チンケなスリ師
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オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは標準的な人型オブジェクト収容室に収容され、1日に3度財団職員と同様の食事が提供されます。収容室内は映像記録装置で監視し、収容室前には武装した警備員を2名配置します。SCP-XXXX-JPと接触する場合、収容室内には必要最低限の物品のみ持ち込むようにしてください。

説明: SCP-XXXX-JPは1942年生まれの東京都足立区に住んでいた日本人男性です。戸籍上に名前は藤崎 勝政と記載されています。SCP-XXXX-JPは後述する能力を除き一般的な人間との差異は見られません。

SCP-XXXX-JPは意識的に両手首から先を物体に透過させる異常性を保有しています。異常性を発揮中に手を握りこむことで、手で保持している物体にも異常性を付与することが可能であり、手を離すまで異常性を発揮させ続けることができます。SCP-XXXX-JPはその異常性を使用し長年に渡り窃盗を行っていました。警察ではSCP-XXXX-JPを"箱師1のマサ"と呼称し窃盗の重要参考人としてマークしていましたが、証拠が無く逮捕までにはいたりませんでした。

20██/██/██、東京都███線内に設置された監視カメラによってSCP-XXXX-JPの犯行が撮影されたことで警察に逮捕され、捜査を担当していた警察内に潜入中の財団エージェントにより確保されました。

実験記録:

実験記録001 - 日付20██/██/██

実施方法: 研究員の背広の内ポケット内の財布から千円札一枚のみを回収させる。財布内には日本銀行券を各種一枚ずつ入れている。

結果: SCP-XXXX-JPは問題なく千円札を一枚回収しました。

分析: SCP-XXXX-JPは回収する対象を任意で選択できるようです。

実験記録002 - 日付20██/██/██

実施方法: 研究員の背広の内ポケット内の財布から1億ジンバブエドル紙幣のみを回収させる。財布内は実験記録001の財布に1億ジンバブエドル紙幣を加えたもの。

結果: SCP-XXXX-JPは特異性の発揮後、1億ジンバブエドル紙幣を回収せずすぐに研究員から離れました。SCP-XXXX-JPは1億ジンバブエドル紙幣を見たことことが無く、これ以上の接近は窃盗行為の発覚に繋がるので回収はできないと発言しました。

分析: SCP-XXXX-JPは正確にイメージできなければ回収はできないようです。

実験記録008 - 日付20██/██/██

実施方法: 生卵の殻を割らずに黄身のみを回収させる。

結果: 生卵全体を透過してしまい黄身のみの回収はできませんでした。

分析: 細胞が癒着している場合は一個体として認識してしまうようです。

実験記録014 - 日付20██/██/██

実施方法: 80cm×80cmの厚さ5cmの鉄製金庫の中にあるビー玉を金庫を開けずに回収させる。

結果: 金庫は透過したものの、ビー玉には手が届きませんでした。

分析: 特異性はSCP-XXXX-JPの手首より先に限定されているようです。SCP-XXXX-JPの収容室の壁も通常のものを採用して問題ないと思われます。

実験記録029 - 日付20██/██/██

実施方法: 財団製の電子ロック錠を特異性のみで開閉させる。

結果: SCP-XXXX-JPは錠の構造が理解できなかったため失敗しました。

分析: 今回使用した錠はSCP-XXXX-JPの収容室の扉に採用します。念のため扉のロックは大型で重量のあるものを使用します。

実験記録035 - 日付20██/██/██

実施方法: Dクラス職員に飲み込ませた飴玉を回収させる。

結果: SCP-XXXX-JPは実験の継続を拒否しました。

分析: 人体透過の実験をするつもりでした。

インタビュー記録:

対象: SCP-XXXX-JP

インタビュアー: █博士

実験記録035での実験継続拒否についての尋問です。実験後に実験室内でインタビューを行いました。監視役として大下警備員が出入口付近に立っています。


<記録開始>

█博士: なぜ、実験を拒否したんです?

