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- portal:4549537 ( 09 Nov 2018 03:31 )

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To: 倫理委員会評議員ML
From: 倫理委員会窓口担当
Subject: SCP-2990-JPについて
────────Forwarded message────────
倫理委員会各位
To: 倫理委員会窓口担当
From: オブジェクト研究チーム
Subject: Fwd: SCP-2990-JPに対する施策について
倫理委員会窓口担当殿
先日報告いたしました通り、SCP-2990-JP研究チーム内でオブジェクトの取り扱い方針について意見が分かれたため、倫理委員会の皆様にオブザーバーとして御意見を賜りたくお願い申し上げます。
皆様ご多忙のところ急なお知らせで申し訳ありませんが、一両日中に返信をお願いします。
以下に報告書本文を送付いたします。御確認の程よろしくお願いいたします。
SCP-2990-JP本文
SCP-2990-JP-1が撮影した高田 メイ氏と生前の高田 ケリー氏。
アイテム番号: SCP-2990-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2990-JP-1を標準人型収容室に収容することにより、SCP-2990-JPを実質的に収容します。SCP-2990-JP-1には1日に3度、職員と同等の食料が与えられます。ループ現象発生の中心人物であるとされる高田 メイ氏は自身には異常性が存在しないことが確認されており、財団の保護施設によって保護されることが決定しています。SCP-2990-JP-1、SCP-2990-JP-2、高田 メイ氏は千葉県袖ケ浦市に存在する自宅にて収容されます。自宅の周囲20mは封鎖され、高さ3mの壁で隔離されます。食料及び許可された物品は3日に1度配給され、SCP-2990-JP-1、SCP-2990-JP-2、高田 メイ氏にはそれぞれ近隣で新種の感染症が発見されたとの情報を与え、感染者として自宅に封じ込めてください。
説明: SCP-2990-JPは小規模な現実改変能力を有する男性である高田 雅基氏(以下、SCP-2990-JP-1と呼称。)に伴って現れるループ現象です。このループ現象によってSCP-2990-JP-1、妻である高田 ケリー氏(以下、SCP-2990-JP-2と呼称。)、娘である高田 メイ氏にはそれぞれ老化の兆候は見られませんが、周囲の人物は記憶の改変によって不審に思うことはありません。
SCP-2990-JPは婚姻届けをSCP-2990-JP-1が何度も近隣の市役所へ提出に来ているにも関わらず、職員が不審に思わず受理している記録が市役所内で発覚し問題となった際に異常性の調査が行われました。これによりSCP-2990-JP-1とその家族の監視が行われ、異常性の発覚に至りました。
SCP-2990-JP-1の現実改変能力は極小規模であり、本人や周囲の人物のみに及ぼします。高田 ケリー氏については高田家の調査の際に、高田家の庭にて胎内の胎児と共に遺体として埋められているものが発見されており1、既に死亡している人物を現実改変によって再現しているものと推測されています。これによりSCP-2990-JP-1によって再現された高田 ケリー氏は異常存在であるとみなされ、SCP-2990-JP-2として指定されました。
SCP-2990-JPにおけるループ現象はいくつかのステップに分割され実行されます。以下がその詳細です。
ステップ | 詳細 |
---|---|
1 | SCP-2990-JP-1とSCP-2990-JP-2が結婚する。この際、高田 メイ氏は本来はSCP-2990-JP-1とSCP-2990-JP-2は実子であるが、SCP-2990-JP-1の連れ子として扱われる。 |
2 | SCP-2990-JP-2が妊娠をする。 |
3 | SCP-2990-JP-2は高田 メイ氏に対し虐待を開始する。 |
4 | SCP-2990-JP-2は高田 メイ氏に対して、お前が存在しないほうが父親や私とその子供は幸せになれると何度も吹き込むようになる。以下より一時的にルートが分岐する。 |
5-1 | 高田 メイ氏はSCP-2990-JP-2の洗脳に対して自殺を実行するが、SCP-2990-JP-1の小規模な現実改変によってこの自殺は必ず失敗に終わる。SCP-2990-JP-1はこれに対し、SCP-2990-JP-2を問い詰める。 |
5-2 | 高田 メイ氏はSCP-2990-JP-1に相談等により虐待が発覚する。逆上したSCP-2990-JP-2は高田 メイ氏を殺害しようとする。 |
6 | 高田 メイ氏が殺害されることを恐れたSCP-2990-JP-1がSCP-2990-JP-2を改変能力により消滅させる。 |
7 | SCP-2990-JP-1がSCP-2990-JP-2を再構築する。 |
8 | 自身を含む関係者のここまでの記憶がリセットされ再度「1」へと戻る。 |
以下は高田 メイ氏の自殺が失敗に至るまでを屋内に設置された監視カメラによって撮影された映像記録の一部です。
映像記録001
<記録開始>
SCP-2990-JP-2: ほら、ちゃんと深く切るのよ。
メイ氏: [思案声]
SCP-2990-JP-2: 何ビビってんの。お父さんのために死にたいんでしょ?
