SCP-XXXX-JP - 復活!新宿発→ムベべ星行深夜バス(信者割引アリ※最大70%!)

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アイテム番号: SCP-2163-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2163-JPは出現範囲内を巡回する機動部隊け-14("収集家")によって発見次第回収されます。SCP-2163-JPに対して一定の興味を示す対象が存在した場合、軽度健忘誘発剤の噴霧が許可されます。回収されたSCP-2163-JPは一般可燃廃棄物として焼却処理してください。

SCP-2163-JP-Aの出現場所が人目につきやすい場所であり収容作戦を展開しにくいこととSCP-2163-JP-Bの能力を考慮し、SCP-2163-JP-Aに搭乗しようとする一般人を制止する試みは行われません。一般人の搭乗はSCP-2163-JPの徹底的な回収によって未然に防いでください。もともとの利用者が極めて少ないため、SCP-2163-JPを回収することで充分な未然防止ができると判断されています。搭乗者がいた場合、搭乗者の情報は収集、記録してください。

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回収されたSCP-2163-JP

説明: SCP-2163-JPは「新宿発→ムベべ星行 深夜バスの運行を再開します」と書かれたA4版の印刷物です。SCP-2163-JPにはバスタ新宿(新宿南口交通ターミナル)から"ムベベ星 ゥズッンゥイ郊外"と呼称される不明な場所へと向かう深夜バスの運行が再開される旨と料金、時刻表、注意書きが記載されています。SCP-2163-JPの詳細は画像を参照してください。これに加えてSCP-2163-JPの下部にはGoI-101"エルマ外教"のシンボルマークと共に「ユニバース58 地球エルマ 日本-関東支部 広報部」と記されています。

SCP-2163-JPは東京都に位置する新宿駅を中心とした半径6kmの範囲に不定期に出現します。SCP-2163-JPは主に電柱や建築物の壁面等に一般的なセロハンテープで貼り付けられた状態で瞬間的に出現します。このセロハンテープに使用されている接着剤の成分を解析した結果、[編集済み]株式会社が製造、販売するセロハンテープと同一のテープであると判明しました。これは一般に大量に流通しているものであり、購入者の特定には至りませんでした。なお、セロハンテープの接着面に複数人の指紋の付着が認められたものの、財団の保有する指紋情報と合致するものは存在しませんでした。

エルマバス

SCP-2163-JPに掲載されているSCP-2163-JP-Aの写真

SCP-2163-JPに記載されている時刻表の時刻(月~金曜日 23:00)になると、バスタ新宿(新宿南口交通ターミナル)にSCP-2163-JP-Aに指定される車両が出現します。SCP-2163-JP-Aは構造的には日野自動車株式会社の販売する大型観光バス「セレガ(U-RU3FTBB)」であると考えられており、車両表面にはアルファベットで「ElMA」の文字とGoI-101"エルマ外教"のシンボルマークが描かれています。SCP-2163-JP-AはSCP-2163-JPにおいて「エルマバス 聖ニールセン1号」と呼称されており、一部のGoI-101構成員にも同様に呼称されていることが確認されています。

SCP-2163-JP-Aの運転席にはSCP-2163-JP-Bに指定される外見上30-40代のモンゴロイド系男性のように観察される存在が座っています。SCP-2163-JP-Bは日本的なバス運転手の制服に似た衣服を身につけており、バス運転手として振る舞います。SCP-2163-JP-Bは基本的に日本語を発話しますが、英語、中国語、韓国語も使用可能であることが認められています。

SCP-2163-JP-Aの出現から1分後、SCP-2163-JP-BはSCP-2163-JP-Aを発進させます。この際、SCP-2163-JP-A内では女性の音声で「このバスは、バスタ新宿発ムベべ星行でございます。次はムベべ星。ムベべ星です。」と放送されます。SCP-2163-JP-Aは発車後、ロータリー内を20m程度走行した後に消失します。SCP-2163-JPに記載された情報、SCP-2163-JP-Aの車内放送などからSCP-2163-JP-Aは"ムベべ星"と呼称される不明な空間へと転移したものと推測されています。

