SCP下書き「君と、いつの日か/いつまでも」

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SCP-☓☓☓☓-JP-1の一種

アイテム番号: SCP-☓☓☓☓-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-☓☓☓☓-JPが活動場所としている一帯を含めた山脈地帯はアイルランド政府直轄の国立公園として取り扱われます。SCP-☓☓☓☓-JPの存在する敷地は有毒ガスの発生地域として民間人の立ち入りを禁止し、SCP-☓☓☓☓-JPに無許可で侵入した人物はクラスA記憶処理を施し、国立公園の管理者を装った職員が下山するよう促します。

SCP-☓☓☓☓-JPはオブジェクト保護の観点から1週間に一度、財団の技術部によるメンテナンスを行います。インタビュー等は担当職員に許可を申請した上で行ってください。

SCP-☓☓☓☓-JP-1の花畑は種子の飛散を防ぐ目的で強化ガラス製のドームで完全に遮断します。未確認の種が確認された場合は現地でSCP-☓☓☓☓-JP立ち合いの下調査を行います。

説明: SCP-☓☓☓☓-JPは体の大半が未知の機器によって構成された人型実体です。外見上はコーカソイド系の30代前半の男性に酷似した特徴を有していますが、表面の人工皮膚の部分的な剥離や左腕の欠損など損壊が見られます。SCP-☓☓☓☓-JP本来の肉体と機器類は粗雑に合成されているにも関わらず、その接続面には一切の継ぎ目が無く完全に塞がっています。SCP-☓☓☓☓-JPは成人した人間と比べても遜色ない知能を有しており、日本語や英語を通じての会話が可能です。発見当時に見られた錆や苔の侵食状況から少なくとも30年以上風雨に晒された状態にあった事が判明しています。

SCP-☓☓☓☓-JPの腹部には直径30cmのカプセル型の機器が存在し、24時間に一度起動します。活性化したカプセルは内部で植物の種子を生成し、排出された種子は異常な速度で成長します(以下、植物をSCP-☓☓☓☓-JP-1と呼称)。

SCP-☓☓☓☓-JP-1は全ての例において一般的な草本植物の性質を保った形で発見されており、現在までに1273種が確認されています。確認例の大半は既知の草花と一致していますが、30%ほどの割合で未確認の種類やサクラやツバキなど本来は樹木として存在するはずの種類、複数の花の特徴を有する種類なども発見されています。またSCP-☓☓☓☓-JP-1は通常の草本植物と比較して非常に生存期間が長く、確認されている中では10年間細胞劣化の兆候が見られなかった例も報告されています。その他生存能力も高く、土壌が存在すれば極度に汚染された環境でも支障無く成長し、高温や低温、強風などの環境的要素に対して強い耐性を持ちます。現在、SCP-☓☓☓☓-JP-1の総数は約1万4000輪です。

発見経緯: SCP-☓☓☓☓-JPはアイルランド国内に伝わる都市伝説の調査をしていたフィールドエージェントによって発見されました。都市伝説は「ある高原にはこの世の全ての花が咲く場所があり、そこを一体のロボットが守り続けている」というものであり、財団が接触する以前に一般人がSCP-☓☓☓☓-JPと遭遇し流布したものと見られています。SCP-☓☓☓☓-JPが活動していた高原は周囲を森林や高壁に覆われ、一年を通して霧が発生しやすい地域であったことから一般人の立ち入りが極端に少なく、流布に繋がらなかったと見られています。SCP-☓☓☓☓-JPはフィールドエージェントに対して友好的であり、花の育成を妨害しない事を条件に財団の収容下に置かれました。

補遺1: 以下は初期収容時におけるSCP-☓☓☓☓-JPのインタビュー記録です。

回答者: SCP-☓☓☓☓-JP

質問者: エージェント██

付記: SCP-☓☓☓☓-JPが収容に応じた後初めて行われたインタビュー。
<記録開始>

エージェント██: オーケイ。ではインタビューを始めよう。改めてよろしく、SCP-☓☓☓☓-JP。

SCP-☓☓☓☓-JP: よろしく。何というか[少しの沈黙]その呼ばれ方は慣れないな。

エージェント██: そこはどうか我慢してくれ、これも決まりなんだ。

SCP-☓☓☓☓-JP: 分かってるよ。花を荒らさないならどう呼んでくれたって構わないさ。

エージェント██: 感謝する。さて、本題といこう。君の事を教えてくれないか?

SCP-☓☓☓☓-JP: うん。僕は見ての通りの存在だ。機械がいっぱいついた、お腹の中で様々な花の種を作れる、ただそれだけの冴えない奴さ。

エージェント██: 君は元からその姿だったのかい?

SCP-☓☓☓☓-JP: そんなはずないだろ?僕は人間だよ。こんな姿をしてはいるけれどね。

エージェント██: という事は、誰かに改造されてその姿に?

SCP-☓☓☓☓-JP: あぁ。僕の最愛の人だ。

エージェント██: 最愛の人?

SCP-☓☓☓☓-JP: そう。どこに居るかは分からないけど、彼女は今もどこかに居るはずなんだ。

エージェント██: でも君の様子から察するに、その彼女は相当な歳なんだろう?君の錆や苔、劣化の具合からして少なくとも30年以上は経過してる。

SCP-☓☓☓☓-JP: そんな事はないよ。彼女は不死身なんだ。

エージェント██: [沈黙]何だって?

SCP-☓☓☓☓-JP: 彼女は不死身で不老不死なんだ。頭も良くて、そして美しい。最高の女性だ。

エージェント██: 一応聞くけど比喩じゃないんだね?

