アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-81██の標準収容ロッカーに収容され、実験以外でロッカー外に出す行為の一切は禁じられています。実験の許可は担当職員2名以上の許可を得た上で、SCP-XXXX-JPを視認する一切の行為は鎮静剤を投与したDクラス職員により行われます。この際、SCP-XXXX-JPを視認する時間は必ず15分以内に留める事に留意してください。
新たなSCP-XXXX-JPが発見された場合、現在には即座に機動部隊え-44「相談員」が派遣され、収容及び周辺一般人の対象への転化の確認・防止を行います。この過程で発見された対象は原則終了の対象となります。
説明: SCP-XXXX-JPは788×1091mmの画用紙に灰色の塗料を用いて描かれた単色画です。SCP-XXXX-JPを直接視認した人物(以下、対象)は、視認した地点から最も近い教育機関に所属する特定の児童・生徒(以下、目標)の知識を獲得し、目標に対して強い嫌悪感・敵愾心を認識します。これにより対象は目標へ重傷を負わせる事を主目的とした凡ゆる行為を最優先に行動するようになります。この精神影響を解消する試みは2023年現在、財団の保有する如何なる科学技術を用いても失敗しています。
発見経緯: SCP-XXXX-JPは2019年、██県██市の教育委員会が主催する「高校生いじめ防止ポスターコンクール」の応募作品として██高校2年の園田裕一氏(以下、園田氏)が制作し、下記のインシデントの発覚後に収容されました。
2019年9月2日。██高校2年4組にて傷害事件が発生しました。被害者は同クラスの生徒23名でいずれも一命は取り留めたものの、腕の複雑骨折や脊髄の損傷等何らかの後遺症が残る重傷であった事が共通しています。加害者は██高校の教師2名と3年生の生徒が1名、2年生の生徒4名の計7名で、警察に扮した財団エージェントによる介入時の報告によればその全員が非常に被害者に対して敵対的であったとの事です。事態が鎮圧した後に行われた現場検証と複数のインタビューから、加害者の7名は事件直前に職員室にいた事が判明しており、居合わせた別の教師は「突然7人が職員室を飛び出して行った」と回答しました。
この事からエージェント数名が職員室の捜索を開始。その際、エージェント1名が突如職員室を離れ、教室で治療中であった被害者の生徒に傷害行為を加えようとした為、その場で複数のエージェントに取り押さえられました。エージェントはその過程で職員室の絵について度々言及しており、この事からSCP-XXXX-JPの異常性と位置が判明し発見に至りました。
加害者の教師の1人は美術を担当しており、職員室で前日に回収された「高校生いじめ防止ポスターコンクール」の応募作品を整理している最中にSCP-XXXX-JPの異常性に曝露。その他の教師と生徒は美術教師の付近に居合わせた結果、偶発的にSCP-XXXX-JPを視認し、影響を受けたと推測されています。
財団はSCP-XXXX-JPを制作した園田氏に接触を試みましたが、園田氏はインシデント当日██高校に登校していなかった為にエージェントが園田氏の自宅を訪れた所、心肺停止状態の園田氏が発見され発見後すぐに病院へ緊急搬送されたものの処置が間に合わず死亡しました。司法解剖により死因は窒息死である事、死亡推定時刻は発見の10時間前、9月2日の午前2時頃である事が判明しました。
園田氏の自宅には園田裕一氏以外に母の佳菜子氏が在住していましたが、インシデント当日は親族の法要という理由で居らず、園田氏の自殺について認知していませんでした。
以下は園田佳菜子氏にインタビューを試みた際の音声ログです。
インタビュアー: エージェント牟田
対象: 園田佳菜子氏(以下、佳菜子氏)
補足: エージェント牟田は██警察署の警部補として潜入しており、SCP-XXXX-JPの発見現場における早期対応を行っていた。園田氏の自殺が判明した事で佳菜子氏は当初酷く錯乱しており、当インタビューは精神状態の鎮静を待って、最寄りの警察署の個室で行われた。
<記録開始>
エージェント牟田: 園田さん。大丈夫ですか?
[しばらくの沈黙]
佳菜子氏: ……はい。すいません。ちょっとまだ……。
[佳菜子氏は口元をハンカチで覆っている]
エージェント牟田: 無理はなさらないでください。それでは幾つかご質問をさせていただきます。よろしいですか?
