扶桑紀Tale「屍の山を越えて 前篇」
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皇紀弐千六百参年 七月十弐日



雲一つない蒼穹から、真夏の日差しが頭上から燦燦と降り注ぐ。
例年より早く明けた梅雨とはいえ、大地に染み渡った水は染み渡った水は蒸気となって、さらに空気を暖める。
この状況で外に出ようものなら数分と経たぬうちに体中の水は汗となって、外へと放出されていく。
現在進行形で起きているそれに我関することなく、一心に真剣を振る男がいた。
国光くにみつ。この暑い中、修練とは精が出るな」
声の主は刀を振る男の父にして、この家の当主である応神三船いらがみみふね。蒐集院では正一等研儀官──研儀職の中では最高位に近い地位に就いている。
「父上──最近は院に篭りきりでしたから、久々の暇に体を動かしておかねば、と思いまして」
気恥ずかしそうに頭を掻き、額の汗を拭うのは、彼の長男にして次の当主と目されている応神国光である。
蒐集官を務めているが、最近は調査局や特医の研究施設への出向が専らである。表向きは軍の意向に従い人員を「供出」しているが、その実態は内情を探るべく多くの蒐集官を送り出しており、国光は人当たりの良さから、両手では収まらぬ数の超常部署を渡り歩いたほどの手練れでもある。
それ故に多忙を極めており、最後に大阪の宗家に落ち着いたのもかれこれ半年以上前のことになる。珍しく院から僅かばかりの暇を与えられ、羽を伸ばすのも本当に久々のことだった。

しばしの間、真剣が空気を裂く音だけが庭園に響く。一心に剣を振る国光は言わずもがな、三船も無言のまま、息子の修練を眺めていた。
その静寂を裂くように、頭上を飛ぶ烏がぎゃあ、と鳴くと、三本の脚で地面に降り立った。
八咫烏。院からの文書、それも機密性の高い文書である。刀を振る手を止める。
三船が立ち上がり、文書を受け取る。それを確認した烏は再び蒼穹へと飛び立っていった。
文に目を通す三船。その顔が少しずつ険しくなっているところを察するに、良からぬことが書かれているのだろう。
「……父上」
おずおずと尋ねる。
「国光、今すぐ本院に向かえ」
「仕事、ですか」
「如何にも。それも今回は満州だ」
満州。調査局の根城であり、特医の研究拠点も置かれている、まさにこの帝国の超常組織がごったになったような場所である。
それと同時に、政権を握る者ですら知り得ない、超常組織の暗部が至る所に潜む混沌の中心でもある。
「詳しいことは口頭で説明されるそうだ」
「出立の準備をして参ります」
刀を鞘に収め、汗を拭ってから

概要

扶桑紀哈爾浜篇。負号部隊や調査局とドンパチするお話。可能ならば調査局とサーキック絡みを入れたい。欲張ると夏王朝のメカニト技術か医院の面々を使って調査局を撃退してもらいたいところ(舞台が中国だし)。
おそらくvs負号部隊とvs調査局の前後篇になりそう

起 -前篇

(日常シーンを冒頭に入れて)
1943年の夏。応神国光と道策常頼は、満州国ハルビン行きを命じられる。表向きは陸軍との妥協による院の人材の徴兵によるものであるが、実際は負号部隊や異常事例調査局の動向を探る目的であった。負号部隊が開発した「人体実験の被験者を使い回せる線虫」なるものが存在し、それが調査局に渡り兵器転用されている疑いがあるという。
彼らに与えられた任務は2つ。

線虫の存在の真偽を確かめ、発見されればそれらを蒐集・破壊すること。
そして満州におけるこれらの計画の首謀者2名を拘束もしくは処分すること。

ハルビンに到着した一行。名目上の目的である陸軍の施設に向かい、そこで線虫の性質を理解する。ここで黒幕その1である須藤と接触し、郊外にある廃棄された研究施設には立ち入らないよう指示を受ける(施設は封鎖されている)。
近隣住民への聞き込みの結果、廃棄された研究施設の近くにあった集落が「賊」の襲撃にあい全員失踪し、その集落から大量の人影がどこかへと向かった、との情報を得る。不穏な空気を感じ取った2人は廃棄された研究施設へ向かう。

