SCP-XXX-JP - 星界への逃亡

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

説明: SCP-XXX-JPは、太陽系内をランダムな軌道で動き続けている宇宙航空機です。形状は概ね楕円形であり、一つのハッチを覗いて出入口は存在せず、窓もまた確認されていません。航行中、SCP-XXX-JPは円錐形のエネルギー領域を展開し、機体の推進・保護に利用します。このエネルギー領域は、視覚的には青白い光となって観測されます。

SCP-XXX-JPは過去幾度か地球近傍を通っており、民間の観測台ならびに一般市民により観測されています。そのうち、いくつかの出現事例では世界的な隠蔽工作が展開されました。1970年のベネット彗星、1997年のヘール・ボップ彗星、2020年のネオワイズ彗星は、いずれもSCP-XXX-JPの実態を隠蔽するためのカバーストーリーとして展開されたものです。

2020年の地球接近時、SCP-XXX-JPはアメリカ合衆国インディアナ州の地方ラジオ局の放送に割り込み、一連の通信を開始しました。これは同日中に同州の財団エージェントにより補足され、秘匿処理が行われると同時に、財団通信衛星による交流が実施されました。以下はその際の記録です。

インタビュー記録#XXX/JP/20200712


インタビュアー: エージェント・アイソン

インタビュー対象: SCP-XXX-JP


[前略]

Agt.アイソン: ハロー、ハロー。こちらアイソン、聞こえるか。

SCP-XXX-JP: こちらイアン! 聞こえるぜ相棒!

Agt.アイソン: (小声で研究班に呼びかける) 交流成功。

Agt.アイソン: アンタの呼びかけを聞いて返信させてもらったよ。英語はわかるんだな?

SCP-XXX-JP: ああ、そりゃあな。これでも元は地球住まいだったんだぜ。まあ……逃亡生活も長かったから、人と話すのは久しぶりだがな。


話題: イアンについて

Agt.アイソン: イアン。君のことを教えてくれないか? まず……人間なのか?

SCP-XXX-JP: れっきとした人間だぜ、俺は。イアン・ジャック・ケネディ、男性、アメリカ人、1867年生まれ。

Agt.アイソン: 待ってくれ、イアン。君は今1867年生まれといったか?

SCP-XXX-JP: ああ。なんつうか……この中はちょっと特殊なんだ。歳を取らないし、食事もいらない。

Agt.アイソン: なるほど。では身体年齢は?

SCP-XXX-JP: 30ぐらいかな。飲み込みが早くて助かる。

Agt.アイソン: 他に何か教えられることは無いか?

SCP-XXX-JP: ある組織でエンジニアをやっていた。

Agt.アイソン: 組織?

SCP-XXX-JP: これといった名前はない。奇妙なものを集めて、調べたりする連中が昔いたんだ。組織 (Organization) とか、機構 (Authority) とか、研究所 (Institution) とか……あとはこういう言い方もあったな、財団 (Foundation)

Agt.アイソン: 財団か。嫌に聞き覚えがあるな。

SCP-XXX-JP: ハッ、もしかしてアンタもお仲間だったか?

Agt.アイソン: そのようだ。


話題: SCP-XXX-JPについて

Agt.アイソン: さて、イアン。この船は一体何なんだ? 我々はこれを宇宙船だと踏んでいるが、これはいつ、どこで、誰がどのように構築した?

SCP-XXX-JP: わからない。

Agt.アイソン: わからない?

SCP-XXX-JP: わからないんだ。俺はただエンジニアとして、組織に言われるまま、こいつを修理する仕事をしていただけだよ。

Agt.アイソン: 組織は何か言っていたか?

SCP-XXX-JP: 南極で見つかったアノマリーだという話だった。おおかた、エイリアンか何かが乗っていたんだろうさ。

Agt.アイソン: ナンバーやコードネーム等は覚えているか? もしかすると、過去の記録の中から見つけられるかもしれない。

SCP-XXX-JP: あー……すまねえな、俺達はナンバーは付けていなかった。コードネームならあったな、俺達はそれを“氷漬けの円盤” (Iced Object) と呼んでいた。

Agt.アイソン: ありがとう。後でRAI…… (逡巡) ……情報記録室に回すとしよう1

SCP-XXX-JP: ああ。


話題: 事故について

〜〜〜
Agt.アイソン: そうか、イアン。君は何故そこに?

