員: どうしました?
エージェント・玉梨: なんか……前に聞いた話だと、「使ってる携帯カイロが捨てる時何℃だったから女教皇関連の術式」とか「相手が葛籠の中から水色の指を取り出したから焼灼系の術式が有効」みたいな判断基準で来るのよね。ちゃんと覚えてないけど。これって "地の利" とかとはまた違うでしょ? 一見ランダムな情報から目的の成果を錬成してるかんじ?
上手局員: 結果的に使用する術式それ単体は一般的であっても、判断材料や行動からイメージを崩しずらい……というかんじでしょうか?
エージェント・玉梨: うーん……たぶんそう。たぶん。しかも、その過程ではじめに行った別宇宙の術式も混入してるような気がするんだよね。内部ヒューム値と出力される現象に辻褄が合わないところが時々あるみたいな。
上手局員: それは……この世界線でも成立するものなんですか?
エージェント・玉梨: さあ……バックラッシュで二次被害~ってことは聞く限り無いみたいだから、アタシが知らないだけでどこの世界線でも成立自体はするのかもしれない。AI生成イラストの奇跡論術式版? みたいなもんだと思うし、どこからか拾ったのか偶然そういう形になったのかもわかんないかな。アタシには。
上手局員: なるほど……。
エージェント・玉梨: そんなかんじで、アタシは特に吸えるものが無いからあんまり詳しく見てない。トリッキーな……アフリカとかから来た未開の部族の一子相伝秘術とか見せられてる気分。文化圏が完全に違うっていうか……? ……人としては好きだけどね、明るいし可愛いし。
[数秒沈黙]
エージェント・玉梨: なんかごめんねー? なんかただ……奇跡論とかこっちの話よりAI生成とかそっちの分野だと思う。なんだっけ……なんか変わった理論? 術式? の実験に行ってるみたいだし、信頼はされてるんでしょ。アタシのはあくまで所感だから。
上手局員: 信知覚旋回式物理現実歪曲理論ですね。
エージェント・玉梨: それそれ。あれも怖いよね。パッと見はバックラッシュで空間ごとグニュッて潰れた~みたいに見えるけど、潰れ切らないし復帰可能って……あれ巻き込まれて本当に精神異常無いの?
上手局員: 詳しくは聞かされていませんが、そのようです。
エージェント・玉梨: うわー、逆に怖。
上手局員: ひとまず、大まかには理解しました。他には何かありませんか?
エージェント・玉梨: え、まあ……たぶん無いかな。アタシとは全然違うタイプの術者だね。ただまあ、術者として見たら捕らえ所が無くて困るっていうか不気味なかんじだけど、良い子だよ。
上手局員: わかりました。ご協力ありがとうございました。
エージェント・玉梨: はーい。また何かあったら呼んでね。
<記録終了>
-
- _
インタビュー記録-PF-sec81██-██████
日付: 20██/██/██ ██:██
インタビュアー: 上手 鞠亜 情報保安管理局員
対象: 機動部隊い-34("漫ろ歩き")隊長 逍遙 策人
<記録開始>
上手局員: では、インタビューを始めます。
逍遙隊長: よろしくお願いします。
上手局員: 今回は逆縷隊員を制作した際の様子について伺いたいと思います。まず……これは他の職員からも上がっている質問なのですが、なぜギャルの外見をしているのでしょうか? 逍遙隊長を含め、い-34の方々は真面目な仕事ぶりで知られていますので、その……正直なところ以外なのですが……。
逍遙隊長: [苦笑] よく言われます。そうですね……上手さんは潜入資産の容姿変遷問題をご存じですか?
上手局員: あまり詳しくは知りませんが……ここ数十年で、工作員や近い用途のアンドロイドやバイオロイドの外見が変化している……という話でしたか?
逍遙隊長: そうですね。元々潜入を生業とする人間は女性や子供か、あるいはそれに似せて華奢で小柄な印象を持たせることが重要とされてきました。体格や腕力といった本能的にわかりやすい脅威を排除したデザインに見せることで、警戒心を薄めることができるからです。しかし、これは近年になって徐々にセオリーではなくなっています。
上手局員: 何故ですか?
逍遙隊長: 工作員やスパイと呼ばれるものに対する印象の変化……でしょうか。変化の原因は主にふたつです。第一に、我々にとって "女性だから" "子供だから" というのは決して警戒を解くに足る理由ではなく、要素のひとつにすらなりません。魔女や子供型アノマリーはたびたび接触する収容対象、味方、あるいは敵だからです。
上手局員: 確かにそうですね。ですが、それは昔からなのでは? それこそセオリーとされるほど古くからある要素でしょう。
逍遙隊長: そうです。古くから "弱く見せる" というのは潜入資産設計の基礎であり、これは潜入する側はもちろん、潜入される側にとってももはや普通のことになった……ということですね。そして第二の理由は、大衆文化として "強いスパイ" の印象が定着し、それが実際に運用され始めたことです。
上手局員: 強いスパイとは?