SCP-2163-JP-Aへと搭乗しようとしている人物を何らかの形で妨害した場合、SCP-2163-JP-Bは対象に「お乗りになりますか?」と質問します。この質問に対し返答をする、頷く等の行動で同意した場合、対象は瞬間的にSCP-2163-JP-Aの内部へと転移します。この事象の発生時、SCP-2163-JP-Bの周囲で軽微なヒューム値の上昇が観測されており、SCP-2163-JP-Bが局所的な現実改変を引き起こすことで転移させていると見られています。その為、強制的に搭乗を阻止する試みはほとんどの場合で失敗しています。

補遺1: 調査記録-2163-JP
2020/8/13。Dクラス職員をSCP-2163-JP-Aに搭乗させ、SCP-2163-JP-Aの内部の様子と消失後の動向を観測することを目的とした調査が行われました。調査にはD-2049が動員され、調査には撮影機材、GPS発信機の装備が用いられました。D-2049は新宿南口交通ターミナルに配置され、SCP-2163-JP-Aの出現と同時に搭乗しました。この際、SCP-2163-JP-AにはD-2049以外に4名が搭乗しました。後の調査により素性不明な1名を除き、全員が一般人であることが判明しました。素性不明な人物は外見上60‐70歳代の日本人男性であり、浮浪者と推測されています。

23時1分にSCP-2163-JP-Aは発車、その後20m走行した後に消失しました。この消失と同時に通信、GPS信号は途絶しました。通信の途絶により、SCP-2163-JP-Aは消失と同時に地球上から完全に消滅していることが確認されましたが、他に有意な情報は得られませんでした。

この調査の翌日、D-2049の遺体が収容されたSCP-2650-JPが発見されました。遺体は下顎以外の頭部、左足が存在せず、全身117箇所に骨折が見られました。欠損部の断面は引き伸ばされており、強い力でD-2049の肉体が捻られたことを示していました。損傷の激しさにより、発見当初は個人の特定が出来ず、DNA解析を行ったことでD-2049と判明しました。また同日に発見された他のSCP-2650-JPを調査した結果、搭乗した他の4名のうち2名の遺体も発見されました。いずれの遺体も激しく損壊しており、残りの2名も死亡している可能性が高いと判断されています。また、"ムベべ星"と呼称される場所が平行世界/異次元/別宇宙に準ずるものであることも判明しました。この調査以降、SCP-2650-JPの特性を利用した調査方法によって"ムベべ星"を調査する方針が取られています。以下は過去に行われた"ムベべ星"に関する調査記録です。

実験記録2650・2163-01- 日付2020/8/13

実施内容: D-3419に撮影機材と生命維持サプリメント5年分を持たせ、SCP-2163-JP-Aと共に消失させました。D-3419が何らかの形で帰還した際に得られる情報資料を目的に実験を行います。

結果: 約7時間後にD-3419の下半身と脊髄の一部が入ったSCP-2650-JPが回収されました。内部から撮影機材などは発見されませんでした。

分析: 遺体の断面と残された脊髄を調査した結果、構成要素不明の未知の化学物質が検出されました。この物質は極めて高い侵害性を有しており、D-3419の上半身は化学的に分解されたものと推測されています。

D-3419の下半身はやや腐敗しており、死亡から数日が経過していることが判明しました。腐敗の状態から死亡したと推定されるのは3日程度前であり、転移先の世界と地球の時間の流れに差異が存在する可能性があります。

実験記録2650・2163-08- 日付2020/8/17

実施内容: D-5473の全身に外科手術によって撮影機材を埋め込み、 SCP-2163-JP-Aと共に消失させました。D-5473が何らかの形で帰還した際に得られる情報資料を目的に実験を行います。

結果: 約17時間後にD-5473と一致するDNAを含有する粘土状物質が回収されました。粘土状物質の内部からは4本の歯、爪の一部、部位不明の骨片、493本の毛髪、プラスチック片763個、撮影機材2個が発見されました。

分析: 粘土状物質はD-5473が何らかの変異を遂げたものであると推測されますが、どのような経過を辿ったのかは不明です。残留した骨片等に腐敗の兆候はほとんど見られず、D-5473は転移から非常に短い間に死亡、変異したと推測されています。

回収された2つの撮影機材は大部分が破損していたものの、データの一部を復元することに成功しました。復元された映像には都市のように観察される赤色のビル様建築物群が記録されていました。D-5473はその中を歩いている最中に肉体が粘土状に変質したようでした。この原因は不明ですが映像には赤色の霧のようなものが映っており、何らかの関連があると推測されています。