SCP-XXX-JP: ちょっとヘマをしちまってよ。逃げてるんだ、ずっと。やっこさん、いい加減諦めてくれてるといいんだが。

Agt.アイソン: 逃げている? 一体誰から?

SCP-XXX-JP: 言ってもわかりゃしねえよ。アホどもが昔飼ってた白肌のバケモンってところだ。

Agt.アイソン: ……それで、この星? 船? こいつは一体何なんだ?

SCP-XXX-JP: 俺の愛機、だな。

Agt.アイソン: 愛機か。我々はこれを宇宙船だと考えているが、このような設計のものは見たことがない。一体いつ、誰が、どこでこれを作ったのか教えてもらえるか?

SCP-XXX-JP: 知らねえ。

Agt.アイソン: 何だって?

SCP-XXX-JP: わかんねえんだ、俺にも。組織曰く、南極に埋まってたって聞いてる。

Agt.アイソン: 組織?

SCP-XXX-JP: これといった名前はねえよ。奇妙なものを集めて、調べたりする連中が昔いたんだ。組織 (Organization) とか、機構 (Authority) とか、研究所 (Institution) とか……あとはこういう言い方もあったな、財団 (Foundation)。

Agt.アイソン: 財団か。嫌に聞き覚えがあるな。

SCP-XXX-JP: ハッ、もしかしてアンタもお仲間か? 俺は当時そこのエンジニアでさ、この変テコ機械の修理を担当してたんだ。とは言っても、見たこともない技術が使われてて大分難航したんだけどよ。修理は順調に進んで、もうじき完成という時分、事故が起きたんだ。

Agt.アイソン: 事故? その船は危険なのか?

SCP-XXX-JP: ああいや、別口の事故だよ。組織の施設でアイツが脱走したんだ。アイツ……白肌の……さっき言ったやつだよ。

Agt.アイソン: なるほど。それで?

SCP-XXX-JP: まずは同僚が殺された。ヤツを見ちまったんだな。扉の外を見に行ったカーターは顔を抉られた。続けて腸が飛んできて、それで…… (嗚咽) チャン、ガス、ハウス……みんな死んだのさ。

SCP-XXX-JP: 俺も見ちまった。俺は咄嗟に、船に乗り込んだ。少しでも遅らせられるんじゃないかって思って。

SCP-XXX-JP: アイツは叩いてきた。壁を、何度も。スクールとかでさ、黒板に爪を立てて引くと嫌な音がするだろ? アレを10倍したような音と、高音の雄叫びがずっと聞こえてくるんだよ。

SCP-XXX-JP: 俺は……急いで、何かできないかと思って、必死に操縦盤を弄った。まだほとんどわかってなかったのにな。でもどうにか上手く行って……それで……以降、飛んでる。

Agt.アイソン: ……ありがとう。参考になった。すまないな、辛い話をさせてしまった。

SCP-XXX-JP: 構いやしねえよ。ずっと誰にも打ち明けられなかったからな、聞いてくれてむしろ感謝してるとも。

Agt.アイソン: その船、話が確かだとするなら、まだ完全には修理できてないんだろう? だとすると、どうなる?

SCP-XXX-JP: 墜ちるんだろうな、そのうち。

Agt.アイソン: その結果は……我々としては避けたいな。民間に被害が生じる事態は防ぎたい。

SCP-XXX-JP: 俺としても防ぎたいところだな。よかったらアンタたち、物資をくれないか? この船の生命維持システムは優秀だが、機械自体はどうしようもねえ。

Agt.アイソン: 構わないが……どうやってそれを届ける?

SCP-XXX-JP: さあな。まあ一緒に考えていこうぜ、相棒。

Agt.アイソン: 着陸は駄目なのか?

SCP-XXX-JP: 駄目だ。止まってたらきっと、来ちまうだろ、アイツ。本当にシャイだからさ、息の根止めないと安心できないんだよ。

[後略]


インタビュー記録#XXX/JP/20200712


インタビュアー: エージェント・アイソン

インタビュー対象: SCP-XXX-JP


[前略]

Agt.アイソン: ハロー、ハロー。こちらアイソン、聞こえるか。

SCP-XXX-JP: こちらイアン! 聞こえるぜ相棒!

Agt.アイソン: (小声で研究班に呼びかける) 交流成功。

Agt.アイソン: アンタの呼びかけを聞いて返信させてもらったよ。英語はわかるんだな?

