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アイテム番号: SCP-1710-JP | Level 3/1710-JP |
オブジェクトクラス: Euclid | Classified |

上空から撮影されたSCP-1710-JP。
特別収容プロトコル: SCP-1710-JP周辺はエリア-1710に指定され、標準土地収容プロトコルに従って封鎖されています。エリア-1710内には観測所を設置し、常時2名以上の職員により異常が無いか確認させます。
SCP-1710-JPには高電圧ネットを2重に被せ、出現するSCP-1710-JP-A個体が外部に漏れないようにしてください。内部から何らかの実体が出現した場合、即座に対神戦闘プロトコルAE17が発動されることになっています(詳細は附録文書AE17参照)。
説明: SCP-1710-JPはポーランド共和国マウォポルスカ県リマノヴァ郡チカジナ村跡地に存在する巨大な(最大幅120m)陥没穴です。その底はこれまで確認されておらず、おそらくは未知のポケットディメンションに接続されていると推測されています。

ショパンの肖像画。
毎年6月から8月にかけ、SCP-1710-JP内部から1~2万匹程度の異常なセミ型昆虫が発生します。これらのセミはSCP-1710-JP-Aに指定されており、遺伝的にはCicadetta属に最も近いものの、その頭部がヒト男性に似た形状に変形しています。いずれの個体も故フレデリック・フランソワ・ショパンに酷似した顔を持っており、ショパンの声1でその楽曲を発声します。また羽音でも楽曲を演奏しており、これらの音には中度の精神撹乱効果があります。認知抵抗値11.5以上の人物であればこの精神影響効果をほぼ無効化できます。
SCP-1710-JP-Aは雑食であり、生物/非生物かに関わらず、遭遇したものを摂食します。しかしながら、その体内に消化器官は確認されず、摂食した物質が何処へ行くのかはわかっていません。寿命は最短5日、最長20日まで確認されています。
SCP-1710-JPは1998年のイベント・ペルセポネの際に発生しました。詳細は続く補遺群を参照してくだだい。
補遺.1710-JP.1: イベント・ペルセポネ概要
イベント・ペルセポネは1998年7月12日~13日の2日間に渡り、ポーランド共和国南部を中心に発生した、一連の大規模な奇跡論的超常イベントに対して与えられた指定です。このイベントはショパニズム系異常宗教団体であるGoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会") の主導により引き起こされ、周辺地域の正常性に対する多大な脅威となりました。 この案件は財団及びGOCにより対処されました。
補遺.1710-JP.2: GoI-484E概要
要注意団体報告
財団記録部門作成
GoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会")
活動状況: 壊滅済
脅威レベル: ● 橙
概要: GoI-484Eは要注意思想-484 ("ショパニズム") の流れを汲む異常宗教団体です。GoI-484A ("聖ショパン正教会") から追放されたヴォイチェフ・ノヴァク(Wojciech Nowak)司祭により1982年に設立され、以後その異常能力によって国内に浸透していきました。
GoI-484Eの思想は原典であるGoI-484Aのものからは大きく変質しており、儀式の一環として部分的な自傷・殺人・食人等の行動が確認されています。これはGoI-484B ("血漿楽譜教会") の教義に影響を受けたものと推定され、現在でいうところのブラッディー派ショパニズムに分類されます。
GoI-484Eメンバーの多くは現実改変能力、及び奇跡論行使能力を示しており、主に超常的な音楽能力や大衆人気の獲得、聖人(歴史的音楽家)の召喚に用いられます。これらの能力により、GoI-484Eはポーランド国内のメディアに一定の影響力を有していました。
GoI-484Eの最終目的は聖ショパン、故フレデリック・フランソワ・ショパンの神格化された実体の召喚です。GoI-484Eにおいて聖ショパンは全音楽を統べる神として信仰されており、その力の維持、及び異常能力獲得の契約を目的に数々の退廃的儀式が実行されていました。留意すべき点として、財団神学部門の見立てではGoI-484Eの崇拝対象は実際にはショパンでなく、ショパンに擬態した何らかの別のピスティファージ実体2である可能性が高いとされています。GoI-484Eは聖ショパンの再臨は”全人類の完全なる調和”を齎すと信じていますが、前述した神学部門の見立てでは破滅的な世界終焉シナリオが訪れる可能性が危惧されています。
補遺.1710-JP.3: 傍受通信記録01
以下の音声ログは1995年に記録された、ノヴァク司祭と不明なGoI-484Eメンバーの間に交わされた通話記録の抜粋です。
傍受通信記録.1710-JP.01
1995/██/██
«前半省略»
ノヴァク司祭: 電話を取ってすぐさま仕事の話というのも申し訳ないのだが確認しておきたい。音楽界への接続システムの進捗はどうなっている?