これらの調査で、対象は非常に短い間に死亡していることが判明しています。SCP-2163-JP-Aの転移先の世界は人間に対して非常に危険な環境/性質を有していると推測されています。

補遺2: 諜報記録/GoI-101-インタビュー記録. 2163-JP.01
SCP-2163-JPとの関連性を明確にするため、GoI-101の関東地方における活動拠点の一つである「日本エルマ 関東支部」での諜報活動を実施しました。以下は一般のGoI-101信者を装ってGoI-101構成員と接触したエージェントによって行われたインタビューの記録です。

インタビュー記録.2163-JP.01

[前半省略]

エージェント・田中: 新宿でムベべっていうやつのポスター見たんですけど、あれってなんなんですか?

久慈氏(日本エルマ 関東支部 布教勧誘担当者): あぁ、ムベべ星行きのバスね。あれねー。私たちの名義で貼ってるけど、直接運営してるの別のユニバースの人達だからねー。詳しいことはわかんないかなぁ。

エージェント・田中: そもそもムベべ星ってなんですか?

久慈氏: ムベべ星はねー。ちょっと前に文明が滅んだ惑星だね。2004年辺りだったかな?

エージェント・田中: 滅んだ?

久慈氏: そうそう。詳しいことはわかんないけどね。僕行ったことないし。というか、行けるわけないんだけど。

エージェント・田中: どういうことですか?その、行けるわけがないって?

久慈氏: えーとね。ムベべ星ってめちゃくちゃ危ないとこなんだよ。多分、行ったら1時間も生きれないんじゃないかな。

エージェント・田中: そんなヤバいとこなんですね。

久慈氏: そうそう。確かエルマの聖人達もかなり殉教してるんだよ。

エージェント・田中: でも、なんでそんなとこにバスなんか出すんですか?行ったら死ぬくらいヤバいとこなんですよね?

久慈氏: そうそう。ヤバいとこだけど、行きたがる人がいるんだよ。

エージェント・田中: そうなんですか。自殺希望者とかなんですかね。

久慈氏: それがね。違うんだよ。いや、まぁ自殺志願者もいるらしいけどさ。

久慈氏: 他にも先人を越えたいとか、試練に抗いたいっていう人達もまぁいるんだけど、何人かムベべ星の熱烈なファンがいてね。そういう人たちのためのバスだね。

エージェント・田中: 熱烈なファンですか。命を捨ててまで行こうとするなんて凄いですね。

久慈氏: 違う違う。その人たちは何度も渡航してるよ。死なないで戻ってくるんだよねその人たち。

エージェント・田中: え?生きて帰ってくるんですか?

久慈氏: そうそう。というか、向こうに何ヶ月か住んでた人もいたはずだよ。物好きな人もいるよねぇ。

エージェント・田中: なんか信じ難いです。

久慈氏: そぉ?案外普通の人なんだけどなぁ。って言っても喋ったりはしたことないけど。

エージェント・田中: どんな人なんですか?

久慈氏: んー。見た目はホームレスっぽいおじいちゃんだよ。まぁ、でもどんな人なのかって言われたら困るかなぁ。2、3回くらい話しかけたことあるけど返事してくれないんだよねあの人。

[後半省略]

補遺3: 諜報記録/GoI-101-内部情報記録.2163-JP.02
GoI-101の内部ネットワークにおいてSCP-2163-JP-Aの転移先宇宙("ムベべ星")についての調査が実施されました。以下はその際に発見された内部情報です。

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U設定: #58|地域設定: 地球|言語設定:日本語

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"尽き果てる大地"ムベベ星

基礎概要

跳躍先名称: ムベベ星
└ 全ての知的生命が絶滅しており文明は存在しません。

所属宇宙: ユニバース9224
└ 資源はほとんど残されておらず、全ての生命に有害です。

現地エルマ規模:
└ 生存の難しさからエルマはほぼ存在しません。探求心豊かな信者が訪れるのみです。

エルマより跳躍に関しての注意点: 有り
└ ムベベ星の環境は極めて高い危険性を孕んでおり、適切な装備なしで跳躍した場合の有機生命の生存可能性は極めて低いです。





現地紹介

ムベベ星はユニバース9224に存在する天然惑星です。ムベベ星の環境はあらゆる生命に有害とも評されており、その荒廃した様子からエルマ信者からは"尽き果てる大地”と呼称されています。強力な能力を持った数多の偉大なエルマの先人たちが殉教していった地でもあります。