メイ氏: それはそうだけど…。
SCP-2990-JP-2: 痛いから嫌なんてワガママ言わないでよ。
メイ氏: ん…。うん。[小さく叫ぶ]
SCP-2990-JP-2: よしよし、切れたね。あとはお風呂につかって1時間も待てばいいからいってらっしゃい。
メイ氏: …うん。
[メイ氏は風呂場へと向かい、15分ほど経過する]
メイ氏: 痛い!痛いよぉ!もうやだぁ!
SCP-2990-JP-2: ちょ、何戻ってきてんの!
メイ氏: やだぁ!やだよぉ!
SCP-2990-JP-2: 一人でするって約束したでしょ!
メイ氏: [泣き声]ごめんなさい!ごめんなさい!
SCP-2990-JP-2: このクソガキ死ねもしないくせにこんな汚しやがって!誰が掃除すると思ってんだ!
[SCP-2990-JP-2はメイ氏を浴槽に沈めようとするが抵抗されたため断念する]
メイ氏: ごめんなさい、ごめんなさい…。
<記録終了>
SCP-2990-JP-1を異常性の中心人物と考え、サイト-81██における標準人型収容室への収容に至りました。SCP-2990-JP-1の拘束後、SCP-2990-JP-2は消失していることが確認されています。また高田 メイ氏に関しては記憶処理が施され、財団の施設にて保護されることが決定しています。
補遺: SCP-2990-JP-1は自身の収容室から自宅へと転移し、SCP-2990-JP-2を再構築しました。この時点で高田 メイ氏においても自宅へと転移しています。高田 メイ氏には記憶処理が施されていましたが、転移後の言動から記憶を取り戻しているものと推測されています。またSCP-2990-JP-1はこの後、通常通り生活を開始し、再度ループ現象へと突入したことが確認されています。これにより特別収容プロトコルは改定され、現在の収容方法へと至りました。
────────To message────────
倫理委員会内部投票
倫理委員会各位
報告書確認後、以下の投票を行ってください。
内容は高田 メイ氏についてです。
彼女は異常性を持たない一般人でありながら死ぬこともできず、再構成された母親からの洗脳で自殺未遂を繰り返しています。倫理的に鑑みれば、彼女は間違いなく異常性の被害者であり救われるべき存在です。ですが、これに当たってひとつ大きな問題があります。彼女を救うには父親であり「現実改変能力者」であるSCP-2990-JP-1を殺害しなければならないということです。彼を昏睡させる作戦は今まで幾度となく行われてきましたが、ガスも薬物も財団の取り得るあらゆる手段は彼の肉体には通用しませんでした。「妻と子と日々を暮らす」それだけに彼は全ての力を注いでおり、これにより非常に強力な現実改変能力となっています。もはや彼を即死させるしか彼女を救う方法はないのです。しかし、異常を確保し収容し保護し続ける財団にとってこれは理念に反することです。そこで我々の中で決を採り、今後財団がどのように対応すべきか検討したいと思います。この結果は理事会へと送付される資料を作成するための会議にて扱われるため、慎重に決定していただきたいと思います。
それでは以下に投票をお願いします。
拝読しました……やられました。
胸にズシンと来るこの感覚。本投稿の暁にはUVさせてください。
批評ありがとうございます。
統一いたしました。
ナンバリングいたしました。
こちらを適用いたしました。
こちらの記事は倫理委員会の日常的な業務を描いているものです。財団の決定はこの後の理事会によって決定することでしょう。あくまでこれは「現場」と「倫理」の問題でしかないのです。
読者はもちろん、「生かすか、殺すか」で見るでしょうが、本質的には読んだあなたはこの状態にどんな「問題」を見ますか?と問いかけるものとなっています。
ご回答ありがとうございました、それなら納得です。
また、改稿お疲れ様でした。改めてUVできる時を心待ちにしております。
1点、映像記録の話者の名前がSCP-XXXX-JP-2ではなくSCP-XXXX-JPのままになっているのは意図的なものでしょうか? 「再構築された母親が発言して」いても「ループ現象により同じ発言がなされて」いても正しい説明なのであくまで確認のみさせてくださいませ。
完全にミスですね直しました