不明なメンバー: 理論はできています。簡潔に言うと、人々の思考を繋ぎ、その深層意識を介して音楽界を具象化させる計画です。
ノヴァク司祭: ふむ。
不明なメンバー: しかし、この計画には最低で200人分もの思考を繋がねばなりません。そしてそのようなシステムの開発は難航しています。何分、協会員の大半は音楽家だの宗教家だのですから、我々技術者連中の人手は圧倒的に足りないのです。
ノヴァク司祭: ふむ、人員は後でそちらに回そう。おそらく後20人ぐらいなら送れるはずだ。
不明なメンバー: ありがとうございます、大司祭殿。
ノヴァク司祭: それと先程君が言っていたシステムだが、手に入るかもしれない。
不明なメンバー: ……というと?
ノヴァク司祭: 松明の持ち手たちだよ。
«後半省略»
補遺.1710-JP.4: GoI-006NR放火事案
1996年、ポーランドにあるプロメテウス研究所の子会社であるプロメテウス・ニューロンズ社に数名の武装集団が侵入、いくつかのパラテック資産を奪取した後に放火する事案が発生しました。襲撃は夜間に実行され、近隣住民の緊急通報を傍受したことにより財団が出動、消火活動と共に多数のパラテック資産及びその関連文書が接収されました。後にこの件によりプロメテウス・ニューロンズ社超常法務部門と財団法務部門の間に衝突が発生したものの、最終的に社は倒産し、財団フロント企業により買収されることとなりました。
補遺.1710-JP.5: 傍受通信記録02
以下の音声ログは1997年に記録された、ノヴァク司祭と不明なGoI-484Eメンバーの間に交わされた通話記録の抜粋です。
傍受通信記録.1710-JP.02
1997/██/██
«前半省略»
ノヴァク司祭: それで、件の計画はどうなっている?
不明なメンバー: 順調です。ポトカルパチェでの簡易試験も成功しました。
ノヴァク司祭: 素晴らしい。
不明なメンバー: ただ、焚書者達たちが我々の計画に気づき始めたようです。簡易試験の直後に発生した戦闘、それに伴い故障した装置の修理のせいで残存予算が残り僅かです。人員も8名再起不能です。
ノヴァク司祭: 予算は好きなだけ使い給え。人員も可能な限り補填しよう。この計画には我々人類全ての運命がかかっているのだからね。
不明なメンバー: 有難き幸せです、大司祭殿。
ノヴァク司祭: それで、今回の損失も加味して、実行はいつ頃になりそうだね?
