SCP-XXX-JP「名医の資格」

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メスハンドル.jpg

SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8128の高機密低脅威度小型物品保管庫に保管されます。SCP-XXX-JPを用いた同オブジェクトの定期メンテナンス時以外での実験はレベル3クリアランス保持者の許可と立会いの下で行われます。
容体の安定しているSCP-XXX-JP-αについてはBクラス記憶処理と外科的処置を含む必要な治療を施したうえカバーストーリー「疾病治療のための長期集中的治療」の元、社会復帰プランを策定、実施してください。上記に当てはまらないSCP-XXX-JP-αについては週に2回のカウンセリングを含めた療養プロトコルPlan-XXXに従い標準Eクラス職員と同等の待遇の下でサイト-8128内の専用療養室に隔離されます。

説明: SCP-XXX-JPは菅原製作所にて作成されていたステンレス製メスハンドルです。外観および構成材質は同社の制作していた非異常性の解剖用メスと同一であり、同オブジェクトが作成された工程に異常性を付与するようなものは確認できませんでした。SCP-XXX-JPの使用は一般的な医療用メスと同様に先端に非異常性の替え刃を装着した上で行われます。SCP-XXX-JPの異常性は病理的な理由などで自身の身体に何らかの不満を有する人間(以下、SCP-XXX-JP-α)の身体を切開した際に発現します。SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-αが希望する身体における変容を概ね満たすように身体構造を改変します。
SCP-XXX-JPは北海道札幌市にて非合法に医療活動を行っていた倉富 黒男くらとみ くろお氏から回収されました。
以下は倉富氏が行ったことが確認されている治療活動、病状とその結果の例です。

治療内容 結果 SCP-XXX-JP-αの詳細
化膿箇所の除去 問題なく成功 N/A
切り傷の治療 問題なく成功 N/A
切断された小指の治療 問題なく成功1 N/A
右上腕骨骨折の治療 骨折箇所は治療されたが、骨折箇所の骨部分に肥大が見られた。 骨折に対する強い恐怖が見られた
白血病 体内の白血病細胞の減少 N/A
慢性腎不全終末期2 脊髄ブロックによる痛覚の遮断3 N/A
乳癌(stage II) 腹部に複数の乳房の出現 証言より乳房の切除に対しての忌避感が見られた
悪性骨肉腫(stage II)4 右肩基部からの新しい上腕肢の成長 治療を受けたSCP-XXX-JP-α-41は「腕を取り戻したかった」と証言
変異性クロイツフェルト・ヤコプ病 上下顎骨及び顎関節の強化と周辺筋肉の肥大、食肉目に類似した歯の変質、口腔左右内部に異常な増大を続ける良性肉腫を確認。5 人肉食に対する強い欲求か6
N/A 左右肩甲骨からの翼状の構造の出現7 処置を受けたSCP-XXX-JP-α-23は先天性下肢麻痺を患っていた
N/A 頭蓋骨及び中枢神経系、特に大脳新皮質の異常な増大 処置を受けたSCP-XXX-JP-α-52は大学受験生であり浪人3年目だった
N/A 頭蓋骨前頭前面に凹窟が出現。昆虫様の複眼状組織の成長を確認 処置を受けたSCP-XXX-JP-α-34は幼少期の事故で視力を全失している
N/A 外側脊髄視床路及び視床腹側基底核群と髄板内核群に部分的な損傷が確認された。8 処置を受けたSCP-XXX-JP-α-1は倉富 黒男氏の義父の倉富 一郎氏である。発見時SCP-XXX-JP-α-1はstage IVの大腸癌を患っていた。詳細はインタビュー記録2を参照


以下は倉富氏に対して行ったインタビューの記録です。

インタビュー記録 1:

対象: 倉富 黒男氏
インタビュアー: 篠崎研究員


<記録開始, 2020/09/20>

篠崎研究員: 貴方が倉富さんですね。インタビューを担当する篠崎です。

倉富氏: (無言でうなずきを返す)

篠崎研究員: では質問を始めます。まず、貴方はどこで医学の知識を身に着けたのですか?貴方は医師免許を保有していない、ここにはそう書かれていますが。

倉富氏: いや、俺は医学部を出てる。

篠崎研究員: ……確かに医学部ですが貴方がいたのは医学科ではなく看護学科ですよね。それに貴方は3年目に留年して、そのまま退学しています。まず、もし人を治したかったのならなぜ退学したんですか。

