SCP-XXX-JP-猫 - 我々は猫である
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吾輩は猫である。短く整ったシルバーの毛並みにコーラルブルーの瞳、"ふくよか" なおなかを持つ眉目秀麗な猫である。

腰から湿布の臭いがする冴えない飼い主の田淵は、今日も吾輩を膝に乗せてパソコンに向かっている。

さて、吾輩は腹が減っているので、耳元でフラフラしている田淵の袖を叩いて催促するのだが、こいつはなかなか勘が悪いらしく吾輩の頭をワシワシと撫でてパソコンに目を戻す。

どうしてこうも気が利かないのだろうかこいつは。声を荒げながらカリカリの袋をガリガリと引っ搔かなければ気づかないのだろうか。こいつが寝ているときに頭の周りを大声で騒ぎながらウロついてやろうか。

そもそもなぜ、何かといえば頭を撫でるのか。こいつの手には毎日毎日飽きずに飲んでいるコーヒーの臭いが染みついているから、そのたびに毛づくろいが必要になるのだ。吾輩は前脚でグシグシ毛繕いをしながら考えるが、「こいつの意味の分からなさには本当に呆れかえるほかない」といういつもの結論に落ち着くことになる。

ふん、膝の飼い猫に大変な迷惑をかけながら仕事を進める田淵研究員殿のお仕事の進捗はどうだろうか。

首を伸ばして画面を見やる。

パッと見たところ、いつも通りに報告書の執筆と見える。今は「補遺XXX-JP-4」に取り掛かったところか。左右の2台のディスプレイには所狭しと資料が並べられていて、それをさらに手元の紙束と見比べながら何事か表にまとめている。見るからにつまらん。

目をシパシパさせながらよく見るが、矢鱈目鱈に画数の多い漢字やアルファベットが並んでいるという以上のことはわかりそうにない。当たり前か。仮にも専門家だものな。伊達に白髪ばかり増やしてはいないということか。立ち聞き寝聞きした程度の猫に理解できるようなものなら、生物学的高機能知性学者とやらも、お忙しい財団とやらも、吾輩のような猫の手を借りているに違いない。

ふむ? しかし、吾輩はインテリジェンス(Intelligence)な猫であるので、SCP報告書とやらの仕組みもよく分かっているとも。

現に小見出しは読めるぞ。ほれ、「補遺XXX-JP-2: 個体群間のコミュニケーション観測試行」に「補遺XXX-JP-3: SK-クラスシナリオの危惧」、「補遺XXX-JP-4: 偶発的なK-クラスシナリオの回避とThaumielクラスへの再指定について」だ。簡単簡単。██女史のところの三毛子君に読み聞かせることだってできるだろう。吾輩の凛々しい両ヒゲが持ち上がるのがわかる。

ふふん、ひとつ執筆もしてみようか。

なに、猫の手で満足にタイピングはできないが、ここでひと通り唱えてみせても良いだろう? 財団諸氏の邪魔はしないさ。吾輩の手がヒトと同じ形をしておらず、吾輩が悪戯に報告書に手を加えることができないことを、きっとこの臭い飼い主は感謝すらするだろうさ。

ふむ……どれ、

アイテム番号: SCP-XXX-JP-猫」

でどうだ。

我々は猫であるので、猫と付けてみた。

オブジェクトクラス: None」

オブジェクトクラス、"ナーン" だ。よい洒落だろう。ヒトは我々の鳴き声をこう表現するのだろう?

知ってはいるが、あれは実に滑稽だな。発音がまるでなってない。時には勢い余って卑猥を極めた表現になってご婦人方を大層不機嫌にしている。こちらは笑えて結構だが、不満の矛先がこちらへ向くこともあるので一長一短といったところだな。

特別収容プロトコル:

撫でるな撫でるな。ええい。

説明:

補遺:

カリカリダーッ!

餌ウマウマ。

我々は、猫であるのでな。



▲記事ここまで▲


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