エッセイ: 実験記録のトラップについて

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ああ、なんだか何を書いたらいいか分からなくなってきたな…… あ!テンプレートページに使えそうなものがあるじゃないか!何々?実験記録のテンプレート?

待て!それは孔明の罠だ!


実験記録フォーマットって?

実験記録フォーマットとは、その名の通り実験の結果を記事中で読者に伝えるために用いられる特定の書式です。具体的に見てみましょう。記事のテンプレートに記載されているものをそのまま持ってきます。

__**実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD**__
> **対象:**
>
> **実施方法:**
>
> **結果:**
>
> **分析:**

実験記録フォーマットはナンバリング・日付対象実施方法結果分析から成り立っています。

ナンバリング・日付

その実験に充てられた番号、その実験が行われた日時を表しています。主に実験の前後関係や、その実験が全体を通して何度目に行われたものかを表すために用いられることが多いです。

対象

その実験が誰に対して行われたものかを表しています。大抵の場合、SCPに影響を及ぼす/及ぼされるものが入り、SCP自体がここに記入されることはありません。

実施方法

その実験がどのような手順で行われたのかを表しています。読者は対象と実施方法を加味したうえで結果に妥当性があるかを考えます。論理に破綻が起きないように気を付ける必要があります。

結果

その実験を実施して、どのような結果を迎えたかを表しています。

分析

これまでのすべての要素を踏まえて行われた実験の考察を表しています。淡々と考察を書くだけの記事があれば、研究員が自分の考えをクリニカルなトーンで記入する記事もあります。

基本的にはこれらの5要素を用います。しかし、場合によってこれらはテンプレートから逸脱した形で記事に登場します。例えば、SCP-1112-JPの実験記録では、全ての実施方法が共通しているため、それぞれの実験記録からこの項目を削除し、一番最初に実施方法のみを記しています。SCP-1377-JPの場合では、その異常性から報告書に記載できる情報量が制限されているために"入力"と"出力"のみの実験記録です。これは、実験の対象、分析が記載できず、日時を不要な情報として排除しているためです。このように、記事によって逸脱はあれど基本はこれらの要素で成り立っています。

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実験記録フォーマットはなぜ難しいのか?

ずばり、面白くすることが難しいためです。

なぜ実験記録フォーマットは面白くなければならないのか?

まず、このエッセイは誰に向けて書いているかを明記しておきましょう。このエッセイはSCP-JPというサイト上に作品を残したいという人に向けて書いています。では、その人たちは具体的に何を目指せばいいのでしょうか?それは「SCP-JP上に作品を投稿し、継続的に-2以上を維持すること」です。これは言い換えると"あなたの作品が読まれたとき、半数以上の人がUVを入れるような作品にする必要がある"、ということ。では、読者はどんな記事にUVを入れるでしょうか?それは面白い記事です。

さて、話は少し戻ります。実験記録フォーマットの構成要素を覚えていますか?5つありましたね。先ほど、その5つづつに平凡な役割の説明を書きました。あなたはそれをしっかり全部読みましたか?私は読むことを期待していませんし、むしろ読み飛ばしてほしいとさえ思っています。それはそれとして、読んでいない人はしっかり音読してきてから戻ってきてください。

戻ってきましたか?では、たいして面白くもない項目を5つも読まなければならないめんどくささと苦痛をしっかりと記憶したはずです。人間はたいして面白くない文章を5項目分も読むと嫌になってきます。普通のサイトなら嫌になった時点で読者はブラウザバックしますが、ここはSCP-JPです。読んでいたのがサイトメンバーならブラウザバックの前にDVがすっ飛んでくることでしょう。つまり、面白くない文章は存在するだけでDVされうる要因となるのです。

実験記録がDVの要因にしないために、実験記録は面白くあるべきなのです。

あなたを実験記録に誘い込む罠

以下はあなたを「記事を面白くする」以外で実験記録に誘惑する要因たちです。あなたは自分が実験記録を追記した理由が面白さの為ではなく、以下の要因の為になっていないかを慎重に見極める必要があります。


それっぽくなる

報告書を書いてみた。説明まで書いてみたはいいけれど、説明だけだと短いし、何かもっと書かなきゃいけない。ほかの記事を読んでみたら実験記録がある!これなら簡単に追加できそうだ。そして、いざ追加してみるとものすごくSCPの報告書っぽくなる!いいぞいいぞ。この調子だ……