不明なメンバー: 2001年頃が妥当かと。
ノヴァク司祭: ふむ。それは困るな。焚書者共が今回の件で我々を危険分子と見做したらしい。内通者曰く、彼らは我々の殲滅計画を練っているそうだ。可能な限りすぐにでも動かねばならない。
ノヴァク司祭: 申し訳ないのだが、だいぶ期日を早めてくれたまえ。
不明なメンバー: ……はい。了解いたしました。
«後半省略»
補遺.1710-JP.6: 合同会議記録
会議記録.1710-JP.01
1998/7/12 - SCP財団=国連世界オカルト連合
メンバー:
- アーネスト=トレイラー (SCPF サイト-182管理官)
- イリヤ=ノヴォサドフ (SCPF 神学部門長/宗教系要注意団体スペシャリスト)
- ジョン=バークレー (SCPF 渉外部門エージェント)
- カミル=ヴォジニャク (SCPF 部門間連絡員)
- ミハウ=コヴァルスキ (UNGOC 精神PSYCHE部門 対SCPF交渉員)
- ヴァレリアン=ヴァヴィロフ (UNGOC 精神PSYCHE部門 対SCPF交渉員)
«記録開始»
丸型の会議机を挟み、5名の男性が着席している。内3名はそれぞれSCP財団のトレイラー管理官、ノヴォサドフ博士、バークレー渉外員であり、向かいに座る2名は世界オカルト連合所属のコヴァルスキ渉外員、ヴァヴィロフ渉外員である。
バークレー渉外員(SCPF): これよりSCP財団ポーランド支部と世界オカルト連合東欧部門間での臨時簡易合同会議を始めます。さて、コヴァルスキさん、GOC側の要件についてご説明お願いします。
ノヴォサドフ博士(SCPF): ああそうだ、天下のGOC様がいったい何のようだっつうんだ? このクソ忙しい時に。
トレイラー管理官(SCPF): お前は口を慎め、ノヴォサドフ。すまないね、ミスター・コヴァルスキ。続けてくれ。
コヴァルスキ渉外員(UNGOC): 要件はたった1つ。我々としてもクソ忙しいのでね、手短に行きましょう。イカれたクソカルト共が神格実体を召喚しようとしています。ここ、ポーランドでね。
ノヴォサドフ博士: ワオ、ソイツは驚きだな。アンタらクソカルト共の寄せ集めが言うってことはそりゃヤバい事態なんだろうさ。
バークレー渉外員: ……神格、ですか。
ヴァヴィロフ渉外員(UNGOC): こちらの資料をご確認ください。
ヴァヴィロフ渉外員がSCPF側の人間、計3名に資料を配る。資料には”聖ショパン再誕のための音術師協会”(GOCコード: MARCH)の概略、関連する異常事案への対処記録、そして最近GOCが確認した聖ショパンの再臨計画についての情報が記されている。
ノヴォサドフ博士: これは……アンチカルトの計画か? あのクソショパニスト共をブッ潰したいと。
コヴァルスキ渉外員: ええ。現在、奴等のほとんどが来たるドゥームズ・デイ、聖ショパンを迎えようと南部に集まっています。そこを叩く。
バークレー渉外員: 待ってください、ショパン? あのショパンですか? それを召喚?
ヴァヴィロフ渉外員: 天地部門によればMARCHの崇拝対象はショパンに偽装した別の神格実体である可能性が最も高いとされています。
ノヴォサドフ博士: 神学部門の見解も同様だ。どっちにしろロクでもないことになるのは間違いない。
トレイラー管理官: ふむ。(1枚1枚、報告書に目を通していく)
ノヴォサドフ博士: (資料を読みつつ)試験中の構成員らと戦闘ねえ。で?どうだ?勝ったのか?
コヴァルスキ渉外員: でしたら良かったのですがね。あなた方の部隊が介入してこなければきちんと壊滅させていましたよ。
バークレー渉外員: ああもう、どうしてそんなにいがみ合ってるんです。話が全然進まない。
ノヴォサドフ博士: 俺はコイツが嫌いなんだよ。GOCが面倒事を持ち込んでくる時、いつも決まってコイツのキモい微笑みを拝むはめになる。
コヴァルスキ渉外員: お褒めいただきありがとう。毎朝鏡に向かって練習していますからね。
ヴァヴィロフ渉外員: [ため息]
バークレー渉外員: えー、話を戻しましょう。状況は理解しました。それで連合は何を要求しているんでしょう?
コヴァルスキ渉外員: ちょっとご挨拶をね。ここは財団の縄張りだ。勝手にドデカいドンパチをやるわけにもいかないでしょう?相手さんがたも必死でしょうから、この前よりも派手に動くのは確実です。
ノヴォサドフ博士: ……それと?まだあるだろ?
コヴァルスキ渉外員: ええ。本件ですが、財団にもご協力願いたいのです。部隊をいくつか、それとあなたがたの記憶操作技術をお借りしたい。我々はあなたがたほど精巧に人の記憶を弄くれませんからね。
ノヴォサドフ博士: (小声で)技術を盗りてえだけだろうがよ。
バークレー渉外員: 出動戦力、及び公衆への暴露可能性はどれほどでしょう?