ムベベ星には先住種族であるムベベ統一民族が文明社会を構築していましたが、地球における西暦2004年に民族内の資源をめぐる抗争によって滅亡しました。その際に使用された化学兵器、生物兵器、気候兵器、熱エネルギー兵器、時空間兵器、核兵器の影響でムベベ星の環境は回復不能な変異を遂げており、気候や生態系、時空間を含むすべてが有機生命に対して危険な作用を示します。また、抗争によって汚染された大地を捨てて外宇宙へと旅立ったムベベ統一民族の生存者たちによってムベベ星のマントルを含む鉱物資源が採取され尽くしています。その影響で惑星の自転、地殻運動等にも異常な活動が見られており地球における西暦2029年までに惑星自体が自壊する可能性が指摘されています。

ムベベ星の時間流圧は地球よりわずかに高く、地球で1日が経過するまでにムベベ星の通常空間では平均して約3日が経過します。時間流には抗争時に使用された時空間兵器の影響で場所によって若干異なる例もあり、ムベベ星のオーンゥ・ブブヌァウィ大陸の北部都市"ゥク"では地球で1日が経過するまでに0.09秒、オーンゥ・スプィアクッゥァスィ大陸の"ン"渓谷では地球で1日が経過するまでに81年の時間を要します。

ムベベ星への地球人類の跳躍はすなわち死を意味していると言っても過言ではないでしょう。一部の熱烈なムベベ星ファン以外がムベベ星を訪れようとしていた場合、すべてのエルマ信者は慈悲と良心を持って自殺を思いとどまるように諭してあげてください。





ランドマーク

異世界からの跳躍者はまずムベベ星最大規模の都市"ゥズッンゥイ"を訪れることになります。文明崩壊後、現地のムベベ人たちのエルマによって、通常のポータルは最も安全な地であるゥズッンゥイに再建されました。最も安全な地といえど、ゥズッンゥイの町並みは過去の抗争の際に散布された化学兵器に汚染されています。赤い町並みはこの化学兵器に由来しており、汚染の重篤さを象徴しています。街を歩くことは猛毒の大地を踏みしめることと同義であるとともに、適応進化した生物たちに自らを餌として捧げることにもなります。ゥズッンゥイの町に立つ二体の機動兵器はロボットアニメのような熱い戦いがあったことを示しており、現在は両者ともに発電機関の損傷によって停止しています。真っ赤な大地に立つ二つの巨大な影…男のロマンをくすぐるスポットですが、機動兵器周辺の汚染はより深刻であるため接近すれば間違いなく死ぬでしょう。

"ンンンン"地域はオーンゥ・ブブヌァウィ大陸の西側沿海都市です。ンンンン地域に存在する全生命体は複数の時空間兵器の作用によって一切の外部干渉を受け付けることなく固定化されています。度重なる地震や津波などで都市が崩壊し深海に沈んだ今も、固定化された人々は空中に浮く形でその場に存在し続けています。ンンンン地域はその不可解な光景から大変興味をそそられますが、現在も兵器の作用は健在であるため安易に近づけば固定化に巻き込まれることは避けられません。

"ウェ砂漠"はゥズッンゥイの東140kmの場所に広がる広大な砂漠です。ウェ砂漠には大小さまざまな黒色の球体が存在しています。この球体に触れたものは何であろうと即座に消失します。大変興味深いものではありますが、調べようにも触れれば消えてしまうため放置されています。

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"ゥズッンゥイ"の街に停止する二体の機動兵器 固定化されたムベベ人を見ることができる"ンンンン"地域 "ウェ砂漠"






体験談・逸話

ユニバース001 アトラル エルメス ヌンゥンボユバン・ンッア・フンッントンゥ同志

私はムベベ星の小さな田舎町である"トゥンボボ・ボヌンボヌンベ"に住んでいました。皆質素に暮らしていて、基本的には極めて落ち着いた町でした。私はそこで9人の母と21人の父に囲まれて幸せに暮らしていました。これを読むエルマの同志の中には文明の規範によって一夫一婦が主流の人々もいるでしょう。ですが、私たちムベべ統一民族の文明では多夫多妻が基本でした。