SCP-XXXX-JP: …いや、私も協力したい気持ちはあるんですがね。如何せん、人に触れられないもんで。

█博士: 触れられない?

SCP-XXXX-JP: いや、まぁ、そちらさんもご存知とは思いますがね。私はこう見えて昔は…医者をやっておりまして。

█博士: 収容前の貴方のプロフィールは調査済みですし、把握しています。

SCP-XXXX-JP: ええ、私は、まぁ、なんと言いますか。自分で言うのもなんですが、外科医としては優秀な方だったんでしょうなぁ。いくつも難しい手術を成功させて、稀代の天才と周囲から煽てられて、まぁ…天狗になっていたんですわ。

█博士: はあ…。

SCP-XXXX-JP: それで、その日も、小児癌の摘出手術をしたんです。心臓の腫瘍は摘出が難しいですが、何度も成功させた手術ですし今回もすぐに終わるだろうと。…無理でした。

█博士: 無理?

SCP-XXXX-JP: 心臓の腫瘍の摘出後、縫合を始めようとした時に気付きました。心臓の裏側に腫瘍が転移していたんです。レントゲンで私は気付けなかった。患者の体力では手術の続行は無理だと判断し、縫合をしました。

█博士: …その後は?

SCP-XXXX-JP: いや、再手術も検討されましたがね、若い人の癌ってのは転移も早いもんでして。患者の体力が戻る前にはもう手遅れでしたよ。

█博士: 若い…ああ、小児癌と言っていましたね。

SCP-XXXX-JP: 私のミスです。いくら当時の技術だったとしても、私が気付いていれば、あの子の命は助かって、今ごろは大人になっていて…あの頃に夢見た未来に生きていたのかもしれない。なのに、あの子の両親はですね、あの子の葬儀の日に私にありがとうと言いました。

█博士: ありがとう?

SCP-XXXX-JP: あの子のために一生懸命手術をしてくれてありがとう、と。あの子も喜んでいるはずだと。何を言っているんですかね。私が本当に一生懸命だったら、あの子は死んでいなかったはずなんです。

█博士: それは…。

SCP-XXXX-JP: それからです。私がメスを握れなくなったのは。

█博士: …精神的なものですか?

SCP-XXXX-JP: いいえ。本当に握れなくなりました。

█博士: 握れなく…特異性が発揮したんですね。

SCP-XXXX-JP: 私も最初は精神的なものだと思ったんですが…なんなんでしょうね。メスと、後は人の体も、あの日から私の手はすり抜けるようになってしまいました。あの子を救えなかったから、医学の神様が怒ったんですかね。お前のような奴は医者に相応しくないんだぞ、と。命を拾えないものにメスを握る資格は無いのだと。結局、私は病院を辞めざるをえなくなりまして。他の仕事も上手くいかなくて。最後には、まぁ、その力を使って、ええ、スリをするようになりましたがね。

█博士: そうですか。

SCP-XXXX-JP: ですからね、握れないんですわ。人の体も、刃物全般も。刃物なんて凶器を持たせる実験なんて、そちらさんもやらんでしょうからな。今の内に教えときますわ。

█博士: …貴方は。

SCP-XXXX-JP: はい?

█博士: 貴方は…罰せられたいのですか? だからスリ師になったんですか?

SCP-XXXX-JP: 何が…。

█博士: 警察が貴方の逮捕に踏み切れなかったのは被害がいずれも少額だったからだ。1人の被害者に対しての被害は財布から千円札を一枚か、タバコを一箱。大金や貴金属は決して盗まない。貴方の特異性ならば空き巣も強盗もできたはずだ。なのに、貴方はスリに拘った。

SCP-XXXX-JP: スリ師になって40年。私にもね、スリ師の誇りってもんがあるんでさぁ。

█博士: …1日に3件だけスリをする。低所得者からはスリをしない、衣食住は最低限。これが貴方のスリ師としてのプライドですか? 医者だった貴方にとって、生きていくだけで精一杯なほどに生活レベルを落とすのは苦痛ではなかったのですか?

