kata_men-35--15c4

記事カテゴリが未定義です。
ページコンソールよりカテゴリを選択してください。

誰も居ない廊下を歩く。気持ちの問題かもしれないが、昨日歩いた時より少しばかり肌寒く感じた。

財団上層部が人類の滅亡を認めてから、俺  楽月 神蔵を含めた少数の職員は、人類が滅ぶ時まで財団の信念の下職務を全うしていた。少数、というのもほとんどの財団職員はオブジェクトに対する処置を行った後、大切な人と終末を迎える為に、はたまた助かる道を探す為に次々とサイトから離れていった。

そして最終的に残ったのは独り身の奴と研究一筋のバカと、俺のような異常性持ちの職員だけだった。

現在、サイト-8150は30人弱の職員で運営されている。そんな人数で回せるのかと思うかもしれないが、危険なオブジェクトや生体オブジェクトはは既に永久収容が可能なサイトに搬出済みでありそれ以外のオブジェクトは厳重に封をされた状態で保管済みなので、やることと言ったらサイト内設備の点検と来るかどうかわからない侵入者に対する警備が主になっていた。

突き当たりを右に曲がり、研究エリアへ向かう。しばらく進むとある一室の入り口の前で、元同期、現保護者の酒吞 薫が防護服を着た状態で立っていた。(これは彼女が勤務中に自身の異常性によってコンピューター類を故障させない為に身に着用しているのであって、サイト内でABC兵器が使用された為に着用しているわけではない。)

「どうした?」

「……茨木」

前の名で俺を呼んだ彼女はこちらを見た後、すぐさま部屋の中に視線を移した。

「またか」

俺の問いに彼女は静かに頷いた。

部屋の中では私達の上司にあたる博士が首を吊っていた。彼は研究一筋であり、独身であった。机に置かれていたメモ用紙には万年筆で短く「先に行く」とだけ書かれていた。

「手伝い呼んでくる……大丈夫か?」

「……うちは何ともない。このままやと苦しいままやさかい、早う下したろ」

防護服に隠れて彼女の本体の顔はうまく見えなかったが、暗い表情をしている事は理解できた。


大規模なサイトには大抵冠婚葬祭用の備品が常備されている。勤務している職員の宗派を考慮し多くの種類を用意している事は言うまでもないだろう。

その備品置き場から棺を引っ張り出し、簡易的ではあるが葬儀を残り少ない職員で執り行った後、俺は酒吞と共に根城にしている研究室へ向かった。

「相変わらず、慣れとるなぁ」

「こういった準備はサイトに居るエージェントの仕事だからな。もっとも、俺だけだったら準備できなかったが」

彼女は俺の答えを聞くと、ふぅんと声を漏らし時計に目線をそらした。時刻は既に21時を過ぎていた。

「……思ったんやけど」

彼女が小さなトーンで俺に話しかける。

「死んだ後、周りの人らに見送られるんって幸せな事なんやろなぁ」

そう言った彼女の顔を見ると、どことなく羨ましそうに思えた。

「間違いない。博士は幸せだったろうさ」


ページコンソール

カテゴリ

SCP-JP

本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

GoIF-JP

本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

Tale-JP

本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。

翻訳

翻訳作品の下書きが該当します。

その他

他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。

コンテンツマーカー

ジョーク

本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。

アダルト

本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。

既存記事改稿

本投稿済みの下書きが該当します。

イベント

イベント参加予定の下書きが該当します。

フィーチャー

短編

構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。

中編

短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。

長編

構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。

事前知識不要

特定の事前知識を求めない下書きが該当します。

フォーマットスクリュー

SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。


シリーズ-JP所属

JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。

シリーズ-Other所属

JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。

世界観用語-JP登場

JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

世界観用語-Other登場

JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。

ジャンル

アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史

任意

任意A任意B任意C

ERROR

The kata_men's portal does not exist.


エラー: kata_menのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:4431291 (05 Jun 2019 01:38)
特に明記しない限り、このページのコンテンツは次のライセンスの下にあります: Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License