廃棄された施設において、王島民と最初の接触。当初は不審がる2人だったが、窮地を救われたことで信頼関係を築き、お互いの目的が一致したことで共闘が成立する。
施設の裏には「何かが地中から出てきたような」穴があり、穴の周辺では同様に線虫の塊が這いずり回っている。
廃棄施設内は死体の山であり、床には線虫の塊が這いずり回っている。死体は人体実験に使われたであろう中国人や欧米人の捕虜のほか、負号部隊の兵士や研究員、そして何故か調査局の死体がある(群がられた死体として登場)。
施設は突如として廃棄されたようであり、研究資料が残されていたため、線虫に関する詳細な情報を得ることができた。
この施設の責任者は須藤であり、彼の指示のもと杜撰な処理(焼却せずに埋設処分。施設の裏)が行われていたことが判明する。
一通りの資料を回収した直後に死体の襲撃を受ける。秩序だった攻撃であり、何者かの手引きのもと行われたと推測。しばらく交戦するが一向に数が減らないため、窓から飛び降りて施設を脱出する。

施設内から脱出した一行だったが、敷地から出た直後に死体の群れに包囲される。そこに須藤が現れる。須藤は最初の接触の時点で2人が蒐集院の手先であることを見抜いており、施設に侵入したのを確認して施設を包囲、抹殺する目的だったことを話し、最後の戦闘に突入する。
敵の数があまりにも多く、しかも死体を小出しにしてこちら側の消耗を狙っており、疲弊したところを一挙にねじ伏せることに気づいた一行(シチュエーション的にはMGS2プラント編のメタルギアRAY軍団との戦闘が近い。この間、須藤が性能を測っている描写を入れる)。王が異学会の火炎の術を使い(灰より出でての戦闘シーン、南方が応神の剣で地脈を断った感じ。炎の龍が出現して亡者の群れを纏めて焼き払う感じで)、死体を一掃。最後に残った須藤を捕えたところで一先ず終了。



起 -後篇

捕縛した須藤を院の協力者に引き渡し、隠れ家に戻った一行。再度、蒐集院と医院の持つ情報を共有する。医院側の掴んだ情報によれば、調査局は件の線虫を改造、SK-BIOを製造する研究をしており、それを兵士に還元することで強化兵士が作られつつあるという。

登場人物

主人公

応神国光

応神宗家次期当主にして内院蒐集官。剣術に優れている一方で交渉術にも優れる。持ち物は長短の刀二振り(長刀は「十坂トサカ」、短刀は「烏頭ウトウ」)。

道策常頼

内院正二等研儀官。方術などの呪術に優れる。知識量が非常に多い。中国語が話せる。(hey_kounoikehey_kounoike様の人事ファイルより、道策管理官の親類ということになっています)

王島民

「医院」メンバーの中国人。医院側でも調査局の不穏な動きを掴んでおり、そのエージェントとして派遣された。目的の一致により主人公2人と共闘する。メカニトの知識を持ち合わせているほか、日本の術とは異なる中国の秘術を使う。


陸軍

須藤賢了

負号部隊中佐。黒幕その1。線虫を利用し、亡者大隊の結成を図る。研究所の近くにあった集落1つを丸々亡者の大隊に組み込んだ。
負号部隊の中でも特に急進的な人物であり、彼の独断により亡者大隊が創設される。

佐伯肇

異常事例調査局大佐。黒幕その2。線虫を改造しSK-BIOを独自に製造、サーキシズム強化大隊の結成を図る。自らも強化を施している。
キャラのイメージは笑顔でロクでもない実験するような感じ。PSYCHO-PASSの槙島聖護とかそんな感じのやつ


線虫

今作のキー。負号部隊・ジョフクのバベッジ博士が製作(蘇生する線虫のプロトタイプ、ということにしている)。部隊内では「傀儡蟲」と呼ばれている。生きた人間に感染し、宿主の死と同時に活性化。宿主の負傷や疾病の元を修復・除去し、数時間の内に全快して蘇生する。中枢神経組織と代替しているため、宿主の意思は存在せず命令を素直に受け入れるだけの人形のような実体と化す。
なお蘇生は繰り返し行なえるが、回数を重ね過ぎると異常増殖を起こし、宿主の体を破壊し周囲に拡散する(=周囲の人間に感染が拡大する)。倒すには宿主の首を落とすか、宿主を線虫諸共焼くこと。宿主が生きている間は全くの無害。正規の方法の処分も同様の方法を取る。


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