逍遙隊長: 元はアクション映画の主人公たちです。頭脳明晰、大胆不敵……娯楽として生み出された彼らは大衆の中で "諜報する者" の印象を大きく塗り替え、実際に超常的な力で非現実的な作戦を実行できる人間にインスピレーションを与えたんです。つまり、派手で強そうなことは目を惹く要因にはなるものの、作戦の失敗に直結するものではない。ということですね。
上手局員: ……あくまでフィクション上の話なのでは?
逍遙隊長: 重要なのは計画の組み立てです。実際に私も現場で多くの工作員を目にしてきましたから。作戦の運用上 "目を惹く要素" が必要になる場面は多くありますし、手ごまや選択肢として保有することは今やそう珍しいことではありません。そして、これによってかつてのセオリーが機能不全に陥っていることこそが最大の問題です。
上手局員: ……潜入資産が外見で推測できないということですね。
逍遙隊長: いえ、かつてほどの効力は失っていますが元々のセオリーは未だ有効です。不可視化や反ミームには専用の対策法がありますし、こういった目視に対する印象操作は結局のところ印象の勝負ですから、生物学的直観に訴えかける若年女性型を採用する意義は十分にありますよ。
上手局員: ……話を遮ってしまい申し訳ありませんが、結局のところどうしてギャルなのでしょう?
逍遙隊長: 失礼、少し長くなりましたね。ギャル……というより少し派手な外見にしたのは、その方が適度に目を引くからです。
上手局員: 適度?
逍遙隊長: スパイは目立たないもの、あるいは目立つもの……つまりは "メリハリを持たせていること" が現在の潜入資産設計におけるトレンドと言えるでしょう。若年女性の割に過度に派手で、目立つ割には小柄で細身。深読みされる状況や相手出なければセオリーを踏まえて無視してくれますし、バレるようならどんな外見でもバレますから。
上手局員: ふむ……近年の情勢に合わせた外見をしている、ということですね。
逍遙隊長: ご理解いただけましたか。外見はあくまで一般人や比較的超常社会に詳しくない人間を欺ける程度の補助的な役割に過ぎませんが、しかし設計段階である程度的を絞った偽装工作を施すことで狙った効果を発揮できるのです。
上手局員: ですがその……逍遙隊長個人に詳しく事情を聞いたのは、他の隊員の方から「逆縷隊員の外見設計に関しては逍遙隊長に丸め込まれた気がする」という証言が寄せられたからでして……例えば、逆縷隊員の爪は地面や木材に奇跡論術式を刻むために堅いものが採用されていますが、ネイルにビジューを採用するのは邪魔になるのでは?
逍遙隊長: ギャルは爪を盛るものでしょう。
上手局員: え?
逍遙隊長: ? なにか?
上手局員: ……。
逍遙隊長: ……。
上手局員: ……はい。
逍遙隊長: ええ。
<記録終了>
納棺師(#007fff)
⑥調理師(#7f00ff)
新名 健太。清掃員。(#0000ff)
清掃員(#0000ff)
園芸士・偽装工作員・男性(#00ff00)
⑤潜入エージェント男装忍者(#7f00ff)
⑥二次産業部門食品科職員(#7f00ff)
③美容師(#ff00ff)
①管制官地(#ff00ff)
撮影士(#ff7f00)
②博士(#ff007f)
トレーナー(#ff7f00)
⑤潜入エージェントインビジブル(#00ff7f)
②研究員(#7fff00)
④好戦エージェント光線照射衛星娘(#0000ff)
⑤潜入エージェントミスディレクション(ギャルと差別化の必要あり)(#ff7f00)
航海士(#0000ff)
①管制官海(#007fff)
デザイナー(ミーム系)(デッサン人形制作者?)(#ff0000)
⑥一次産業部門漁業科職員(#00ffff)
②収容スペシャリスト(#007fff)
医師(#00ffff)
運輸担当者(#ff7f00)
飼育員(#00ff7f)
④好戦エージェント毒ガス噴射ブレード(#00ff00)
司書。紙魚(#00ff00)
尋問官(#ff00ff)
編纂者(#7fff00)
⑥一次産業部門酪農科職員(#ff0000)
エージェント・ぬりかべ(超強固・田郷たちのバット)(#ffff00)
④好戦エージェント武装JK(#ff0000)
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:4601815 (02 Aug 2019 03:33)
サイト-81██で製造されているアンドロイドの素体を全国の機械製造・加工設備を持つ財団施設に分配し、各施設の運用方針に沿った加工を施し運用するシステム。
ただし、SEA3's製アンドロイドを同形式に換装して運用する場合、通常のアンドロイドと比較して生産・再生産時により多くのコストと製造時間が必要となる点に留意。
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