SCP記事を書いてみると、最初の方は筆が進みますが、自分の中の書きたいことを書き終わってだんだん書くことに困り始めてしまいます。しかも、書くことに困ったからと言って完成にするにはいささか書かれていることが少なすぎて不安です。そんなときに実験記録を追加すると非常に見た目がよくなる。そのため、よく考えないで実験記録を追加する場合があります。

まず、苦し紛れで実験記録を追加すると必ず痛い目を見ます。多くの場合、本人は苦し紛れとは認識しておらず、書くことに困ったから実験記録を追加してみたら案外いい感じになったと感じている分、問題点に気付きにくいです。

書くことに困る、ということはアイディアの練りこみ不足のサインです。実験記録、インタビュー、思い付きの異常性に頼りたくなったら大人しくその文章を書く手を一旦止め、アイディアを練り直しましょう。幸い、SCP-JPには優れたアイディアの具体的な練り方を教えてくれるエッセイが存在しています。観念化:些細なものからよいアイデアを作り出すためのガイドを参考にしましょう。


正確さを追求する

説明だけではこのSCPを表現するには不十分だ。俺の頭の中にいる素晴らしいSCPはこれだけじゃ表現しきれない!もっともっと細かい対照実験をやりまくってめちゃくちゃ正確な報告書にしてやる!

多くの読者は、とてつもなく細かい実験記録を面白いとは思いません。例えば、木を鉱物に変えてしまうSCPがいたとしましょう。木の種類によってどんな鉱物になるんだろう?よし、6万種以上ある木の全部でどう変化するかを全部書いてやろう!なんてことをしても、最初の2つか3つくらいで多くの読者は読むのをやめてしまうでしょう。読者が実験記録に求めているのは正確さではありません。面白さです。その二つは同時に成り立つこともありますが、正確さを取るあまり面白さを失うようなことは避けなければなりません。

実験記録を書くとき、必ず自分に問いかけましょう。この実験記録は面白い?


自前のキャラクターを喋らせたい

私のこのキャラクターはものすごく頭が切れるし、すっごく特徴的なしゃべり方をするんだ。だから、実験記録の分析でもものっすごく的を射た発言をするんだ。報告書で自然な形で喋らせることができるし、何よりすごく頭がよく見えるのさ!

自前のキャラクターを活躍させたいあまり実験記録を挿入することはお勧めしません。その実験記録は面白くすることではなく、キャラクターを活躍させることに重点が置かれ、多くの場合そのキャラクターを活躍させたいがために様々な要素を歪めます。例えば、そのキャラクター以外の人物が愚かになる、あまりにも突飛な実験を行い成功する、SCPの影響でキャラクターがもっと強力になるなどです。

読者は実験記録でぽっと出てきただけのキャラクターに心情移入することはありません。キャラクターを愛でたいならもう少し他の手段を検討すべきです。

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典型的な実験記録フォーマットの失敗

以下は典型的な面白くない実験記録フォーマットの実例です。著者のみならず、批評者の皆さんに用意された項でもあります。ぜひ活用してください。

説明でいいじゃん

説明: SCP-XXX-JPは爆発するシカです。

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPにマッチを近づける。

結果: SCP-XXX-JPは爆発した。

分析: SCP-XXX-JPは火気が近づくと爆発するようです。

これは典型的な「それっぽくしたい」著者による産物です。あまりに実験記録を入れたいがために説明に書いたら一行で済むような要素をわざわざ5つのつまらない要素に書き換えてお出ししています。


財団の世界観への理解不足

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: XX博士

実施方法: XX博士にSCP-XXX-JPを使用させる。

結果: XX博士は恍惚とし、多大な幸福感を報告しました。12時間後、XX博士の両脚は大根に変化しました。

分析: SCP-XXX-JPを使用することで人間は幸福になれます。この報告を基に、全職員がSCP-XXX-JPを使用することを推奨することをO5が決定しました。また、SCP-XXX-JPをほかのSCPに使用させる計画が決定されました。

  • 財団は、基本的に人体実験にはDクラスを使用してから安全性が確認されたのちに博士などの人材を使用します。不可逆的な変化が訪れうるなら、博士などの人材は使用されません。
  • 財団は、基本的にSCPを積極的に使用することはありません。そのような世界観は非常に古いものであり、「たのしいざいだん」として区別されています。
  • クロステスト1は慎重に行われるべきです。