ヴァヴィロフ渉外員: 大舞台ですからね。十数隊ほどお願いしたいです。当然ながら暴露可能性は大きなものになりますし、各所で交通封鎖等が必要になるでしょう。ただ、そのままカルトが神格を呼び出す被害と比べれば遥かに軽微なものです。
トレイラー管理官: 後ほど上に打診してみよう。
ヴァヴィロフ渉外員: ありがとうございます。
コヴァルスキ渉外員: さて、先程の報告書にもありましたようにカルトの儀式決行は2001年頃だと考えられています。我々は先手を打って来年春頃に襲撃を実施しようと考えているのですが……
会議室の扉が勢いよく開かれ、部門間連絡員のエージェント・ヴォジニャクが焦った様子で入室してくる
バークレー渉外員: おいヴォジニャク、今は会議中だぞ。いったいどうした?
Agt.ヴォジニャク(SCPF): き、緊急事態です。先程マウォポルスカ郊外のチカジナ村が未知の集団に占拠されました。装備から察するにおそらくは何らかの宗教団体で……
ノヴォサドフ博士: クソが。連中め、腰が軽すぎて空にでも飛んでくんじゃねえのか?
トレイラー管理官: 司令部に至急機動部隊を送るよう伝えろ。事態は喫緊を要する可能性がある。サイト内の部隊を可能な限り収集し、重度対神装備を持たせて送り出せ。
Agt.ヴォジニャク: は、はい。
Agt.ヴォジニャクが退出する。
トレイラー管理官: ノヴォサドフ、神学部門を呼べ。この国の神を殺す策を練ろ。
ノヴォサドフ博士: あいよ。
ノヴォサドフ博士が退出する。
トレイラー管理官: バークレー、大型会議の準備を。それと連絡員共にO5司令部と東欧管区のサイトに通達を入れるよう言っておけ。
バークレー渉外員: わかりました。
バークレー渉外員が退出する。
トレイラー管理官: ミスター・コヴァルスキ、ミスター・ヴァヴィロフはGOCに連絡をお願いする。
コヴァルスキ渉外員: わかりました。ヴァヴィロフ、”物理”に連絡を入れろ。司令部へは私から連絡する。
トレイラー管理官: この会議も終わりだ。記録装置をオフにしろ。
記録システムが自動でオフになる。
«記録終了»
補遺.1710-JP.7: 映像記録
映像記録.1710-JP.01
1998/7/12
注記: この映像記録はSCP-1710-JP付近に落ちていたハンディカムから回収された。撮影者はGoI-484Eのメンバーであると推測される。
«前半省略»
12:32: GoI-484Eのメンバーらが画面を横切る。用途不明の機械やケーブルを手に持っているのが確認できる。
12:38: 画面にノヴァク司祭の姿が映る。技術者らしきメンバーと会話しているようである。技術者らしきメンバーは何度も念入りに確認しているように見える。
12:42: カメラが村の中心部を向く。大小様々な十字架が等間隔で円上に建てられており、村民達が生きたまま磔にされているのが見れる。円の周囲ではGoI-484Eのメンバーらがオーケストラの演奏をしているのが確認できる。曲目はいずれもショパンの楽曲である。
12:46: カメラの前にノヴァク司祭が現れ、事前に用意された壇上に登り、演説を開始する。
12:51: ノヴァク司祭が開始の合図を叫んでから2秒後、円陣内から空へと光柱が登り、そのまま拡大して画面を包む。
12:52: 不明なヒト男性の声で、"Drugie przyjście(再臨)"と響き渡る。画面内が土埃に包まれる。
12:54: 画面奥からショパンの”華麗なる大円舞曲”が微かに聞こえ始める。GoI-484Eの歓喜の声が響く。
12:55: 大円舞曲の音が徐々に大きくなってゆくとともに、羽音のような音が聞こえ始める。GoI-484Eの間に徐々に不安の声が聞き取れる。
12:56: 羽音がかなり大きなものとなってゆく。GoI-484Eのメンバーは狼狽え、逃げ出す者も出始める。
12:57: 突如として土埃から大量のSCP-1710-JP-A個体が出現、GoI-484Eが飲み込まれる。10秒ほど微かな悲鳴が聞こえるものの、すぐに大円舞曲と羽音の喧騒にかき消える。
