全ては我が母の為に - SCP-JPサンドボックスⅢ

全ては我が母の為に

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以下、特に気になっている点とオチのスポイラー。

クレジット

タイトル: SCP-2188-JP - 全ては我が母の為に
著者: ©︎eagle-yuki
作成年: 2021

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SCP-2188-JP

アイテム番号: SCP-2188-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2188-JPは、密閉された植物自動生育用セルに収容され、一般的なカーネーションとほぼ同様の手法によって育成されます。生育中のSCP-2188-JPは30株、種子は100個を目安に保管されており、それ以上は焼却によって破棄されます。SCP-2188-JPの収容セルには、血縁上・法律上の母親にあたる人物が既に死去しており、精神鑑定-2188-JPに合格した人物のみが入室可能です。入室する際には、防護服・防塵マスクの着用が義務付けられ、退室する際には全身の洗浄が行われます。SCP-2188-JPを用いた実験を行う場合は、SCP-2188-JP-1を即座に拘束することが可能な環境を用意してください。

説明: SCP-2188-JPは、その花粉を摂取した人間(以下、SCP-2188-JP-1)に精神汚染を引き起こす、カーネーション(学名:Dianthus caryophyllus L.)の変種です。SCP-2188-JPのおしべは、一般的なカーネーションよりも発達しており、比較的、花粉の放出量が多いことが確認されています。

SCP-2188-JP-1は、「自身の母親が最も強く敵意を向けている対象（以下、対象）を破壊・殺害したい」という欲求に襲われます。この欲求を抱いた瞬間、SCP-2188-JP-1は、対象が何であるかを未知の手段によって即座に知覚します。この際、SCP-2188-JP-1には対象の存在位置が知覚可能になる異常性が付与されます。この欲求・異常性は、SCP-2188-JP-1が対象の破壊・殺害に成功するか、SCP-2188-JPの花粉を摂取してから、ある程度の時間¹が経過することで消失します。また、SCP-2188-JP-1は、対象の破壊・殺害を実行する際、ほぼ必ず、「全ては自身の母のためである」といった旨の発言をすることが確認されています。

SCP-2188-JP-1の母親が既に死去している等の場合は、上記の異常性は発現しません。しかし、この異常性におけるSCP-2188-JP-1の母親は、必ずしもSCP-2188-JP-1の血縁上の母親である必要はなく、SCP-2188-JP-1が「自身の母親・義母にあたる立場にある」と認識している人物が存命であれば、この異常性は発現します。詳細は、事案記録-SCP-2188-JPを確認してください。

発見ログ: SCP-2188-JPは、2014/5/11・12に発生した、殺人・傷害・器物損害事件の被疑者・現行犯人の3割が、SCP-2188-JPの切り花と非異常性のメッセージカードを所持していた、██県██市の住民であったことから発見されました。調査の結果、SCP-2188-JP-1のほぼ全員が、██市中で無償配布されていたSCP-2188-JPとメッセージカードを受け取っていたこと・配布を行っていた複数の中年女性から、SCP-2188-JPの香りを嗅ぐことを勧められていたことが判明しました。財団は、現在も当該の集団に関する調査を行なっていますが、有力な情報は得られていません。また、SCP-2188-JPの配布が行われた形跡は、2014年以降、確認されていません。

以下は、メッセージカードに書かれていた文面の書き起こしです。

今年も母の日がやってきました。今年はこのカーネーションで、お母様に日々の感謝をお伝えしてみませんか？

きっと皆さん、子供の頃は、お母様にたくさん手を焼かせてしまっていたでしょう。その分、たまには、家事や育児でお疲れのお母様のストレスを解消してあげるため、何かしてみるといいかもしれません。

世のお母様がもっと幸せになれますように。

以下は、2014/5/11・12にSCP-2188-JPの異常性によって発生したと考えられている事案記録の一部抜粋です。

+ 文書:事案記録-2188-JPの抜粋を閲覧する。

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事案記録1

SCP-2188-JP-1: 武田圭吾氏（当時27歳）

対象: 株式会社████化粧品

事案: 大型トラック²を運転し、対象の本社ビルに激突する。当該建造物の1・2階が大規模な損害を受け、死者5人、武田氏を含め重軽傷者18人の人的被害が確認された。

分析: 氏の母親は、当事案が発生する12日前、対象の会社で製造された化粧品により皮膚にかぶれを起こしており、それが当事案の発生につながったと推測されている。また、SCP-2188-JP関連の事案では、当事案が最も甚大な被害をもたらした。

事案記録2

SCP-2188-JP-1: 七瀬陽菜氏（当時10歳）

対象: 株式会社████化粧品

事案: 事案1の後、警察の事情聴取を受けていた対象の会社の社員に、包丁で切りかかる。氏は、即座に警察官に取り押さえられため、死者・負傷者は出なかった。

分析: 当事案の発生経緯は、事案1と類似している。ただ、当事案において、氏は対象の本社ビルへの移動には自転車を、対象の破壊・殺害には、自宅から持ち出した包丁を用いていた。SCP-2188-JPの異常性による対象の破壊・殺害は、SCP-2188-JP-1にとって可能である/不自然でない方法で行われると推測されている。

事案記録16

SCP-2188-JP-1: 飯野信三氏（当時31歳）

対象: 山田健五郎氏（当時67歳）

事案: 山田氏の自宅に押し入り、金属バットで撲殺。

分析: 飯野氏は生後すぐ乳児院・孤児院に入院しており、自身の血縁上の母親（存命）とは面識がなかった。氏が入院していた孤児院に勤務していた長野可奈子氏（当時64歳）は、山田氏に借金をしていて、山田氏を疎ましく感じていたことが判明している。飯野氏は、長野氏を自身の母親にあたる存在であると認識していたようだ。

事案記録38

SCP-2188-JP-1: 江木茜氏（当時42歳）

対象: 江木茜氏

事案: 自宅で、氏にとっての義母（姑）にあたる江木秀代氏（当時68歳）の眼前で、「全ては私の母の為に」と叫んだ後、自身の頚部に包丁を突き刺し、自殺。

分析: 氏の血縁上の母親は、既に死去していた。また、茜氏と秀代氏は、以前より不仲であった。そのため、茜氏はSCP-2188-JP-1でありながら、対象にも選ばれたのだと推測されている。

特殊事案

SCP-2188-JP-1: 柳沢伸一氏（当時54歳）³

対象: 不明

事案: 鉈を用い、通行人を次々に切りつける。駆け付けた複数名の警察官に囲まれると、自身の首を切りつけ、自殺。柳沢氏を含め死者4人、重軽傷者13人の人的被害が確認された。

分析: 当事案において被害を受けた人物には一切の共通点が無く、いくつかの証言からも、通り魔的な犯行であったと判明している。そのため、対象が何であったのかは不明である。柳沢氏の血縁上の母親は既に死去している上、義母にあたる存在も確認されていないため、なぜ氏に異常性が発現したのかも不明である。氏の人間関係の調査は継続して行われているが、有力な情報は得られていない。また、氏は、犯行に及ぶ際と自殺を行う際、通常と異なり「全ては我らが母の為に」と叫んでいたとの証言がいくつか確認されている。この発言がどういった意味合いを持っているのかは、未だに判明していない。