ムベベ統一民族内で抗争が勃発した翌日、私は隣町へと家族分の食事を買いに行きました。抗争勃発を知らなかったわけではありません。ただ、抗争が勃発したところで私たちの町には関係ないと、そう思い込んでいたのです。ムベべ統一民族は頻繁に抗争をしていたからです。それはいつもせいぜい都市が1つ無くなるくらいの極めて小さな闘争でした。私がトゥンボボ・ボヌンボヌンベへと続く道を歩いていた時、突然に大地が揺れ町のある方角が緑色に強く発光しました。私はしばらく呆然とした後はっと我に返って街へと駆けました。

町の近くに行くと、そこには黒い煙が立ち込めていました。建物は倒れ、辺りをけが人が埋めつくしていました。私は呼吸器を守るために呼吸孔を塞ぎながら更に歩きました。歩いていると突然崖に出ました。何かが変でした。なぜなら、この町に崖なんてなかったはずだからです。私がその場に立ちつくしていると煙が少しずつ晴れてきました。煙が薄れ、私は崖の正体を悟りました。その崖は、幅10kmはあろうかという巨大なクレーターの縁だったのです。煙が晴れて視界が良好になると足元に落ちていた黒い燃えカスや真っ赤な何かの塊も見えるようになりました。私は恐る恐る、足元に落ちていた赤い塊を拾い上げてみました。よく見るとそれは何かの生き物の顔と手とどこかの骨がくっついたものでした。恐らく、凄まじい熱と圧力によって溶接されたのでしょう。私は思わずそれを投げ捨ててしまいました。私は叫びながら、慌てて隣町に引き返しました。そして隣町の人々の言葉を聞いてあの光と振動の正体を知りました。トゥンボボ・ボヌンボヌンベに落とされたのは、熱エネルギー兵器でした。兵器は街を光と熱と風で吹き飛ばし私の愛した故郷と家族は一瞬のうちに消え去ったのです。




抗争が激化する中、私は難民として各地を放浪していました。ですが、どこに行っても虐殺の魔の手は付きまといました。爆弾、光線、音響、ガス、微生物。ありとあらゆる兵器が殺戮に用いられていました。抗争が始まって4年が経ったころ、とうとう抗争は継続不能になりました。決して和平が結ばれたわけではありません。単に両陣営ともに戦闘を継続するほど兵隊が生き残っていなかったからです。大地を汚し、空を塗り替え、時空間を弄る。そんなことをして生きていけるはずがなかったのです。抗争が終焉し次なる敵が現れました。自然そのもの、ムベベの星の環境そのものです。猛毒と放射線は生物の進化を促進させ、微生物とガスは新たな耐性生物を生みました。

早々に母なるムベベの星を見限った資産家たちは、宇宙へと逃げようとしました。彼らはムベベの星からあらゆる資源を奪いつくして空へと旅立ったのです。残された我々のような貧しいもの達は、襲い来る自然の猛威を前にただ絶滅を待つことしかできませんでした。

そんな絶望に塗れた日々を過ごしていた時、ある男が現れました。

男の名は"ヴォ・ベボムンムン"。ムベベ・エルマの父として知られる彼です。ヴォは私たちに救いはあると仰いました。話を聞くと、なんと彼は遥々時空と大陸を超えて私たちのもとへとやってきたというではありませんか。実際、彼の服はボロボロで全身から血が滴っていました。我々は残り少ない物資で彼を癒そうとしましたが彼はそれを拒みました。そして彼は絶望に面していた私たちにエルマの教えを説きはじめました。もともと私たちの世界に宗教と呼べるものは1つもありませんでした。長い歴史の中で、信仰は科学と実証主義によって淘汰されたのです。なので、私達にとって彼の語るエルマの教えはとても新鮮に、奇異に感じました。

あるものは彼を救世主だと信じ、あるものは彼を道化だと批難しました。私も最初はエルマの教えを彼の、ヴォの妄言ではないかと疑いました。当時の私には教祖という不確実な存在、強大な女神たるエルマ、それら全てが信ずるに値するものかどうかを判断出来なかったのです。ですが私は少しして考えることを辞め、エルマの教えを信じることとしました。この絶望から救い出してくれるなら何でもよいと私は必死に彼に縋りついたのです。今思い返せば、なんという不純な理由でしょうか。信心深いエルマの同志達に顔向け出来ません。