SCP-XXXX-JP: …何を言っているのやら。私はね、自分の力を使って身の丈に合った金を稼いでいた。ただそれだけですわ。(タバコを口に咥えてライターで火をつける。)

█博士: …は、え?

大下警備員: …は? (ズボンのポケットに手を入れる。) おい、それは俺の!

SCP-XXXX-JP: 警備員が隙だらけってのは感心しませんなぁ。

大下警備員: (SCP-XXXX-JPからタバコとライターを回収する。)

SCP-XXXX-JP: 体力資本の仕事でしょう? こんなもの吸ってちゃいけませんな。体は労ってあげないと。

█博士: …医者みたいなことを言うんですね。

SCP-XXXX-JP: …いや、本当に、なんなんですかねぇ、さっきから。私は医者なんて立派なもんなんかじゃありません。私はただの…チンケなスリ師でさぁ。

<記録終了>

収容違反発生事案: 20██/██/██ SCP-XXXX-JPの収容違反が発生しました。発生時は同サイトに収容されていたSCP-████-JPの収容違反が発生しており、その際に乗じて発生したものです。以下は収容室前に設置された記録装置の映像を文章に起こしたものです。

<映像開始>

13:50:55 [画面中央にSCP-XXXX-JPの収容室の扉。その両隣に鷹山警備員と大下警備員の2名が立っている。]

13:51:35 [激しい銃撃音に反応する警備員2名。]

13:51:51 (鷹山警備員) 気にするな。部屋の奥で隠れてろ。

13:51:57 (館内アナウンス) 現在、A棟にてSCP-████-JPの収容違反が発生しています。職員各位は収容プロトコルに従い、所定の位置に着いてください。

13:52:00 (大下警備員) おいおい、マジかよ。危ないなぁ。

13:52:04 (鷹山警備員) 俺たちはここで待機。別棟だが、念のために重火器を俺の分も持ってきてくれ。

13:52:19 [大下警備員が武装を取りに画面外右の警備員待機所に入室。]

13:52:44 [鷹山警備員が画面外からの銃撃を胸部に受け転倒。後に再収容を試みた特殊部隊の発砲したものがSCP-████-JPの特異性により転移したものと判明する。]

13:53:04 (SCP-XXXX-JP) 鷹山さん! 鷹山さん!

13:53:12 [悶絶する鷹山警備員。]

13:53:26 [収容室内からSCP-XXXX-JPの叫び声が聞こえる。]

13:53:32 [扉の電子パネルにロック解除の表示が出現しSCP-XXXX-JPが扉から出てくる。手のひらからの出血と右手中指爪の剥離が確認できる。]

13:53:37 (SCP-XXXX-JP) 鷹山さん! 大丈夫ですか!

13:53:46 [鷹山警備員の制服を脱がし、服を頭部と床の間に挟み込む。]

13:53:12 (SCP-XXXX-JP) 銃創…射出痕は無し。体内に残留…。

13:53:26 [画面外から重火器を抱えた大下警備員が出てきて鷹山警備員に駆け寄る。]

13:53:32 (大下警備員) 鷹山!

13:53:37 (SCP-XXXX-JP) 動かすな! 銃の弾が体内に残っている。それも心臓の付近だ。無理に動かすのは不味い。

13:53:46 (大下警備員) どうすればいい?

13:53:54 (SCP-XXXX-JP) 医療班は?

13:53:56 (大下警備員) プロトコルの関係でこちらの棟の医療班もA棟に行ってる。この銃撃戦だと、負傷者も多いと思うから来るのは無理だと思う。

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) …メスと消毒用アルコール、それと清潔な布と針と糸。

13:54:01 (大下警備員) おい、アンタここで手術する気なのか? アンタの特異性で何とかしろよ!