倉富氏: アンタにはわかんねぇよ。アンタ、感じたことはないだろ。あの金の亡者どもが俺らに向けてくるあの眼。俺らのことを駒としてしか、いや、体のいい奴隷としてしか見てないんだ。

篠崎研究員: というと……

倉富氏: 医学生のころからアイツらはそうだ。ちょっとばかり試験で点数が取れたからって俺らの上司みたいに振舞いやがる。俺らだって解剖の授業は腐るほど受けてるし、身体構造だって同じか、それ以上に勉強してる。実習だって毎回サボらずに出席してた。なのにアイツらは6年間もの間毎日のように飲み会開いて酒飲んで、女引っ掛けて遊んでる、そんな奴らに見下されるんだ。それで結局アイツら、ロクに勉強せずに9割5分が受かる試験で医者になってくんだ。ふざけるんじゃねーよ。

篠崎研究員: 繋がりが見えませんが。

倉富氏: (笑いながら)思ったんだよ、「あんな奴らが医者やれてるんだから俺に出来ないはずがない。」ってな。なぁ、あんただってそう思うだろう?たかがセンター試験で、二次試験で十数点、点が取れたか取れてないかで人の体にメスを入れる権利が天から降ってくるのか?自分よりも二年間長く大学で遊んでいた奴らに頭を下げなきゃ点滴の抜き差しも出来ないなんてあっていいのか?

篠崎研究員: ……では、貴方は復讐と私怨のために人々を治してたというのですか。

倉富氏: いやいや、なんか勘違いしてますって。復讐だって?バカバカしい。私怨?逆恨みの要素がどこにあるんですか?俺には才能がある。患者の内なる声を聴いて、アイツらに出来ない方法で救えるんだ。俺の力だ。俺だけの力だ。わかるか?アイツらが年何千万稼ごうが、結局はどいつもこいつも俺の足元にも及ばないヤブ医者に過ぎないんだよ。(発作的に笑い始める) そんな時に爺さんからアレを貰ったんだ。
俺の父親は僻地の診療所で長年一人で多くの人を見てきた、いわゆる「名医」ってやつだ。どんな科の領分でもたちどころに直してしまえる。なんでそんなことができるのかって、長年不思議だったんだ。でもアレを貰って直ぐに答えはわかった。チッ、結局のところ、ウチの親父も遊び続けるあのボンクラどもと変わらなかったんだろうな。

篠崎研究員: ……あなたは自分の''治療''した患者がどうなったのか知っていますか?

倉富氏: 何言ってんだよアンタ。治ってるに決まってるだろ。あのメスは患者の願いを叶えるんだろ?

篠崎研究員: では、貴方が''治療''した急性腎不全の患者は?骨肉腫の患者は?あなたは上っ面の治療を施した後彼らが亡くなったのはご存じですか?

倉富氏: あぁ、知ってるよ。それがどうしたんだよ。どっちにしろアイツらはもう助からなかったんだろう?結局アンタらにだって末期になったアイツらは直せなかったんだろう?だったら結局同じじゃねぇか。それなら少しでも患者の望みを叶えてやったほうがよっぽど上等ってものでしょう?ほら、間違ってない。

篠崎研究員: では、もう一つ。貴方は「病気」ではなかった人のことも''治療''しています。何故ですか?

倉富氏: なにそんなに睨んでるのさ。さっきも言ったろ?俺は認めたくはないが挫折した。だから同じような境遇にいるやつを救ってやりたかったのさ。医は仁術って言うだろ?盲者に光を。足無き者に翼を。かくあれかしと彼らが望んだ結果を俺が与えてやったのさ。

篠崎研究員: それは人体実験と何が違うのですか。貴方が誇らしげに語っていた''翼を得た'' 患者も''眼を得た'' 患者もその他大勢の患者は今でも患い苦しみ、死を考えるものも多く居ます。

倉富氏: (舌打ちをする)……命を大事にしない奴らだ、死ねばいいのに。そんなの自分が望んだことだろう、自業自得だ。

篠崎研究員: ……もう私から貴方に聞くことはありません。インタビューを終了します。最後に一つだけ、不謹慎ではありますが、貴方が医者になれなくて良かった、心底からそう思います。貴方は医師になるべき人ではありませんよ。