佳菜子氏: ……はい。
エージェント牟田: 裕一さんに対してですが、最近何か変わった事はありませんでしたか?
佳菜子氏 具体的な事は特にありませんでした。ご飯はいつも一緒に食べてましたし、機会自体はそこまで多くありませんでしたが普通に日常会話はしていました。元々物静かな子でしたから。
エージェント牟田: そうですか。
佳菜子氏: ……母親失格です。自殺するような状態まで追いやられてたのに全く気づかないなんて。本当に。[小さな嗚咽]
エージェント牟田: 何か、その。自殺につながるような、いじめの兆候などは?
佳菜子氏: ありませんでした。傷ついて帰ってきたりとかはありませんでした。……でも時々、異様に肌を見せる事を躊躇っていた時期が時々。もしかしたらあれが。……本当に馬鹿。馬鹿。
エージェント牟田: 心中お察しします。
[しばらく小さな嗚咽が部屋に響く]
佳菜子氏: [嗚咽]すいません。
エージェント牟田: いえ、いいのですよ。
佳菜子氏: 何か、変わった事でしたよね。ちょっと考えていたんですよ。あの、でもこれはそこまでは……。
エージェント牟田: 何でも大丈夫です。お話しいただけますか?
佳菜子氏: 裕一は最近、部屋の中に入られる事をすごく嫌がっていたみたいで。あのくらいの年頃なら普通の事なのかもしれないんですけど、今年の夏休みは特にそれを強く感じました。
エージェント牟田: ええ。
佳菜子氏: どうやら何かの絵画コンクールに出す絵を頑張って描いてたみたいなんです。それを見られたら恥ずかしかったのか、夏休みの終盤は部屋に篭りっきりでした。結構時間をかけていたので力作なんだなと。
エージェント牟田: 裕一さんは元々絵を描くのは好きだったんですか?
佳菜子氏: はい。小さな頃から定期的にスケッチブックをねだるくらいには描いてました。時々描いたものを見せてもくれたんですよ。結構上手くて、自慢だったみたいです。
エージェント牟田: そうですか。ありがとうございます。その他に何かありますか?
佳菜子氏: そうですね。
[しばらくの沈黙]
佳菜子氏: 今年の8月中頃ですが。
エージェント牟田: はい。
佳菜子氏: 1人で旅行に行ってました。青春18切符を使って。
エージェント牟田: どこに向かったのかは?
佳菜子氏: 色々回っていたみたいです。京都とか大阪とか姫路とか。一人旅をするのは初めてだったので心配してたんですが、とても堪能していたのか満足げでした。お土産もいっぱい買ってくれて。一緒に食べたんです。美味しかった。
エージェント牟田: なるほど。
佳菜子氏: そういえば旅行の後から、絵を描くために篭り始めたような気がします。スケッチブックも持っていったみたいだったので、スケッチ旅行でもしたんでしょうか。結局その絵は見せてもらえませんでしたけど。
エージェント牟田: 分かりました。それではこれで聴取は終了になります。ご協力感謝します。
佳菜子氏: あの、裕一の描いた絵は。
エージェント牟田: 残念ながら見つかっていません。学校内で紛失したようです。現在捜索していますので、分かり次第お伝えします。
佳菜子氏: お願いします。裕一の、息子の形見なんです。
エージェント牟田:尽力します。
<記録終了>
補遺1: 佳菜子氏から得られた情報を元に園田氏が夏季旅行中に降車した駅を確認した所、豊橋・関ヶ原・近江八幡・山科・姫路の5つの駅が該当しました。財団の調査の結果、上記の駅の周辺地域では過去10年間に10代の児童・生徒が自殺する事件が発生していた事が共通していました。
また、降車駅から各地域の監視カメラで得られた情報を精査すると、園田氏は自殺者の遺体発見現場や墓地、居住していた住宅などを訪れていた事が新たに判明しました。
自殺した人物の詳細は以下の通りです。
草野哲(クサノアキラ): 享年18歳。死因は転落死。2007年9月21日、愛知県豊橋市牛川町の歩道橋から道路に転落。現場の様子から自殺とみられる。生前、地域の交番にいじめに遭っている事を報告し助力を求めた事例が報告されている。
鈴浦果音(スズウラカノン): 享年14歳。死因は睡眠薬による服毒死。2012年1月7日、岐阜県関ヶ原市の自宅で自殺が発覚。当時のマスメディアの取材で学校内での習慣的ないじめが発覚。死体には腹部に複数の痣が発見され、後に両親が虐待をしていた事が発覚し一時話題となった。