12:59: SCP-1710-JP-A群がまばらになり、徐々に土埃が薄れてゆく。村の中心部に巨大な影が見える。
13:02: 影が動き出す。
«後半省略»
補遺.1710-JP.8: 部隊作戦報告
機動部隊作戦報告
1998/7/12~13
招集部隊: α-14 ("オーリンズの火")、⊿-12 ("ひぐらしのなく頃に")、ψ-09 ("アンチシンフォニー")、ρ-4 ("聖歌隊")、Ν-7 ("下される鉄槌")、他多数
目的: 出現した巨大神格実体(UE3-1076に指定)の撃破/封印、GoI-484Eメンバーの殲滅/捕縛、公衆の安全確保、虚偽情報活動、GOC排撃班の支援
主要敵実体概略:
- UE-1076: LoI-164(後にSCP-1710-JPに指定)より出現した巨大神格実体。Cicadetta属の幼虫に類似した外見を有するものの、顔面部のみ故フレデリック・フランソワ・ショパンのものに酷似した形に変形。非常に高いアキヴァ放射4により周辺現実への深刻な汚染を引き起こす他、後述するUE-1076-Aを指揮する能力を持つ。出現時の全長は90m弱。
- UE-1076-A: LoI-164より出現した蝉型昆虫種(後にSCP-1710-JP-Aに指定)。Cicadetta属の成虫に類似するものの、その顔面部は故フレデリック・フランソワ・ショパンのものに酷似した形に変形。ショパンの声での発声が可能であり、常時その声及び羽音で”華麗なる大円舞曲”を合奏している。この音には中度精神影響効果が確認されている。また雑食であり、出会うものを捕食、UE-1076へと養分を給餌する役割を持つ。
- GoI-484E構成員: 十数名の生存者を確認。しかし財団=GOC合同対策班への敵対行動は成し得ないものと思われる。
タイムライン(概略):
7月12日、13時頃: GoI-484Eの活動によりマウォポルスカ県チカジナ村直下に巨大な陥没穴が出現する。ほぼ同時にUE-1076、UE-1076-Aが出現、現場に赴いていたGoI-484E構成員の8割が死滅する。13:30、SCP財団=世界オカルト連合間合同 巨大神格実体対策本部が設立される。
7月12日、14時頃: 財団ヘリが上空から偵察に向かう。UE-1076がLoI-164より這い出し、民家を破壊しつつゆったりと北上していることが確認される。観測されたアキヴァ放射は基準値より遥かに高い48.2Ak。14:32、UE-1076-Aの大群がヘリを襲撃、墜落。通信途絶。
7月12日、15時~17時頃: 完全武装した財団航空部隊及びGOC排撃班計4隊が出撃するも、UE-1076-A群の攻撃にあい全機墜落。事態が喫緊を要するものであるとしてポーランド政府に通知され、ポーランド軍の出撃要請が出される。
7月12日、18時頃: GoI-484A("聖ショパン正教会")のメンバーが数人、ワルシャワの聖十字架教会を訪れる。メンバーらは教会の柱内に保管されているショパンの心臓を借り、そのまま教会中心で詳細不明な儀式を始める。
7月12日、19時頃: 第二陣として、完全武装した財団航空部隊及びGOC上空排撃班が計8隊出撃。途中UE-1076-A群の攻撃にあい、5隊が戦線離脱/壊滅。辿り着いた3隊によりUE-1076への神聖砲弾掃射が行われるも、直後実体から放たれたビーム状の極高度アスペクト放射により弾丸及び機体が溶解、作戦が失敗する。
7月12日、20時頃: ポーランド政府がポーランド軍の出撃を容認。20:25、UE-1076がボフニャ郡に侵入。推定民間死者: 10,000名、推定サイズ: 140m、観測されたアキヴァ放射: 71Ak。
7月12日、21時頃: 「実体が未完成なのは儀式の不完全さによるものであり、完全体となることを目的に行動している。実体の進行方向、及び創造背景を鑑みるに、実体はマゾフシェ県ジェラゾヴァ・ヴォラ村5で”羽化”を引き起こすと思われる。これはほぼ確実に世界終焉シナリオを招くものと思われるため、何が何でも実体をジェラゾヴァ・ヴォラへと到達させてはならない」との進言が財団神学部門より発せられる。これに基づき、合同対策本部はプロショヴィツェ郡で実体への総攻撃を仕掛けることを計画。