その後、私はヴォに連れられてアトラルへとやってきました。自分が助かりたい一心でやってきた不信心な私を、アトラルは迎え入れてくれたのです。私は最高の治療を受け、治ると直ぐに住居と生活を与えられました。新たな思想に触れ、世界に触れ、人々に触れた。私は改めて自らの愚かさを自覚し、エルマの同志達の温かさとエルマの懐の暖かさを知りました。

今私は、ここで第二の人生を歩みながらムベベ星の救済を試みています。残念ながらつい最近の調査でムベベ統一民族は私たちアトラルに居住する者を除いて絶滅したと結論付けられました。宇宙へと逃げた資産家たちも残らず絶滅したのです。もはや保全は困難でしょう。ですが、こうしてムベベ星での記憶を振り返ることでムベベの文明、ムベベの民俗の記録を残そうとしています。滅びゆくムベベに救いの手を伸ばしてくれたのはムベベ・エルマの父たるヴォであり、エルマです。それに、今もムベべの星を愛好してくれる同志も数多くいます。つい最近もユニバース58の地球へと移り住んだ同胞がムベべを訪れ、その惨憺たる有様に涙を流してくれました。星としてのムベべは亡びました。ですが、ムベべの精神は私や友の中に生きているのです。私は、私たちムベベ・エルマは、偉大なるヴォとすべてのエルマの友に感謝しています。


この情報の信憑性は一概には評価できませんが、事実である場合"ムベべ星"には極めて高度な知的生命が存在していた可能性があります。また、この情報内では"ムベべ星"から地球へと移住したムベべ星支配種と思われる"同志"の存在が示唆されています。

補遺4: PoI-2163-JP
2020/9/2、SCP-2163-JP-Aに2020/8/13の調査の際に搭乗していた素性不明な人物が再び搭乗しているのが観測されました。この人物は死亡していたものと思われていましたが、映像解析によって骨格や歩行パターンを照らし合わせた結果、98.93%の確率で同一人物であるとの結論に至りました。これにより、当該人物は転移先宇宙("ムベべ星")から生還しているものと判断されました。また、GoI-101施設に潜入したエージェント・田中を通じて久慈氏(日本エルマ 関東支部 布教勧誘担当者)に画像を見せて確認したところ、久慈氏の知る「ムベべ星から生還する人物」と同一であることが判明しました。

その後も素性不明なこの対象は不定期にSCP-2163-JP-Aに搭乗しているのが観測されており、何度も転移先宇宙("ムベべ星")から生還しているものと推測されています。外見上、対象の肉体に怪我などは見受けられず、転移先宇宙の危険な環境下から無傷で帰還していると思われます。これは対象の生物学的、物理的、化学的な強度が異常な域に達していることを示唆しています。

この対象の素性を探る試みは進行中ですが、現在まで一切の痕跡を発見出来ていません。対象はSCP-2163-JP-Aに搭乗する直前3分前に姿を現しており、それ以前の足取りは不明です。これらの異常な能力、及びその素性の不明さにより対象はPoI-2163-JPに指定されました。PoI-2163-JPの能力がどのような効果によってもたらされているかは不明であり、場合によっては極めて大きな脅威となる可能性があります。引き続き調査を継続し、今後の動向を警戒してください。

補遺4: 調査記録/PoI-2163-JP.01
現在までにDクラス職員を用いたPoI-2163-JPに対してのインタビューが複数回実施されていますが、全てのインタビューで対象は呼びかけ、身体への接触等に対して一切の反応を示しませんでした。これによりPoI-2163-JPの直接の脅威度は低いと判断され、SCP-2163-JP-Aの出現を待機している3分程度の時間を利用して対象への調査が行われました。

PoI-2163-JPの生体反応を簡易に確認した結果、心拍、呼吸等の生体反応は確認されませんでした。対象から毛髪や鼻腔内粘膜のDNAサンプルを回収する試みも成されましたが、いずれもサンプルの獲得には至りませんでした。毛髪は引き抜くことが出来ず、対象の鼻腔に挿入した綿棒には何も付着していませんでした。対象の所持品を調査する試みも行われましたが、対象の所持品はポケット内の1,000円紙幣4枚と100円硬貨が5枚、果物ナイフのみでした。所持金はSCP-2163-JPに記載されている料金の4,500円であると思われています。紙幣の記番号2を追跡する試みも行われましたが出自は不明です。製造年からいずれの紙幣、硬貨も平成14年(西暦2004年)に製造された物であることが判明していますが、使用された形跡は確認できませんでした。所持していた果物ナイフは2006年4月に製造が停止しており以降は流通していない物でした。その為、対象が果物ナイフを手に入れた時期は2006年4月以前であると推定されますが、購入店舗等は未特定です。