樋口渚(ヒグチナギサ): 享年16歳。死因は縊死。2018年5月10日、京都府京都市山科区の山中で地元住民が首を吊っている状態の樋口氏を発見する。発見された時点で既に死亡しており、遺体の直下にはいじめを苦に自殺するという旨の遺書が遺されていた。遺書には樋口氏を加害していた人物として通っていた学校の生徒数名の名前も記されていたが、学校側は「該当する人物は深く反省している」として1ヶ月の停学を言い渡すのみに留めた。
大貫莉亜(オオヌキリア): 享年11歳。死因は溺死。2010年8月31日、滋賀県近江八幡市の██池公園で地元住民が池に浮いている水死体を発見する。体内に溜まったガスが原因で浮上したものとされ、遺体は非常に腐敗が進んでいた。後の検死解剖で数日前から行方不明だった大貫氏であり自殺である事が発覚した。通っていた小学校のクラスメイト複数名から日常的に暴力行為を受けていた事が分かっているが、これは自殺の発覚後に担任の教師が自白した事で判明した事で、大貫氏の生前は保身から意図的に隠蔽していた。
纐纈史乃(コウケツフミノ)・上岡ののか(カミオカノノカ): 享年は両者とも14歳。死因は転落死。2019年5月6日、兵庫県姫路市書写の██中学校の屋上から転落し死亡。夜間に学校内に侵入し心中を図ったものと推測される。早朝、学校の用務員が校舎下に倒れていた2名を発見し事件が発覚。両者の飛び降りたと推測される地点にはスマートフォンが残されており動画が回されていた。動画の内容は纐纈氏・上岡氏の両者の関係に対して差別的な言動や行為を行った教師・クラスメイト・保護者へ罵倒する両者の様子と自殺の瞬間が記録されていた。
園田氏の旅程を追っていた財団エージェントはこの過程で、樋口渚氏の父である樋口正一氏が園田氏と接触していた事を突き止めました。正一氏にインタビューを行った際の音声ログは以下を参照してください。
園田氏の家宅捜索の過程で、園田氏本人のものと見られる手帳が発見されました。中には上記の人物の自殺現場の位置・自殺までの経緯・家族関係・実家の位置等複数の情報が記載されていました。園田氏の部屋に残されていたコンピュータの履歴にはニュース記事や動画から雑多な掲示板まで多数の自殺者に関する情報が残されていました。園田氏はこれらの情報をもって自殺者に関わる各所を巡っていたものと見られます。
補遺2: SCP-XXXX-JPの絵画から採取された絵の具に通常とは異なる成分が含まれていることが発見されました。以下は確認された成分です。
骨片の出所は定かではありませんが、SCP-XXXX-JPの発見以後間も無く行われた調査で、園田氏が巡った各地の自殺者の墓に一貫して墓石を引き摺った形跡や骨壷に触れられた形跡が見られる事から、自殺者の骨を採取し自宅で擦り砕いて黒色のアクリル絵具に混入させたものと見られています。この事は家宅捜索を行った地元警察在籍のエージェントが園田氏の部屋に複数の微細な骨片を発見している事から現状最も有力視されています。
絵具と骨片の混合物は、死亡した園田氏の口腔内や食道・胃からも検出されており、状況からSCP-XXXX-JPを完成させた後、残留した混合物を意図的に飲み込む事で窒息状態を起こし、自殺を図ったものと推測されています。
また、担当職員主導の下、Dクラス職員を運用してSCP-XXXX-JPに蛍光X線元素分析法を用いた下絵の分析を行った所、以下のような画像が検出されました。
画像内に見られる人物の特徴や様子から、当該画像は樋口渚氏の自殺時の様子を模写したものと推測されています。
下絵の存在が発覚した事により、SCP-XXXX-JPと同様の異常性を有するアノマリーが複数存在する可能性も考慮されており、現在は園田氏の移動した経路を中心に捜索が続けられています。
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任意A任意B任意C- portal:4294355 (25 Jun 2019 23:27)
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