7月12日、23時頃: プロショヴィツェ郡にて財団・GOC・ポーランド軍の戦闘資産が大規模展開される。ポーランド国内のGOC施設ネットワークを利用し、ポーランド南部全体に魔術結界が敷かれる。
7月12日、24時頃: 24:10、総数不明(9万匹と推定)のUE-1076-A群と交戦。この際GOC側の試験運用中のサーモバリック式連鎖呪術爆弾により、連鎖的に個体群を死滅させることに成功するも、意図せぬ呪術連鎖により戦車11両が故障、GOC監督官が1名死亡する。24:32、UE-1076が姿を見せる。先ほどの呪術兵器により実体を取り巻くUE-1076-A個体は大幅に減少していることが確認される(3万匹程度)。UE-1076は全長240m程度まで巨大化、アキヴァ放射は128Akと測定される。24:38、一斉掃射が開始される。UE-1076の移動がより緩慢なものになる。24:45、ワルシャワにてGoI-484Aの儀式が終了。ほぼ同時にUE-1076の外殻の一部に自発的にヒビが入り、内部から微かに緑の光が漏出。一時的ながらもアキヴァ放射の減衰(128→21)、周辺現実の鎮静を確認。時を同じくしてUE-1076を対象とした爆撃が開始。UE-1076の外殻が損傷し、内部から緑の光が漏れ出る。24:51、残存するUE-1076-A群が「別れのワルツ」を合奏しだし、30秒後UE-1076が大規模な奇跡論パルスを発動。第一線にあった兵器の大半が溶解。
7月13日、1:00頃: 第二陣がUE-1076への攻撃を開始。UE-1076に向け、財団武装サイト-03より多数の人工知能搭載ピンポイントミサイル6が発射、全弾命中。UE-1076の外殻が大きく破損し、緑に光る液体が周辺に散らばる。UE-1076-A群が完全に死滅。UE-1076が再度奇跡論的パルスを放出しようとしているのが確認される。01:21、バルト海上のGOCSヨハネから神聖祈念弾頭搭載ミサイルが発射、UE-1076に命中し奇跡論パルスをかき消す。1:26、第二陣の戦力によりUE-1076への総攻撃が行われる。UE-1076の外殻は大きく損傷し、緑の光る液体が大量に放出される。1:30、突如としてUE-1076が破裂。超極大規模の奇跡論パルスが発生し、第二陣の武力資産のみならず、ポーランド南部の人工物全体が溶解し消失する。01:45、財団サイト-30の合同対策本部司令室にて作戦終了が宣言される。続いて今回の事態の収集に向けた緊急会議が実施される。
補遺.1710-JP.8: LK-クラスシナリオ発布
イベント・ペルセポネによる国際社会の注目は避けきれず、もはや隠蔽不可能なレベルであるとされたため、GOCとの同意の下に、両者はLK-クラス: ”捲くられたヴェール”シナリオの発生を宣言した。これにより財団・GOCを初めとする正常性維持機関が明るみに出ることとなり、国際社会は一時的に混乱を来すこととなった。現在この混乱は収束しつつあるが、今後の動向は未だ不明瞭であり、財団もまたその将来を危ぶまれている。このことは財団始まって以来の失敗であるとして、強く記憶されねばならない ─ 今後とも記憶すべき者がいればの話だが。
— O5-8
補遺.1710-JP.9: 関連疑惑
イベント番号: EE-1679
イベント概要: ポーランド、ジェラゾヴァ・ヴォラにて、地元住民のアナ・シドウォ氏が自宅で消失、寝室にて全長1m60cmのセミの死骸が確認された。このセミは構造的には概ね通常のCicadetta属と一致するものの、遺伝的にはシドウォ氏のものと一致した。死因は餓死と推定される。
備考1: ポーランドにて12件、スロバキア・ウクライナにてそれぞれ2件、ドイツ・チェコ・ベラルーシ・スイスにてそれぞれ1件、計20件の同様の超常現象が確認されている。被害者はいずれも故フレデリック・フランソワ・ショパンの愛好家であったことが確認されている。この案件はEuclidクラスSCPオブジェクトとして登録予定。
