雨ではなくキミが降ったから、その日はキミの記念日だ。

• タイヨウ

少年 (12~13歳)。地上への憧れ。親の死が枷になっているが、それでも憧れは消えていない。
ポイントA: 母親の『地上に行くな』が第一の枷。彼は繰り返し夢を見る。それは憧憬と遺言の夢。1話でこの枷を破壊し、地上脱出への旅路を開始する。
ポイントB: 実は父親の『地上に行って太陽を見てくれ』も隠れた枷になっている。2~3話でこの枷を自覚・破壊し、純粋なる自身の意思で歩んでいくことを決める。
少女を地上に帰すことも1目的であるが、実際にはそれにかこつけて地上を見に行きたい気持ちが強い。ただしマトモな情もあるので彼女を見捨てるつもりもないし、旅路の中で地上を目指す第一目的とほぼ等価の願いにまで拡大していく。
普段は落ち着いていて少しすかした感じもあるが、内心は熱血。特に地上脱出と少女帰還絡みで、土壇場でゴリゴリに熱くなる。
「〜だよ」「そうかなあ」 (同年代)
「〜そうなんですか？」 (タキオリ相手)

• ソラ

少女 (13~14歳)。地上に帰りたい。親に高い期待をかけられて半ば虐待まがいの教育をされていたが、当時より一定の反抗心があり、度々抜け出して従兄弟の下などに行っている。東京探査に自由を見ており、家出した際に従兄弟のスーツを着て勝手に東京探査に乗り込んだ (が、事故でオオウツロに落ちた)。
人に少々つっけんどんに当たるところがあったが、旅路のなかで解消される。彼女の枷は2つあり、1つは地上に帰りたくないという相反する思い。もう1つは、親への思い。これは3~4話で取り上げられる。最終的に、彼女は少年に太陽を見させることを目的に組み込み前進する。自身の確立。

• タキオリ

中年男性 (40歳前後)。

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Extra#1

それは遥か遠く、地下の中枢たる都市でのことだ。暗がりの一室で、一つの影が動かずに在った。それは人間の姿であるようだった。
か細いランプの暖かさが、手前の男の顔を照らす。彼の眼鏡に白が反射し、一瞬、乱雑に機械が散らばる部屋の様子を映し出した。

男は黙りこくったまま、静かにデスクに肘を立て鎮座した。ランプの灯りはチラチラと点滅してこそいるが、男のガラスはこの角度からは逆光でよく見えず、その向こうの瞳に宿る感情は、我々に推し量ることはできない。

カタン、と音がした。扉が開く。立て付けが悪いのか、あるいは経年で錆でも繁茂したのか。金属同士をこすり合わせるかのような神経を刺し貫く音が鳴り、小さく狭い部屋の中を幾重にも谺した。
そして、もう一人の男の声が続く。

「……またここにいたのか」

机に座していた男は、向きなおりもしない。
「ここが私の巣だ」

「……そうか」
入ってきた男はそう言って、デスクの上をちらりと見た。ランプと座る男の狭間には、一枚の写真が、丁寧にも小洒落た木の枠に嵌められて置かれていた。

「カスガイ。また思い返しているのか」
「……悪いか？ シマさん。私にとっては今やこれぐらいしか楽しみはないんだ」
「いや、いいさ。俺も時々そうしている」

再びの静寂が部屋に響く。こんな小さな部屋だから、2倍と言わず3倍5倍と、静けさが反射と増幅を連ねていくのだ。
先に口を開いたのは、カスガイと呼ばれた男の方だった。

「それで、何かあったのか」
「……」

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