拝読しました。素晴らしい記事だと思うのですが、少しだけ気になったところがあります。自分の読解力がないだけかもですが……
この部分の記録を読むと、実際に自殺をしようとしているのはSCP-2990-JP-2ではなく高田 メイ氏なので少し引っかかりました。
また、なぜそこまでSCP-2990-JP-1が高田 ケリー氏にこだわるのかも気になりました。
批評ありがとうございます
ミスです。修正しました。
自分の妻を深く愛しているからです。当然娘も愛しています。その二つの板挟み状態こそ愛の二者択一の問題となっています。財団は命を奪うべきか否かの命の二者択一に迫られています。この記事において問題は全て二者択一でしか呈示されません。ですが、本当の「問題」は何か?と問いかけるのがこの記事の狙うところとなっています。
fromが研究チームであるなら主述がねじれています。
改稿案『先日報告いたしました通り、SCP-2990-JP研究チーム内でオブジェクトの取り扱い方針について意見が分かれたため、倫理委員会の皆様にオブザーバーとして御意見を賜りたくお願い申し上げます。』
また、細かいところですが最後の内部投票が研究チームからのメールで行われるというのは、若干違和感を覚えます。序文と説明書パートは研究チームからのメールの転送という形にして、メールのfromは倫理委員会の内部部署にするほうがスッキリ話の筋が通るのではないでしょうか。
「御確認」の方がより適当かと思います。また、以下に文書が続きますのでその直後の「以上。」も不要です。
一文が長すぎるきらいがあり、可読性がよろしくないと思います。
改稿案『彼女は異常性を持たない一般人でありながら死ぬこともできず、再構成された母親からの洗脳で自殺未遂を繰り返しています。倫理的に鑑みれば、彼女は間違いなく異常性の被害者であり救われるべき存在です。ですが、これに当たってひとつ大きな問題があります。』
「我々」が被っていますが、前後で「我々」が指す集団が異なるため、変更したほうが良いかと思います。
改稿案『そこで我々の中で決を採り、今後財団がどのように対応すべきか検討したいと思います。』
批評ありがとうございます
ご指摘の通りに修正しました。
ToとFwでメールを分けてみました。
ご指摘の通りに修正しました。
ご指摘の通りに修正しました。
ご指摘の通りに修正しました。
SCP-2990-JP-1は自身の改変能力に自覚的ですが、
殺害した妻との婚約届を何度も提出しているのは何の意味があるんでしょう……?
ループした際にSCP-2990-JP-1自身の記憶もリセットされているのであれば、
クローゼットの中の遺体に(何も知らない)家族がみな気づかないという状況は不自然だと思います。
オブジェクトの異常性については、「倫理委員会の立場になって考えさせる」という題材に適していますね。
うまくまとまっていると思います。
ですがやはり「殺す」か「生かすか」の二択しかないのは少し問題があるかなと思います。
初歩的な問題として、やはり読者は「財団はオブジェクトの保全するべき」という視点で読みます。
このスタート地点がある時点で、「異常存在を殺す」選択肢はかなり強い理由付けが必要となりますが、
この作品においてはたった一人の女の子のためでしかなく、少し理由として弱いかなというのが、
僕の財団観に基づいた意見です。
例えばSCP-239と同様の「オブジェクト(SCP-2990-JP-1)を永続的に昏睡状態」とする処置を提示し、
娘のメイ氏を単に救うべき対象として描くのではなく、虐待を受けながらも家族を思いやる愛情深い少女として描くことで、
「メイ氏を被害者と断定し、オブジェクトを昏睡状態にして両者を隔離する」ことと、
「オブジェクト保全の理念を傘に、メイ氏と家族が一緒に居られる現状の収容体制を継続する」ことの二択とするのはどうでしょう。
殺してしまえば取り返しはつきませんが、まずは収容の仕方を工夫する姿勢、
さらにその工夫の中にも、たった一人の被害者のためにどこまで財団が出来るのか、
たった一人の心を倫理委員会はどれだけ汲み取れるのか、汲み取るべきなのか、
そういった問いかけを読者に投げかけることが出来るのではないでしょうか。
長くなりましたが、一つの案としてご参考までに。
批評ありがとうございます
最終調整に色々追加して投稿させていただきました。ご協力感謝いたします。