kata_men-22--0297

残暑が未だ残る9月上旬、地球の空は赤色のタイル状の物体に覆われた。

地球のあらゆる場所から見えるこの物体に世界は混乱を極めた。この未曾有の事態に財団はもちろんのこと、世界各国のトップは対応に迫られることとなった。財団に勤務している俺も例外に漏れず、何かあれば研究チームへ報告せよとの命令で空を覆う赤色を観測していた。

周りを観測用の機械に囲まれたまま双眼鏡を除いていると、ベルトに着けていた通信機に反応があった。

「こちらポイント-035どうぞ。」

「こちらサイト-8150特別対応チーム。何か動きはどうや、茨木いばらぎ。」

応答すると、帰ってきたのは俺が所属しているサイトの研究員であり幼馴染の酒吞 香蓮さかのみ かれんの声だった。

「どうもこうも、相も変わらず空一面のクソレッドだよ。」

「まあそうやろなぁ、こっちもカメラからずっと見てるけど代り映えせんからなぁ。」

「……カメラで観れるんなら俺いらなくねぇか?」

相変わらずの口調から語られた情報に、冗談交じりで答える。

「冗談言うて。長年鍛えられたフィールドエージェントの感でも頼りたいほど情報が少ないんや、堪忍やけど情報揃うまでがんばってな。」

「そんなに情報が無いのか?物体の採取とかも行われてるんだろ?」

先日、観測中に物体の破壊を試みようとする自衛隊の戦闘機が見えたこともあり、彼女に疑問を投げかけてみた。最も、何となく結果は想像つくが。

「察しとるとは思うけど、全部失敗や。財団だけじゃなく自衛隊、米軍、各国の軍があの赤い物体を破壊しようと躍起になったけど無傷。ほんなら接触してみようと近づいてみたらすり抜ける始末。今のところ指咥えて見ているしか無いってとこやな。」

彼女の返答にそうか、とだけ答え双眼鏡を除く。進展がない、ということはこの観測も続けなければならないということだ。

「他の観測ポイントはどうなんだ?」

「茨木のとこと一緒。うちらのとこだけじゃなく日本、アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパ……どこもかしこも進展なしや。」

「……さいでっか。」

思わず出そうになったため息を飲み込み彼女に返答する。だが、俺意外にもこの未曾有の事態に対して何とかしてやろうと躍起になっている仲間もいると知り気が(少しは)楽になった。だからなのだろうか  

「……あれ?」

  細かな異常に気づくことができたのは。

「茨木?なんかあったん?」

「物体の真ん中辺り……真横に一本亀裂が入ってるように見えるんだが。」

六角形の角と角を繋げたような亀裂がうっすらと浮かび上がっているのが確認できた。彼女も見ていた映像を拡大して見つけたようで、ほんまや……と声を漏らしていた。

「見逃していた?……いや、出現したが正しいか。」

「それで間違いないやろなぁ。うちらも確認していて見逃すなんて……。」

「酒吞?」

彼女が声を詰まらせたことに疑問を持ち、彼女に声をかける。数秒の沈黙の後、彼女の声が聞こえた。

「あの亀裂、開いてきてる……?」

その声を聞いた俺は見開いた眼で亀裂を確認した。確かに先程確認した時よりも亀裂が開いているようにも見えた。

「……酒吞、他の観測ポイントは?」

「他のポイントも……それどころか世界中で同じ現象が確認されとる!」

俺は双眼鏡を外し空を見た。亀裂は肉眼で確認できるほど大きく、そしてゆっくりと開いていくにが確認できた。

「何だってんだ……、世界でも終わるってのか?」

そう口から漏らす間にも、亀裂は大きく、ゆっくりと開いていった。そしてついに六角形の半分以上が亀裂で埋まった時、亀裂の中からぎょろり、と巨大な目玉が姿を現した。

それらが現れた瞬間、俺はとっさに懐にあった拳銃をそれらに向けた。空を埋め尽くす物体の一つ一つに現れたその目は、まるで地球上に住むモノを見るかのように空に浮かんでいた。

  人類に告ぐ。

その目に気を取られていると、頭の中に声が聞こえた。直感で、空にある目から聞こえてきたのだと気づいた。何をしでかすのか、と思いながら俺は拳銃を構えたまま次の声を待った。

  あなたたちは間違いがあった為削除されます。もし削除を回避したい場合、間違いを探してください。

一瞬、何を言っているのか理解できなかった。削除?間違い?何のことだ?疑問が脳内を循環する。

  あなたたちには間違い探しの時間として1年間の猶予があります。

その声の後、空に浮かぶ目の角膜に365/00/00/00の数字の羅列が浮かび上がった。恐らくそれが  人類のカウントダウンなのだろう。

  それでは、後はお好きにどうぞ。

その声が響いた後、角膜の数字が364/23/59/59へと変わった。

「酒吞。」

サイトにいる彼女に声をかける。

「……こっちも聞えたわ。うちらだけやない、世界中で誰それ関係なく聞こえとったらしいわ。」

「……ヴェールどころの話じゃないな、こりゃ。」

彼女との会話の間にも、空に浮かぶカウントダウンは進んでいった。

「茨木、すぐサイトに戻ってき。フィールドエージェントとして意見を聞きたいそうや。」

「わかった。監視は?」

「監視ポイントは減らすけど、他のモンに引き続きやらせるらしいわ。」

了解、と短く返事をし通信を切る。監視装置を車に詰め込み、運転席に乗り込んだ。フロントガラスの向こうには空の目にミサイルを撃ち込む自衛隊の戦闘機が映っていた。

「……あきらめるもんか。」

ぼそり、と声を漏らしエンジンキーを回転させた。

ERROR

The kata_men's portal does not exist.


エラー: kata_menのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。


利用ガイド

  1. portal:4431291 ( 05 Jun 2019 01:38 )
layoutsupporter.png
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License