Tale下書き「すめしたちのふる夜に」

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すめしたちのる夜に

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XX県XX村。海に面していながら三方を山に囲まれた土地。決して栄えていたとは言えなかったが、ほどほどの漁獲と山の幸に恵まれ、住民が暮らす分の食料には困らなかった。

ある蒸し暑い夏の日。最初にタオルで汗をぬぐった農家の男は腕に白い粒が付いたことに気づいた。それは粘り気があり、ほんのり熱を持っていた。次に、犬が吠えた。天に向かって吠えた。人々はそれを聞いて空を見上げると、灰色の空から白が、白が降り注いだ。たちまち周囲にむせ返る酸い匂いが広がり、人々は突然の異常に呆然と立ち尽くした。ある子供がその墜ちてきた白を口に入れようとした。母親は止めようとしたが、子供は意に介さず頬張った。子供は口に含んで一言、美味しいと言った。

空より降りし白、それは酢飯であった。

それからというもののXX村にはたびたび酢飯が降り注いだ。酢飯が降るたび熱気と酢の匂いに包まれ、雪と違って溶けない酢飯は村を埋めていった。

財団の気象管理部門はこの異常をいち早く把握し、住民の避難とカバーストーリーなどの対応を行った。しかし高温の酢飯が降りそれが積層した土地の探索技術の欠如や森や海にいる生物に酢飯が注がれ生まれたスシ・アニマルの暴走により原因調査は困難を極めた。XX村に続く道は封鎖され、村から人は消え去り酢飯に沈んでいく……かのように思えた。

しかし財団の封鎖網を抜けて、酢飯に引き寄せられるように手練れのスシブレーダーはXX村に潜入していた。寿司と一体化したスシ・アニマルは彼らにとって絶好のネタだった。財団は彼らの捕縛にかかる手間とXX村内部の探索人員を考え、彼らの侵入を半ば黙認した。そうしてXX村にはスシブレーダーが多く集う奇妙な領域が形成された。


XX月XX日、天気: 晴れのち酢飯。昼頃までは見事な晴天であったXX村であるが、昼下がりから気温と湿度が上昇し、急に酢飯が降り出したのだ。酢飯降る中を出歩くのは極めて危険である。熱い酢飯は体に張り付き重さと熱で体力を奪い、あげくには低温火傷の恐れもある。さらにまだ固まっていない柔らかな酢飯は足元を隠すため、その下に何があるかわからなくなる。転倒する程度であればまだいいが、白銀の世界の中、方角を誤り海の方へ向かっていたとすれば。

そんな中、XX村山中で足を酢飯にとられつつも駆ける若者がいた。この若者、波多は財団所属のフィールドエージェントである。波多は様々な財団内部部門を転々とした経歴の持ち主であり、その経験でスシブレードの心得があるため気象管理部門からの依頼を受けてXX村の内部巡回を行っていた。そんな折、急に暗くなった空に慌ててどこか屋内へと避難しようとしているのだ。さらに悪いことに森の中スシウサギとの戦いで手持ちのネタは既に切れかかっている。万が一凶暴なスシクマにでも出くわしてはひとたまりもない。波多はコンパスとかつての地図に祈りながら必死に民家があるであろう方向に走って行った。

二階建て、木製の山荘。ドアの横にはマンボウのレリーフが飾ってあった。かつては民泊施設として使用されていたのだろう、「ペンション プルヌク」の看板が立ててあった。

「ごめんください……」

木製のドアをきしませながら開く。たいていXX村に人はいないのだが、スシブレーダーと鉢合わせすることもままある。だが今回はそれとは別のケースであった。

「おや、いらっしゃい」

声の主は明かりが灯った奥の部屋にいるようであった。恐る恐る波多が部屋を覗き込むと、室内には男性が二人いた。一人は揺り椅子に座った温厚そうな六十代くらいの男性。もう一人は気難しそうな三十代程度の男性で、左手に持ったアタッシュケースを手錠で自分の腕につないでいる。

「君はどうやら……闇寿司ではありませんね。財団の人間でしょうか」

この村にいるのは表のスシブレーダーと闇寿司、そして財団の人間しかいない。そのことはスシブレーダー側も把握しているため波多は自身が財団所属であることを認めた。

「どうやら酢飯が降り始めたようですね。あなたもここで休んでいくといい。私はこのペンションのオーナーで飯島と申します」

飯島の話によると、彼はもともとこの村に住む猟師だったが、酢飯が降り出して以降はペンションをスシブレーダーたちの休息所として運営しているとのことだった。


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