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) 弾は心臓付近で止まってる。この場での摘出は不可能だ。だが、場所が場所だからこのまま放置すれば主要な血管を傷付ける可能性がある。だから、切開して私がこの目で確認する。鷹山さんの体内にあるのは弾丸だ。私は見たことがないし、スるのなら目視しなければいけない。

13:54:05 (大下警備員) メス…刃物は武装用の大型ナイフぐらいしか…。他は待機所には無い。取りに行かないと…。

13:54:11 (SCP-XXXX-JP) ならナイフだけ寄越して他のものをとってきてくれ。後はライターを。

13:54:20 (大下警備員) ライター?

13:54:33 (SCP-XXXX-JP)どうせタバコ止めてないんだろ! ナイフの消毒に使う!

13:54:38 [大下警備員は自身のライターとナイフを鞘ごとSCP-XXXX-JPに渡し、別フロアに指定の品を取りに行くため画面外へ。]

13:54:45 [SCP-XXXX-JPは躊躇う様子を見せるも、柄を握って鞘からナイフを引き抜き、刃をライターで炙る。]

13:54:48 (SCP-XXXX-JP) 出血は少ない。なら主要血管は今は傷付いていない。少し開いて弾の一部が見えればいい。大丈夫だ。何百回と開いてきたんだ。大丈夫。…大丈夫!

13:54:59 [大下警備員が布を持って出てくる。]

13:55:03 (大下警備員) 未使用のタオルを何枚か見つけてきた! 針と糸はもう少し待ってくれ。

13:55:16 (SCP-XXXX-JP) 針と糸はいい。時間が無い。最低限の出血に抑えて切開する。麻酔無しだから暴れるぞ。しっかり体を抑えてろ。

13:55:20 [鷹山警備員の体を抑える大下警備員。SCP-XXXX-JPはタオルを受けとると鷹山警備員の口に1枚捩じ込み、胸にナイフを近付ける。]

13:55:52 (SCP-XXXX-JP) 鷹山さん、結構痛いぞ、我慢しろ!

13:55:58 [ナイフが突き立てられ鷹山警備員の体が大きく跳ねる。]

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) しっかり抑えて!

13:54:01 [悶絶し暴れる鷹山警備員。]

13:54:01 (大下警備員) 鷹山! 大丈夫だ鷹山!

13:54:01 [鷹山警備員の叫び声。傷口から溢れる血液をタオルで拭きながら患部をナイフと指で開くSCP-XXXX-JP。]

13:54:01 (大下警備員) まだかよ!

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) …あった、あった!

13:54:01 [SCP-XXXX-JPが特異性を発揮する。]

13:54:01 [SCP-XXXX-JPの指に弾丸が摘ままれている。]

13:54:01 (大下警備員) やった、やったぞ鷹山!

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) まだ! 針と糸! 忘れるな!

13:54:01 [慌てて画面外に出ていく大下警備員。]

13:54:01 [タオルを押し付け出血を抑えるSCP-XXXX-JP。]

13:54:01 [鷹山警備員が口のタオルを自力で取る。]

13:54:01 (鷹山警備員) 痛ぇなぁ…。

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) 無事か! 大丈夫か!

13:54:01 (鷹山警備員) 本当に腕の良い医者だったのかよ…。痛くて目が覚めちまった…。

13:54:01 (SCP-XXXX-JP) よかった…。本当によかった…! ありがとう! ありがとう! 生きててくれて…ありがとう!

13:54:01 [鷹山警備員の手を握って泣き崩れるSCP-XXXX-JP。]

13:54:01 (鷹山警備員) …まったく。これじゃあ、どっちが救われたかわかんねぇよ…。

<映像終了>

補遺: 収容違反発生により収容プロトコルの見直しが検討されています。SCP-XXXX-JPは収容違反時は無我夢中だったため扉のロック解除の方法を覚えていないと発言しているため、収容違反発生前後で特異性の差異は無いか再度実験を行います。

現在、SCP-XXXX-JPにはEクラス職員と同等の権限が与えられており、GPSと監視員をつけることでサイト内での行動が認められています。

またサイト内で怪我人が出た場合、緊急性を要する事案の時はSCP-XXXX-JPに治療を依頼することができます。

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