備考2: EE-1679及び同様の超常現象群は発生期間がある程度一致しており、その間SCP-1710-JPから微弱な奇跡論パルスが放射されていたことが発覚している。2件の間の関連性については調査中。
SCP-1710-JP - ショパン・ゴジラ
付与予定タグ: scp-jp euclid 異次元 音楽 儀式 K-クラスシナリオ 昆虫 雑食 宗教 敵対的 動物 場所 変形 ポータル 捕食 群れ 国外収容 現実改変 世界オカルト連合 プロメテウス ショパン・カルト 壊された虚構 音波 認識災害 精神影響
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シリーズ-JP所属
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JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:3995762 (01 Jun 2018 11:19)
拝読しました。
財団の報告書としてはよくできていると思います。様々な設定を巧みに取り込んでいるところやクライマックスのスケールの大きさには感嘆しました。
しかしながら、タイトルや途中展開からLK-クラスシナリオが起きるというオチが容易に察せられますし、そのオチ自体があまり(財団報告書としては)面白くありません。タイトルや内容から、おそらく怪獣パニック映画的なものを描きたかったのだろうとは理解できますが、財団報告書と云うよりtale向けの題材のような気がしました。
後、気になる点としては、財団とGOCの会合がインフォーマルなものであるにしても砕け過ぎと思います。また、ポーランド軍はドイツ国境に主に展開しており、規模もそれほど大きくないため、レスポンスの有効性が低く、LK-クラスを引き起こす要因である政府への出動要請より財団・GOCのみでの対処で済ませたほうが良いと思います。対応例としては「大怪獣決戦tale」あたりが参考になると思います。
私としては、怪獣ものとしてのニュアンスを残しつつも、財団・GOCのみでの対応とし、できれば最後にトンチを効かせた作戦で神的存在を退散させる方向で話をすすめるとより良いと思います。いわばトンチの部分がオチになるわけです。
以下、細々とした点を。
・戦車ですが、「機」ではなく「両」で数えます。
・小型個体に対してはサーモバリック弾頭のような面制圧兵器が効果的と思います。発生する気体に奇跡論的効果を与えることはGOCなら可能でしょう。
・奇跡論的ネットワークの構築は財団サイトではなくGOC拠点を軸にするとよりらしくなると思います。
以上、ご検討くださると幸いです。
ご批評ありがとうございます!
ご批評ありがとうございます!はい、ショパン・カルト関連記事です。
1. これは確かにその通りですね。ショパンっぽさを追加できるよう、ちょっと考えてみます。
2. 一般的に復活のイメージがあるのと、UE-1076の正体がSCP-3004-2、あるいはその同種の神格存在であることを示唆するためにセミを起用しました。とりあえずこのままで行こうと思いますが、遺言に関してはとても良さげなので何らかの形で取り込むことも考えます。
3. 聖十字架教会については始めて知りました。ちょっと取り入れてみようと思います。
ジェラゾヴァ・ヴォラの脚注: 追加しました。
ポーランド軍を使いたい場合、非常時に財団かGOCの指揮下に入る緊急展開部隊を設定するのもありかもしれません。
http://scpjp-fansite.wikidot.com/goc-references
こちらはファンサイトですが、排撃資産の項に自衛隊や在日米軍が編入されています。こういう形で処理するのはありだと思います。
ありがとうございます。確かにこうした方がいいですね、変更します。