SCP-☓☓☓☓-JP: 比喩抜きで不老不死だよ。出来た傷は数分かそこらで完治するし、病気にもかからない。それこそ死んでもすぐに蘇る。何度か見た事があるから間違いじゃない。

エージェント██: [少しの沈黙]なるほど、それでその彼女に改造されてしまった。

SCP-☓☓☓☓-JP: 僕が望んだんだ。「されてしまった」なんて言い方をするな。

エージェント██: すまない。[少しの沈黙]それで、何故改造を望んだんだ?

SCP-☓☓☓☓-JP: 一緒の時間を生きたかったからさ。

エージェント██: [沈黙]

SCP-☓☓☓☓-JP: 悲しんでいたんだ。誰も彼も彼女の手から離れていく。一緒に笑い、悲しみ、心を通わせた人たちが皺だらけになって死顔を晒すんだ。その乾いた瞳には一生分の時間が経とうが何の変化も無い自分の顔が映り込むんだ。

SCP-☓☓☓☓-JP: 彼女は人との関わりを絶ってここに石のように丸まってた。多分僕と初めて会った時はあまりいい気持ちじゃなかったろうな。

エージェント██: 君はどうしてここに行き着いたんだ?

SCP-☓☓☓☓-JP: 偶然だよ、本当さ。身寄りもなくて、まだ子供だったから働けもしなくて、だったらもういっそ好きな事しようって旅に出た。当てもない旅路だった。

エージェント██: 勇敢だな。

SCP-☓☓☓☓-JP: 臆病だよ。訪れた場所の景色や人々を孤独から逃げる為の手段として使っただけだ。どこでも、誰の中にでも良いから居場所が欲しかった。[少しの沈黙]そんな時に彼女と出会ったんだ。

SCP-☓☓☓☓-JP: その透き通る様な緑色の目を見た瞬間、僕は確信したよ。彼女の為に生きたいって。分かりやすい一目惚れだ。それから僕は彼女の事を沢山知ったよ。不死身な事、花が好きな事、泣き虫な事、たまに見せる笑顔が素敵な事、本当に沢山。

エージェント██: そして、ずっと一緒にいたいと思うようになったのか。

SCP-☓☓☓☓-JP: 「何十年かかっても一緒になろう」って、そう伝えた時は彼女もすごく喜んでくれたっけ。それから二人で色んな所を巡ったよ。不老不死に関する話があれば何処にでも行った。そして見つけたんだ。

エージェント██: それが改造だった訳だ。

SCP-☓☓☓☓-JP: 思えば簡単な話だ。機械に体を入れ替えれば、メンテナンスさえかかさない限りどれだけでも動くことができる。旅の途中で会った男の人も協力してくれてね。「気まぐれ」って言ってたけど最後まで居てくれた。良い人だった。

エージェント██: その男の話も気になるが[沈黙]まあ後日聞くとしよう。そして改造は成功した訳だな。

SCP-☓☓☓☓-JP: [沈黙]そうだね。

エージェント██: どうしたんだ?成功したんだろ?

SCP-☓☓☓☓-JP: [沈黙]目を覚ました後、そこに居たのは男の人だけで、彼女は何処にも居なかった。

エージェント██: [沈黙]

SCP-☓☓☓☓-JP: 男の人が教えてくれた。「彼女はもう二度と会いたくないと言って出て行ってしまった。ここまで協力したのは君に対する恨みで、同じ地獄を味わって欲しかったからだそうだ。手術は成功したよ。君はこれで不老不死だ」とね。

SCP-☓☓☓☓-JP: 目の前が真っ暗になったよ。不老不死になった事がショックだったんじゃない。彼女の気持ちを全く理解できていなかった事に絶望したんだ。僕は独りよがりだったんだ。恨みを買われて当然だよ。不死の苦しみを分かつなんて結局は理由づけ。ただ彼女のことが好きだっただけだったんだ。

エージェント██: じゃあ君はそれからずっと?

SCP-☓☓☓☓-JP: 僕にはもうこれしかないんだ。お腹のこれは彼女の大好きだった花を幾らでも生んでくれる。せめて彼女に会ったこの場所を、いつまでも綺麗にしておきたいんだ。そして[沈黙]そしてもし彼女が帰ってきたら、僕は[暫くの沈黙の後嗚咽]

エージェント██: ありがとう。インタビューを終了する。

<記録終了>

補遺2: SCP-☓☓☓☓-JPの情報を記録する為、許諾を得た上で行われた身体検査で、腹部のSCP-☓☓☓☓-JP-1の種子を生成する部分に生体的な機構が見られる事が判明しました。この機構は人間の臓器と見られる物体に水分の注入ケーブルや複数の電極、ナノマシン的な機械群等によって構成されており、臓器部分からはSCP-☓☓☓☓-JPの肉体から産出された遺伝子情報と全く一致しない人間のDNAが発見されました。精密検査の結果、同一人物のものと見られる皮膚や臓器などがSCP-☓☓☓☓-JPの身体の複数箇所から発見されました。SCP-☓☓☓☓-JP本来の肉体から得られた細胞には幾つかの劣化の兆候が見られたにも関わらず、この人物のものと見られる細胞には全く劣化が見られず、細胞を採取した際に着けた微細な傷が数分の内に跡形も無く消失した事は特筆すべき点です。

補遺3: 20██年█月█日。SCP-☓☓☓☓-JPの管理する花畑内に正体不明の人型物体が確認されました。当該実体は瞬間的に出現し、30秒後に消失した為に確保には至りませんでした。下記のメモは確認地点付近で発見されました。

失敗と嘘は醜いものだ。だが彼女の行いはこの上なく愛に満ちていた。どうかいつまでも幸せに。
-パングロス


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