ひひょうのためのあれ

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”われは知る、眞砂まさご の数もわたのひろ さも、
聾唖ろうあの意中も解せざるはなく、
語らざるものもれにはきこゆ、……”

—ヘロドトス『歴史』I(47),青木巌訳

神に助けを、答えを求める声は途絶えて久しい。答えを告げる神託の声も静寂の中に枯れ果てた。

幸福な世界の住民たちは、もはや神を必要としない。


がたん、と音を立ててトラックが揺れ、思考が現実に引き戻された。忘れかけていた現状を、否が応でも手足の鈍い痛みが思い出させてくる。結束バンドで動きを制限された上にガムテープで拘束されたこの身は、山を登っているトラックの中に乱雑に投げ込まれていた。

運送と交通を司る神の扱いとしては随分と皮肉なものだ、とヘルメースはその身をコンテナの底に横たえたまま、どこか他人事のように思っていた。自分が人間にさして傷つけられることはあるまいという感覚が、神たる者としての自負から来ているのか、それとも世界的な情動変化の影響が自分にも出ているからなのか、ヘルメースには自分でもあまり判別がつかない。特に自分の身の上を心配する気にもならず、ただ漠然と考えるばかりである。自分を攫ってトラックに積み込んだあの集団が繰り返し歌っていた、あの聖歌のようなものは何なのだろう、と。

くぃくんけ。くぃ・くんけ・う・さるうす・えっせ。

形骸化した祈祷文か何かだろうが、元々は何の文句だったのだろう。ヘルメースは横たわったまま、そればかりを思い出そうとしていた。何の意志も載らない言葉の意味を理解するのは、雄弁の神の力をもってしても難しいことだ。我らが翻訳の神トートにちょっと尋ねれば済むことを、彼が眠りについているからと自分が延々考えても仕方ない。

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