補遺4: 調査記録/PoI-2163-JP.02
PoI-2163-JPの衣類、所持品(金銭除く)がどの出現時においても変化しないことから、PoI-2163-JPに調査端末を取り付けることで転移先宇宙の観測が可能であると推測されました。2020/9/16、この推測に基づき、PoI-2163-JPの身体にビデオカメラを取り付けて転移先宇宙の映像を記録することを目的とした調査が行われました。ビデオカメラは最大85時間の継続撮影と記録が可能な物であり、PoI-2163-JPの胴体にベルトで固定されて運用されました。

このカメラは2020/9/30のPoI-2163-JP再出現時に問題なく回収されました。カメラは熱や不明な要因によって破壊されていましたが、記録は残存しており復元に成功しました。以下はビデオカメラに記録された映像です。

映像記録.2163-JP.01

00:02:06 PoI-2163-JPがSCP-2163-JP-Bに対して料金を差し出す。

00:02:14 PoI-2163-JPがSCP-2163-JP-Aから降車する。間もなくSCP-2163-JP-Aが発進し、そのまま消失する。

00:02:18 PoI-2163-JPは巨大な機械的な存在が見える赤色の都市のような場所に向かって移動を開始する。

00:04:34 点滅と激しいノイズ。

[データ欠落]

39:44:52 PoI-2163-JPは赤色の橋のような構造物の上を移動している。構造物は推定で140km程の長さがあり、直線的に伸びている。

42:40:00 構造物上に何らかの生物の骨格が散乱している。これらの骨格の中にはヒトに類似した生物の物も見られたが、詳細不明。

43:21:46 構造物上を17体の大型生物が列を成して歩行する様子が記録される。これらの生物は体長4m程と見積もられ、外見上はカニかクモに類似した構造を有する節足動物のように観察される。これらの生物はPoI-2163-JPに対して興味を示していないように見られる。

59:04:33 構造物の20km程度先に島のようなものが映る。

68:24:09 門のような構造物をくぐり、島へと上陸する。

[データ欠落]

73:06:29 PoI-2163-JPは海岸のような場所を移動している。海面、空中、地面などに様々な生物が浮遊/埋没している様子が記録されている。ヒトに類似した生物、鳥のような生物、昆虫のような小型生物などが見られる。これらの生物は外見上生きているように観察されるが、一切の活動は認められずそれぞれが波や重力の影響を受けずにその場に固定されているように観察される。

[データ欠落]

73:36:47 PoI-2163-JPがヒトのような生物が密集して浮遊する場所で足を止める。これらの生物も固定されているようであり、下半身または全身のほとんどが地面に埋没している。

73:37:31 PoI-2163-JPがヒトのような生物のうち、地面から上半身が突出した一個体に接近する。

73:37:36 カメラに接近した生物の顔が映る。その生物はPoI-2163-JPと同一の顔をしており、苦悶しているような表情を浮かべている。

73:37:58 PoI-2163-JPがポケット内から果物ナイフを取り出し不明な言語を呟く。

73:46:11 PoI-2163-JPがその個体の頚部にナイフを押し付け、何度も切りつける。個体に外傷は生じず、変化はない。

73:47:59 啜り泣くような音声が記録される。PoI-2163-JPの音声だと思われる。

[以降78:01:44の時点まで頸部を切りつけ続ける様子が記録される]

[データ欠落]

映像に記録された生物が固定されているように観察される領域はGoI-101内部情報中で言及されていた"ンンンン"地域であると推測されています。PoI-2163-JPの目的は不明であるもの、映像中73:47:59の時点で記録されたPoI-2163-JPと同一の顔をしている存在は特筆すべきであり、PoI-2163-JPのムベべ星への渡航の目的はこの存在に起因している可能性があります。

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利用ガイド

  1. portal:4589204 ( 29 Oct 2018 15:23 )
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