SCP-XXX-JP: ああ、そりゃあな。これでも元は地球住まいだったんだぜ。

Agt.アイソン: そうか、イアン。君は何故そこに?

SCP-XXX-JP: ちょっとヘマをしちまってよ。逃げてるんだ、ずっと。やっこさん、いい加減諦めてくれてるといいんだが。

Agt.アイソン: 逃げている? 一体誰から?

SCP-XXX-JP: 言ってもわかりゃしねえよ。アホどもが昔飼ってた白肌のバケモンってところだ。

Agt.アイソン: ……それで、この星? 船? こいつは一体何なんだ?

SCP-XXX-JP: 俺の愛機、だな。

Agt.アイソン: 愛機か。我々はこれを宇宙船だと考えているが、このような設計のものは見たことがない。一体いつ、誰が、どこでこれを作ったのか教えてもらえるか?

SCP-XXX-JP: 知らねえ。

Agt.アイソン: 何だって?

SCP-XXX-JP: わかんねえんだ、俺にも。組織曰く、南極に埋まってたって聞いてる。

Agt.アイソン: 組織?

SCP-XXX-JP: これといった名前はねえよ。奇妙なものを集めて、調べたりする連中が昔いたんだ。組織 (Organization) とか、機構 (Authority) とか、研究所 (Institution) とか……あとはこういう言い方もあったな、財団 (Foundation)。

Agt.アイソン: 財団か。嫌に聞き覚えがあるな。

SCP-XXX-JP: ハッ、もしかしてアンタもお仲間か? 俺は当時そこのエンジニアでさ、この変テコ機械の修理を担当してたんだ。とは言っても、見たこともない技術が使われてて大分難航したんだけどよ。修理は順調に進んで、もうじき完成という時分、事故が起きたんだ。

Agt.アイソン: 事故? その船は危険なのか?

SCP-XXX-JP: ああいや、別口の事故だよ。組織の施設でアイツが脱走したんだ。アイツ……白肌の……さっき言ったやつだよ。

Agt.アイソン: なるほど。それで?

SCP-XXX-JP: まずは同僚が殺された。ヤツを見ちまったんだな。扉の外を見に行ったカーターは顔を抉られた。続けて腸が飛んできて、それで…… (嗚咽) チャン、ガス、ハウス……みんな死んだのさ。

SCP-XXX-JP: 俺も見ちまった。俺は咄嗟に、船に乗り込んだ。少しでも遅らせられるんじゃないかって思って。

SCP-XXX-JP: アイツは叩いてきた。壁を、何度も。スクールとかでさ、黒板に爪を立てて引くと嫌な音がするだろ? アレを10倍したような音と、高音の雄叫びがずっと聞こえてくるんだよ。

SCP-XXX-JP: 俺は……急いで、何かできないかと思って、必死に操縦盤を弄った。まだほとんどわかってなかったのにな。でもどうにか上手く行って……それで……以降、飛んでる。

Agt.アイソン: ……ありがとう。参考になった。すまないな、辛い話をさせてしまった。

SCP-XXX-JP: 構いやしねえよ。ずっと誰にも打ち明けられなかったからな、聞いてくれてむしろ感謝してるとも。

Agt.アイソン: その船、話が確かだとするなら、まだ完全には修理できてないんだろう? だとすると、どうなる?

SCP-XXX-JP: 墜ちるんだろうな、そのうち。

Agt.アイソン: その結果は……我々としては避けたいな。民間に被害が生じる事態は防ぎたい。

SCP-XXX-JP: 俺としても防ぎたいところだな。よかったらアンタたち、物資をくれないか? この船の生命維持システムは優秀だが、機械自体はどうしようもねえ。

Agt.アイソン: 構わないが……どうやってそれを届ける?

SCP-XXX-JP: さあな。まあ一緒に考えていこうぜ、相棒。

Agt.アイソン: 着陸は駄目なのか?

SCP-XXX-JP: 駄目だ。止まってたらきっと、来ちまうだろ、アイツ。本当にシャイだからさ、息の根止めないと安心できないんだよ。

[後略]

……アンタ、いつまで飛び続ける気なんだ?

アイツが諦めてくれるまでさ。あるいは、この星空が消えちまうまで。

墜ちた、ってわかったら……多分、アイツ来るんだろうな。俺が生きてるかにかかわらず。アイツ、本当にシャイだからさ、きっと確認したいはずだよ。


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