この3つは、財団の世界観に対する理解が足りていない人が高頻度で書いてくる一般的な財団の従来の世界観に大きく反する要素です。

批評から「財団がそんなことをするとは思えない」と言われたときは(批評者がよっぽど偏屈でない限り)あなたの財団の世界観に対する理解が足りていません。50個くらい記事を読みエッセイもある程度読みましょう。


魅力のない検閲

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPに████kgの█████を近づける。

結果: SCP-XXX-JPは[データ削除済]。

分析: SCP-XXX-JPは[編集済]で████であるため[データ削除済]であると考えられています。よって████が███████であり、██████████。


最も忌むべき実験記録の一つです。この検閲の下にどんな内容があるかが読者はおろか、作者すら分かっておらず、一切の情報も魅力も面白さもないくせに十二分な文量だけを誇っている実験記録です。タチの悪いことに、この大量の検閲は非常にSCPの報告書らしいイメージを纏っています。その為、作者はこの演出が魅力的であるとさえ考えています。

「作者が検閲の中身を考えていない」という事実はその実験記録を即座に削除すべき根拠として十分です。検閲を雰囲気作りの為だけに使ってもUVが貰えた時代はとっくに過ぎてしまいました。あなたは検閲の中身を考えた上でその検閲に面白さを持たせる必要があります。

具体的に、どのように検閲と向き合っていくべきかを教えてくれるエッセイがあります。禅とデータ削除済、そしてその下に何があるのか: 黒塗りのクロとシロです。前者はアーカイブされていますが後者に比べ、非常に分かりやすいです。後者はかなりわかりにくいですが、現在により即した検閲のイロハをあなたに提供します。


キレの悪い分析

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPにりんごを与える。

結果: SCP-XXX-JPはりんごを消費した。

分析: SCP-XXX-JPはりんごを好むようだ。

この分析には2つの問題点があります。
1つは実施方法と結果から導き出される分析が不正確である点です。実験では、SCP-XXX-JPにりんごを与えたのみであり、本当にリンゴを好んでいるかどうかは分かりません。例えばSCP-XXX-JPは餓死寸前であり、食べれるものならなんでも良かったとしたら?この実験だけで「りんごを好む」という結論は出せません。

もう1つは分析の口調が推測の域を出ない程度に留められている点です。端的に言えばこの表現は冗長です。特に理由がないならば「〜なようだ」、という表現は極力用いず、完璧に実験を行う事で断定に至らせるべきです。

今回の場合、いくつかの食べ物(ぶどうやバナナ、ポテトなど)をりんごと一緒に並べ、どの食べ物を優先的に選ぶかなどでより確度の高いデータが取れるでしょう。


どうでも良い実験の羅列

説明: SCP-XXX-JPは木製のエンジンです。

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPに水をかける。

結果: SCP-XXX-JPは濡れた。

分析: SCP-XXX-JPは水をかければ濡れます。

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPに液体窒素をかける。

結果: SCP-XXX-JPは急激に冷却された。

分析: SCP-XXX-JPは液体窒素を使うことで急激に冷却できます。

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象: SCP-XXX-JP

実施方法: SCP-XXX-JPに溶岩をかける。

結果: SCP-XXX-JPは急激に熱されて燃えた。

分析: SCP-XXX-JPは可燃性です。

これを見たあなたは「流石にこんなことをする人は居ないだろう」と思ったはずです。たしかにこの例は非常に大袈裟に書いており、流石にここまでナンセンスな実験記録を書く人はそうはいません。しかし、本質的に同義であるような実験記録は沢山あります。

この実験記録たちの問題の本質は「書かなくても分かるようなことをわざわざ実験記録に起こす」ことにあります。仮にこの実験記録がなかったとして、読者にこれらの実験をやらせたらどうなるか予想させましょう。恐らく、この結果と全く同じ答えが返ってくるはずです。

