Tale案:太陽vsスシブレード(仮題)

不自然なぐらい暗い部屋に声が響く。
「……なるほど、君の言い分はわかった。だがどうやって破壊する気だ?」
疑問を投げかける声に苦い顔をした男が返答する。
「……そこはこれから、だ。猶予は少ないが……なんとかする他ないだろう?」
かなり苦しい話だ、と理解したのだろう。最初の声は呆れたように言葉を返した。
「現段階で案が無いなら他の案を進めた方がいいと思うが……?」
「いや、方法ならある…これを見ろ」
二つの声に横槍を入れたその声に促されるままにモニターを見つめる。そこに表示されていたのは巨大な彗星、そしてスシブレード世界大会のロゴだった──────


劇場版爆天スシブレード

太陽vsスシブレード

灼熱の覇者 トロブレイズ




「おい、タカオ!そろそろ起きろよ!」
俺を呼ぶ声に目が覚める。意識も定まらない中、薄く開いた目の中に飛び込んできた男の名前を呼ぶ。
「ん……カイか……」
「あぁそうだよ…全く、そろそろ着くぜ」
少し呆れたような口調でそういうカイを見つつ、ゆっくりと状況を整理する。あぁそうだ、俺はスシブレード世界大会に行くための飛行機に乗って────
「えぇーっ!?も、もう着くのかよカイ!?」
「声がでけぇよバカ!……ったく、そうだって言ってんだろ?」
「嘘…だろ……」
そう呟く俺を見て呆れたようにため息をついたカイは俺にバッグを差し出した。
「ほら、準備しといてやったぞ」
「カイ…!」
思わず顔が綻ぶ。ありがとな、と礼を言うとカイは満更でもなさそうに笑う。その時、チャイムのような音とともに飛行機内に機械音声が響いた。
『お客様にお知らせ致します。当機はまもなく久白島に到着しますのでお荷物をご確認の上、シートベルトをお締めください。繰り返します。当機はまもなく────』


久白島。それは大部分のスシブレーダーにとっての聖地であり、憧れの的だ。現在のスシブレード界を作り上げた"回らない寿司協会"の本拠地もここに存在している。普段は協会関係者、あるいは協会との交渉に来た何者かや闇寿司の刺客程度しか来客のないこの島も、この日だけは異様なまでの賑わいを見せていた。第一回スシブレード世界大会、本戦の開催である。世界各地から猛者たちが集うその真っ只中にその少年達はいた。
「とうとうここまで来たんだな、俺達…!」
赤い髪の快活げな少年、タカオ。
「あぁ…!」
帽子を被った黒髪の少年、カイ。
「2人とも、あまり先々行かないでくださいよ…」
この暑い中なぜか黒スーツにサングラスをつけた男、浜倉。
予戦を勝ち上がった2人と付き添いの浜倉は本戦会場のスタジアムを見上げ、感慨深そうに呟いていた。
「すんまへん、通してやー!」
後ろから聞こえてきた馴染みのある声に振り向くと、アロハシャツに身を包んだ糸目の男とこれまた見慣れた顔の少女が人混みをかき分けながらこちらへ向かってきていた。
「久々やね、タカオ。それにカイも」
「姉さんにキツネさん……二人とも本戦に?」
「正確に言えばボクは観戦や。なにせボクが出たらおもろないからなぁ」
笑いながらそう答えるキツネを小突きながら、ヒロミは挑発的に笑う。
「先に言っとくけど、二人とも油断してたらあかんで?ウチの箱寿司も進化してるんやからね!」
「へっ、そっちこそ!負けても言い訳とか無しだぜ?」
お互いに軽口を叩きながら受付へと向かい、本戦の参加手続きを済ませる。
「それじゃあ、ボクらは観客席行くわ。3人とも頑張ってな」
キツネはそう言うと、浜倉を連れて立ち去って行った。その場に残った3人はお互いの顔を見合わせて頷き、グラウンドへと向かっていった。



グラウンドの中央にスポットライトが当たり、1人の男が仰々しい身振りと共に話し始める。
「レディィィイイス・アンド・ジェントルメン!ようこそ、スシブレード世界大会本戦へ!予選では20000人近くいたチャレンジャー達も今となってはたったの8名!果たして初代チャンピオンの栄光を掴み取るのは誰なのかァ!?それではスシブレード世界大会本戦!開幕ですッ!」
ワアアア、と一際大きな歓声に包まれて、タカオ達にとっての長い一日が幕を開けた。



「走れ!サルモン!」
土俵の上をサルモンが走る。迎え撃つように動くのはカルフォルニア・タイフーン──カルフォルニア・ロールのスシブレードだ。
「迎え撃ちなさーい!カルフォルニア・タイフーン!」
そう指示を飛ばすアメリカ出身の少年、マックスだったがカルフォルニア・タイフーンは度重なる攻撃によりそのシャリを減らし、最早そこに勝機は無かった。
『あーっとぉ!ここでカルフォルニア・タイフーンが最後の攻勢に打って出たぁ!』
しかし、勝機が無いからと言って諦めるマックスではない。サルモンに正面からぶつかったカルフォルニア・タイフーンはその身を削ってなおも抗い続ける。
「くッ……!」
だが、現実とは非常なものでサルモンの台風が如き乱打に晒されたカルフォルニア・タイフーンはそのシャリを、海苔をすり減らしていく。
「これで……終わりだァーッ!」
タカオがそう叫ぶや否やサルモンの回転がより一層速く、激しくなり、カルフォルニア・ロールを弾き飛ばした。
『決まったァーッ!スシブレード世界大会本戦の記念すべき第一回戦!勝者はタカオ選手です!』
「オーマイガァー!!」
敗者は己の寿司を食す──そのルールに従い流れる涙と共にカルフォルニア・タイフーンを食べながら退場していくマックスを眺めつつ、タカオもまた退場しようとして、気づいた。入退場口に人影がある。おそらくは次の試合の選手だろう。そう思い、会釈をして通り過ぎようとしたタカオの耳に声が聞こえる。
「随分と無様な試合だったな」
「何?」
随分と喧嘩腰な声に振り向いてみれば、そいつは真っ赤に燃える瞳でこちらを睨みつけていた。見下しているような、失望しているような、そんな目だった。睨み返しつつ問い返してみればそいつは答えることもなく鼻で笑い、こちらに背を向けて言い放った。
「勝の弟子と聞いて期待していたがこの程度とはな。残念だったよ」
待て、という声も無視してそいつはグラウンドに出ていった。どこか鬼気迫るもののあったその男はグラウンドの光に包まれてその姿を現した。黄金に輝く髪、真紅の瞳を持ったその男の名は──
天道てんどォォォォ!!日卯にちうゥゥゥ!!』
優勝候補だなんだと宣う実況の声と共に天道は土俵に近づき、対戦相手──ヒロミと何やら一言二言交わすと各々の寿司を構える。ここからは天道の寿司は見えないが、ヒロミの箱寿司は強い。いくら天道が強いとしても、一筋縄では行かないはずだ。そんな甘い思考を吹き飛ばすかの如く、試合開始の次の瞬間────世界が爆ぜた。



「……」

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