ジャムコンテーマC 下書き「内定」(改稿)

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警察車両が通っていく。側面にはあの忌々しいロゴがある。
俺の両親は”財団”に連れていかれた。
後から聞いた話では、財団に連れていかれた場合、生存率は限りなく低いようだ。
生きていればいいが…。

「あー、まったく嫌になるぜ。どいつもこいつも”財団”に忠誠を向けて。おかしいんじゃねえのか?」
「まあまあ、志浦君、そういわずに。あの人たちのおかげで、何不自由なく生きていられるんだから。」
「あ?不自由なく?どいつもこいつも頭おかしいんか?これが自由だと?」
「自由じゃないか。君こそ何言ってるんだい。それがこの世界の”普通”だよ。財団があるから僕たちは生きながらえる、それでいいじゃないか。」


いつもの会話。こいつもそうなのか。

腑に落ちない。なんでどいつもこいつもこんな感じなんだ。
俺の両親を返してくれ。
そうやって日々過ごし、かの友人とも疎遠になってしまった。
何気ない日常のある一日。いつも通り家に帰った。はずだった。
 
 
 


 
 
 

「ここは………?」
見知らぬ部屋。いや、違う。腕に点滴にチューブが刺さっているからどこかの診療所だろう。
しんと静まり返っているのも気になるが、誰もいない。
「おーい、だれかー、いるのかー?」
大声をあげてみるも反応はない。幸い、どこでつけられたかわからないが、傷は治っているのか動けるようだ。

枕元には愛用のスマホが置いてあった。
気が利いているではないか。

スマホを見てみると一見メールが入っている。

一般社団法人█████?まず、黒塗りになって読めねえ。というか、こんなところに応募した覚えはないのだが。
というか、今日じゃないか。急いで向かわないと。
 
 
 


結局、俺はなぜか内定した会社に呼び出され、指示された場所へ向かうべく送られた地図を頼りに向かっていた。途中で通行止めのところがあり、仕方ないから別の道で向かっていると、携帯の案内が消えていることに気がついた。いや、違う。そんなこと起こり得るはずなんてないのに地図がない。
「ここは………一体どこなんだ?」
仕方の無いのでしばらく歩いていると、白い建物が見えてきた。近づいてみると、内定したとされる会社と一致している。少々腑に落ちないところはあるものの、あっていたのだという安心感に包まれた。

玄関横にあったインターホンで名前を伝えると、入ってくるよう指示された。インターホンの奥の方では、
「……つ、どうや…………………んしきそが………………」
「…んな、…………か…………あれは……」
何やら話が飛び交っているがなんのことか分からない。
建物の中に入ると、張りついたような笑顔をした一人の男が立っていた。彼はついてくるよう指示し、ひとつの個室に案内された。彼はコーヒーを勧め幾らか質問をしてきた。
「やあ、はじめまして。君はなんでこの会社を選んだのかな?」

俺は全てが嘘ではないものの本当のことは言わず答えた。それもそうだ。応募すらしていない所から急に「内定メール」がきて、仕事内容や高時給ならば行くしかないだろう。それが間違いメールだったとしても、だ。
質問に答えていく内に何だか眠くなってきた。あぁ、眠い。寝させてもらおう。そう思って顔を伏せる直前、あの男が口を歪めて笑っていたように見えたのは気の所為だっただろうか。





目が覚めると、冷たい感触がした。床だ。ここは………?いや、なんだ?この感触は。こんな服きていなかったはずだ。何故こんなことに?

「起きたようだな。D-13824。」

「俺はD-13824なんて名じゃねぇ!俺には…俺にはッ………あれ…?
なあ、俺の名前はなんなんだ!なぁ、、俺の名前はなんなんだよ!」

「口を慎め、D-13824。お前の名前はD-13824、それ以外の呼び名はない。」

「ふざえたこといってんじゃねぇ!呼び名なんて聞いていやしねぇ!俺の名前はなんだって話だ!」

「黙れ。こちらも忙しいんだ。司法取引でDクラス職員になるはずだった受刑者が脳溢血で倒れ、1度医療機関を経由してこちらの医療施設にて治療、記憶処理し、”内定”に見せかけてここまで来させなきゃいけなかったんだから。」

「何寝ぼけたこと言ってやがる。お、俺が犯罪者なわけねぇだろうが!」

「名前まで忘れたようだからそれもそうか。D-13824、おまえは通りすがりの男女15人を笑いながら殺して行った殺人者だ。」

俺は――――――そんなことを。そんなことをして忌々しい財団なんかに――――――。

「いや、違うはずだ。わざわざそんなことをして財団に入ることが分かっているのにするはずがない!」

「あ、やっぱり気づいたかー。やっぱり設定が甘いと思ったんだよねー。」

「は?何を言っている?」

「ええっと。君は、まず、交通事故として処理されました。原因は不明です。
きみが存在したっていう社会情報も削除してあります。君の場合は、家族がいないから楽だったね。いや、いたのはいたけど、ああ、役に立ったよ。
そして、記憶の消去と偽記憶の植え付けが不十分だったみたいです。あの頃の記憶がなくなるのは残念だけれど、今から治療を行います。」

「は、なんでそんなことをいうんだっ?」 

「一体なんでだろうね?まぁ、覚えていないんだね。まぁ、いいや。ごめんね?志浦君。おい、連れて行け!」 

「お前は。」 

最後に見えたのはあいつのひどく嘲るような笑みだった。

「ごめんね?」
 
 
 


ジャムコンテストC部門に出品予定です。
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