倉富氏: (激高し篠崎研究員に掴みかかろうとしたところを職員に制止される)

<記録終了>

追記: このインタビュー後、倉富氏はBクラス記憶処理を施されたのちに社会復帰措置が仮決定された。篠崎研究員は非尋問者に対して度を越えた感情的及び挑発的な態度を取ったとして厳重注意を受けている。

インタビュー記録 2:

対象: SCP-XXX-JP-α-19
インタビュアー: 篠崎研究員


<記録開始, 2020/09/20>

篠崎研究員: お久しぶりです。今日は体調が比較的良好なようなので幾つか倉富さんにお聞きしたいことがあるのですが構いませんでしょうか?

SCP-XXX-JP-α-1: ……ああ、構いませんよ。

篠崎研究員: 手短にさせていただきますのでご安心を。今日は息子さんと彼の持っていたあのメスについて質問させていただきます。まず最初に、あのメスは元は貴方の持ち物で間違っていませんね。あれはどこで入手したものなんですか?

SCP-XXX-JP-α-1: 私にも分かりません。実はあれは貰い物なんだよ。まだ幼い子供のころ、重度の熱傷を負った私の母親を治療してくれた医師の先生が私に形見としてくれたんです。今考えれば医者が一般人に医療用の器具を渡すなんて絶対にありえないことだったが、当時はそういうのも大丈夫だったんでしょうな。流石に刃物を子供に渡すのは危険だとは考えたらしく、刃は抜かれた持ち手だけでしたがね。今でもあの時のこと、貰った直後に感じた金属に残ったラテックス手袋越しのささやかな温もりはよく思い出せる。あれが私を医の道に向かわせた分岐点だった、そうに違いない。

篠崎研究員: なるほど、あのメスに何か、その、不思議な力が存在することは知ってらっしゃったのですか?もしそうならいつから?

SCP-XXX-JP-α-1: あぁ、あのメスがただのメスではない事は私が大学附属病院の第二外科に配属された辺りから分かってた。あのメスを使うと、その、病巣がどこかに消えてしまうんですよ。その節は病理や検査の先輩方に大変ご迷惑をおかけした。私は最初そんなバカなと思い、次に猫をも殺す好奇心で居ても立ってもいられなくなった。人間以外の動物では効き目は無いらしいと分かってからは大分苦労した。自分の体も含めて人で実験せずにはいられなかった。……人体実験と罵りたければ罵ってくれ。私は真っ当に歩むことを決意した医の道を幾年もしない内に踏み外してしまった人でなしなんだ。

篠崎研究員: 貴方は入局後まもなくして僻地の診療所に自ら希望して配属されました。あんなメスを持っていながら何故ですか?名医として、名声を得ようとは思わなかったのですか?

SCP-XXX-JP-α-1: 私は……欲深かった。名医と呼ばれたかった。栄誉と名声が欲しかった。尊敬されたかった。そして……私だけの秘密を知られるのが怖かった。もしこの秘密が知られたら、周りが私を見る目は180度かわるだろう。私は、私はメスの力に頼って悪魔に魂を売り渡した詐欺師と呼ばれるだろう。私はそれに耐えられなかった。だから友人達が誰も行きたがらなかった、北の果ての診療所に骨を埋めようと思ったんだ。

篠崎研究員: ……そうでしたか。息子さんのことについてお聞きしても?

SCP-XXX-JP-α-1: 息子は、黒男は、私が赴任して2年目の冬に生まれました。当時、産科は釧路まで行かないと無く、悪天候のためにあの子の母親は引き返して自宅での分娩を選んだそうです。それを知らなかった私は、陣痛が起こると同時に出血が始まったと聞いてあわてて道具をもって出たものの、あのメスを置き忘れてしまいました。着いた時には母親は既に虫の息で、子供の出産と同時に息を引き取りました。父親がわからないということもあって、私が希望して引き取り、今に至ります。あの子は、私の増長に対する戒め、そしてメスに頼り結局自らの手で彼女を助けられなかった罪の象徴なんです。

篠崎研究員:

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