読者が対象と実施方法だけを見て予想できる結果を裏切らない実験結果は無闇矢鱈に増やすべきではありません。

また、実験記録に展開がない点も特筆すべきです。「展開があるというのは、適切な要素が適切な順番で配置され、読者に感情やら面白さやらを感じさせることができている、ということを指す。」2この定義を踏まえて上の実験群を見てみましょう。これらの実験の順番を入れ替えてみます。展開があると仮定するならば、要素をめちゃくちゃに入れ替えてしまうわけですから面白さが損なわれてしまうはずです。では、実際に入れ替えたら面白さは損なわれるでしょうか?答えはNoです。あなたが書いた下書きの実験記録の順番を入れ替えてみましょう。面白さが大幅に減りましたか?そうならななければ、あなたは実験記録にどんな展開を持たせるかを考えるべきです。

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実験記録の成功例

ここからは、実際の記事から実験記録を抜粋し、その成功の要因について考えていきます。

SCP-1677-JP - スペース・ジャンパー

SCP-1677-JPは最も実験記録で成功した記事の一つに数えることができるでしょう。

この実験記録は全体を通して展開を有しており、一つ一つが非常にユーモラスです。また、この実験記録はオチに繋がっています。つまり、実験記録自体に展開を有していながら、この記事全体の展開にこの実験記録をきれいに組み込んでいるということです。

これは実験記録単体でも十分に面白く、記事全体で見た時も面白さに貢献している、理想形のような実験記録です。

試しに、この実験記録の順番をぐちゃぐちゃに入れ替えてみましょう。すると、たしかに実験記録のユーモラスさは残りますが徐々に過激化していく財団の容赦のなさが薄れ、面白さが減っていることが分かると思います。


SCP-2816-JP - 「ごめんね、でもこれ電池じゃないの」

SCP-2816-JPは一風変わった実験記録の使い方で成功を収めています。それは、実質的なインタビュー記録としての運用です。

SCP-2816-JPは物言わぬスマートフォンですが、様々な実験を通して見せるその反応は至って人間的です。読者がその反応にSCP-2816-JPの意思を見出した時に無味乾燥であった実験記録の羅列といまいち要領を得ない職員への処分やSCP-2816-JPに対する最後の提言の残酷さに気がつくことができます。

この記事では敢えて実験記録の1つの要素である分析を削除しています。SCP-2816-JPは一言たりとも喋らず、決してメッセージを液晶に表示することもありません。財団も、分析でSCP-2816-JPの様子から推察できる事項に触れるような事は一切しません。しかし、SCP-2816-JPの感情はひしひしと表現されています。

仮に財団の誰かが直接その機微に直接言及してしまったらその途端に非常に陳腐な記事となっていたことでしょう。しかし、実験記録を通して機微を表現することで、それを読者に気づかせる巧みな構造に変化させています。「実現したい展開のために実験記録を用いる」という理想的な実験記録の用いられ方をしています。


SCP-1489-JP - 箱の中では妖精さんが頑張っている

SCP-1489-JPはベーシックな実験記録の成功を収めています。

SCP-1489-JPの最初の実験記録は至って平凡で、面白みに欠けます。展開は面白さよりも厳密性を重視しているようであり、これらの要素を考えると読むのが苦痛であるはずです。しかし、この記事はさまざまな手法を用いてこの苦痛を回避しています。一つ一つ見ていきましょう。

1つ目の実験記録をカバーしているのは直前に存在しているインタビュー記録と実験結果です。このインタビュー記録でSCP-1489-JP-Bというキャラクターに魅力を持たせ、SCP-1489-JP-Bという存在に興味を持たせることでこの実験の平凡さを打ち消しています。また、対象と実施方法だけ見れば読者が導けるであろう結果を裏切る要素を挿入することで少なからぬ驚きを読者に提供しています。

ここで得た読者の関心を消費しきらないうちに実験2、3、4をシンプルに終わらせてオチへの布石にしています。これらの実験は単体で見た時、面白いとはどうしても言い難いですが、短く纏めることで純粋に読む量を減らし読者のストレスを軽減させています。

そして、実験5で強烈なフックをぶちまけ、読者の関心を一気に惹き寄せます。

この記事が素晴らしい点は実験5の検閲を巧くフックとして活用した上でこの記事の本質に踏み込む足掛かりとして十二分に活用している点にあります。検閲を利用した実験記録の一つのお手本と言えるでしょう。

つまらない実験を読者に如何に読ませるかを考えた時、この記事は非常に参考になるでしょう。

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